「演出の武器はたくさんの稽古場を知っていること。」段田安則さん初演出『夜の来訪者』独占インタビュー!![インタビュー]
役者として幅広く活躍する段田安則が、翻訳サスペンス『夜の来訪者』で、初めて演出に取り組む。原作は1946年に書かれた英国の舞台劇で、映画にもなった「インスペクター・コールズ」。日本の舞台でも、これまでにさまざまな劇団やプロデュース公演で上演されてきた名作である。

 物語はこんなふうに始まる。娘の婚約者を迎えた一家団らんの夜…。見知らぬ男が突然訪れる。男は自分は警官だと言い、ひとりの女の死を告げ、家族たちにそれぞれ質問していく。父親は社長でその女を解雇していた。娘、婚約者、母親、それぞれが女の死に無縁ではないようで、お互いの不安と探り合いのなかで家族の内面があぶり出されていく…。

 会話の面白さと人間の心理で展開するこのサスペンス・ドラマで、初演出のみならず出演もして、キーパーソンとなる警官役を演じてしまう、意欲あふれる段田安則に演出への抱負を聞いた。

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■20歳のときに出会った戯曲

──今回、なぜ演出を引き受けられることになったのか、そのいきさつを。

 この作品とは、20歳くらいのときに出会っているんです。まだ京都に住んでいて、演劇好きな大学生時代に地元の劇団が上演していたのを観ているんです。初めて観たときはとにかく面白い芝居だなと思いました。会話で心理を追いつめていく面白さ、それから最後にあるドンデン返しも意外で、ドラマそのものに観客を引っぱっていける力があるし魅力があるんです。ですから役者になってからも、いつかあの芝居をやれたらいいなという思いはあって、機会があるたびに、周囲の人間に「あれをやりたいな」みたいなことは言っていたんです。

──最初は出演者として出ることを考えていたわけですね?

 もちろん役者として出ることしか考えてませんでした。それがいよいよ上演できることになってから、プロデュサーが「演出家は誰がいいか、いろいろ考えたけどピンとくる人がいなくて。思い切って自分でやってしまったら?」と言われたんです。一瞬、「俺にできるかな?」という不安もあったんですが、勢いで「やります」と言ってしまって(笑)。それから、これはエライことになったなと(笑)。そこで、演出に集中しなくてはと思ったので、出演は考えないでいたのですが、今度は警官の人がうまくキャスティングをできないと言われて、それならいっそのことそれも自分でやってしまおうかと(笑)。

──勢いで演出と主演を引き受けてしまったんですね。そういう場合ですが、稽古場で自分の出る場面というのはどういう稽古になりそうですか?

   代役とかは、あまり立てないでやろうと思っているんです。僕はこれといった演出論や演出の武器は持ってないんですが、強みはいろいろな演出家の現場を渡り歩いてきたことで(笑)。野田(秀樹)さんから始まり、蜷川幸雄さん、栗山民也さん、木村光一さん、最近のケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)や、今『舞台は夢』で稽古中の鵜山仁さん。さまざまな現場を経験してきたことが役に立つんじゃないかなと思ってます。気軽に考えるなら「演出といっても今までやってきたことの延長でいいんじゃないか」と思えるんですが、「いやいやそんな甘いもんじゃない。違う回路だから気軽に手を出してはいけないよ」という気持ちに襲われたり、今も半々に揺れてたりするんですが(笑)。


■濃くて芸達者なキャストたち

  ──そして今回使用する脚本にもこだわりがあって、内村直也翻案台本にしたのは段田さんのチョイスだそうですね?

 「インスペクター・コールズ」の日本での上演台本には、八木柊一郎さんの訳と、内村直也さんの訳とがあるのですが、時代設定などはJ・B・プリーストリーの原作と、それぞれ少しずつ違うんです。それを読み比べでみて、最終的に内村さんの台本に決めたのは、時代設定が昭和47年にしてあるのが面白いなと思ったからです。この年はすごく大事件があった年で、田中角栄内閣になって日中国交の回復があって、パンダは来るわ、あさま山荘事件があるわ、横井庄一さんが帰ってくるわという、本当に事件の多い年だったんです。そのこと自体は直接この芝居には出てこないんですが、社会背景というものがこの作品の人間ドラマと無縁ではないので、内村さんの台本にしてみました。

──そして、キャストも濃いかたが多くて、これも段田さんの希望ですか?

 そうです(笑)。本当にみなさんよく出演を引き受けてくださったと感謝しています。男優はテレビや舞台でおなじみの高橋克実さんと八嶋智人さんという芸達者で安心な2人と、岡本健一さんは以前『深川しぐれ』という森光子さんの舞台で共演した経験があるので、気心も知れているし心強いです。でも女優さんは渡辺えりさんも坂井真紀ちゃんも共演は初めてなので、そちらは緊張しますね(笑)。そしてもう1人、梅沢昌代さんがサプライズ的な役で出てくださるのが、とてもありがたいです。

──そんなキャストを自在に動かしながら出演もする稽古場の演出家、段田安則が楽しみです。

 自分も出るなんて、すごくたいへんだろうなと思う面もあるのですが、逆に現場で一緒に作れるし、たまに難しいことを出演者に聞かれても「出てると客観的に判断できないから」と逃げられるんじゃないかと、そこにひそかに期待しているんですが(笑)。






■シス・カンパニー公演 「夜の来訪者」
公演日・会場:09/2/14(土)〜3/15(日) 紀伊國屋ホール (東京都)
原作:J・B・プリーストリー
翻案:内村直也
演出:段田安則
出演:段田安則/岡本健一/坂井真紀/八嶋智人/高橋克実/梅沢昌代/
    渡辺えり

プレオーダー【プレイガイド最速受付】:08/12/13(土)12:00〜21(日)18:00
一般発売:09/1/10(土)10:00〜


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2008-12-05 18:30 この記事だけ表示   |  コメント 0   |  トラックバック 0

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