遂に開幕! 劇団四季 ブロードウェイ・ミュージカル『春のめざめ』、その全容が明らかに…。[公演情報]
去る5月2日、自由劇場にて開幕し話題騒然のブロードウェイ・ミュージカル『春のめざめ』。その開幕前日に行われた公開通し稽古のレポートをお届けいたします。


(写真:手前、ヴェンドラの母親。奥左から、テーア、アンナ、ヴェンドラ、マルタ、イルゼ)


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舞台の壁いっぱいに肖像画や黒板、蝶の羽根など所狭しと飾られ、左右には小さな木の椅子が並んだステージ席。そして舞台中央に椅子がひとつ。オリジナルのブロードウェイ公演と同じセットに期待も高まります。カメラを持っていた私達は2階の一列目のセンターブロックからの取材を許されました(一部の問題シーンは撮影不可)。そして、マスコミやブログ記者をはじめとする関係者たちの見守る中、午後1時から上演開始となりました。


(写真:左から、オットー、エルンスト、モリッツ、ゲオルグ、ハンシェン)

出演者が入場。学校の制服姿の男の子たちと、それぞれ色や形が違うワンピースなどを身につけた少女たち。本番の衣装とヘアメイクで、半月前に公開されたあざみ野稽古場での姿とはイメージが一変しました。衣装はもちろん、男の子たちの髪型(ゲオルグは頭のてっぺんにふたつのカール、ハンシェンは金髪の七三分け、オットーは下の方は刈り上げでてっぺんはチリチリの巻き毛など)もブロードウェイのオリジナル・キャストのイメージを忠実に再現していました。本家ブロードウェイでさえ、オリジナルが降板したあとのキャストはオリジナルとかなりイメージの違う人の場合もあったので(スリムでロングヘアだった初代イルゼの二代目はかなりグラマーで黒髪のおかっぱ頭だったり、ゲオルグの髪型も継承されず)、日本でオリジナルのイメージが再現されたのはうれしいことです。

物語は19世紀のドイツ、身体の変化に戸惑い、性に関心を持ち始めた少年少女たちが、その関心を押さえ込もうとする親や教師たちに翻弄され、踏みにじられていくというなんとも救いのない話。それがブロードウェイで大ヒットした理由は、暗い物語(芝居部分)とは対称的に、時に激しく、時に切なく歌い上げられる音楽と独特の振付にあります。「The Bitch of Living」(ブチギレそう)や「Totally Fucked」(マジでFUCK!)のようなノリの良い曲だけでなく、少年少女が自分の身体を撫で回しながら歌う「Touch Me」(タッチ・ミー)や後半に歌われる「Left Behind」(消えゆく面影)などの切なく美しい曲も心に響きます。

ネオン管や電球を効果的に使った照明もまた重要なポイントになっています。赤や青、ピンクや黄色やオレンジなど、場面に合わせた色調の変化も見応え十分です。例えば「The Mirror-Blue Night」の青い照明はなんとも幻想的で、思わず見とれてしまうほどです。また、舞台装置の意外な動きには驚きもあります。

この日のキャストは以下の通り。(ひとつの役に対して数人の俳優が登板できる体制が整えられているそうで、日によってキャストがかわる可能性があります。)

<女性キャスト>
ヴェンドラ   林 香純
マルタ     撫佐 仁美
イルゼ     金平 真弥
アンナ     松田 佑子
テーア     有村 弥希子
大人の女性  中野 今日子

<男性キャスト>
メルヒオール 柿澤 勇人
モリッツ    三雲 肇
オットー    加藤 迪
ハンシェン  一和 洋輔
エルンスト  竹内 一樹
ゲオルグ   白瀬 英典
大人の男性  志村 要

メルヒオールの柿澤さんはステージでも堂々とした演技をみせ、若い女性客には早くも「カッコイイ」と大人気でした。無垢な少女ヴェンドラを瑞々しく演じた林さんとも息が合っていると感じました。ふたりのラブシーンもブロードウェイと同様の流れで演じられ、まだ若干の堅さは残るものの、その衝撃度はぜひ体感していただきたいと思います。

今回特に感じたことは男の子はもちろんですが、女の子たちの個性がはっきりしてきたということです。目立つシーンが多くはない女の子たちもひとりひとり個性があります。その点も注目したいところです。そして、モリッツの三雲さんは、時に激しく歌い、時にコミカルにおどけ、そして悲しみの表情も見せるという難しい役どころを迫力満点に演じ、観客の涙を誘っていました。

私は開幕後の5/4にも観劇していますが(その時も同じキャストでした)、観客の反応も上々で、要所要所で大きな拍手がおこり、「Left Behind」ではすすり泣きさえも聞こえ、カーテンコールは6回くらいあったと思います。

劇団四季の新作ミュージカル『春のめざめ』は順調に滑り出しました。開幕前に公演期間が8月末まで約2ヶ月延長になっていますので、一度観て気に入った方は早めに先のチケットを押さえておかれることをお勧めします。

公開ゲネプロの後、脚本と歌詞を手がけたスティーヴン・セイター氏(写真左)と作曲のダンカン・シーク氏(右)の記者会見がありました。

はじめにおふたりから、ゲネプロを観た感想などが語られました。

セイター氏は「ゲネプロの前に観たリハーサルからの大きな(良い)変化にとても感動しました。ダンカンと私は10年前、ただ素晴らしいミュージカルをというのではなく、世界中を変えてやろう、ロックで世界を揺さぶろうという思いでこの作品を書きました。私は世界中でこの作品を観てきましたが、劇団四季がこのショーを真の意味で理解して作品作りをしてくださっていると深く感動しました。」と話し、シーク氏は「劇団四季の若い方々は演出指導をとてもよく受け止めてくださっていてうれしく思います。これまで英語ではあまりにも何度も聞きすぎていますが、日本語には独特のリズムがあり日本語で聞けることはとてもエキサイティングだし、英語とはちがったところでエネルギッシュだと感じるところもあり、感動しています。またバンドの方たちもパワフルな演奏をしてくださっています。関係者それぞれがこの作品の成功にコミット(真剣に取り組んでいる、責任を果たしている)してくださっていると感謝しています。日本でもロングランになることを期待しています。」とミュージシャンらしい音にこだわった感想を述べられていました。

このあと報道関係者からの質疑応答になるのですが、最初の質問でセイター氏がとても真剣に話し始め、通訳にしっかり説明しようと真横を向いてしまいました。そのまま3分以上話し続け、目の前にいたカメラマンの人は正面を向いてもらえるよう合図をするのですがセイター氏は気づきません。それを横で微笑みながら見ていたシーク氏がセイター氏の肩を叩いてそのことを伝えると、びっくりして「すみません。すみません。」と正面を向いてあらためて話し続けたセイター氏(合計5分以上話し続けていました)。何事にも真剣に取り組むセイター氏と、大らかなシーク氏のお人柄が垣間見えた一幕でした。

質問:(セイター氏に)「原作では最後にモリッツがメルヒオールを死に誘うようなシーンがあるが、それをあえてちがう結末に変更された意図は?」

セイター氏:「私達が『春のめざめ』のミュージカルを作ろうと思った時は原作に忠実にということを大切に考えていました。しかし、最後の歌をどういう風にするか考えて、メルヒオールの心の旅路の部分を付け加えることにしました。自分の頭の中ですべての問題を解決できると思っていたメルヒオールは、ヴェンドラとの愛や苦悩するモリッツとの友情で変化していきます。私達が伝えたかったこと、<心の中に恐怖があっても、謙虚な気持ちで、それを抱えながら進んでいくことができる>という風に変更したのです。これは19世紀に作られた文学の21世紀バージョンであり、21世紀の人たちに感動を与えるものにしたいという思いで変更しました」

質問:(シーク氏に)「100年前のセンセーショナルな物語に音楽をつけることについて工夫した点は?」

シーク氏:「音楽の作り方として、100年前にふさわしい音楽を念頭において作曲するとか、これまでのミュージカルのような手法を使うなどの選択肢もあったと思いますが、いずれの方法も私はあまり興味がわきませんでした。それは私がいつも作っている音楽とは異なっていたからです。物語は1891年という時代のものですが、曲がはじまる瞬間音楽も変わり、照明も変わり、現代風の歌い方になり、曲調もロックでという形が面白いのではないかと思いました。1891年でも現代でも、子どもが抱えている葛藤は普遍的なものだということをこれで表現できると思ったのです。音楽の切り替わりをつくることでエネルギーレベルも変わり、ドラマティックでパワフルになるということで、これまでとちがったものができると感じ、そのような曲作りになりました」

質問:(シーク氏に)「先程、<日本語で聞くと英語とはちがったところでエネルギッシュに感じる>とおっしゃったがそれは具体的にはどのあたりか?」

シーク氏「私は坂本龍一氏に非常に影響を受けていて、特に彼の和音のスタイルに非常に影響を受けています。今回、私が作った『春のめざめ』が日本語で歌われるのを聞いて、坂本龍一氏の影響が前面に出ていると感じました。私は日本語ができないので具体的にどこというのは難しいのですが、自分が受けた影響があらわれているところが面白いと思ったことと、日本語は非常に面白い音を持っていてとても刺激的だし、ミステリアスだと感じました」

質問:(セイター氏に)「『春のめざめ』が性の問題を扱っているということから、日本では学校観劇で教材として使う高校もあるそうだが、そのことをどう思うか?またアメリカではそういうことはあるのか?」

セイター氏「私達は、原作では最初のシーンではなかった、ヴェンドラが赤ちゃんのことを聞くシーンを冒頭に持ってきました。これは親が子どもに率直に話ができないことからこういう悲劇が起こってしまうということからです。また、思春期の人たちが感じる喜び、苦悩、悲しみなども盛り込んでいて、若い人たちに是非観てもらいたいと強く思っていました。それが世界中の若者たちの共感を得ることができ、クリエーターとして非常に喜びを感じます。高校生向けにということでは、オフ・ブロードウェイの頃からオンになってからも、無料のパフォーマンスやディスカウントなどを活発に行ってきました。特に、あまり恵まれない、教育の機会を与えられていないような方たちや、ミュージカル観劇にほとんど縁のなかったような方たちを招いたりもしており、そういう方々から<このような人生の真実をミュージカルにしてくれてありがとう。その勇気に感謝します>という言葉もいただいています」

質問:(セイター氏に)「この作品を世に出すのに長い時間を要した理由は何か?またコロンバイン高校での銃撃事件が契機になったと聞いているが…」

セイター氏「コロンバイン高校での銃撃事件からちょうど10年になりますが、実はあの事件の前からこの作品を作る話は進んでいました。事件が起きたことで、この作品を世に出す緊急性が高まったという意味では影響があったと思います。私達はこのショーを早く世に出すために以前から知っていたマイケル・メイヤー氏にコンタクトを取り、そこからは非常に早く進みました。最初の1〜2年はワークショップなども行い、劇場も決まっていましたが、スケジュールの問題で2年ほど延期になってしまいました。そこに同時多発テロが起き、アメリカ全体で予算の削減があり、また、そういう時期にはこういうヘビーな作品よりも楽しいものが好まれたため、そこから4年間非常に苦労しました。ワークショップでは雰囲気は伝わるのに、脚本をみると19世紀のドイツの物語に現代の音楽というとなかなか理解されにくいところがありました。そのころリンカーン・センター・シアターのグレート・アメリカン・ソング・ブックというシリーズがあり、『アマデウス』に出演されたトム・ハルス氏が強力に資金集めをしてくださり、ワークショップがはじまって、そこからかなり早く進みました。オフ・ブロードウェイにのせた時、若者からも批評家からも評価を得て予想以上の盛況となり、ブロードウェイに進出し、現在は18ヶ国で制作されているというところまでにこぎつけました」

クリエーターのおふたりも高く評価している劇団四季の『春のめざめ』は、初日にカーテンコールが8回もあったとニュースになるほど今一番注目されている作品のひとつです。これまでのミュージカルの常識を覆す全く新しいミュージカルをたっぷりお楽しみください。

(文章:himika)

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