ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』今回で三演目となる山本耕史に、ヘドウィグへの想いを語ってもらった![インタビュー]

 ブロードウェイで生まれ、2001年には映画化もされた伝説のロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。日本でも過去に何度も上演しており、熱心なファンが多いこの舞台がまたもや帰ってくる! これが三演目となる山本耕史に、ヘドウィグへの想いを語ってもらった。


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「僕は、お客さんも含めてみんながヘドウィグだと思うんです」

――『ヘドウィグ〜』を再々演することが決まって、率直なご感想としてはいかがでしょうか。

この作品は定期的にやるから意味があると思うんですよ。だからまたやれるということは本当にうれしいですし、しめしめというか(笑)、やっぱりな!という思いもありました。でも今回は公演期間が短いので、そういう意味ではお芝居やミュージカルというより、今まで以上によりライブパフォーマンス的なものになりそうな気がします。

――特に今回変わりそうなところとか、逆に変えたくないところはありますか。

 基本的な部分は何も変わらないと思います。でも、たとえば視覚的なこと、衣裳とか照明に関してはまだわからないので。僕としては、衣裳は変えようかなーと思っていますけどね。既に、核みたいなものはできているので。前回までの衣裳もいいんですが、あれは日本版の『ヘドウィグ』をやるにあたって、みんなで気合いを入れて作ったものなんです。でももう、そのスタイルにこだわらなくてもいいようにも思えて。

――多少、冒険した衣裳にしても大丈夫ということですか?

 いや、逆にあれが冒険している状態だったんですよ(笑)。だから、元のものに戻すというか。やっぱり原作があれば、それに忠実なものが一番いいと、僕は思うので。

――じゃ、ヘドウィグ本来のイメージに戻るということ?

 ええ。僕の中ではそうしたいなと思っていますけど。

――もう何度も演じられてきていますが、ヘドウィグを演じるとき、一番意識することはどういうことでしょうか。

 これは言葉では簡単に言えちゃうことなんですが、“ウソをつかない”ってことですね。つまり、お芝居をしないってこと。芝居で怒るとか、演技で泣くとか悲しむとかじゃなくて。もうリアルにステージ上にその人がいて、感じるままそこで生きていないといけない。やっぱり、怒ってるお芝居をしている人と、本当に怒ってる人とでは、見ればわかりますよね。感情の奥にあるものが、ちゃんと動いているかどうか。動いているように見せているのではなくてね。このヘドウィグっていうのは、そこが一番大事なところなんです。


――上演中はずっと、ヘドウィグになりきっていないと成り立たない?

 いや、その“なりきる”っていうのも、ちょっと違う言葉なんですよね(笑)。うーん、なんだろう。いや、そこにいるのはあくまで“僕”なんですけど。僕の感情が動いているんです、ヘドウィグの感情ではなくて。

――ヘドウィグという役、キャラクターではない。

 僕、よく思うんだけど、お客さんも含めてみんながヘドウィグだと思うんですよ。お客さんそれぞれの人生を、舞台の上で鏡に映して見せているような感覚なんです。これが人間の姿なんだなあって思ってやっているので。人間を目の前にして人間の姿を、お芝居では絶対に表現できないので、もうそこに生きるしかないというか。そういう意味で“ウソをつかない”ってことなんですね。だから、今までもお芝居を見せようと思ったことはないです、ヘドウィグの場合は。

――それは、他のお芝居をやる時とは違う感覚なんですか?

 基本は一緒なんですけどね。ヘドウィグの場合は、人間らしさっていう部分がより多いのかな。ストーリーを追うことよりも、その人の魂みたいなものが出せないとダメな作品なんじゃないのかなって思いますね。

「ヘドウィグを演じるのは試練の場。気合いと根性が必要です」

――今回も演出は鈴木勝秀さんですが。山本さんは『ヘドウィグ』以外の作品でもご一緒に舞台を作られています。改めてスズカツさんの演出の魅力とは?

 何も言わないところですね(笑)。何か言われた記憶、演出された記憶がほとんどないんです。それがいいという人と、何か言ってほしいって人がいると思いますが、僕はやりやすいほうかな。みんなで一緒に作れるっていうのが、僕には理想なので。

――役者も演出家も一緒になって、ひとつのものを作っていきたい。

 ええ。だから、これはいい意味でとらえてほしいんだけど、ある意味プランがないんです、スズカツさんって。今起きていることを見て、その場で具現化するタイプというか。それも役者のアイデアを優先するし。自分でピンときたことは「こういうのどうかなー」って。

――さりげなく、提案してくれる。

 そうすると、こちらもちょっとやってみようかなって気にもなるし。それにしても本当に、目の前で行われていることをよく見ている人だなっていつも思いますよ。

――そして『ヘドウィグ』といえば、楽曲の魅力も大きいと思うのですが。山本さんにとって、この音楽に関してはいかがですか?

 全部、どの曲も好きです。ジャンルとしてもグラム・ロックってハードな感じですけど、わりと好きなジャンルなので。でもやっぱり、この楽曲の良さがヘドウィグの特長だと思います。そして特に集約されているのが『The Origin Of Love』の歌詞でしょうね。僕は英語で歌っているから、それを改めて日本語では伝えていないけど。つまり、人はひとりじゃ生きられないってことがテーマになっているんです。

――今回、本番に向けて今一番楽しみにしていることは。

 またヘドウィグの世界に入れるということは、すべてが楽しみです。でもやはり、それなりの気合いと根性が必要ですからね、あの中に飛び込むのは。だから楽しみなだけではないかな。でも過酷な場所に自分を追い込んで、そこで自分を磨くということも大切なことですからね。またしてもそういう試練の場が来るな、という感じです。

――最後に、お客様にお誘いのメッセージをお願いします。

  東京公演は今回Zepp Tokyoになるので、また雰囲気がガラッと変わると思います。ずっと観てくださっていた方も、もしかしたら初めての方も、どちらも納得できるようなヘドウィグの世界をまたお届けするつもりなので、ぜひみなさん見逃さずに来てください!

<衣装:COMME CA MEN>
<取材・文:田中里津子>
<写真:渡辺マコト>


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