『スピリチュアルな1日』主演の石田明(NON STYLE)にインタビュー![インタビュー]

 昨年、東日本大震災の影響で公演日程を縮小しての上演となった『スピリチュアルな1日』。霊を信じる者と信じない者、そして本物の霊!もが登場して繰り広げる、おかしくもせつない物語が、今年再び上演されることとなった。初演に続き、主人公のTVディレクター役を演じる石田明(NON STYLE)に、作品に賭ける意気込みを訊いた。


 

石田明に意気込みを訊いた!

――昨年の初演は、東日本大震災後のまだまだ混乱の残る時期の上演でしたが、石田さんとしてはどのような思いで舞台に臨まれていたのでしょうか。

 お客さんも僕たちもみんなまだまだナーバスな時期の公演でしたからね。ただ、僕たちには、このおもしろい作品を観ていただいて、みんなに元気になってもらうことしかできない、そのためにも一丸となってよりよい舞台にしよう、そんな思いがありました。作品の中で“死”というものを扱ってもいるし、笑いというものに対しても、不謹慎なのかなといろいろ思いましたけど、でも、芸人は笑わせることしかできないですからね。ピザの配達の人がピザ配達しなかったらどないすんねんというのと同じで、笑いとらなあかん。それが僕の職業を全うするということですから。だから、笑いを提供することしか考えてなかったですね。
 いざ舞台が始まると、お客さんがみんな、こんなに笑ってくれるんかっていうくらい笑ってくれて、僕らが伝えたかったパワーが客席に伝わって、みんな元気になって帰っていっていただけるというのが伝わってきて、とてもすがすがしい気持ちになりました。それで、まだ再演なんて決まってなかったんですけど、カーテンコールで、「再演します」と宣言して。それが今回、こうして実現できて、とてもうれしいし、言うてみるもんやなと思いましたね。

 

――石田さんの演じられる役どころについてお聞かせください。

 過去にすがりついている男です。その点ちょっとネガティブというか、でも、アホで、どうしようもないところもあるTVディレクターで、昔好きだった先輩ディレクターへの恋心が捨てきれなくて。それが、ひょんなことからいろいろなことが起こり、また新たなスタートを切るという役どころなんです。ディレクターといえば、いつもは僕ら、使われる方の立場ですからね。自分としては、NON STYLEの大ファンで、使いたいと思っているディレクターという裏設定にしていて。ただ、石田はピンで使いたいけど井上はキライ、使いたくないと(笑)。性格的にはけっこう自分と似てるところがあるのかな。後輩にはいい格好して、先輩にはヘコヘコみたいな(笑)。僕とは違う人間なんだけど、でも、僕の要素もいっぱいつまっている役で、そういう意味では演じやすいかもしれないですね。
 でもやっぱり舞台っておもしろいなと思うのは、自分以外のものになれるっていうのはすごくうれしいですよね。別の人の人生を演じられるというのは、生まれ変わったじゃないけど、自分とはまた他の人生を楽しめるという感じで、何だか得した気分です。

 

――そのあたり、ライブで漫才をされたり、テレビの前でコントを披露されたりするのと、舞台で役を演じることとはどのように違った感覚があるのでしょうか。

 テレビやコントでは、石田明の人生をお客さんに見ていただくということをさんざんやっているわけですよね。そういうときは、自分がおもしろいことをしようと思ってるんです。でも、舞台のときは、共演者をどうやったらおもしろく見せられるかということを考えてますね。僕がいることで、この人はどう演技しやすくなるだろうとか、どんなおもしろさが引き出せるだろうとか、そういうことを意識してます。僕のあり方一つでまた周りの方のあり方も変わってくると思うので。
 僕、吉本に入る前、ちょっとだけ劇団にいたんですよ。初めてもらったセリフが「骨は全部知ってるよ」だったということからおわかりの通り、かなりのシュール系だったんです(笑)。それに、子供のときから、広告の裏に絵を描いて、それぞれのキャラクターに名前を付けて、割り箸をつけて動かして物語を作って、そんなんして遊んでたんですよ。
 また、舞台に立つととても居心地がいいですね。お客さんが入って、すべてが完成するのが生の舞台のおもしろさだと思う。お客さんの温度で演技も変わってくるし、お客さんの受け取り方一つで物語が変わってきたりもする。泣けると思ってたのが爆笑シーンになってしまったり、あらぬ方向に物語が進んでいったり。そういう状況にどれだけ反応できるか、それを逆手にとることができるかというのもまた楽しみだなと思ったりしますね。それと、テレビの場合はカメラマンがズームしたりひいたりしますけど、舞台の場合、演者それぞれがここを観てくださいと演じて、そこにお客さん一人一人が自由にフォーカスを合わせるから、そのやりとりもまた醍醐味だなと感じます。


――作品には“霊”が登場しますが、石田さんは何かその類の体験はお持ちですか。

 僕ね、おばけがすごくこわいんです。マンションの部屋は、四つ角どころか、ありとあらゆる場所に塩を撒いてます。何かあってからじゃ遅いじゃないですか!(笑)というのはね、前に、怪しい医者に、「君はびっくり遺伝子を持ってるから」と言われたことがあって。何だか驚きやすい遺伝子を持ってるそうなんですわ、僕。あと、まったく知らんおばちゃんに、新大阪の駅で呼びとめられ、「あんた、あかん!」って。いったい何があかんのかと思ったら、「第三の目が開きかけてんねん!」って。こわっ!って思いましたよ(苦笑)。「その目は開けたらいかん。ずっと閉じとかんといかん」って。何かその目が開いちゃうとおばけとか見えちゃうんじゃないかなと。だから閉じとかなって思ってるんですけど、いったいその目がどこにあってどの筋肉で閉じとくもんなのかわからへん(笑)。ある時、怖い話をするイベントに出たことがあって、どうしても話せなあかん状況になって、ひな壇の上の方で話してたんです。そしたら、右足がけいれんしだして。うわー、こわいなーと思って、でも話し終わったらけいれんが止まったんでほっとして。それで、回収したアンケートを見たら、8、9枚かな、とにかくけっこうな枚数に、「石田さんが話しているとき、誰かが石田さんの右足を押さえてました」と書かれていて…。
そしてその日から、僕の右足のすね毛が濃くなったんです(笑)。


――では、再演への意気込みをお願いいたします。

 さらにパワーアップした舞台をお届けすべく、一丸となってがんばりますので、前回東京でご覧になったお客さんもまた新たな作品を観る気持ちで足を運んでいただけたらなと思ってます。今回は大阪公演もありますが、きっと親戚がいっぱい観に来て、楽屋とかにサインねだりに来てうるさいと思うんですわ。だから、石田家は楽屋出禁ということで(笑)。いや、大阪の方もお芝居とかってなかなか根付いてないようなイメージありますけど、普段舞台にあまり興味のない方にもぜひ観に来ていただいて、芝居の楽しさを知っていただけたらうれしいですね。それから今回は仙台も回ります。本当に、まだまだいろいろなことが大変な状況ではあると思うんですけれども、僕たちにはこうして舞台をお届けして、おもしろさやパワーを分かち合うことしかできないので、観に来ていただいて、ぜひ大いに笑っていただいて、そして少しでも元気になって帰っていただけたらと思っています。

 

〔取材・文/藤本真由(舞台評論家)〕
〔インタビュー写真/坂野則幸〕

公演概要

『スピリチュアルな1日』

<公演日・会場>
■東京公演:6/13(水)〜6/24(日)
あうるすぽっと (東京都)

■大阪公演:6/29(金)〜7/1(日)
ABCホール(大阪府)

■仙台公演:7/7(土)〜7/8(日)
仙台市青年文化センター シアターホール (宮城県)

<キャスト&スタッフ>
脚本:小峯裕之 演出:板垣恭一
出演:石田明(NON STYLE)/須藤理彩/片桐仁/吉本菜穂子/諏訪雅(ヨーロッパ企画)/猪塚健太/今井隆文/柳澤貴彦


【関連動画】「スピリチュアルな一日」NON STYLE 石田明さんからメッセージ

2012-03-30 18:50 この記事だけ表示