完璧な執事・鎌塚アカシが帰って来る──『鎌塚氏、すくい上げる』で倉持裕×三宅弘城のタッグ再び![インタビュー]

(左から)倉持裕、三宅弘城

 昨年5月に上演され人気を博した倉持裕のコメディ作品、『鎌塚氏、放り投げる』から1年とちょっと。早くもシリーズ第2弾『鎌塚氏、すくい上げる』の上演が決定した。前回に引き続きタイトル・ロールの“鎌塚氏”=鎌塚アカシを演じるのは三宅弘城。さてさて、鎌塚氏の次なる活躍とは──?気になるその内容を、作・演出の倉持と、主演の三宅に語ってもらった。

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倉持裕×三宅弘城のタッグに気になる内容を語ってもらった!

――前作『鎌塚氏、放り投げる』は倉持さん初の本格コメディ作品だったと思いますが、やってみていかがでしたか?

倉持 すごく手応えを感じた舞台でした。おかげさまでお客さんの反応もよかったですし、作っていて鎌塚アカシというキャラクターを僕自身がすごく好きになったんです。これはちょっと1回で終わらせるのはもったいないな、と。この人で、この執事で別の話を観てみたいって思ったので…新作をやることに。

 

――三宅さんは「鎌塚氏で新作を」と聞いたときは?

三宅 わ〜!!(パチパチパチッと拍手)って(笑)。舞台で同じ役を、それも再演ではなく新作をやれるというのはあまりない経験ですし、役者として素直にうれしかったですね。

――確か、もともと倉持さんの中に「三宅さんの執事姿っていいなぁ」というのがあって生まれたのが『鎌塚氏〜』だったかと。

倉持 そうです。なぜか僕の中に「執事といえば三宅さん」というイメージがありまして…堅物、融通の利かない人っていうのがすごく似合う気がしてたんですね。しかもそれが喜劇として成立する人。前回、稽古しながら脚本を書いていたんですけど、やっぱりそれは正解だった。三宅さんにやってもらうことによって、あの役はどんどんチャーミングになっていきましたから。

三宅 アカシはとにかく「できません」って言えない人で、なんでもかんでも「できます」と引き受けてパンクする(笑)。見栄っ張りの堅物、といえばカッコイイですけど、すべてにおいて行き過ぎるというか…あんまり頭良くないというか…(笑)。ま、それなりにできる人だし自信はあるんだと思うんですけど。

倉持 自己評価が高過ぎるんでしょうね(笑)。もう少し謙虚でいればおのずと周りが褒めてくれるだろうに。

 

三宅 そうなんですよ。表立って自慢はしてないんですけど、なんか、態度で自慢している。できるのが嬉しくて隠し切れない感じがありますね(笑)。

――そこがまた彼の魅力でもあって。観客も「この人真面目なんだろうけど、ちょっと…一旦落ちついて!」と、ついつい目が離せなくなり、なんだか心を掴まれてしまうんです。愛されキャラですね。

倉持 そこはやっぱり三宅さんだからでしょうね。最初、僕の中ではアカシはもっとイヤな男のつもりでいたんです。それが、三宅さんが演じることでどんどん愛すべきキャラクターになっていった。

――彼が生きている姿を見ていることが笑いに繋がってしまう存在。

倉持 そうですね。鎌塚が一生懸命になればなるほど、悩めば悩むほど…追い込まれるほどに面白い。物語も、目的は彼をどこまで追いつめていけばいいかっていうところに集中すればいい(笑)。

三宅 フフフッ(笑)。そこはもう僕は素材として作・演出の倉持さんに委ねて、振り回されようと思います。

――今回の物語の舞台は船。海洋パニックものという噂ですが…。

倉持 壮大ですよ(笑)。まあ上流階級のお話なので設定はゴージャスなほうがいいな、ハッタリは必要だなと。あとはひらめきです。前回がお城なら次はやっぱり豪華客船あたりだろうなって。シチュエーション的にも盛り上がるだろうし。…単純ですが(笑)。

――鎌塚はお使えしている由利松家の長男・モトキ(田中圭)とその客船に乗り込む。目的は同乗している花房家の長女・センリ(満島ひかり)とモトキのお見合い。そしてセンリにはミカゲ(市川実和子)というメイドがついていて…。

倉持 センリは見合いが嫌で、船上でミカゲと入れ替わるんです。

――それがあれこれややこしい物語の発端となっていくわけですね。

倉持 今回は前作以上に恋の鞘当てが真ん中に来ると思います。すごく複雑でいくつもの恋の線がいっぱいあるので、どことどこがくっつくんだろうっていう楽しみがあります。あとは主従関係もひとつのテーマ。船内ではいくつもの主従関係が構成されていて、特に女性陣は入れ替わることで見えてくる主人の言い分や使用人の苦労とかもあって…。上の者・下の者、使うほう・使われるほう。お互いにお互いを知ることで人間として学んで成長していって終わる、というところには持って行きたい。

――センリを一人前のメイドにしようと指導する鎌塚。このふたりの関係も見どころですね。

三宅 そこもまた…彼は必要以上に思い込むばかりにうまく振る舞えないんでしょうね(笑)。惚れっぽいのに意固地。やっぱり頭、悪いんですよ(笑)。ただ今回は仕える主人が若いというところも含め、このキャスト、この人間関係、いろんな混乱の中で必然的に生まれてくる鎌塚像があると思うので、また前回とは少し違う彼の部分が出てくるのかな、と思っています。あまり「鎌塚は意固地だからこう」などと決めつけずにいたい。稽古の段階で新しいモノもいろいろできていくと思うので、そこが楽しみです。結果、さらに意固地な男になるのか(笑)、意外にふにゃっとしちゃうのか。今はまだちょっとわかりませんけど、とにかく自分は真面目にやるだけ、というか。

 

倉持 本番中に笑い声が聞こえなければそれは失敗なわけで…結果がしっかり出てしまうのがコメディ。創っていくのは楽しくもあり苦しくもあり過酷な挑戦ではあるんですけど、それだけにやりがいもある。僕が創るコメディはホントに真面目にやってもらえればいいんです。登場人物たちが真剣になればなるほど面白いっていう創りですし。今回もたくさんの恋物語を通じて笑いが生まれればいいですね。

――ラブコメの王道を行く。

倉持 好きなんですよ、ラブコメ。たぶんみんな好きですよね。なんだろう…あだち充とか。

三宅 ああーっ!そうか、そうですね。好きです。

倉持 『めぞん一刻』やウッディ・アレンの映画なんかも好きですし。ほら、恋愛モノって「この人がこの人を好きらしい」という情報を先に与えておくことで、もうなにを話してても面白いっていうのがあるでしょ?

――コトバひとつ、観るほうが勝手にわかったり、誤解したり、深読みしたり。

倉持 そういう効果もうまく使いながら、ラブコメのエッセンスを大事に入れていきたい。

――前回に引き続き堂田タヅル役の広岡由里子さん、宇佐スミキチ役の玉置孝匡さんが出演されるところにもシリーズ感があっていいですね。

倉持 ふたりはより悪役になると思います。あのー、シェイクスピアによく出てくるちょっとした道化というか、悪巧みばっかりしているような人。「へへへ、こいつらまんまと…」みたいなモノローグばっかり喋ってるヤツら、いますよね。

三宅 アハハハ

倉持 ふたりはそういう感じでいいかな、と(笑)。

 

――なるほど(笑)。恐らく現代の日本でありながらも華族制度があり執事がいるという世界観。大人の童話、という匂いも感じます。

倉持 ファンタジーの感触。もちろんそこも前回からちゃんと受け継いでいきたい要素です。鎌塚氏に関しては、毎年っていう必要はないだろうけど、僕はこの先…少なくとも3作目はやりたいと思っているし、盛り上がっていってくれたらいいな。

三宅 いいですよね。僕はもうとにかくすべてが楽しみです。あの執事の格好をするとやっぱり背筋がスッと伸びますし、共演者のみなさんとの出会いも待ち遠しいし、もちろん脚本も演出も楽しみ。いやぁ、早く稽古したいです。

――あとはなにを“すくい上げる”か、ですね。

三宅 はい、そうですね。それにしても前回もだけど今回もタイトルがステキですよね。

倉持 僕自身、続編って初めて。前回観ていないお客さんも楽しめる話には絶対するんですけど、一方で前回観てくれたから面白がれるってところも是非入れていきたいし、そのへんの塩梅もこれから書きながら固めていきたいですね。同じ主人公で違う物語ってどうなるんだろう、どういうつくり方をしていこうかと自分でも楽しみです。そして何をすくい上げるかは…書きながら一番ふさわしいものを見つけ、すくいあげられたらいいな。おしゃれに、ね(笑)。

〔取材・文/横澤由香〕
〔インタビュー写真/坂野則幸〕


公演概要

M&Oplaysプロデュース『鎌塚氏、すくい上げる』

<公演日・会場>
東京公演 8/9(木)〜8/26(日) 本多劇場
愛知公演 8/29(水)〜8/30(木) 名鉄ホール
大阪公演 9/1(土)〜9/2(日) サンケイホールブリーゼ
島根公演 9/4(火) 島根県民会館 大ホール

<キャスト&スタッフ>
作・演出:倉持裕
出演:三宅弘城/満島ひかり/田中圭/市川実和子/広岡由里子/玉置孝匡/今野浩喜(キングオブコメディ)/六角精児


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2012-05-31 15:00 この記事だけ表示