騒音歌舞伎(ロックミュージカル)「ボクの四谷怪談」佐藤隆太にインタビュー!

「僕のルーツである舞台で、新たな一面をお見せします」─佐藤隆太

 挑戦し続ける演出家・蜷川幸雄が見出した「幻の戯曲」。それが作家・橋本治が東大在学中に書いた騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』だ。鈴木慶一の音楽のもと、若き実力派からベテランまで総勢25名の俳優が挑む演劇的冒険。冒険の先陣を切る民谷伊右衛門役を演じ、デビュー以来の音楽劇への挑戦となる佐藤隆太にその心境を聞いた。

佐藤隆太さんからメッセージ動画が到着!詳細はこちら!

初蜷川演出を受けて自分の原点に向き合う

――久々の舞台というだけでなく大学在学中の1999年、宮本亜門演出のオリジナル・ミュージカル『BOYS TIME』でデビューされた佐藤さんにとって、それ以降初のミュージカルです。

 その事実を知っている方のほうが、今はもう少ないかもしれませんね。映像の現場でも、デビュー作がミュージカルだと言うと驚かれます。(笑)

 

――テレビドラマで佐藤さんを見た蜷川さんから「一緒にやってみたい」というオファーがあり、初の蜷川作品出演につながったとか。

 ものスゴく光栄に思う反面、蜷川さんが人違いをされたのではないか、という可能性もある気がしていて……佐藤という苗字は多いじゃないですか(笑)。初の蜷川作品≠ニ改めて聞くと、俳優にとって重い言葉だなと思います。どんな作品のときも舞台には独特の緊張感があり、それが身体にも心にもガツン≠ニ響く。舞台はやはり自分のルーツですから、今は新たな挑戦を前にしたワクワクとコワさ、両極端な気持ちを毎日行ったり来たりしている感覚です。

――ルーツである舞台に向き合うことは、特別なんですね。

 はい、生意気かも知れませんが、僕は映画への憧れからこの世界を目指したので舞台に関してはデビュー当時、意識どころか知識もほとんどない状態。でも亜門さんや共演者の皆さんは、足を引っ張るだけの僕に根気良くつきあってくださったうえ、全身で思い切り表現する舞台ならではの演技の魅力をたっぷり教えてくださいました。あの時に僕は、本当の意味での芝居の楽しさを知ったんだと思う。いまだに歌や踊りが得意というわけではないけれど(笑)、あの体験があったから今も僕は俳優を続けられている。そんな自分と向き合う意味でも、舞台はやはり特別な場所だと思っています。

――蜷川作品経験者から、体験談を聞いたりされたのですか?

 詳しく話す機会は今のところありませんが、チラッと聞く限りでは皆さん『大丈夫、ダイジョーブだよ』としか言わないんです、しかもニヤリと笑いながら。かえってドキドキが増しますよ、『まずはやってみろ』ということだと思いますが。

デビュー当時の跳躍を取り戻す絶好の機会!!

――戯曲や伊右衛門役について、どんなイメージをお持ちですか。

 この作品は70年代という随分以前に書かれたもので、時代や場所も江戸と当時の東京がクロスオーバーしている不思議な設定なんです。でも、読み進めていくと自分の役だけでなく、登場人物たちそれぞれにシンパシーのようなものを感じるし、心動かされるところがたくさんある。複雑であると同時に普遍的な作品なので、僕らがちゃんとつくり、伝えれば、今のお客様にしっかり響く作品だと思います。

 

――青春群像劇にふさわしく小出恵介さん、勝地涼さんら若手俳優陣も魅力的です。アニキとして場を牽引すべき立場なのでは?

 いやいや、年齢は僕が上ですが恵介君も勝地君も蜷川作品では先輩。導いてもらうところは導いてもらい、同時に自分のやるべきことには集中するだけです。
 どこか虚無的な伊右衛門は、蜷川さんの演出を受けて演じることも含め、僕の新たな一面をお見せできるチャンスの役じゃないか、と。今、このタイミングでこの役、この作品に出会えたことを本当に幸せに感じます。

――俳優として、さらなる一歩を踏み出す舞台になりそうですね。

 既に自分のなかでは色々な想いが渦巻いている感じです。初めての出会いや経験への期待と不安、蜷川さんに求められることに応えたいという欲望……この舞台は、それらの想いをエネルギーに変えて思い切り出せる作品だと思う。きっと稽古中にはコテンパンにやられ、ヘコみまくる瞬間もあるはずです。そんな自分の至らなさに直面することすら、楽しんでしまいたいと思っているんです。デビュー当時の僕は、方向や目的なんか考えもせず、衝動のままに飛び跳ね続けるミョーな生き物だった(笑)。それが最近らしくもなく、ヘンに落ち着きかけていたんじゃないかな、と。この舞台を通してあの跳躍力、無鉄砲な跳ね具合を取り戻したいです!

〔取材・文/尾上そら〕
〔インタビュー写真/織井隆志〕

★この記事は、読売新聞広告特集(2012年6月26日夕刊)の掲載記事を再編集したものです。

■佐藤隆太(さとう りゅうた)プロフィール
1980年、東京都生まれ。99年に舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。以降、「木更津キャッツアイ」「海猿」「ROOKIES」など数多くのドラマ、映画で活躍。
今後は7/13(金)公開の映画「BRAVE HEARTS 海猿」をはじめ3本の映画出演作が控える。

公演情報

脚本・橋本治×演出・蜷川幸雄×音楽・鈴木慶一
ロックのビートにのせて若手実力派が激突!!

 時は1970年代にして江戸時代。長髪&Tシャツ&Gパン姿の民谷伊右衛門は、お岩という病身の妻がいるが、いまだ職もなく…。文壇の鬼才・橋本治が学生時代に書いた未発表戯曲を蜷川幸雄が奇跡の発掘!!鶴屋南北の「四谷怪談」をベースにしつつ、時代に抗う若者たちの閉塞感や苛立ちが渦巻く青春群像劇を、鈴木慶一のオリジナルロックナンバーにのせて描き出す。
 物語の中心となる7人の若者たちは、伊右衛門を蜷川作品初参加の佐藤隆太が演じるほか、小出恵介、勝地涼、栗山千明ら若手実力派が集結。麻実れい、勝村政信らが舞台の屋台骨を支える。今までにない刺激的な「四谷怪談」の誕生にご期待を!

騒音歌舞伎(ロックミュージカル)「ボクの四谷怪談」

<公演日程・会場>
東京公演 9/17(月・祝)〜10/14(日) Bunkamura シアターコクーン
大阪公演 10/19(金)〜10/22(月) 森ノ宮ピロティホール

<キャスト&スタッフ>
脚本・作詞:橋本治
演出:蜷川幸雄
音楽:鈴木慶一
出演:佐藤隆太、小出恵介、勝地涼、栗山千明、三浦涼介、谷村美月、尾上松也、
麻実れい、勝村政信、瑳川哲朗、青山達三、梅沢昌代、市川夏江、
大石継太、明星真由美、峯村リエ、新谷真弓、清家栄一、塚本幸男、新川將人 ほか


2012-07-09 12:01 この記事だけ表示