2012 GACKT × CLAMP MOON SAGA 義経秘伝 観劇レポート![観劇レポート]

音楽に映画にTVドラマにと、マルチに活躍するアーティストのGACKT。10年近く構想を練っていたという、二度目の舞台作品『MOON SAGA-義経 秘伝-』では、脚本や主演だけでなく、初めて演出にも挑戦している。
普段演劇を見慣れている者にとって、舞台でキャリアを積んでいないクリエイターが演出した作品は、ほとんどの場合「?」となることが多いので、観る前はかなり不安だったのが正直なところ。しかしこれがどうして、初演出作品とは思えないほど練りこまれた、骨太のエンターテインメントになっていた。


見所をレポート!

舞台は、物ノ怪と人間の間に生まれ、怪力や読心術などの特殊能力を操る「者ノ不(もののふ)」たちが人の世を支配する世界。者ノ不として生まれた源義経(GACKT)は、その能力を封印し、木曽義仲(前川泰之)を始めとする友人たちや、自分に寄り添う物ノ怪「陰(かげ)」(早乙女太一)などと、平穏に暮らすことを望んでいた。しかし、国を牛耳る平家一族の滅亡を目論む義経の兄・頼朝の謀略によって、義経と義仲は否応なく、大きな戦いの渦に巻き込まれていく……。

とにかく見どころなのが、様々な超能力や物ノ怪とのバトルを、バックの映像と絡めてリアルに見せるシーンの数々だ。火を吹いたり"気"を集めるなど、映画のCGでないと不可能と思われる描写が、あざやかにビジュアル化されていく。特に「陰」の戦闘シーンは、あまりの迫力と美しさに、暗転直後に客席から大きな拍手が起こったほどだ。映像以外にも、サーカス芸のエアリアル・シルクや、特撮のワイヤーワークなど、ジャンルを超えた様々な技法が登場。おそらくはGACKTが演劇の固定概念に縛られていないがゆえに、逆に「面白い」と思うものを素直に生かしていった結果、他の演劇作品では見たことがないような世界が可能になったのだろう。

また実在の源義経伝説をベースにした物語も、男の友情やロマンス、政治的策略などの様々な要素を込めつつ、すべてを破綻なくまとめているのが驚き。シリアスに話が進むかと思えば、客いじりの笑いが入ったりと緩急が効いていて、最後まで観客を飽きさせない。クールなイメージが根強いGACKTまでもが、ご当地ネタで笑いを取るという、意外な一幕も見られた。そしてカーテンコールの後には、観客に深い余韻を残すある仕掛けが残されているので、すぐには席を立たないように!
公演公式サイトのトップには「日本の舞台史を覆す、新たなる伝説が俺達から始まる!」というキャッチが掲げられているが、この言葉がただの大風呂敷ではないと思えた『MOON SAGA-義経 秘伝-』。どうやら物語は、今回の舞台だけでは終わらないことになりそうなので、伝説を余すところなく最後まで見届けるためにも、今のうちにその世界に立ち会ってほしい。演劇ファンはGACKTのイメージが、そしてGACKTマニアは演劇のイメージがガラリと変わる、貴重な体験ができるはずだ。


〔取材・文/吉永美和子〕

公演概要

2012 GACKT × CLAMP MOON SAGA 義経秘伝

<公演日程・会場>
2012/9/26(水)〜10/2(火) 東京国際フォーラム ホールC (東京都)

<キャスト&スタッフ>
主演・劇作・脚本・演出:GACKT
原作:CLAMP
出演:大和悠河/早乙女太一、前川泰之、高橋努、他




2012-08-28 10:14 この記事だけ表示
 
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