アミューズ若手俳優が挑む青春群像劇『見上げればあの日と同じ空』出演の、平間壮一&戸谷公人に直撃インタビュー![インタビュー]

『BLACK PEARL』『BLACK&WHITE』『冒険絵本PINOCCHIO-ピノキオ-』『JEWELRY HOTEL』などなど、数々の舞台を創り上げて来たアミューズの若手俳優チームの最新作『見上げればあの日と同じ空』は、太平洋戦争時代に生きた若者たちの青春の輝きを描く群像劇。これまでシチュエーションコメディやダンスを盛り込んだ作品などエンターテインメント性の高い作風が特徴だった彼らが挑む、メッセージ性のある人間ドラマとは──。新たな挑戦を前に、メインキャストを演じる平間壮一と戸谷公人にその高まる思いと意気込みを聞いた。


意気込みを聞いた!

――これまでわくわくと楽しめる作品を送り出して来たみなさんの最新作が戦時中を舞台にした作品ということで、少し驚きました。

平間 そうですよね。でも、みんなともよく話してたんですけど、実はこういう作風の舞台をずっとやりたかったんです。特に僕はもともとお笑いとか全然見たことがなくて、最初はコメディの間みたいなものもまったくわからなかったし、漠然とですが“お芝居”といえばシリアスで真剣な物語って思っていたから…うん、ホントに「こういう作品を人前でやってみたかったんだ」という思いが叶ったな、という気持ちですね。

戸谷 たぶん、人を笑わせる楽しいお芝居のほうが、泣かせるモノよりも難しいとは思うんです。でも泣かせるシリアスなお芝居にしても、ステレオタイプな話じゃなく、ちゃんと説得力を持たせてさらにメッセージ性も含まれているものが本物というか…。この作品はそういう部分がしっかりあると思いますし、今の時代だからこそ俺たち若い奴らが若い世代に向けて伝えられる、精一杯の作品になったらいいんじゃないかなと感じています。

――みなさんが演じるのは、陸上に青春のすべてを捧げている駅伝選手の大学生。ところが夢に向かって日々励んでいるときに戦争が激化していって…。

平間  僕らも戦争に行かなくてはいけなくなる。

――時代によって、唯一の夢が奪われるわけですね。しかもそれが生死と向き合っていくこと。

平間 このタイトルはおそらく…僕の役が見ている気持ちですね。

戸谷 僕らふたり、ライバルの役なんですよ。そうちゃんはエースで、二番手の俺といつも競っている関係。しかも同じ女性を好きになって…。

平間 でも状況が一変し、やがて激動の地で再会し、それぞれの夢を持った仲間たちとの絆だったり、葛藤だったり、別れだったり…。

――戦地に赴く、ということですね?

戸谷 そうです。残されたものに想いを託していく。「お前は夢を諦めるな。俺たちが先に行くから」って。あー、せつないなぁ…。

平間 せつないよぉ。自分もこうして夢を追って毎日仕事をしているので彼らの想いはすごくわかりますし、頑張ってやってきたものを無理矢理奪われる気持ちって…ちょっと想像つかないですよね。この舞台のお話を頂いたときはやっぱり考えました。自分だったらどうするんだろう、そのときなにができるんだろうって。

戸谷 俺はどうやったら行かなくて済むかを考えた。というか、そう考えることがもう時代の違いなんだろうなって。昔は行く・行かないの選択すらなかっただろうし。

平間 「お国のためだから」と行く本人と、「万歳」と送り出す親。

戸谷 でも、もしかしたらかつての日本人はものすごくピュアな精神を持っていて、本当に純粋に国のために尽くすし、大切な人を守るためには…という人たちだったんだろうね。

平間 口では「万歳」って言ってて、でも同時に涙を流している。その涙の理由は口にはしないけど…という感情表現ですよね。それって本当にその人たちにしかわからないリアル。でもその心情を少しでも表現できたら、とは思いますね。

戸谷 じゃあどうすればいいのか。それはもう…がむしゃらさしかないのかもな。“芝居”じゃなくて、本当に内から出てくるがむしゃらな思いを全員が舞台の上に投げ出してひとつになれたら、それが“正解”というか。理屈じゃなく、上手い下手でもなく、全部出し切れるか。やっぱり僕らは今までそこの切り口の表現はやらずに来てたところがあったと思うんですよ。なんていうか…もっと楽しませるとか、気持ちを盛り上げるとかいうところに重点を置いて舞台を創ってきたので、よく観に来てくれているお客さんも今回はちょっとびっくりする部分があると思うよね。「うわっ、そうちゃんが鼻水たらして泣いてる!」みたいな。

平間 でも確かにそう。キミトが言うようにがむしゃらにぶつかっていくことが大事な作品だと僕も思う。  

――キレイに見せていく舞台では、ない。

平間 ですね。それこそ舞台上で声枯らしちゃったっていいなっていうか。それで想いが伝われば。

戸谷 そうそう。より人間らしいお芝居をしたいです。

――平間さんは“座長”となりますね。

平間 改めて引き締まる思いですし、内容的にもすごく周りの人たちに助けられるんじゃないかなって今は思っていて…。

戸谷 そこは任せて! 俺も経験あるからわかるけど、やっぱり周りの支えがあってこその主演だし、俺たちでしっかりそうちゃんを担ぎ上げられたらなぁって思ってるから。

平間 以前演出の及川(拓郎)さんに「いい役者っていうのは引くところもわかってるんだよね」と言われたことがあって。自分が出過ぎないで“ここはあの人を立たせるんだ”っていうバランス感が上手く行ったときに「いい役者だね」「すごくいい舞台だよね」ってなるんだよ、と。主演ってなるとそれだけで最初はお客さんも黙ってても僕を目で追ってくれるところはあると思うし、やっぱりそこで「コイツやりよるな」とも思ってもらいたい。そのためにはちゃんとバランスを取って、あんまり自分が背負い過ぎず、それこそ全員が「俺がメインだ」って思えるくらいの気持ちで創り上げられたらいいですよね。

戸谷 そうだよね。一番手もできるし、二番手、三番手、アンサンブルもできるぞっていうのが役者としての本物だと思うので…僕らそれぞれが、それぞれの役割を果たしていきたいです。

――そういう点ではすでにしっかりとしたチームワークの基盤ができているのが、みなさんの大きな強みになりますね。

平間 そこはもうバッチリ。特にキミトはライバルというよりもふたりで刺激し合える関係。お互いに「俺はこのほうがいいと思うよ」みたいな話をいつもしていて…もう、泊まり込みとかで(笑)。気を遣わずに思ったことをパッと言える関係なのですごく信頼してます。

戸谷 俺もそうちゃんを信頼してる。嫌味なく正直に話せるし、まぁ…愚痴も含めてね(笑)。舞台はとにかくチームワークですから、そこもしっかり築きつつ、、土屋(裕一)さんや久ヶ沢(徹)さんを僕らでしっかりお迎えしたいと思ってます。

――頼もしい! それでは改めて作品に向けての意気込みをお聞かせください。

平間 まずは及川さんと脚本の小峯裕之さんを信じ、カンパニーを信じ、自分たちのパワーもしっかり出していけたらなぁと。今回僕自身がテーマにしたいなと思っているのは「ホントに熱くなれるものが今の自分にはあるのか」ということで、観てくださる方にはぜひそこを再確認してもらいたいというか。

戸谷 実際俺も先輩の役者さんによく言われるんです。「公人たちがちゃんと次の世代に伝えていかなきゃいけないこと、いっぱいあるぞ」って。大きな意味で本物が少なくなっちゃってるんですよね。今の時代だからこそ足りなくなってるものって絶対にあって、だからこそこういう作風の舞台の作品に挑むことで、昔の人たちがやって来たことを薄れさせない、若い人たちが若い人に伝えるなにかを…微力だとは思いますが、自分たちの気持ちから出して伝えていきたいんです。

平間 大げさなことでなくてもいいんだよね。親や大切な人が近くにいてくれるのは当たり前のことじゃなくてすごく幸せなことなんだ、とか、自分の近くにこんなに熱くなれるものがあったんだっていう発見とか、身近なところ、身近な思い、そのひとつひとつこそが大事なんだって思ってもらえたら。

――目指すところが明確に見えていますね。

戸谷 なにより恐らくまず僕ら自身が試されているんだと思うんですよ。こうういう舞台創りができるんだ、というところをね。そこはちゃんと作品で見せつけたいし、この作品が僕らがまた次のステップへと進める大きなポイントになると思う。この先へと繋がっていく挑みがいのある舞台。稽古に入るのがホントに楽しみです。

平間 これが僕らがやってみたかった舞台。本番に向け、毎日をもっと熱く、もっと濃く。力一杯生きなくちゃなって、今、改めて思っています。

[取材・文=横澤 由香]
[インタビュー写真=坂野 則幸]
[スタイリスト=吉本知嗣]

公演概要

『見上げればあの日と同じ空』

<公演日程・会場>
2013/4/4(木)〜4/15(月) 紀伊國屋ホール (東京都)

<キャスト&スタッフ>
脚本:小峯裕之
演出:及川拓郎
出演:平間壮一、戸谷公人、松島庄汰、吉村卓也、伊藤直人、向野章太郎、小松彩夏/土屋裕一(pnish)、久ヶ沢 徹


2013-03-01 21:12 この記事だけ表示