佐野大樹、佐藤永典、上鶴徹が語るWBB VOL.4『川崎ガリバー』の魅力とは?[インタビュー]


(左より)上鶴徹、佐藤永典、佐野大樹

俳優の佐野瑞樹&佐野大樹兄弟による演劇ユニット〔WBB〕(WATER BIG BROTHERS)の第4回公演『川崎ガリバー』は、江戸時代を舞台にくりひろげられるタイムスリップストーリー。「誰もが楽しめるオリジナルのシチュエーションコメディーを」という思いを込めて活発にユニット活動を続ける佐野大樹と、彼の声かけで集まったキャストを代表して主人公・川崎明役の佐藤永典&江戸時代の武士・チュウヤ役の上鶴徹が集合。本作にかける意気込みや作品の魅力を語り合った。


意気込みを聞いた!

──今回は演出がお兄さんの瑞樹さん、脚本が弟の大樹さんということですが、本作のアイデアはどのあたりから?
佐野 もともと僕ら兄弟はアメコミの影響なんかが大きくて、例えば『アイアンマン』とか『グリーンホーネット』とか、ああいう世界観が大好きなんです。エンターテインメント性の高い作品がね。まぁ…これ言っちゃうとベタ過ぎちゃうからホントは嫌なんですけど(笑)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかね、もう、素晴らしいでしょ。すべてが1時間半ちょっととかでカンペキに収まっているような世界。そんな肌触りの作品が目標なので、おのずとちょっと奇想天外なストーリーっていうモノが生まれてきちゃいますね。

──“タイムトラベル事件”の張本人、主人公のアキラはわりと高飛車な今どきの青年ですね。
佐野 勢いがあってバカな主人公っていうのが書きたかったんです。書いている最中はやっぱり「ちょっとコレ俺だな」っていうのがあるんだけど、ホントに俺がやったら気持ち悪いでしょ。自分でホン書いて主演して兄貴が演出とか、「気持ち悪いぞ、この兄弟」って(笑)。さとちゃん(佐藤さん)とは以前から親交があっていつかWBBでも一緒にやりたいなって思ってたので、じゃあこのアキラ役は是非さとちゃんに、と思ってお願いしました。

佐藤 僕も大樹さんに声をかけてもらってうれしかったですね。台本をもらって自分なりの役のイメージがあったので、最初の本読みのときにけっこう生意気っぽくやってみたら、瑞樹さんに「あ、そういうのもいいね」って言ってもらえて。稽古始まって10日間くらいなんですが、楽しいですよ。楽しいし、今まだ悩んでるところもあるし、という感じで。

──上鶴さんはチュウヤ役。江戸時代の武士です。
上鶴  時代劇的なお仕事はまだあんまり経験していないので、一応稽古に入る前にいろいろ調べたりもしたんですけど、映画『十三人の刺客』が結構参考になりましたね。猛々しさにグッと来て、役者もベテランから若手までズラッと出ているのでいっぺんにいろんなスタイルが見れるというか。とりあえず一日に三回観たんですけど、そんなのもうまく生かせればと思ってます。
佐野  さとちゃんが現代側のリーダー、上鶴くんが江戸時代側のリーダーみたいな感じで、同年代同士でかけあいしたりバチバチできたらいいなってところからの配役なんですけど、聞いたらふたりはホントに23歳で同い年なんですよ。性格はまったく違うんだけどね。同じなのは…芝居バカっていうところ。
佐藤・上鶴 (笑)
佐野 でしょ? 自分的に「ここは」っていうところの信念があって稽古をしているところは似てるよね。

──ではそれぞれ自分の役に対して「ここは」と思っている部分というと…。

上鶴 言葉遣いや立居振舞いひとつとってもやっぱり昔の人と今の人って違うんだな、というところとか。同じ日本人でも時代が変わるとこう違うのかっていうのを「見てわかる」「聞いてわかる」ようにしたいんです。それってお客さんにとっても刺激になると思うし、作品の面白どころとしても、今の人たちと過去の人たちの微妙な差やズレから笑いや発見がたくさんあるので。
佐藤 僕は江戸時代に行ってもコイツ全然変わらないじゃんっていう、現代人の精神みたいなところですかね。僕の現代的な振る舞いによってみんなが驚いたり同調したり結託したりと、どんどん振り回されていくので。そこの間やテンポがしっかりハマったら、やってても気持ちいいだろうなぁって思うし。僕らが気持ちよく楽しく演じることで、お客さんもどんどん作品の世界に入ってきてくれるんじゃないかと。
佐野 ほら。なんでしょうねぇ。末恐ろしいですよね、今の若者(笑)。自分が23歳位のときなんてまだまだ全然なんにもできないし、右も左もわからなかったですからね。でも彼らに限らず、最近は「なんでこの年でここまでできるの!?」っていう若手が多いので、やっててこっちもすごく勉強になるんですよ。「わ、今のすげぇなぁ」とか「あ、それちょっと…パクろう」とか。

──大樹さんはタイムマシンを完成させた向井役で出演もされてます。アキラとコンビになって行動する場面も多いようですが。
佐野  そうですね。カンパニーのみんなから刺激をもらって、僕自身もちょっと今までにないようなアプローチの芝居をしようと兄貴とも相談してるんですけどね。ただもう向井は…説明台詞が多い! 一応歴史をまったく知らないおバカなアキラに説明するという形ではあるんですけど、自分で書いておきながら、大変大変(笑)。まあそこを通してお客さんにも多少ガイドになれば、と。



──では本作の演出家、瑞樹さんはいかがですか?
上鶴 やりやすいです。とっても。
佐藤 自由にやらせてくれるし、細かくも言ってくれる。
上鶴 まずはこっちの出方を丁寧に見てくれて、よきところでズレを修正してくれたり、僕らのアイデアを生かしてもくれますし。伝え方が上手だなって思いますね。
佐藤 また、お手本がすごく上手いんですよ。
上鶴 そうなんです。実際にやってみせてくれるんです。
佐野 本人、役者だからね。
佐藤 ほんと、見ていてすごいと思います。ただ…あのお手本を超えなきゃいけないんだって…。
上鶴 そうそう! そこは地味にプレッシャーですね。僕が出来なくても、僕がいなくても、この役、瑞樹さんがやっちゃうんじゃない!?って(笑)。
佐野 兄貴、俺には超怖いけどね。陰で「おまえダメ。全然ダメ。全然わかってない」とか言われてるから(笑)。…陰でね。
佐藤 でも瑞樹さん、天然なところもありますよね。よく稽古場の扉の押し引き間違えてますよ。「開かない!!」って。
上鶴 確かに天然の魅力もある。あと、結構ダンディ。瑞樹さん、オトナのフェロモン放ってます。
佐野 そうなんだ。まあ実際僕もアドバイスもらうことはちょくちょくあったものの、こうして役者と演出家としてがっつり兄貴と関わるのは初めてなんですけど、台本に対しても演技に対しても非常に信頼できる相手だなって、改めて感じてます。カンパニーのほかのみなさんもオトナだけど愛すべきバカ者たちという方ばかりで、すごく雰囲気もいいですし。素晴らしい先輩たちのパワーと若者からの突き上げの狭間で、僕ひとり稽古場でフワッフワしてますよ(笑)。

──芝居を好きな同士が飾らない気持ちで作品創りに集中している様子が浮かびます。では改めて本番への意気込みをお聞かせください。
上鶴  まずは円形劇場に立てる嬉しさ! そして円形で殺陣をやるということが楽しみで楽しみで。男の志を忘れず、武士として、体力の続く限り限界まで駆け抜けたいですね。僕は今年は武者修行の年だって決めてるんです。テーマは「若者もベテランに喰らいついていけるんだぞ」。新鮮さもわすれず、でも若いからって甘えたり許されたりしないでひとりの役者として対等に向かい合っていきたいな、と。そのためには台詞をちゃっちゃと覚えて、やるべきことをちゃっちゃと覚えて、自分の努力で詰められるところはガンガン詰めて、初日には千秋楽っていうくらいの仕上がりでいけたら。
佐野・佐藤 おおっ!
上鶴 単に、「出来ない!どうしよう!」みたいな緊張が大嫌いなだけなんですけどね。とにかく消化できることしっかり消化していって…そして、ベテランさんに褒められたい(笑)。褒められて伸びていきたいですね。

佐藤 (笑)。でも、なんかわかる。僕もなめられたくないし…って、結構なめられがちなんですけど(笑)。稽古はとにかくもう全力でっていう意外にないですね。個人的には上鶴くんとの絡みとか、なんか特別な気持ちでやってるんです。今まで等身大の役で同級生とガツッとお芝居するっていうのが実はほとんどなかったんで、今、すごく新鮮な気持ち。特別感の中、エンジョイしながら稽古してます。楽しいです。今回、ほぼみんなが出ずっぱりなんですけど、すごく面白くて楽しくて、しかも素敵な先輩方が必死になってやっている姿もめちゃめちゃ勉強になるし。その中で僕も大いに爆発力を発揮していきたい。とにかく「観て楽しい」アトラクションのような舞台。一度観たらきっとまた観たくなる、そういうシンプルな魅力のある作品です。だから…とにかく観てください。
佐野 自分自身、30半ばの今、いろんなことに挑戦している真っ只中です。この『川崎ガリバー』も作家として、役者として、そしてWBBカンパニーとして一個新しい挑戦が出来たんじゃないかなと思いますので、息をつかせぬ1時間半ちょっと、自信を持ってお届けしたいですね。とにかく空間も役者もギリッギリまで使い切ってますので、ちょっとしたギミックなんかも楽しんでもらいつつ、スポーツを観ているような感覚でスカッと楽しめる、エンターテインメントとしての舞台を楽しんでもらえたら嬉しいです。

[取材・文=横澤 由香]
[インタビュー写真=平田 貴章]

公演概要


WBB vol.4 『川崎ガリバー』

<公演日程・会場>
2013/4/20(土)〜4/28(日) 青山円形劇場 (東京都)

<キャスト&スタッフ>
演出:佐野瑞樹
作:佐野大樹
出演:佐野大樹/佐藤永典、上鶴 徹、根本正勝、安西慎太郎/
加藤 学、小野友広、千田聖也/
川本 成(時速246億)、河野まさと(劇団☆新感線)
<声の出演>佐野瑞樹





2013-04-12 16:09 この記事だけ表示