城田優がロミオとティボルトの二役に挑戦「ロミオ&ジュリエット」稽古場レポート![稽古場レポート]

 世界各国で500万人以上の観客を動員してきたフランス・ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」。2010年には宝塚歌劇星組により日本初演され、翌2011年には男女混合バージョンも上演されて人気を博した。9月からはその男女混合バージョンの再演が東京・東急シアターオーブと大阪・梅田芸術劇場メインホールにお目見えする。その稽古場を訪れた。


稽古場レポート!

 暑さの中、稽古が繰り返されていたのは第二幕冒頭。モンタギュー家のロミオとキャピュレット家のジュリエットは、両家が敵対しあう中、極秘に結婚式を挙げる。その結婚がヴェローナ中の人々の知るところとなり、皆はロミオを糾弾。両家の対立はますます激化し、ティボルトによるマーキューシオの殺害、ロミオによるティボルトの殺害へと進んでいくくだりだ。メインキャストはダブル、トリプルキャストが組まれているため、同じシーンであってもキャストを替えて繰り返し稽古が行なわれる。  2011年にロミオを演じ、圧倒的な存在感とピュアな人物造形で好評を博した城田優は、 このたびの上演ではロミオとティボルトの二役に挑戦。稽古場では、ロミオとして登場したかと思えば、瞬時にティボルトとして登場したりと、目まぐるしい大活躍。大柄な体躯にド金髪という風貌が目を引く。ロミオに扮しての登場では、ジュリエットを心から愛していると人々に切々と訴えかける「街に噂が」のナンバーがせつない。心に愛をたたえた信念の男といった風情で、街の人々が愛ではなく憎しみによって生きていることに対し、ロミオが抱く哀しみを感じさせる。対するティボルトは加藤和樹。ルックスと雰囲気が、“15の夏からあらゆる類いの女を抱いてきた”と歌うプレイボーイぶりに似合う。キャピュレット家の次期首領という空気を濃厚にただよわせた大人の男である。

 城田がティボルトに扮して登場すると、さきほどまでのロミオとしてのまっすぐな雰囲気はどこへやら、目に凄みが宿り、長身とあいまって恐ろしいほど。乱闘シーンも、本気で蹴ったり殴ったりしているとしか思えない迫力だ。モンタギュー家とキャピュレット家、互いへの憎しみに支配された街ヴェローナで、ひときわその憎しみを一身に背負わされて生きる男。それが、キャピュレット家を継ぐ身であり、いとこ同士であるためただ一人心から愛するジュリエットと結ばれることを生まれながらにして禁じられているティボルトの運命に思えてくる。スマホで撮影されたロミオとジュリエットの結婚式の写真を見て、いつか手に入るのではないかと心のどこかで期待していたジュリエット、すなわち“愛”という名の救いを決して手に入れられないと知った城田ティボルトが見せる絶望の表情に、心を打つものがある。本来、愛に振り向けるべきエネルギーが正しく愛に向かわず、憎しみひいては暴力に振り向けられている、そんな人間の背負った哀しみを感じずにはいられない。ロミオ、ティボルト、どちらのナンバーを歌っても、歌詞がきちんと意味を伴い粒だって聞こえる。城田のティボルトの演技によって、「ロミオ&ジュリエット」の物語に新たな光が当たることを期待したい。

 今回、ロミオ役はトリプルキャスト。古川雄大は、細身の長身にどことなくただよわせるキュートな気の弱さが女心をくすぐる甘いロミオ、柿澤勇人は折り目正しく賢い好青年のお坊ちゃんロミオという印象を受けた。二人ともそれぞれのロミオ像を稽古場において真摯に模索中だったが、城田ティボルトの強烈な存在感が作品を支配しかねないため、二人のロミオがどれだけ確固たる存在感と個性とを培っていけるかがキーポイントとなると思われる。

 ジェラール・プレスギュルヴィックによるこのミュージカル版では、オリジナルの設定として“死”のダンサーが登場する。2011年上演時にこの役を踊った中島周、大貫勇輔に加え、今回、Kバレエカンパニーのプリンシパル・ソリスト、宮尾俊太郎が登場することも注目を集めている。 端正ながら、ただよう空気のような踊りで、ときに不気味な雰囲気をも感じさせる中島。修行僧のような風貌で力強く舞う大貫には、確かな芯が一本通った、そびえ立つ大木のような存在感がある。 初参加の宮尾は、長い手足を大きくやわらかく生かした動きがエレガントで、場を支配する雰囲気あり。Kバレエでは、熊川哲也演出・振付の「ロミオとジュリエット」でロミオ役とパリス役を好演した経験もあり、きわめて贅沢なキャスティング。作品をよく知る彼が、ロミオやティボルトをはじめとする人々の内にひそむ暴力衝動が行きつく一つの象徴ともいえる“死”をいかに体現するのか、期待は高まる。

 決闘シーンを終え、「迫力があってすごくいいです。うまく芝居を入れてくれていて、タイミングもいい。思わず見入ってしまった」と、演出の小池修一郎。城田がすかさずマイクを持ち、「今ほめてもらったのに何ですが、俺はまだまだだと思う。 今日シアターオーブに行ってきたんですが、客席の一番後ろまで非常に遠い。今のままでは全然届かないと思う。みんなもっともっとやってください」と熱弁をふるい、稽古場から拍手が上がっていた。

[取材・文=藤本真由(舞台評論家)]


公演概要

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」

<公演日程・会場>
2013/9/3(火)〜10/5(土) 東急シアターオーブ (東京都)
2013/10/12(土)〜10/27(日) 梅田芸術劇場 メインホール (大阪府)

<キャスト&スタッフ>
城田優/古川雄大/柿澤勇人/フランク莉奈/清水くるみ/尾上松也(松竹)/平方元基/加藤和樹/東山光明(Honey L Days)/水田航生/岡田亮輔/加藤潤一/石川禅/安崎求/鈴木結加里/ひのあらた/中山昇/未来優希/涼風真世/中島周/大貫勇輔/宮尾俊太郎/他
※柿澤勇人・宮尾俊太郎は東京公演のみの出演となります
※出演者のスケジュールに変更がありました場合は何とぞご了承くださいませ。出演者変更の場合でも、他日への変更・払い戻しは致しかねます。
★ご注意★キャストは公演日時により異なります。公式サイトにて出演日時をご確認の上、お申込ください。公式サイトはこちら




2013-08-29 18:20 この記事だけ表示
 
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