開幕直前稽古場レポート!三島由紀夫×宮本亜門×柳楽優弥!舞台「金閣寺 -The Temple of The Golden Pavilion-」[稽古場レポート]

 2011年、KAAT神奈川芸術劇場のこけら落とし作品として上演され、同年夏、ニューヨークのリンカーン・センター・フェスティバルに正式招待された「金閣寺」。三島由紀夫の同名小説を原作に、宮本亜門が演出を手がけたこの作品が、2014年、新たなキャストを得て上演される。吃音ゆえ疎外感を抱えて生きる主人公溝口に柳楽優弥、障害を抱えながらも挑発的に生きる柏木に水橋研二、溝口の良き友鶴川に水田航生、溝口の初恋の相手有為子とお花の師匠の二役に市川由衣というキャスティングだ。3月下旬、その稽古場を訪れた。

稽古場レポート

  熱を入れた稽古が展開されていたのは、溝口と柏木の出会いの場面。溝口役の柳楽が実にいい。すぼめた背中、うつむいた顔、世界に向かって開かれていないその身体が、世界に向かって開かれていない人物の心を感じさせる。後ろ暗さを抱えた目つきや、どこかおびえた風の顔の動かし方も絶妙で、どもる様もまったくあざとさなく自然。自身がとらえた溝口というキャラクターを、自分の身体によく落とし込んでいる。その彼がどもりながら発した第一声に、ぱあっと何か発散されて心に響くものがあった。溝口の中にひそむ暗い生のエネルギーが確かに光る。柳楽は2012年、村上春樹原作、蜷川幸雄演出の「海辺のカフカ」で舞台初出演にして初主演を果たし、射抜くような目の印象も強い好演を見せた。その際、客席から見られている、そのまなざしのパワーをも内に取り込み、エネルギーに変えて客席に放出し返すところまでは、さすがに初舞台ゆえ、いっていないのかなと感じないでもなかった。しかしながら今回の稽古場では、衣装も化粧もない素の状態で至近距離から視線を浴びることすら積極的に受け入れて対峙していく強靭さを見せ、感服するものがあった。今回の舞台で舞台役者としてさらなる成長を遂げることだろう。

 溝口を挑発する柏木を演じる水橋に、演出の宮本が次々と投げかける疑問は実に細かく、柏木がこれまでどう生きてきたか、溝口についてどう思っているか、考え抜いた上で身体に落とし込んだ演技を要求していることが伝わってくる。「正しい答えがあるわけじゃない。君はどう思ってやってる?」との言葉も。足を引きずりながらも堂々と校庭を横切る柏木の演技を、演出家自らやってみせるシーンも。水橋に言葉をかける際には熱く大声で身振りも大きく、柳楽に言葉をかける際にはどこかひそめて小声でといった感じに、演出家の接し方も異なる。

  宮本と水橋が別室でディスカッションに入ると、稽古場ではすかさず自主稽古が始まった。溝口と鶴川とが言葉を交わすシーン。鶴川を演じる水田は、きらきらとした目も印象的にさわやかで、溝口と好対照を成す。   続いて、振付の小野寺修二が見守る中、お花の師匠(市川)を溝口が追いかけて歩くシークエンス。大駱駝艦のメンバーたちが、電子音に合わせ、机やベンチなどを激しく動かし、ときに踊りもまじえながら、二人の歩く道を形作ってゆく。迫力があり、タイミングが非常に重要な流れだ。「風を感じて動いて」と小野寺が言葉をかけると、次のトライでの柳楽の演技が見事に変わったのが印象的だった。


  [取材・文=藤本真由(舞台評論家)]


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公演概要

パルコ プロデュース 「金閣寺 -The Temple of The Golden Pavilion-」

<公演日程・会場>
2014/4/5(土)〜4/19(土) 赤坂ACTシアター (東京都)

<キャスト&スタッフ>
原作:三島由紀夫
演出:宮本亜門
脚色:セルジュ・ラモット
出演:柳楽優弥 水橋研二 水田航生 市川由衣
高橋長英 大西多摩恵 花王おさむ 山川冬樹 磯部勉
大駱駝艦(村松卓矢 湯山大一郎 若羽幸平 橋本まつり 小林優太 宮本正也)
岡田あがさ 天正彩

★アフタートークショー開催決定!
4/6(日) 13時30分公演終了後 宮本亜門×柳楽優弥
4/10(木) 13時30分公演終了後 柳楽優弥×水橋研ニ×水田航生
4/12(土) 13時30分公演終了後 宮本亜門×水田航生
4/17(木) 13時30分公演終了後 藤原道山(ゲスト)×水橋研ニ
公演当日の公演チケットを持ったお客様が対象です。
公演終了後、約5分の休憩をはさみ、アフタートークを行います。
ご観劇時と同じ座席でご覧ください。
※4/17(木)のトークショーはゲストに藤原道山さんをゲストに迎え「柏木が尺八を奏でるということ」をテーマにお贈りします。

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2014-04-02 14:16 この記事だけ表示
 
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