コクーン歌舞伎第十四弾『三人吉三』世間からはじき出された人たち 未知数の稽古場は「混ぜるな危険」[インタビュー]

コクーン歌舞伎でかつて二度上演されいずれも大評判だった『三人吉三』(串田和美演出)が、フレッシュなキャストで装いも新たに帰ってきた!
同じ吉三という名を持つ三人の盗賊、和尚吉三、お嬢吉三、お坊吉三が降りしきる雪の中で最期を遂げる感動のラストまで、今度はどんな人間模様が奏でられるのか。それぞれを演じる中村勘九郎、中村七之助、尾上松也に語ってもらった。

中村勘九郎/中村七之助/尾上松也 インタビュー

ーーどんな舞台になるのでしょうか。
勘九郎 つい最近知ったのですが、歌舞伎の黒御簾音楽は使わないようです。(コクーン歌舞伎前作の)『天日坊』の時に黒御簾音楽ではなくギターソロでやるというのを経験しましたが、それとはまた違って今度はどうなるのか。
そのわくわく感の中で未知のものと闘う感じです。
七之助 (作者である河竹)黙阿弥の七五調の台詞って、(黒御簾音楽と一体になった台詞の)メロディーが身体に染みついていますから、僕たち歌舞伎役者にとってそれはものすごく難しいこと。たいへんだと思います。
松也 黙阿弥らしさと普段は歌舞伎で使わない斬新な音との融合。
バランスよく調和するところを探り出すのは、本当にたいへんな作業になるでしょうね。
勘九郎 ラストでは1回目の時は石野卓球さんの打ち込みの音楽、2回目は椎名林檎さんの子守歌を使ってそれぞれに素晴らしかった。
その音楽のチョイスは串田監督が必死になって探していらっしゃると思うのでとても楽しみです。

ーー名場面として知られる「大川端庚申塚の場」。ここで三人は出会い、義兄弟の契りを結ぶのですね。
七之助 三人とも孤独だった、ということなんだと思います。お嬢吉三のことって物語としてはあまり描かれてはいなんですが、せりふから推測できることがたくさんあります。要するにお嬢はお坊吉三、和尚吉三と出会ったことで救われたんだと思います。
松也 三人の中で(旗本の息子である)お坊吉は悪に落ちる可能性の低かった人物。事情があって落ちぶれるわけだけど、やっぱりどこかにプライドは残っている。そのはざまで葛藤しているイメージがあります。寂しくて人間としては非常にもろい。だからふたりと出会った時に共通点を感じ取ったんだと思います。
勘九郎 要するにビビビと来たんでしょうね。和尚にしても、お嬢とお坊が斬り合っているところに出くわした瞬間にそれを感じた。だから争いを止めた。
松也 お嬢と斬り合っているのも本気で殺そうとしていたかどうかというのも……。
七之助 そう!確かにそうなんです。本当は殺したくない。

ーー演出の串田和美さんは「世間からはじき出された人たちの物語を作りたい」と話されていますが、若い三人だけに等身大に響きそうですね。
勘九郎 そうありたいですね。それからこれは“親たちに捧げる子どもたちの物語”でもあると思うんです。父親のために自分はこうなってしまった……。
だけどやっぱりお父さん大好きだよ、という。それが若い僕たちがやることで、より感じてもらえるのでは、と思うんです。とにかく気心の知れた三人ですから、稽古場ではガンガン意見を言い合ってやっていきたいですね。スタッフ、キャスト共にこれまでにないことになりそうですし、過去2回とは全然違ったものになると思います。
七之助 三人でひとつのものを創りあげなければというプレッシャーはあります。古典の『三人吉三』があってそこから新たに生まれたコクーンの『三人吉三』があり、そのふたつが僕たちにのしかかってくるわけですから。稽古場はそれこそ「混ぜるな危険」になるかもしれないけれど、僕たちがやれることをやっていろんな要素がパッと合わさった時にすごいものができたら、と思います。
松也 それぞれの現場で自分が何を感じ、何を出せるかを大切にやっていきたいと思います。一観客としてずっと観て来たコクーン歌舞伎、世代が代わってこのふたりが『三人吉三』やる時が来たら一緒にやれるような自分でありたい、と実はずっと思っていました。ですから感慨もひとしおです。だからこそ、気を引き締めて切磋琢磨していきたいと思います。

  [取材・文=清水 まり]


公演概要

コクーン歌舞伎 第十四弾「三人吉三」

<公演日程・会場>
2014/6/6(金)〜28(土) Bunkamura シアターコクーン(東京都)

<キャスト&スタッフ>
作:河竹黙阿弥
演出・美術:串田和美
出演:中村勘九郎/中村七之助/尾上松也 ほか



2014-04-09 18:34 この記事だけ表示
 
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