超ハイテンションな日本人コメディアン清水宏が世界最大と言われる芸術祭に挑戦! 異色の報告ライブについてきいた[インタビュー]

 イギリス・エジンバラで毎年夏に開催されているエジンバラ・フェスティバル・フリンジ。超ハイテンションな日本人コメディアン清水宏が、この世界最大と言われる芸術祭に毎年果敢にチャレンジしていることをご存知だろうか?そんな彼の1ヶ月にわたる奮闘を報告するのが、「清水宏のジャパニーズ・ドンキホーテ!!〜イギリス・コメディ・チャレンジ報告ライブ!〜」だ。現地で繰り広げられるリアルなエピソードと、エジンバラに初挑戦した2011年から毎年開催されている異色の報告ライブについて清水に話を聞いた。

インタビュー

――まずは、今回のライブのテーマにもなっている「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」について聞かせてください。
 エジンバラっていうのはスコットランドの首都なんですけど、そこで8月のひと月の間、街のあちこちで古本屋のフェスティバルとか音楽のフェスティバルとかいろいろなジャンルのフェスティバルがあって、とにかく人が集まるんです。このフェスティバルが始まった最初の頃は演劇が多かったんですけど、しばらくするとコンテンポラリーダンスとかが増えてきて、今一番参加者が多いジャンルがコメディ。しかも、マイク1本で喋るスタンドアップコメディといわれるジャンルに半分以上の人が参加してるんです。エントリー数が3300組だったかな?そこに僕は参加してます。

――清水さんは2011年から毎年参加しているということですが。
 エジンバラは長く続いているフェスティバルで、日本からも鈴木忠志さんなんかが招かれていたり、演劇畑の人には昔から知られてたんです。ただ、僕の場合は参加の仕方が変わってて、日本人は英語が得意じゃない民族と言われてるんですけど、それを逆手に取って、間違いだらけの英語で喋るっていうスタイルのコメディをやってるんです。これはかなりレアで、他にやってる人はまずいないんですよ。だから、そこは僕にとってもやりがいがありますね。

――なぜ英語ができないのに、そんなところへ飛び込んだんですか?
 僕のキャリアは小劇場からスタートしてるんですけど、その頃って現状をひっくり返していくことが求められてたんです。どこかに実在するような人物を演じても、「そんなのどっかで見たことあるよ! 見たことないものやれよ!」っていうダメ出しが席巻してた頃で。だから、僕はただ演劇をやりたかったんですけど、「まず、笑いとってよ」って言われて、身内の笑いを取れるまでに1年ぐらい苦しんだりして。今思うと「なんだったんだろう?」と思うんですけど(笑)、そういう経験を通して「何でもやれるんだ!」っていうエネルギーを身につけたんですよね。なので、今さらながら英語で喋るってことも「やってみたら出来るんじゃないか?」って。

――なるほど。
 あとは、昔から海外みたいな分かりやすい“アウェイ”で勝負してみたいっていう気持ちがあって。僕は多分、エネルギーが過剰にあると思うんですね。同僚たちの間でも「そこまでやるこたねえだろ…」っていう空気になることがままあって、「じゃあ、どこで俺は炸裂できるんだろう?」って考えた時に、昔観てたアメリカのコメディ映画みたいな世界で力を発揮できるんじゃないかという風に思って、それから20年ぐらい英語コメディについてぼやーっと考えてたんです。それで、40歳を過ぎてからかな? 英語でコメディをやるコミュニティーを見つけて、それがきっかけで「じゃあ、(エジンバラに)挑戦してみようか」って。

――そうだったんですね。今年のエジンバラはどんなことに挑戦するんですか?
 今回はショーを2つもやるんです、1時間のショーを1本やるだけでも毎年のたうち回ってるのに。エジンバラに行っても、泊まってるホテルのキッチンとかで毎日練習するんですよ。チラシも馬鹿みたいに配るし、それで“東洋から来たチラシ配りの鬼”みたいな言われ方したり。

――他にはそういうことをやるパフォーマーはいないんですか?
 最初はいなかったみたいですけど、僕に感化されたみたいで、近所で似たようなことをやる奴が増えて苦戦しました(笑)。でも、最初はお客さんがゼロだったんですよ。だけど、チラシ配ったり、他のショーに飛び入りしたり、そういうのが評判になってお客さんが来るようになると本当に面白いですね。

――でも、かなりキツそうですね。
 まず、自分一人で会場を借りるんですよ。スタッフも誰も連れて行かない。舞監もいないですから、自分で客集めて、客入れやって、椅子整理して、音楽かけて。いつもギリギリまで客入れてるから、ちゃんとスタンバイする時間もないんですよ。そういうやり方でひと月続けるんです。しかも、これは声を大にしていろんな人に伝えたいんですけど、めちゃくちゃ笑いとってます。自分が言わないと誰もわざわざ調べにきてくれないんで、これは太字で書いて欲しいですね(笑)。

――大変なこともたくさんあったと思うんですけど。
 酔っぱらってライブの邪魔をする客がいて、これをどう扱うかっていうのが永遠のテーマなんですよ。あまりにも腹が立って、「Shut up!(黙れ!)」って言って大事になったこともあったり。

――それはキツイですね。そんなエジンバラでの激闘を報告する恒例のライブを9月に開催するということですが、どういった内容になりそうですか?
 僕は“ドキュメンタリーコメディ”と呼んでるんですけど、僕が見てきたことや出会ってきた変わった人たちの話を……例えば、宣伝に入ったストリップクラブで酔っぱらいと大変なことがあったり、どうでもいいことも含めて山ほど信じられないことがあるんですよ。でも、そんな中になぜか必ず理解者が現れるんです。「俺はおまえのことを面白いと思っている」って。全然違う環境にいて、全然違う歴史と背景を持っていても共有できることがあるんだっていうエピソードも今回のライブに織り交ぜることになると思います。

――それはかなり興味深いですね。
 めちゃくちゃ笑って欲しいんですよ。その上で「見てよかったな」って思ってもらえるような何か、「元気になる」とか「むやみにヤル気がでる」とか、そういったものを提示したいですね。「こんなにめちゃくちゃな試合をやってるのに、こいつは生きて帰ってきてるんだ」「あんなに馬鹿なことやってもなんとかなるんだ」っていう風に観てもらいたいなって思ってます。



――“コメディライブ”とは謳ってますけど、そこだけに留まるものではないですね。
 そうです。みんな僕が経験したひどい目をそのまま実感したような感覚になるんで、「ヘトヘトに疲れる」ってよく言われます。

――それはグッと引き込まれてるってことですよね。
 前のめりにさせるようにしてますね、僕、嬉しかったのがね、英語コメディを一緒にやってる男がいるんですけど、以前そいつが報告ライブを見に来てくれた時に「ライブが終わって外に出たら、景色が変わって見えた」って言ってくれたんですよ。そう思ってくれる人がいるのはありがたいし、そういうことをやりたいと思ってます。

――では、最後にお誘いのメッセージをお願いします。
 ストレートに言います、来てください! 損はさせないって気持ちでやってます。趣味が合わないってことはあるかもしれないけど、退屈ってことはないと思います。退屈だったって言うヤツには個人的にお金返しますよ。ただ、「本当なんだろうな? どう退屈だったのか説得してくれ!」って言いますよ。要するに、認めないってことなんですけど(笑)。とにかく、待ってますから!

[取材・文=阿刀 “DA” 大志]
[撮影=渡辺マコト]

公演概要


「清水宏のジャパニーズ・ドンキホーテ!!〜イギリス・コメディ・チャレンジ報告ライブ!〜」

<公演日程・会場>
2014/9/27(土)〜9/28(日) CBGKシブゲキ!! (東京都)

<キャスト&スタッフ>
作・演出・出演:清水宏

2014-08-06 16:20 この記事だけ表示