「VAMP 〜魔性のダンサー ローラ・モンテス〜」公開稽古レポート[稽古場レポート]

 19世紀に生きた実在のダンサー/女優で華麗な男性遍歴でも知られるローラ・モンテスの生涯を描く“ドラマティック・エンタテインメントショー”「VAMP 〜魔性のダンサー ローラ・モンテス〜」。その公開稽古が都内のリハーサルスタジオにて実施された。参加者はローラ役の黒木メイサと、“ローラを愛した男たち”を演じる水田航生、新納慎也、中河内雅貴、橋本さとし。さらに演出の岸谷五朗も加わりクリエイティビティ溢れるステージの断片を披露。稽古後の囲み取材では完成に向けての意気込みも語ってくれた。

公開舞台稽古

 冒頭、トーマス・ジェームズ(水田)、アレクサンドル・デュマ(新納)、アレクサンドル・デュジャリエ(中河内)、ルートヴィヒ1世(橋本)、フランツ・リスト(中川晃教/取材時は振付家の藤林美沙による代役)がレクイエムを歌いながら棺を運んでくる。眠っているのはローラ(黒木)。やがて彼女がゆっくりと目覚めるところから、この物語は始まっていく。


 棺を出たローラは“魔性のダンサー”の異名の通り、クール且つ艶かしいダンスで観る者の視線を一気に引き寄せる。ローラを取り巻く男性陣も彼女に誘われ導かれるように官能的なダンスで応え、刺激的な空気が流れ出すと──場面は“ローラの最初の男”、トーマスとのエピソードへジャンプ。今回、アンサンブルは一切なし。セット転換なども歌・踊り・芝居同様にパフォーマンスの一部として総勢7名の役者たちが流れるようにこなしていくのだが、もちろん、ただ移動させるわけでもなく。そのあたりもステージングのもうひとつの面白みとして注目したいところだ。

 ピンクのドレスが似合うローラと若くたくましい軍人のトーマスは互いに惹かれ合い、若さの衝動のまま駆け落ちを決める。ここで恋の高まりを表現するのがタップダンス。柔らかな笑顔の黒木と爽やかで真っすぐな水田、弾けるような初々しさが眩しいカップルが跳ね回るハッピーなシーンとなっている。しかし幸せな時間も束の間。ローラの中に眠る“大人の女性”が芽生えたとき、ふたりの愛は終わりを告げる。大きな蜘蛛の巣の中でローラが自己を解放していく「タランテュラ・ダンス」はその象徴。


 ローラの愛を求める人生は続き、次に披露されたシーンのお相手は作家のデュマ。デュマが自身の作品「三銃士」をローラに自ら演じて見せるシーンでは、デュマ役の新納がチャーミングにコミカルにメインを張り、歌って、踊って、水田・中河内も従えてのプチ・ミュージカルタイムに! ウキウキと愉快なテンションに見る側の顔も自然とほころび、「ローラの心からの笑顔が見たい」と願うデュマの真心が伝わってくる。


 そこからさらにムードが一転、ローラが自分の心の中にある“闇”と対峙するシーンは、大きな剣を使っての立ち回りが披露された。この日は闇役の早乙女太一が欠席のため、岸谷自らが代役として登場。始めはゆっくり目に段取りを確認して、二度目に通常の速さで激しい殺陣が展開。スピーディーで美しい立ち回りの連続には、見学席からも思わず感嘆の声が漏れる。凛々しい表情でフィニッシュまで行ったあと、黒木も思わず「しんどーい(笑)」。その様子を見守っていたキャストたちは拍手で勇姿を労った。

 アクティブなシーンの余韻が残る中、今度は文芸評論家のデュジャリエとローラの愛の日々が、退廃的な匂いをまといながら語られていく。酒を愛し、ペンを武器に生きるデュジャリエの熱血はローラの踊り子としての魂を刺激する。そんなふたりに似合うのは、躍動感あふれるフラメンコ。黒木のキレのあるステップを雄々しくリードする中河内。息もピッタリなペアダンスで、デュジャリエを待つ悲劇へとひた走る“悲しい情熱”をスタイリッシュに魅せてくれた。


 この日公開されたのは、オープニングシーンからの流れと、ローラとローラが愛した男たちの出会いと別れを象徴する場面の数々の抜粋。稽古開始からまだ2週間ほどだということだが、すでに黒木はお相手によって異なるダンス表現にも見事に対応し、オリジナルのローラ像を丁寧に育てていた。持ち前の個性を生かしながらチャレンジを怠らない、男性陣のキャラクター創りへの貪欲さも刺激的。また、セットや構成など岸谷の中にあるエンタテインメントショーとしてのアイデアもすでに着々と形となってクリエイトされており、“新しいなにか”が生まれる現在進行形のワクワクが稽古場内に満ちていた。ここがスタートなのだとしたら、本番はどこまで磨かれてしまうのか。魅惑のステージの全貌が待ち遠しい。

■黒木メイサ
稽古場ではアップでマット運動などをするんですが、岸谷さんが一番動くので…役者より動ける演出家はプレッシャーです(笑)。ここからさらに一ヶ月、みんなで楽しく全力で稽古をしていきます。本番の劇場ではぜひ日常と違う異空間の中、私たちの「ローラ・モンテス」を楽しんでもらいたいです。


■岸谷五朗
メイサちゃんはやっぱり男気があるよね(笑)。それに美しくて気品もあるし、美しいからこそ刺があって近寄れない…という悪女、ローラ・モンテスにはピッタリ。オリジナル作品を創るのは楽しいですよ。芝居の濃さ、肉体の躍動、舞台機構の面白さ──今、お客様が手に汗握って楽しめる“僕らの”エンタテインメント作品、僕らの「VAMP」を創ろうとカンパニーが一丸となっています。どんなモノが出来上がるのか、どうぞ本番を楽しみにしていてください。


[取材・文=横澤由香]
[撮影=平田 貴章]

公演概要


「VAMP 〜魔性のダンサー ローラ・モンテス〜」

<公演日程・会場>
2014/8/24(日)〜2014/9/8(月) EX THEATER ROPPONGI (東京都)

<キャスト&スタッフ>
出演:
黒木メイサ

中川晃教
水田航生
新納慎也
中河内雅貴

早乙女太一

(友情出演)


橋本さとし




2014-08-11 12:40 この記事だけ表示
 
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