珠玉の“王道”ミュージカル! アダム・クーパー主演 『SINGIN’ IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』が来日中[観劇レポート]

 マシュー・ボーンの『白鳥の湖』オリジナルキャストとして世界各地でセンセーションを巻き起こし、近年はミュージカル界で目覚ましい活躍を見せるアダム・クーパー。その彼を主演に迎え、2012〜13年にウエストエンドで上演された『SINGIN’ IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』の来日公演が11月1日、東急シアターオーブで開幕した。ミュージカル映画の金字塔と謳われる同名映画(1952年)はこれまでにも何度か舞台化されているが、なかでも“決定版”との呼び声が高いプロダクションだ。

12トンの水をアダム・クーパーが蹴り飛ばす!



 物語の舞台は1920年代、サイレント映画全盛期のハリウッド。ドル箱スターのドン・ロックウッド(アダム・クーパー)はある日、駆け出しの女優キャシーと出会い恋に落ちる。やがてハリウッドにトーキー映画の波が押し寄せ、ドンの新作も急遽トーキーとして撮ることに。だが困ったことに、相手役の人気女優リナ・ラモントはおそろしい悪声の持ち主……。危機感を抱いたドンと親友のコズモは、キャシーにリナの吹き替えをさせることを思いつく。

 ステージには往年のハリウッドの活気が伝わるセットが組まれ、オーケストラがそのセット上方に陣取っている。目に見える場所から音楽が聞こえてくる高揚感のなか、洗練された衣裳に身を包んだキャストが登場する。そして彼らが繰り出す、コメディ感満載の振る舞いとダイナミックなダンス! その“王道ミュージカル”ぶりに、最初の5分で早くもノックアウトされてしまった。ステージ上の様々な要素が一つに溶け合った総合芸術であること、そしてそれが、観客にワクワク感をもたらしてくれること──。ミュージカルの“王道”に定義はないが、この作品が感じさせる王道らしさを言葉にするならばそういうことになるだろうか。

 なかでも最もワクワクさせてくれるのが、ステージ上に12トンもの“雨”が降り注ぐなか、クーパー演じるドンがかの有名なタイトルソングを歌い踊るシーンだ。12トンと聞いてもなかなかピンとこないかもしれないが、分かりやすく言えばそれは、とにかく笑ってしまうほどの量。しかもその水を、クーパーが客席めがけて豪快に蹴り飛ばす! 《Singin’ in the Rain》はそもそも、土砂降りの雨も気にならないほどの恋の喜びを歌ったナンバー。それはそれは楽しそうに水と戯れるクーパーを見ていたら、濡れることを心配していた観客も、気づけば「私にも飛ばして!」と思っているに違いない。


 アダム・クーパーのファンでなくても、原作映画を見たことがなくても、ハッピー系よりシリアス系が好きだと思っていても。観ればきっと、忘れていたワクワク感に出会える珠玉のミュージカルだ。

[取材・文=町田麻子]
[撮影(会見・舞台写真):阿部章仁]


公演概要

SINGIN'IN THE RAIN 〜雨に唄えば〜 アダム・クーパー特別来日 日本公演

<日程・会場>
2014/11/1(土)〜11/24(月・祝) 東急シアターオーブ (東京都)

<キャスト&スタッフ>

主演:アダム・クーパー
演出:ジョナサン・チャーチ 振付:アンドリュー・ライト
※英語上演/日本語字幕あり



2014-11-05 19:06 この記事だけ表示
 
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。