宮本亜門が描く愛のカーニバル、間もなく開演!『ヴェローナの二紳士』通し稽古レポート[稽古場レポート]

 宮本亜門演出、西川貴教主演のブロードウェイ・ミュージカル『ヴェローナの二紳士』が12月7日、いよいよ初日を迎える。シェイクスピア原作の喜劇を単なるドタバタコメディではなく、愛情あふれるカーニバルとして展開したい、と宮本が目論む意欲作だ。開幕を間近に控えた11月某日、通し稽古がマスコミ向けに公開され、“カーニバル”の一端が明らかに。歌あり踊りあり、キャストによる楽器演奏にジャグリングもあり、そして随所に客席降りあり……年末にぴったりの、賑やかでピースフルな舞台になりそうだ。

西川貴教と堂珍嘉邦のハーモニー


 「ヴェローナの二紳士」というタイトルだが、物語の主な舞台となるのはミラノ。片田舎のヴェローナから、青年プロテュース(西川貴教)とその親友ヴァレンタイン(堂珍嘉邦)が見聞を広めようと大都会ミラノに赴き、プロテュースの恋人ジュリア(島袋寛子)も男装してその後を追う。彼らを待ち受けていたのは、見たこともないきらびやかな街並、そして見たこともない絶世の美女! プロテュースもヴァレンタインもその美女シルヴィア(霧矢大夢)に恋をしてしまったことから、騙し騙されの大騒動が巻き起こる。

 通し稽古開始前から、稽古場には背中に羽根をつけて踊る者あり、笛や太鼓を鳴らす者あり、ジャグリングの練習をする者あり……。演出助手が「では始めます」と声をかけると、キャストから自然と拍手と歓声が沸き上がる。早くも“カーニバル”な雰囲気が漂う中、まず魅せてくれたのはやはり西川と堂珍だ。二人の歌声のハーモニー、何より異質なビブラートの共鳴は、ファンならずとも必聴もの。いわゆるミュージカル俳優ではなく、彼らや島袋といったアーティストがキャスティングされていることがこの公演の話題の一つだが、それが単なる話題作りでないことも一目瞭然だ。役になり切るというより、役と本人をダブらせるような演じ方が、破天荒な登場人物たちを魅力的に見せてくれる。


 若者たちに常識破りの行動を起こさせるもの、それは恋の熱、そして都会の熱──。登場人物を魅力的に見せることに加えて、大都会ミラノをいかにきらびやかに描けるかが、この作品成功のカギを握る。プロテュース、ヴァレンタイン、ジュリアがそれぞれの召使い(坂口涼太郎、伊礼彼方、保坂知寿)を従えてミラノに到着するシーンの、観る者に大興奮をもたらす盛大なダンスナンバーは、その点で成功を確信させてくれるものだった。そこに満を持して登場する霧矢が、大都会を象徴するかのような眩さで華を添える。稽古場用ではなく、本番用のセットでこのシーンを観る日が待ち遠しい。

 大都会ミラノで恋の糸は絡みに絡み、燃え上がる炎の数は片想いも含めれば8組にも上る。武田真治演じるチューリオの器の小ささや、上原理生が扮するエグラモーのあり得ない言動に大笑いしているうちに、物語は可笑しくも温かい大団円へ……。さながら愛の大洪水のようなフィナーレに、思いっきり溺れる年末を過ごしたい。


[取材:文=町田麻子]


公演概要

ミュージカル ヴェローナの二紳士

<日程・会場>
2014/12/7(日)〜12/28(日) 日生劇場 (東京都)
2015/1/10(土)〜1/12(月・祝)  キャナルシティ劇場 (福岡県)
2015/1/17(土)〜1/18(日)  愛知県芸術劇場大ホール (愛知県)
2015/1/23(金)〜1/25(日)  梅田芸術劇場 メインホール (大阪府)

<キャスト・スタッフ>
出演:西川貴教/島袋寛子
堂珍嘉邦/霧矢大夢
武田真治/伊礼彼方/上原理生/坂口涼太郎/斉藤暁/ブラザートム/保坂知寿 ほか


2014-12-04 17:07 この記事だけ表示