劇団「ガレキの太鼓」主宰・舘そらみ、最新公演「止まらずの国」を語る[インタビュー]

 劇団「ガレキの太鼓」の最新公演「止まらずの国」が2014年12月19日(金)〜30日(火)にこまばアゴラ劇場にて上演される。舘そらみ名義での上演が3回目となる本作は舘が学生時代にバックパッカーとして旅した経験が存分に生きた代表作でもある。今回の作品のクレジットは作「舘そらみ(22歳)」、脚色・演出「舘そらみ(30歳)」となっている。10公演目となる本公演で再演を決めた気持ちや作品に対する思い入れ、稽古での様子を舘さんに語ってもらった。

公演紹介

―――「止まらずの国」のあらすじと、再演を決めたきっかけを教えてください。

「止まらずの国」があるから、劇団を旗揚げしました。所属している青年団に入ったのもこの作品をやり続けたいからというくらい思い入れがあります。
架空の国を舞台にした一晩の話です。日本から見てずっと西の方にある、立派なひげをはやしたおじさん達がいっぱいいる国、とでも言っておきましょうか。登場人物は、リュックを背負ったバックパッカーの若者たち。日本とは比べ物にならないくらい異文化の中で、多くの刺激に揺り動かされる、人間達のがむしゃらな姿を描いた作品です。
大事な作品であると同時に、自分を奮起させようと、再演を決めました。学生時代に書いた作品で、生きる力に満ちている。いまの自分は持っていない、純粋な力を持った作品なんです。

―――2010年3月にも「止まらずの国」は再演をされています。

 前回公演は、学生のときの自分のパワーを意識しながら作品を作っていました。「あの頃の自分よ、もう一度」という気分が強く、新たな気持ちでは向き合えていなかった。結果、作品を本当の意味で活かすことができませんでした。
今年、30歳になり、演劇や人生について考えることが自然と多くなりました。あの頃とは違うけど、今一度、この作品に向かい合えるんじゃないか。もう一度大好きなこの作品をつくろう。過去を投影するのではなく、新たに「止まらずの国」を作り出します。この作品に新たな息を吹き込みたいと、そんな素直な欲求が湧いて来て、今回上演を決めました。

―――稽古場ではどんな稽古をしているんでしょうか。

 今回、頑張らない宣言をしました。自分のキャパシティ以上に頑張ることのないように。演出家がキャパシティを超え出すと、作品が歪みだす気がしていて。今までは、稽古に臨む場合は予習をきちんとして、完全なる準備万端の状態を自分に課していました。今心がけているのは「ぽわ〜ん」と考える程度。考えたり妄想したりするんだけど、それ以上は決めない。無理にリーダーシップをとろうとせずに、迷った場合は先送りにしたり、役者に委ねています。ケタケタ笑うだけで過ぎちゃう、遊んでばかりな稽古をしてます。特に遊んだと思うのは、遠足、講座祭り、アラブ料理会、ですね!

―――遠足、講座祭り、アラブ料理会、ですか???

 遠足は、何も言わずに浅草に集合してもらい、遠足のしおりを渡しました。そこには「数百円を残してお財布は没収します」「携帯は機内モードにしてください」「日本語をしゃべってはいけません」などルールを記してあります。アジア系外国人観光客のフリをして、浅草を探検してもらうゲームですね。日本語は使えないから、カタコトの英語で話してもらう。つまり、簡単なバックパッカー体験です。ふんどしを売ってる場所を探してもらったり、お金がないから身振り手振りで値切ってもらったり。メンバーの中にはタダで似顔絵を描いてもらったり、舞子さんと写真を撮ってもらった人もいましたね。
講座祭りは、役者に自分自身の好きなものを語ってもらうイベントです。大人の自由研究ですね。ある人は「大きな古時計」をみんなで合唱したり、ある人はウォシュレットについて熱弁を振るったりしました。またある人は自分の好きなラーメン屋について語り、なぜか間取り図や店員の名前まで教えてくれる。これも、「新しいものをどんどん学んでいく」という点で一種のバックパッカー体験じゃないかと思います。

 アラブ料理会はその名の通りですね。遊びながらアラブ圏の世界をなんとか理解してやろうという名目で、アラブ料理を作って食べる会。例えば、羊の肉をヨーグルトで煮込んだソースを作りましたね。スパイスとにんにくでめちゃくちゃくさいんですよ。

―――どの稽古も楽しそうですね(笑)。最後に、公演への意気込みをお願いします。
 ちなみに、アラブ料理の時は、私はみんなが料理している姿を見て、ビール飲みながら太鼓をたたいてました。楽しみ上手な役者が揃いました。稽古でも使いたい小道具を自主的に持ってきてくれるし。きっと、自分自身楽しむことが作品に息を吹き込むと知っているんですよ。 今稽古場では「初演より面白い」と手応えを感じています。稽古が始まる前は嫌で仕方なかったですけど、いざ始まってみたら役者たちが面白い。そして、台本も面白くて腹立つんですよ。台詞劇としても下手だったり、情報の出し方も下手なのに。面白い。いま、他人の戯曲を脚色している気分です。8年前の自分と向き合うことは、他人以上にわからない人間と向き合うことでした。だから、チラシに年齢表記をいれました。

「止まらずの国」は、過去に見てくださった方から
「私にとっても大事な作品です」と言ってもらえる戯曲です。今のベストメンバーで全国を廻って地方公演なんてできたら、最高ですね。

[取材・構成=イープラス]

公演概要

ガレキの太鼓『止まらずの国』

<公演日程・会場>
12/19(金)-30(火) こまばアゴラ劇場(東京都)

<キャスト&スタッフ>
◆作 舘そらみ(22歳)
◆脚色・演出 舘そらみ(30歳)
◆出演 海老根理、家田三成、木山廉彬、酒巻誉洋、龍野りな、
千田美智子(文学座)、藤松祥子(無隣館)、結城洋平、山本陽子、今井慶

<公式ホームページ>
http://tomarazunokuni.jimdo.com/


2014-12-16 15:44 この記事だけ表示