『トロイラスとクレシダ』出演キャストからのコメント到着![公演情報]


撮影:峰田達也

 今年7月より、世田谷パブリックシアターで上演されるシェイクスピアの問題作『トロイラスとクレシダ』のヴィジュアル撮影に密着! 撮影現場の風景をご紹介すると共に、出演者からのオフィシャルコメントを一問一答形式でお届けする。

作品と舞台への想いをきいた!

Q.質問
【1】:シェイクスピア劇、および『トロイラスとクレシダ』について
【2】:自身の役について、および、今回の座組について
【3】:鵜山演出について


■トロイラス 浦井健治さん


撮影:細野晋司


撮影:峰田達也


撮影:峰田達也

 【1】 『トロイラスとクレシダ』は現代的と言われますが、戯曲自体に「人間は昔から変わらないのかな」と思わせるすごさがあります。物語は破天荒であっても、描かれている役は人間くさくて、普通の感覚の人たちが葛藤する様子が滑稽で笑えるし、悲しくて涙を誘います。シェイクスピアって、きっと人間がものすごく好きだったんでしょうね。シェイクスピア作品の上演記録に自分の名前を発見したときは、「歴史の中にいる、なんだこれ?」と不思議な気持ちになります。シェイクスピア死後400年に歴史をつないでいける一人になれて、幸せを感じています。

 【2】 男女の関係性とトロイ戦争の駆け引きがあいまって、浮き彫りになる人間の面白味、エゴ、憎悪など、現代の僕らにも共感しやすい部分であり、一筋縄ではいかない社会を風刺的に描いた作品です。僕が演じるトロイの王子トロイラスは戦況に翻弄され、クレシダにも翻弄されていく。一番滑稽だと思うのが「あれはクレシダであってクレシダではない」というせりふ。思わず「いやいや、裏切られてますから」と突っ込みたくなるほどです。オフィーリアやジュリエットなどは一本気ですが、やりきれなさ、もどかしさを秘めたクレシダは、女性版ハムレットかもしれません。ソニンさんがどう演じるか、その関係のなかでトロイラスが造形されていくのだと思います。

 【3】 鵜山さんには『ヘンリー六世』三部作、『リチャード三世』、『二都物語』で演出を受けましたが、大好きな演出家であり、絶大な信頼を寄せています。とても言葉選びが繊細で、一つひとつの言葉をお客様にいちばん届きやすい状況を紡ぎ出すといいますか、難解と言われる今回の作品でも、ひょいと軽やかなイメージが広がりながらも大切なメッセージがお客様の心に響くのではないかと確信しています。これまでの作品でも稽古でも諸先輩に囲まれて、悩み、もがいているときに、「やってみなよ」という風に僕を泳がせてくれました。演出家としても人間としても本当に器の大きな方として尊敬の念を抱いています。

■クレシダ ソニンさん


撮影:細野晋司


撮影:峰田達也

 【1】 ミュージカル作品への出演が多いなかで、『ヘンリー六世』に出させていただいたことは、私にとってとても大きな経験でした。それがシェイクスピア初挑戦だったんです。もちろん難しいんだろうなと構えたところもありましたが、シェイクスピア作品に出られることになったのが正直とても嬉しくて、経験が少ないぶん、とにかくニュートラルにせりふに向き合って、一生懸命にしゃべり続けたのを覚えています。共演した、役者一筋で生きてきた人たちは、背後に抱えているものが違う! 違う世界で生きてきたんだなということを稽古のときからずっと感じていて、すごく贅沢な環境から生まれた舞台でした。この貴重な財産が今回の『トロイラスとクレシダ』に生かせればと思います。

 【2】 メンバーの皆さんを見回しても、私がクレシダでは申し訳ないくらいの方々がそろっているので、楽しみでもありプレッシャーでもあります。これまで純粋、健気、悲しい女性の役が多かったのですが、年齢や経験を重ねて、少しずつ悪女や、複雑で屈折した役も増えてきて、クレシダも今だからこそなのかなと感じています。一面的ではなく、振れ幅があるのが面白い役です。浦井君からは「クレシダが主役。戦争に翻弄されているようで、実は彼女が戦争を翻弄しているのかもしれない」と言われました。でも人間って、生きるために順応しなければならない時もある。貫きたくても貫けない、揺れ動く複雑な感情をお客様と共有できたらいいなと思います。 

 【3】 鵜山さんの演出で、シェイクスピアで、『ヘンリー六世』で共演した方々が集結して、すごくワクワクしています。久しぶりの再会で、スチールを撮っていても、皆さんとの距離感が近いので、役と役の距離感を深めていくのに、稽古もすぐ集中して入っていけるんじゃないかという予兆があります。鵜山さんが私を選んでくださってとても嬉しかったし、難しい役だけに、大きなチャレンジです。


撮影:峰田達也

■ダイアミディーズ 岡本健一さん

 【1】 シェイクスピア作品を初めて演じたのは『タイタス・アンドロニカス』でした。その後『ヘンリー六世』『リチャード三世』にも出させて頂きましたが、なぜこんなにも沢山の作品が上演されているのかが、舞台上で演じて初めて、その魅力がわかった気がしました。戯曲を読んでいるだけでは絶対にその面白さはわからない。声に出して会話が生まれた時に、その楽しさが理解できる。シェイクスピアの物語自体はシンプルですが、巧みな言葉や話術をあやつり、一つのことにさまざまな言葉を駆使しています。それがシェイクスピアの魅力であり、観る人達を刺激させるところじゃないでしょうか。

 【2】 戦争の発端が男女の関係なのも面白いし、戦争の滑稽さも描かれています。ダイアミディーズは心も動きもシンプルで、クレシダに一目惚れして、思いを伝えて、お互い駆け引きを楽しむ。もう戦争だトロイ軍だとかどうでもよくなる部分もあって、男と女はいつの時代も同じだな、と思わせてくれます。浦井君とは3度目の対立関係ですが、今回はクレシダを挟んでいるのが面白い。そして劇団の歴史も姿勢も憧れる部分がある、文学座の皆さんと共演できることが僕にとってはとても大きい。演劇の基礎と経験を積み重ねた皆さんと共演する時は、いつも失礼にならないよう、負けないようにと挑む覚悟で臨みます。

 【3】 鵜山さんは余計な気遣いがいらない演出家です。いつも頭のなかに浮かんでいる果てしない脳内宇宙をこちらに突きつけてくるので、いかにオッケーがもらえるかに必死です。普通では考えつかないような発想が出てきますし、それに応えていくことで、稽古場が非常に活性化されていきます。頭で考えると本当に難しいので、肉体を使って鵜山さんのイメージを超えるように身を捧げるという感じでしょうか。時に混乱しながらも、本当にやらないと始まらない。悩んだりわからないとか言っていると前進しない。今回は鵜山さんのことをわかっている人たちがそろっているわけですし、すごい作品になる予感がします。

■パンダラス 渡辺 徹さん


撮影:細野晋司


撮影:渡辺マコト

 【1】 シェイクスピア作品には、人間の喜怒哀楽のすべてが書かれています。今日、私たちが目耳にする物語すべてのベースがある、と言っても過言ではないでしょう。心の機微とあやを描いたパーフェクトな作品を書いているのがシェイクスピアだと思います。そして、その魅力はなんといっても、あふれるような言葉!言葉!言葉! 言葉をつくし、巧みに言葉を操り、人間を表していく。すばらしい言葉が戯曲に散りばめられているので、お客様には言葉のやりとりを楽しんでいただきたいです。

 【2】 パンダラスはクレシダの叔父、若い男女の2人をとりもつ役です。私をはじめ、文学座の俳優がベースになってたくさんの俳優さんたちが参加します。また、浦井君も岡本君も、以前『ヘンリー六世』という大作で一緒になり、意気投合した仲なので、今から稽古も舞台も楽しみでしょうがないですね。あまりに楽しくなりそうなので、緊張感をもたなければと、自分を戒めているところです。ただ、いいものができるという予感、自負がありますので、みなさんも期待していてください。

 【3】 『トロイラスとクレシダ』はシェイクスピアのなかでは、あまりなじみのない作品だと思います。だから演出家の手腕が存分に発揮できる場になることでしょう。僕は鵜山さんとはつきあいが長く、数え上げるときりがないほど、たくさんの作品でご一緒させていただいています。才能があり、作品を面白くする、役者を奮い立たせる、舞台を生き生きと展開させる魔術師、いや、詐欺師ですね。幕が開けば、今まで見たことのない世界が、みなさんの前に繰り広げられることと思います。

■ユリシーズ 今井朋彦さん


撮影:細野晋司


撮影:渡辺マコト

 【1】 ふだんの私たちには味わえないようなスケール、広がりがあるのが、シェイクスピア作品の魅力です。一人の人間の行動や言葉が国を動かしたり、ヨーロッパ全体を動かしたり。でも、その原因は男女の色恋や、男の名誉欲といった些末なものから発生していたりします。発端と結果の振れ幅の大きさを、みなさんにも感じていただきたいです。

 【2】 ユリシーズはギリシャ側の策士という役どころですが、せりふの分量があるだけに、一文一文に何が含まれているのかを、稽古場でたくさん考えなければならないでしょうね。隠された裏の裏まで表現して、ユリシーズをただの策士ではないところまでもっていけるように、身を引き締めて稽古に臨まなくてはならないと、改めて思っているところです。稽古での結果が、劇場でどんなふうにお客様に見えて伝わっているか、まだまだ自分はそれが感じとれるところまでいっていません。僕がユリシーズを演じている時、それを客席で観たいと一番思っているのは、多分、僕です。

 【3】 鵜山さんは、こちらがつかまえようとするとするりと逃げてしまう。そこで、僕らがついていこうと必死になっていると、いつの間にか予想もつかないようなところにたどりついている……、そんな演出家です。俳優に対しては、せりふに書かれていないこと、手触りや匂いまでも客席に届けるように求めてくるので、厳しいと言えば厳しい。けれど見方を変えれば俳優を信じ、期待してくれているわけですから、僕たちはそれに応えなければいけないと思っています。

■アキリーズ 横田栄司さん


撮影:細野晋司

 【1】 シェイクスピア作品に登場する人物は、うれしいときは飛び上がるように喜び、悲しむときは地面を叩いて嘆く。日本やアジアにはない感情の起伏、触れ幅の大きさが魅力だと思います。『トロイラスとクレシダ』は、昔々のお話のようで、今の時代にも存在することが書かれています。自分たちの都合、大義名分で怒りを募らせ、人を殺したり、捕虜にしたり、人質交換をしたり。そして、そこに立ち向かう真剣さが、おかしかったり、悲しかったり。そういう人間の変わらない姿を、400年も前にシェイクスピアは書いているのです。

 【2】 僕は、2012年の蜷川幸雄さん演出の『トロイラスとクレシダ』に出演し、トロイ軍のヘクターを演じましたが、今回はギリシャ軍のアキリーズと立場が逆です。改めて本を読んでみると、以前とは真逆の風景が見えてきました。ひとつの物語を違う人物で生きられるのは、役者の特権ですね。この物語は、登場人物全員が滅びに向かっていく、全力で破滅へ突き進んでいくという印象があります。現代を生きる私たちにはなかなか理解しにくいこの物語を、お客様に切実に感じてもらうためには、僕たちが説得力のある演技をして、舞台の上に本当の人間がいると思わせなければならないですね。

 【3】 鵜山演出のシェイクスピア作品は、ここ何年か観続けていますが、すごく面白くて、自分も出演したかったので、今回は機会をいただけてうれしいです。20代前半でテネシー・ウィリアムズ作品を鵜山さんに演出していただいたことがありましたが、戯曲をあらゆる角度から細かく分析していたのが今も印象に残っています。『トロイラスとクレシダ』では、僕自身も、まだどうとらえればいいのかわからない部分がたくさんあるので、稽古場で鵜山さんの細かい細かい分析が聞けると思うと、楽しみです。

■へクター 吉田栄作さん


撮影:細野晋司

 【1】 『トロイラスとクレシダ』が、シェイクスピア作品への初挑戦なので、僕のなかで期待と不安の両方がうずまいています。この作品は、トロイとギリシャの闘いを描いているのですが、そこには人間の強さや弱さ、国や愛する人を思う気持ちが織り込まれています。シェイクスピアと言うと、偉大な戯曲家であり、大昔の異国が舞台で、わかりにくいせりふが飛び交うということもあって、敷居が高い、なじみにくいと思う人もいるでしょうし、僕自身もそう感じているところがあります。初めてシェイクスピアを観る人にも物語に入りこめる、まるで絵本のような舞台に鵜山さんが演出してくれたらいいなと思っています。

 【2】 出演者の名前を見ていると、今までに共演した方、ワークショップでお会いした方、僕が観に行った舞台に出ていた方もいます。文学座の方たちをはじめ、いろいろなカラーの人たちが集結しています。長く舞台に立っている役者さんもいるなかで、映像をベースに活動してきた自分になにができるか。お客様の目線を意識し、堅苦しくなく、自由さやわかりやすさを持ちこむ立ち位置でありたい。それが、自分がこの場にいる意味であればいいと思っています。異なる個性のぶつかりあいが、稽古場でどんな化学反応をおこし、舞台上でどう展開していくか、どうぞ期待してください。

 【3】 2008年、鵜山さんの演出で『オットーと呼ばれる日本人』に出演させていただきました。自分の考えを押しつけるのではなく、時には役者の意見も取り入れる。けれど、決して妥協しない部分も持つ演出家です。いろいろなキャラクターが登場するなかで、今回僕の演じるヘクターは、トロイ王の長男で、強く、勇ましく、武将の象徴のように描かれています。孤高であり続けるとか、男道をいくというのは、自分としては好きなタイプです。鵜山さんのフィルターを通すことで、どれだけ自分が変われるか、どんな人物が浮かび上がってくるか、楽しみにしています。

■トロイ王プライアム 江守 徹さん


撮影:細野晋司


撮影:峰田達也

 シェイクスピアの魅力はやっぱり、世界的に知られている名作が多いことでしょう。現代人と共通する部分がたくさんありますから。なかでも『ハムレット』は最たるもので、“To be, or not to be”の独白に代表される、個人の生き方に対する悩みが作品の全面に出ています。筋は父親の復讐劇ですが、登場人物個人個人の人生を感じさせ、現代人が共有できる戯曲です。ほかにも喜劇あり悲劇あり、どんな作品でも幅広く「人間」が描かれているのがシェイクスピアです。『トロイラスとクレシダ』はもとが有名なトロイア戦争の話ですし、ずいぶん前に読みました。でも僕自身が出たい、演出したいと思ったことはなかったので、そこを鵜山演出がどうしてくれるのかおおいに期待しています。

公演概要

世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター 共同制作公演
『トロイラスとクレシダ』


撮影:細野晋司

<公演日程・会場>
2015/7/15(水)〜8/2(日) 世田谷パブリックシアター(東京都)

<キャスト・スタッフ>
[作] ウィリアム・シェイクスピア
[翻訳] 小田島雄志
[演出] 鵜山 仁 

[出演] 浦井健治 / ソニン / 岡本健一 / 渡辺徹 /
今井朋彦 横田栄司 / 鵜澤秀行 斎藤志郎 高橋克明 /
櫻井章喜 石橋徹郎 鍛治直人 / 松岡依都美 荘田由紀 吉野実紗 /
木津誠之 神野崇 内藤裕志 宮澤和之 / 廣田高志 若松泰弘 植田真介 / 
浅野雅博 小林勝也 / 吉田栄作 / 江守徹

[演奏] 芳垣安洋 高良久美子



2015-04-15 20:43 この記事だけ表示
 
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