野田秀樹が、クラシックと奇跡のコラボレーション!新演出で注目される歌劇『フィガロの結婚』、5/26の金沢歌劇座での初日を前に行われた記者会見の模様をレポートする!![製作発表レポート]

 指揮・総監督には井上道義があたり、演出は野田秀樹が手がけるという、クラシック界と演劇界の二人の鬼才による奇跡のコラボレーションが実現! 全国共同制作プロジェクトとして動き出した『モーツァルト 歌劇『フィガロの結婚』〜庭師は見た!〜新演出』がいよいよ、その初日を迎える。オペラと演劇の結婚、西洋と東洋・日本との融合をテーマにしたこの新しい『フィガロの結婚』は、オペラ通にも演劇ファンにもそれぞれに新鮮で刺激的な体験を約束する、貴重な作品になること間違いなしだ。5/26の金沢歌劇座を皮切りに、全国10カ所、13公演開催されるというのもオペラ作品には画期的なことで、それほどまでに注目度、期待度が抜群のプロダクションだと言える。開幕まで間もない5月上旬、都内の稽古場で井上、野田とキャストらを囲み、記者会見が行われた。

黒船時代の日本を舞台に繰り広げる、西洋文化と日本文化の<結婚=融合>の物語!

 この日の登壇者は井上道義、野田秀樹のほかに、“アルマヴィーヴァ伯爵”役のナターレ・デ・カロリス、“アルマヴィーヴァ伯爵夫人”役のテオドラ・ゲオルギュー、そして“フィガロ”ならぬ“フィガ郎”を演じる大山大輔、“スザンナ”ならぬ“スザ女(おんな)”を演じる小林沙羅。まずは各自のコメントをご紹介!

左から野田秀樹氏、井上道義氏

野田秀樹

 「今は不安よりも楽しみな気持ちのほうが大きいです。稽古時間が非常に短いことが不安だったんですが、数多くのワークショップを先に重ねられた上、ナターレとテオドラが先日来日して合流し実際に歌い始めてみると、日本人と西洋人が出会った時代の匂いがするところでオペラが行われるという演出の意図が一段と浮き上がってきた感じがして。これからここにオーケストラが加わってくるわけですから、ますます楽しみになりました。井上さんには本当にいい仕事をいただいたなと、感謝しています」

ナターレ・デ・カロリス

 「この日本で、このキャストや野田さんと仕事ができてとてもうれしく幸せです。私のキャリアにとっても『フィガロの結婚』というのは大事な作品ですが、今回は日本と西洋との関係、日本の文化とヨーロッパの文化を一緒に描いていて、こういう作品は初めて。野田さんが舞台上で繰り広げることはとても興味深く、見たことがないことばかりでとても楽しいです。ぜひ皆さんも一緒に楽しんでください」

テオドラ・ゲオルギュー

 「ナターレさんが言った通りで、私もここにいることがとてもうれしい気持ちです。日本を始めて訪れたのは14歳の時だったのですが、こうして大人になってから訪れた日本は、子供のころに見たのともまた全然違う印象でとても面白いです。舞台上で西洋の文化、日本の文化が共存する姿はとても素敵だと思いますし、お客様のみなさんにもきっと楽しんでいただけることと思います」

小林沙羅

 「オペラをやっているものにとっては初めての経験が多く、ワークショップでもみんなでいろんな意見やアイデアを出しあって試しながら舞台を作り上げていったので、その過程からとても楽しませていただきました。私はもともと演劇をやりたいと思っていたので、このような経験ができて本当にワクワクしています。今回はオペラと演劇の結婚という面もありますが、西洋と東洋、日本との結婚、融合という意味もあって、それはきっと舞台の幕が開いた時点からその雰囲気が伝わるはず。そこもぜひ、楽しんでいただきたいですね」

大山大輔

 「『フィガロの結婚』は話の難易度として高いほうで、“初夜権”という単語が出てくるんですが、これはナターレが演じる伯爵がその土地の娘が結婚する時にまずその初夜をいただけるという、今から考えるととても野蛮な風習の話なんですね。だけど曲がきれいだったりするものですから、その初夜権というものがどれだけいやなことかというのはちょっと想像しにくかったんです。それを今回は黒船の時代の日本を舞台に置き換えたことで、お互いの関係性がダイレクトでわかりやすい構造になっていると思います」

井上道義

 「僕は小さいころからオペラに関わっていた人間ではなく、指揮者としてやらなきゃいけないという感じで入った仕事がオペラだったんですね。でもある時、オペラというのはバカバカしい贅沢品ではなく非常に豊かな世界だということに気がつき、そこからちゃんと勉強し直しました。そして今、こうして68歳になり、野田さんといういい演出家と出会えて、日本で『フィガロの結婚』をやるのならこういう方法でやるべきだと思っていたことを全部具現化してもらえて、とてもうれしいです。いいキャスト、スタッフにも恵まれて、去年死なないで本当によかったと思いますよ(笑)」

 続いて行われた記者との質疑応答では、野田との出会いは「30年近く前、夢の遊眠社時代から」で「野田演出の良さを生かせるものとして言葉遊びもあるこの喜劇を選んだ」ということなどを井上が明かし、今回は緞帳や舞台袖のない“コンサートオペラ”というスタイルなので「演出の手口としてはいろいろ限定されますが、出が小劇場という自分の出自をうまく使えていると思う」といったことなどを野田が語った。さらに、実は演劇界からナイロン100℃の廣川三憲が“アントニオ”ならぬ“庭師アントニ男”として大抜擢されていることについて、井上は「彼はうまい。オーディションでも完璧で、一発で決まった」、野田も「下品な表現をすれば最高の飛び道具(笑)。本当に素晴らしい」と絶賛。急遽、稽古場にいた廣川が呼び出され、フォトセッションにも飛び入り参加するというハプニングで会場を盛り上げた。

 誰もが知る名作を、誰も見たことがない斬新な演出で味わえるのが、今回の野田演出版『フィガロの結婚』。オペラ通が新鮮な体験ができることは当然のことながら、あまり馴染みのない演劇ファンがこの作品で初めてオペラの魅力に触れてみるのにも絶好の機会になりそうだ。オペラ界にも演劇界にとっても、おそらくのちのち語り継がれる伝説の作品となるはず、どうぞこのチャンスをお見逃しなく!

[取材・文=田中里津子]

公演概要

全国共同制作プロジェクト 歌劇「フィガロの結婚」〜庭師は見た!〜 新演出

<公演日程・会場>
2015/6/6(土)〜6/7(日)  兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
2015/6/17(水)  ミューザ川崎シンフォニーホール (神奈川県)
2015/10/24(土)〜10/25(日)  東京芸術劇場 コンサートホール (東京都)

<スタッフ・キャスト>
【指揮・総監督】井上道義
【演出】野田秀樹
【出演】
アルマヴィーヴァ伯爵:ナターレ・デ・カロリス
伯爵夫人:テオドラ・ゲオルギュー
スザ女(スザンナ):小林沙羅
フィガ郎(フィガロ):大山大輔
ケルビーノ:マルテン・エンゲルチェズ
マルチェ里奈(マルチェリーナ):森山京子
バルト郎(ドン・バルトロ):妻屋秀和
走り男(バジリオ):牧川修一
狂っちゃ男(クルツィオ):三浦大喜
バルバ里奈(バルバリーナ):コロン・えりか
庭師アントニ男(アントニオ):廣川三憲

合唱:新国立劇場合唱団
声楽アンサンブル:佐藤泰子、宮田早苗、西本会里、増田 弓、新後閑 大介、平本英一、千葉裕一、東 玄彦
演劇アンサンブル:川原田樹、菊沢将憲、近藤彩香、佐々木富貴子、佐藤悠玄、長尾純子、永田恵実、野口卓磨
管弦楽:読売日本交響楽団
チェンバロ、コレペティトゥール:服部容子
曲目・演目:モーツァルト/歌劇『フィガロの結婚』 〜庭師は見た!〜 新演出 
(全4幕・字幕付 原語&一部日本語上演)

2015-05-20 13:23 この記事だけ表示