「愛」と「強さ」を数々の名曲にのせて、劇団四季ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」開幕![公開稽古レポート]

「ドレミの歌」「エーデルワイス」「私のお気に入り」など、誰もが一度は耳にしたことのある名曲を数多く含む名作ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」が、8月9日(日)、四季劇場[秋](東京・浜松町)にて開幕した。東京公演は2013年以来約2年ぶりの再演となる。

初日を目前にした8月8日(土)、同劇場にて行われた公開稽古には、マスコミはじめ、子どもも含めた招待客が多数来場した。この模様をお届けしよう。

<e+貸切>9月30日(水)18:30公演

美しい楽曲にやわらかく包みながら、
実は相当硬派なメッセージが核にある作品だ

物語はオーストリア・ノンベルグ修道院の朝の祈りから始まる。荘厳な賛美歌がほの暗い修道院の中に響く中、修道院に勤める見習い修道女・マリアが「サウンド・オブ・ミュージック」を歌い始めると、舞台上には一転、目にあざやかなオーストリアの山々と大自然が広がり、マリアの歌声が山の向こうまで届くかのように響き渡る。修道院の「暗」と大自然の「明」。この対比が非常に効果的なオープニングだ。プロデューサーであるアンドリュー・ロイド=ウェバーと彼の有能なスタッフたちのこだわりを感じる場面だ。

ほどなく、院長の命に従い修道院を出たマリアは、オーストリアの退役軍人トラップ大佐の7人の子どもたちの家庭教師となる。伴侶をなくし心を閉ざすトラップ大佐は、子どもたちを軍隊のように笛で号令するしつけをしていた。この教育方針に異を唱えたマリアは、子どもたち一人一人と向かいあい、嵐の夜にトラップ家では禁じられていた「歌」を歌ってあげることで子どもたちと心を通わせていく。そしてその歌は徐々に大佐の心をも溶かしていくのだった。

この舞台の見どころの一つとも言えるのが、マリアとトラップ家の7人の子どもたちとの関係性。母に先立たれ、まだまだ愛を欲している子どもらと歌を通じて心から愛そうとするマリア。その姿はかつて見習いだったマリアが修道院長から受けた愛の形と重なる。おそらくその向こうには神が人々に注いだ愛の形とも重なるのだろう。

時の流れはトラップ一家に無常に襲いかかる。ナチスドイツの侵攻を受け、ついに併合された祖国オーストリア。周囲がナチスに迎合する中、最後まで抵抗するトラップ大佐に軍は召集令状をつきつける。信念を曲げることができない大佐が選んだのは、一家揃っての国外亡命だった…。

歴史的・政治的な問題を扱う演劇作品は多数あるが、本作での表現はその中でも一見ソフトなほうだろう。直接戦うこともない。誰も死なない。だが、トラップ一家が国を捨て新たなる土地を目指すという姿は、何者にも負けない信念の強さや自由であることの大切さを表現している。美しい楽曲にやわらかく包みながら、実は相当硬派なメッセージが核にある作品だと、観終わった後にふと気がつくのだ。

終演後、さきほどまでおとなしく観賞していた子どもたちが「ドレミの歌」を楽しそうに歌いながら外に出てきた。この子たちが「サウンド・オブ・ミュージック」が持つ「愛」と「強さ」に気がつく年齢になった頃、また本作に寄り添える機会があることを祈りたい。

劇団四季ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」は、12月6日(日)まで公演。9月30日(水)18:30公演はイープラス貸切公演、ぜひお見逃しなく!

[取材・文=ナノ・アソシエーション]
[撮影=平田貴章]

公演概要

劇団四季 『サウンド・オブ・ミュージック』

<公演日程・会場>
2015/8/9(日)〜12/6(日)  四季劇場[秋](浜松町) (東京都)

<e+貸切>9月30日(水)18:30公演
2015-08-17 16:43 この記事だけ表示