歌と朗読で物語を綴る舞台『7seconds〜決断の瞬間まであと7秒〜』、小野大輔のパンフレット撮影に潜入&作・演出の藤井清美にインタビュー![インタビュー]

 9/5(土)〜6(日)に上演される、『7seconds〜決断の瞬間まであと7秒〜』。多彩なジャンルから集まったキャストによる朗読と懐かしい昭和の名曲から最近のJ-POPまで世代を超えて愛されてきた歌とを織り交ぜて綴る、新感覚ステージの第二弾だ。今回Theatrix!では、前回公演『あの日、星は重かった』に続いての出演となる声優・小野大輔の、パンフレット撮影に潜入! 現場の様子に加え、公演に向けて意欲を燃やす小野のコメント、また本公演の作・演出を務める藤井清美のインタビューをお届けする。

声優・小野大輔のパンフレット撮影に潜入!

 8月上旬、晴天が続く都内某所で行われたパンフレット撮影。現場ではキャストの入りを前に、カメラマンとスタッフらが話し合い、光の加減や立ち位置など細かな調整が入念に行われていた。準備が整ったところで、ヘアメイクを済ませた小野が現場へ。「おはようございます。よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げて、スタッフ陣にあいさつ。スタッズのついたシャツと少しゆるめたネクタイというクールなスタイリングに、大人の男の落ち着きが漂う。小野はことさらに気負う様子もなく、穏やかなムードを漂わせながらスッと立ち位置に入り、撮影が始まった。カットごとにポーズや表情を変えて異なる絵を作り、カメラマンのリクエストに「わかりました」と柔軟かつ的確に応えられるのも、豊富な経験によるものだろう。撮影のスムーズさを象徴するように、カメラマンのシャッターを切る音が小気味よく響く。小道具を使ったショットでは、「こんなモノがあるんですね!」と少年のように無邪気な表情をのぞかせ、スタッフと盛り上がるなど、彼の飾らないスタンスが現場を終始和やかにリードしていた。

 撮影を終えてひと息ついた小野に、一年前の公演を振り返ってもらった。

「朗読と歌の融合という斬新な試みで、どんな化学変化が起きるのか、まったく未知の領域でしたが、演じてみて『朗読も歌も、根底にあるのは言葉の力なんだ』と強く感じました。藤井さんの脚本は普遍的なものを描きつつ、セリフを発することと歌うことがなめらかに繋がっていて、演じていてとても心地よかったです。セリフのよさと歌のよさがリンクして、両者がさらに深い意味を持つという点に、大きな感銘を受けました」

 今回の『7seconds〜決断の瞬間まであと7秒〜』で小野が演じるのは、自分の想いをなかなか口にしない、寡黙なキャラクター。「セリフを読む」ことがベースの朗読劇において、今回はどんな表現で臨もうと考えているのか、今のイメージを聞いた。

「声優という仕事では、声だけで物語を紡いでいくので、間の取り方というのも非常に重要になってくるんです。表情や身体表現で見せていくことができない以上、この作品では僕らのひとつの武器でもある、その“間の取り方”が、いつもよりさらに大事になってくるのかなという気がしますね。また、キャストに歌やお芝居、お笑いなど、さまざまなジャンルのプロフェッショナルが集まっています。みなさん、ご自身の道で確立してきたこだわりがあると思うので、それぞれの間や声の圧、セリフの発し方の違いなどを楽しみたいと思います。自分のジャンルで育ててきたものを惜しみなく注ぎ込めば、『こんな表現があるんだ!』とお互いに影響し合えるはず。僕はどちらかというとそれをもらえるのを楽しみにしていて、逆に自分はどんなものを共演する皆さんにお渡しできるのかと、いい意味でドキドキしています(笑)」

 声優としてのキャリアを築いてきた小野にとって、この舞台は新たな世界へのチャレンジ。とてもいい刺激にもなっている、と充実した表情で語った。

「声優の仕事が長くなってきた分、『ルーティンワークになっていないだろうか』と不安にさいなまれることがあるんです。同じことを同じようにやっていないか、という自問。生のお芝居を作るときに一番あってはならない流れに、気づかず陥っているのではないか、と。でも前回公演で、まったくの初心にかえってイチから新しいモノを作る現場に携わり、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながらみんなで作品を作るのは、しんどいけれどなんて楽しいんだろうと日々思いました。今回もきっと、全然ラクじゃないと思います(笑)でも声優の仕事ではできない経験ができると思うと、自分に得になることしかないので、とても前向きな気持ちで、今から稽古を楽しみにしています」

作・演出/藤井清美インタビュー

――新作『7seconds〜決断の瞬間まであと7秒〜』を書くにあたり、意識したことは?

この企画を始めたときのひとつの目標が「声の表現」。言葉だけでイメージを広げることに、どこまで挑戦できるかでした。なので、前回公演ではキャストさん全員に、ものすごい勢いでいろんな役を演じ分けてもらったんです。普通の舞台のように衣裳を着替えていたら、絶対あのテンポで二役以上なんて演じられない(笑)。朗読だからこそできる表現、面白さを追究したいと考えていました。そのスタンスは、前作から変わりません。また、前回足を運んでくださったお客様の層が『舞台を初めて見ました!』という10代の方から、多くの舞台をご覧になっている方まで私の想像以上に幅広く、『いろんな世代の方に響く企画なんだ』という手応えを得られました。ですから今回も、様々なお客様に受け入れていただける題材を、と思って書いています。

――声優の小野さんが、自分の想いをあまり語らないキャラクターというキャスティングが、興味深かったです。

小野さんはずっと声で勝負してきた方ですから、声の表現の幅が非常にあります。そういう小野さんだからこそ、短い言葉で、声のちょっとしたトーンや揺れで感情が見えてくるような役をやってほしいなと思っていました。“間を取る”ことが、またひとつのメッセージになっていくという面白さがあるので、あとは小野さんの腕にかかっていますね(笑)。あ、小野さんには5役やって頂くので、多弁なキャラクターもあります。ファンの皆様、今回は小野さんの声があんまり聴けないかもとご心配なく。

――藤井さんが演出をされる際、意識することは?

出演者の皆さんの意志やイメージを聞いて、まずはそれでやってみるようにしています。芝居の稽古というのは、一回決めたことが途中で変わったりするもの。みんなが持ち寄ったものをあれこれやってみて、どんどん変えられるのは、稽古を重ねられる芝居ならではの強みだと思います。「このチームじゃなかったら、こうはならなかったよね」というような、この5人とやって初めてできあがるものにしたいと思っています。

――新しい試みも、いろいろお考えのようですね。

生のパーカッションが入るので、朗読に、効果音のように生の音を加えたいなと思っています。耳から入った言葉や音からイメージがどんどん広がっていき、「自分の耳って、こんなに可能性を持っているんだ」と感じてもらえるような仕掛けができたら。大仰なテーマではなく、普通の日常に起こりそうなことを描いていますが、力を備えた俳優さんたちに演じていただくことで、観客の皆さんの身にもかつて起きた出来事がふわっと蘇ってきたりと、自分の人生を再発見するような体験につながればいいなぁと思っています。知っているつもりだったものをもう一回発見するって、なんだか嬉しいじゃないですか。みなさんにとってこの作品がそういうきっかけになれば、最高に嬉しいです。

[取材・文=木下千寿]
[撮影=平田貴章]

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公演概要

『7seconds 〜決断の瞬間まであと7秒〜』

<公演日程・会場>
2015/9/5(土)〜9/6(日)  天王洲 銀河劇場 (東京都)

<キャスト・スタッフ>
【作・演出】藤井清美
【出演】小野大輔 藤岡正明 肘井美佳 金成公信 / 樹里咲穂

■抜粋予定曲
「空と君のあいだに」作詞:中島みゆき
「ちっぽけな勇気」作詞:FUNKY MONKEY BABYS
「守ってあげたい」作詞:松任谷由実
「贈る言葉」作詞:武田鉄矢
「男」作詞:久宝留理子
2015-08-20 15:58 この記事だけ表示