仲間由紀恵主演による新生『放浪記』が、いよいよ始動! メインキャストが勢揃いした華やかな製作発表の模様をレポートする!![製作発表レポート]

 森光子が生涯を通じて演じ続けてきたライフワーク的な作品『放浪記』。大正時代の人気女流作家・林芙美子の半生を描いたこの名作で、森は国内で前人未到の単独主演2017回という記録を達成している。この日本演劇界の最高峰と評される名舞台が、森の三回忌も過ぎた2015年秋、キャストを一新して蘇る。森の想いを引き継いで林芙美子を演じるのは、森とも共演経験がありその後も交流を深めていた仲間由紀恵。さらに若村麻由美、永井大、窪塚俊介、福田沙紀、立石涼子、羽場裕一、村田雄浩という演技派が新キャストとして参加することになった。去る8月16日、都内にて「“新生”『放浪記』出発の会」と銘打ち、華やかに製作発表会見が行われた。

<e+半館貸切>12月5日(土)11:30公演

芙美子が歓喜する名場面、でんぐり返しの演出はあるか否か!?

 多数のマスコミ関係者が駆けつけ、大盛況の会見場。まずはスクリーンに森と仲間との共演シーンや、森が主演した『放浪記』2000回上演達成時に仲間が客席からお祝いコメントを寄せた際の模様、さらには先日仲間が森の墓前に『放浪記』出演を報告し手を合わせた姿が上映され、改めて森と仲間の縁というものを感じさせられた。

 そして今回の舞台の演出を手がける北村文典と、仲間、若村、永井、窪塚、福田、立石、羽場、村田、8名のキャストが登壇。それぞれが作品への意気込み、思い入れなどを語った。各自の主なコメントは以下の通り。

仲間由紀恵
 大先輩の森光子さんが長年大事にし、そしてたくさんのお客様が楽しんできた『放浪記』という大変な作品にとお話をいただいた時には光栄に思うと同時に緊張と不安でいっぱいでした。でも今日こうして初めて出演者のみなさまのお顔を拝見することができたことで、こんなに頼もしい方々と一緒に舞台を作っていけるんだというワクワクした気持ちも出てまいりました。演出家の北村さんを始め、この舞台に関わるすべてのスタッフ、キャストと一緒に森さんの遺志を受け継いで、この舞台を汚さぬよう、ひとりでも多くのお客様に楽しんでいただけるよう、私なりに一生懸命に前を向いて作っていきたいと思います。

若村麻由美
 私が演じる日夏京子というのは林芙美子の恋敵で、作家としてもライバルであり、それでいて最後にはもしかしたら一番林芙美子を理解していた女だったかもしれないという、大変重要なお役でございます。私が尊敬する浜木綿子さんが初演でこの役を演じられていまして、その浜さんから「凛として、そして情熱を持って」というお言葉をいただきましたので、そのようにしっかりと務めさせていただきます。森さんが命をかけて大切にしていた役を引き継がれるのは並大抵の覚悟ではないと思いますので、共演者一同で仲間さんをサポートしつつ、お客様に喜んでいただける作品にしたいと思っています。

永井大
 こんなに歴史のある作品をやらせていただくにあたってプレッシャーを感じています。4カ月という長丁場になりますが、いきいきと毎日舞台に立って藤山武士という男を熱演していきたい。林芙美子を晩年支えた夫として舞台上でも仲間さんを支え、優しく清らかな心を持ちながら舞台に立ちたいと思っています。今回、年齢がぐっと下がる形になるのでそれが演出の北村さんによってどう料理されるのか、僕自身もとても楽しみです。

窪塚俊介
 物語の中盤から林芙美子さんの夫になる詩人の福地貢役をやらせていただきます。はっきりした性格でずけずけとものを言う男で、さらに自身が病気だということもあって嫌味な部分が加速していくという、あまり好感を持たれない役かもしれませんが、お芝居の上ではとてもやりがいのある役だと思っています。100公演を越える長丁場は僕にとって未体験ゾーンですが、覚悟と愛を持って真摯に取り組んでいきたいですね。

福田沙紀
 このような歴史のある舞台に出演させていただけることは本当に光栄です。今回この舞台を支えて下さるスタッフのみなさんから、この作品『放浪記』への想い、愛情をひしひしと感じました。本当にたくさんの想いが詰まった作品ですので、その想いをしっかりと受け止めて、私の中でも作品への想いと愛情をしっかり育てて、まっすぐにそして大胆に悠起を生きることができたらいいなと思います。皆さん応援よろしくお願いいたします。

立石涼子
 こんな名作、大作に出演させていただくなんて、本当に光栄に思っています。『放浪記』はユーモアがあって笑えて泣けて、テンポのあるお芝居で、最後のシーンでは鳥肌が立つくらいに魂の演技をされていると感じました。森さんも他の共演者の方々も、演技がどんどんそぎ落とされて魂のほとんどがあらわになっているようで。とても大切なものをものすごく丁寧に、お客様にプレゼントしているという感じでした。今度の新しい『放浪記』もまたきっと素敵になるはずです。心を込めて演じたいと思います。

羽場裕一
 今回のお話をいただいた時、長野県の実家のおやじとおふくろに「『放浪記』をやらせていただくんだよ」と報告しましたら、演劇とはまったく無縁のおやじとおふくろもこの作品のことは知っていて「森光子さんがやられていた、あの素晴らしい舞台をやるのか、よくやったね」と褒められました(笑)。役者をやっていて親から褒められるのはNHKの大河ドラマに続いて2回目で、いい親孝行ができたなと思っています。これだけ歴史があり、人の心を集められる舞台に参加できて光栄です。誠心誠意、務めさせていただきます。

村田雄浩
 この芝居は、きっとものすごいことになるような気がします。みなさんが当然ご存知の『放浪記』を新たにやるなんて、ものすごい挑戦だと思いますから。僕もとても重責を感じておりますし、仲間さんを本当に支えていきたいです。これまで名優の方々がやられてきた役柄でもありますので先輩方に恥じないよう、かといってそれをずっと追いかけるだけでもいけないと思うので、北村さんという演出家のもと、また新しくて面白くて素晴らしい舞台が作り出せたらと思っております。

 また質疑応答では『放浪記』といえば森が行っていた名場面の“でんぐり返し”についても言及。今回もその演出があるかどうかを聞かれた演出の北村は「でんぐり返しをやるか、やらないかはまだ決めていません。でんぐり返しをすればそれで『放浪記』だという印象は払拭したいですけどね。ですからやるなら4回転半とかかな(笑)」と冗談めかして回答。その発言を受ける形で仲間は「4回転半はムチャぶりだなと思いますけれども」と笑いを誘いつつも、「確かに皆様が注目されるひとつのポイントではあると思いますが、あの歓喜のシーンをどう表現できるか、私の中で林芙美子という人がどういう嬉しい感情を出してくるのか、ワクワクした気持ちで取り組みたい。また観てくださる方たちの期待を裏切らないようなものにしたいとも思っています。でんぐり返しを含め、ほかにも何かいいアイデアがあるか考えつつ、そのシーンを盛り上げていきたいです」と力強くコメントした。仲間演じる芙美子がこの名場面でどんな感情表現をするのか稽古次第とはいえ、引き続き大いに注目を集めそうだ。

またこの会見が行われた8月16日は、京都・五山の送り火の日で、森が幼いころにこの送り火のイベントを楽しみにしていたということもあり、仲間が五山の送り火について森が書いたという文章を朗読。そして会見のしめくくりには公演の成功を祈願しながら、キャストたちが祝い酒を『放浪記』の焼き印がつけられた枡に注ぎ、出席者にふるまった。

10月14日の初日開幕に向け、“新生”『放浪記』はここが船出、いよいよ本格的なスタートとなる。演劇史に名を残す名舞台が果たしてどう生まれ変わるのか、興味は尽きない。

[取材・文=田中里津子]

公演概要

「放浪記」

<公演日程・会場>
2015/10/14(水)〜11/10(火)  シアタークリエ (東京都)
2015/11/21(土)〜12/9(水)  新歌舞伎座 (大阪府)
※<12/5(土)11:30公演>半館貸切公演

<出演・キャスト>
出演:仲間由紀恵
若村麻由美/永井大/窪塚俊介/福田沙紀/立石涼子/羽場裕一/村田雄浩
原康義/田口守/佐野圭亮/若杉宏二  ほか

作:菊田一夫(林芙美子作品集より)
潤色:三木のり平
演出:北村文典

<e+半館貸切>12/5(土)11:30公演
2015-08-25 14:28 この記事だけ表示