Studio Life『トーマの心臓』曽世海児、松本慎也、三上俊インタビュー[インタビュー]

男優だけの劇団として独自の道を切り開いてきた劇団Studio Life が、創立21年目を迎え、新たなステップへ。みずからの原点として上演を重ねてきた名作『トーマの心臓』を、新しいキャストを迎えいれ「新たな『トーマの心臓』」として上演決定!

今まで、劇団の看板である笠原浩夫さんが演じてきたオスカー・ライザー、及川健さんが演じてきたエーリク・フリューリンク、山康一さんが演じてきたユリスモール・バイハンをどのように新キャストが受け継いでいくのか……
劇団としては実に6回目となる公演について、3回目のオスカー・ライザー役を務める曽世海児さん、そして今回新しくエーリク・フリューリンク役を務める松本慎也さん、三上俊さんの3人にお話を伺いました。

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──今回「新しい」と銘打たれていますが、どんなところが「新しい」ものになるのでしょうか?

曽世:Studio Life の舞台はダブルキャストが多いので、キャストが変わるとどれほどお芝居が変わるか、いつも体験していただいていると思うのですが、今回は、初演から務めていたユーリ(ユリスモール・バイハン)役、オスカー役の方々がいなくなりますし、新しいキャストで新しい魅力を持って生まれ変わるのではないかと思っています。

──新キャストにおいても継承していきたいところ、より発展させていきたいと思っていることは?

曽世:感じ方は人それぞれだと思うんですが、僕らがお芝居のベースにきちんと持っておきたいことは「人は一人では生きていけない」ということで、このテーマは劇団の作品のほぼ全部に共通しているものなんですね。その想いを一番こめられる作品が『トーマの心臓』なんです。
今までも上演するたびに思ったことですが、お芝居に答えはないように、『トーマの心臓』もやればやるほど、どこまでも深く潜っていける世界なんですね。常に深化を求めつつ臨んでいますが、今回もこれだけキャストが変わりますし、新しい刺激をもらった上で、さらにまた深いところに新しいアプローチをしたい、と思っています。

──今回、松本さんと三上さんは初めて『トーマの心臓』に参加されますね。以前に舞台、もしくは映像でご覧になったことは?

三上:僕はないんです。

松本:僕もないんです……。

曽世:何だとぉ(笑)!原作はもう読んでるよね?

松本:はい!

曽世:(目を泳がせる三上さんに)何ですって(笑)?

三上:……まだ半分だけ、です……。

──原作に触れ、この中のエーリクを演じると聞いた時はどんな思いがありましたか?

松本:まだ現実感がそんなにないんですが、入団してから『トーマの心臓』は特別な作品だと聞いていたので、不安というのではないんですが(僕で)いいのかなぁ……と。

三上:『トーマの心臓』はStudio Life の代表作だと入団した時から聞いていて、オーディションの時も(冒頭に出てくるトーマの)詩を読んだんです。その時は、それが何だか分かっていなかったんですが……。今までに演じてこられた先輩に比べると、『トーマの心臓』への想いはまだまだ弱いかもしれませんが、逆に今まで観ていない分、新しい気持ちでその中に参加していけたらいいな、と思っています。

──エーリク役にキャスティングされたと聞いた時はどんな思いでしたか?

三上:僕は、今回の「ヴァンパイア・レジェンド」「DRACULA」で、以前に及川さんが演じた役をいただいたこともあって、「及川さんの後継者」と言われたこともあったんですが、エーリクという役は、失礼な言い方になるかもしれませんが、小さい身長のイメージがあったので、自分に来ることはないと思っていたんです。キャスティングを(演出の)倉田さんから聞いた時は、まずびっくりして、今から緊張しています。でも、やはり『トーマの心臓』をやってみたいという気持ちは、入団した時からずっと持っていたので、純粋に嬉しかったですね。

松本:僕も本当にびっくりしました。僕は少年役をいただくことが多いんですが、その時は立ち姿ひとつから、及川さんにアドバイスをいただいて、助けてもらっていたので、及川さんのイメージの強いエーリク役も、いつかやれたらいいなと思っていたんです。ただ、その「いつか」というのは5年後か10年後ぐらいのイメージだったので、今はただただびっくりしています。

──その及川さんから、何かアドバイスはありましたか?

三上:(及川さんの)家に二人でメシ食いに来い、と言われています(笑)。


──曽世さんは、3回目のオスカーになりますね。

曽世:思い起こせば3回目なんですが、オスカーという役にはとても思い入れがあるんです。僕は入団しての初舞台が『トーマの心臓』で、バッカス役をいただいたんですが、当時は劇団がアンダースタディ(代役)システムを採用していた頃で、僕はオスカー役のアンダースタディをやらせていただいたんです。もし笠原さんに何かあったらいつでもいける(笑)ぐらいの気持ちで。笠原さんの芝居から、オスカーについて多くのことを学びました。空き時間には、当時ユーリ役だった山さんを相手にオスカーの台詞を返させてもらったこともあって……。なので、僕にとってオスカーという役は、入団して芝居を始めた最初から、ずっとついてまわっているんですね。



一度ユーリ役もやって、ユーリにとってオスカーという存在がどれだけ大きいか良く分かりましたし、前回の公演(2003年)で再びオスカー役になった時は、いろいろな経験を生かしてプラスしていきたいと気合が入ったんですが……そうなると今度は、自分にとって笠原さんのオスカーがあまりに大きくて、最初は苦労したんですね。キャラクターがあちこちに行っているうちに、役へのスタンスが上手く取れなくなってしまったんです。でもやはり自分のベースにあった役なので、最終的には前回も楽しくできたと思っています。
今回は、今まで『トーマの心臓』では同じ役が2度続いて来たことがなかったので、どうなるだろうと思っていたら、オスカー役となりました。今回は迷いなくやりたいですね。笠原さんからいただけるものはすべていただいた……とは言い切れないんですが(笑)、笠原さんが作り上げたオスカーというものが僕の中に息づいているのは確かなので、それはそのまま僕の中に生かして、あとは曽世海児オスカーを大きく飛翔させたい、羽ばたかせたいと思っています。新しいキャストと一緒に、新しいチャレンジをしたいですね。

──今回、エーリクはまったく新しいお二人になりますが、松本さん、三上さんのそれぞれの良さがエーリク役にこんな感じで生かされるのでは、という期待をお伺いしたいのですが?

曽世:まず基本的に、彼らは僕のことが大好きですからね!

松本&三上:(笑)!

曽世:僕のことをこれでもかというぐらいに慕ってくれるので、まずそこはお芝居を作りやすいと思っています。(笑っている松本さんと三上さんに)違いますか(笑)?

三上:いえ、違いません!

松本:その通りです!

曽世:なんか、言わせてるみたいだな……(笑)。
三上とは『白夜行 第一部』の時に、篠塚一成と川島江利子という役で関わって、早朝稽古などもやったりしました。松本とは舞台の上で一緒に何かをやったことはないんですが、ある作品の時に、自主稽古を一緒にやったことがありましたね。

松本:自分がなかなかできなくて、一人で稽古場の隅で泣いていたことがあって、帰りも一人、公園でずっと泣いてて……海児さんに「明日、朝稽古につきあってください」って電話したんですよね。

曽世:泣いてたなぁ(笑)。僕にとっては、純粋にオスカーがエーリクに感じるような心情があるので、その辺はまんまオスカーとエーリクの関係につながっていけるかな、と思っています。この子達、ただのいい子では絶対にないですし(笑)、何も知らないという強みと面白さもありますから。

──そのあたりは、エーリクという役どころ自体とも共通していますね。

曽世:そうなんですよ。とんでもない空気を持ち込んでくる転入生ですから、とんでもない存在でいいんです。マインドさえきちんと把握できれば、面白いものになるはずだし、楽しみですね。

──ユーリ役に、新しく奥田努さんが加わりますね。オスカーとエーリクが深く関わるユーリという役について、山本芳樹さん、奥田努さん、それぞれの印象は?

曽世:奥田は今までにやった役の印象からも、(ユーリ役が)あるかなとよぎったことはあったんですね。正直、まだどんなユーリになるか想像はつかないですが、奥田の中にユーリの質があることは信じていますから。ユリスモールが変わるということは、とても新しいことなので、そこを彼がどれだけ楽しんで、あの深い世界に入っていけるかということがキーポイントかな、と思っています。
(山本)芳樹さんとは、『MOON CHILD〜月の子〜』でショナとセツという役をやってから、話すことや飲みに行くことも多くなりまして。一緒にいる時間も長いので、二人部屋で一緒に過ごす空気を共有できるだろうし、普段の信頼関係を生かせるだろうと思っています。何の心配もなく、ぶつかってもいけるし、ぶつかってこられても大丈夫です。

──松本さんは山本さんのユーリと組まれますね。

松本:僕の初舞台は2004年の『DRACULA』だったんですが、その時にキンシー役(子供)として、ジョナサン役の芳樹さんと組みました。それ以来、ずっと芳樹さんには優しくしてもらってますし、バレエも教えていただいていて、本当に僕ら同期は、芳樹さんのことが大好きなんです。『トーマの心臓』の中には、ユーリとエーリクがぶつかって、エーリクがユーリを嫌いになる場面もありますが、大好きな芳樹さんを芝居の上とは言え、嫌いになれるかどうか……。あと、自分の中には、芳樹さんと及川さんのコンビのイメージも強いので、そこに入っていけるのかなと思っています。

曽世:何を遠慮してるんですか(笑)。賽はもう投げられたんですよ!
でも、そういう意味では良かったよね。松本たちは、バレエを習っているから、芳樹さんと一緒に過ごす時間が長いしね。
(松本さんに向かって)信頼関係が舞台の上に出るということは、Studio Life の舞台づくりで必ず言われる話じゃない。『トーマの心臓』が劇団のベースになっている意味は、稽古が始まると分かると思う。普段の信頼関係は、使おうと思えば、舞台の上でも使えるんだよ。せっかく男だけでいるんだしね(笑)。普段の仲の良さや信頼関係が、舞台の上に上手く乗っかっている瞬間は、絶対に素敵に見えているだろうし、それが男性だけの劇団の強みであり、武器(笑)。深く楽しく仲良く関わっているものを、役者の信頼関係として舞台の上で見せられたら、『トーマの心臓』をやる意味が伝えられるだろうから。

松本:はい!

──三上さんは、奥田さんと組まれますね。

三上:奥田さんとは、同じ小道具班担当なので、舞台の真剣な話もしたり、奥田さんの家に泊まりに行ったりと、本当に仲良くしていただいています。稽古ではすごく熱い人で、話してみたら意外に面白くて(笑)。舞台の上で一緒に出たことはまだ一度もないんですが、舞台の上の奥田さんが好きなので、今から楽しみですね。

──オスカーには、新しく高根研一さんが加わりますね。

曽世:これも、オスカーに新しく誰が来るかなと思った時に、脳裏をよぎった名前だったんですね。過去には『メッシュ』のミロン役をダブルキャストでやったこともありましたし。オスカーとミロンは、違うんですがどこか共通点もある役だから、今回のキャスティングは「なるほど」でした。彼ももう、劇団ではベテランですからね(笑)。彼なりのオスカーを作り上げてもらえればと思います。

──先輩オスカーとして、高根さんに伝えたいことは?

曽世:偉そうなことは言えないんですけど(笑)、オスカーという役は、がちっとポジショニングが描かれていない分、自分で探していかなければならない作業が難しいんですよね。でも、彼も随分と長く『トーマの心臓』には関わってきて、作品世界も理解していますから、感覚は大丈夫だと思います。

──高根さんは、サイフリート役からオスカーへの転身ですね。

曽世:彼は、バッカス役もやってますからね(笑)。そう思うとキャスティングって面白いですね。バッカスをかつてやった二人が、それぞれユーリとサイフリートという両極の役をやって、今度はオスカー役になるんですから(笑)。


──『トーマの心臓』には印象的な言葉やシーンが多いですが、特に印象深いものはありますか?

曽世:これは……一部だけを切り取ることはできないですね。この作品は、場面は変わっていく中にも、『トーマの心臓』という時間と空気が全編にわたって流れているイメージがあるんです。切り取ろうにも、全編つながっているので切り取れないんですね。逆に見どころという意味では、「人がどうしても人を求めてしまう」感覚を舞台の上で体験できれば、素敵なものになると思っているので、とにかくそこを感じていただければと思います。
多分どの役でもこの世界にぽんと入っていって、最初に発する言葉がデリケートになるんですよね。とてつもないファンタジーの中で、とてつもないリアリティある心情を演じる、その最たる作品なので、その中でそれぞれ背負うものがあるんです。僕も一言目は緊張するかもしれないし、大事に世界に入っていきたいですね。(松本さんと三上さんに向かって)一言目は緊張するぞ〜(笑)。

三上:心しておきます!

曽世:『トーマ』は特に、Studio Lifeが作り上げてきたもの、そして萩尾望都先生が描いていらした世界が現実にあって、そこに飛び込んでいく怖さと面白さが絶対にあるから、そこは楽しめればいいんじゃないかな……って俺も偉そうになったな、まったく(笑)!僕も楽しめるように頑張ります(笑)。


──では最後に、いらっしゃるお客様にメッセージをお願いいたします。

三上:何か新しい風を巻き起こしたいと思いますので、ぜひ観にいらしてください。

松本:ただただ今は緊張だけなんですが、それを全力で楽しめるように、そしてお客様にも楽しんでいただけるように頑張りますので、ぜひいらしてください。

曽世:Studio Life の芝居は「観てもらう、プラス感じてもらう芝居」だと思っていて、もちろんエンタテインメントとして見せなければいけない部分もありますが、『トーマの心臓』はStudio Life が持っているカラーの一つとして、感じてもらう作品だと思うんです。観ていらっしゃるお客様それぞれの心の中にしみていくような作品ですし、他の作品とは一線を画す作品だとも思います。人が人をどうしても求めてしまう、人間の原点が描かれている作品なので、来ていただいて何かを感じていただければ、何かしらのしずくが心の中に残るのではないかと思っています。


(取材:イープラス演劇班スタッフ)



コメント

 Studio Life の「トーマの心臓」の初演を観た衝撃と感動は今でも覚えています。その後の再演等も観てきました...もとは萩尾先生のファンですので、期待と不安を抱きつつ足をはこびました。 新しいキャストでのトーマ、大いに期待しております。 ファイト〜!
直緒子
(2006-04-09 13:23)
私とスタジオライフの初めての出会いは、初演の訪問者でした。男優集団という異色なキャストで、大好きな萩尾先生の作品がどのような舞台になるのか不安もありました。が、その不安を裏切る大きな感動を与えてくれたのを覚えています。
今回のトーマの心臓の再演、新エーリクのダブルキャスト・・・また、新しい感動を与えてくれることを、期待しています。
kae
(2006-04-12 20:46)
しばらくStudio Lifeさんの舞台から離れていましたが、「トーマの心臓」は私がはじめてライフの公演を見た思い出の作品なので、ひさしぶりに劇場に行ってみようかと思います。
好きな役者さん・松本くんのエーリクを演じるとのことなので、楽しみにしています!
ともみ
(2006-04-17 21:57)
今回初めて観に行きます。原作を再読してから行こうか若干迷ってたのですが、コメントを読んで先ず舞台を観ようと決めました。ライフが作り上げてきた「トーマの心臓」を純粋に楽しみたいと思います。新しい風に期待!頑張って!
いづき
(2006-04-25 18:51)
私が始めてStudioLifeのお芝居を見たのが「トーマの心臓」。いつかまた再演をしてくれたらな、と思っていたので今回の再演はとても嬉しいです!!!しかも応援をしている松本さんがエーリックを演じられると言うことで、ますます嬉しくなりました。どんなエーリックを見せてくれるか楽しみにしています。
motomi
(2006-04-29 10:40)
東京の劇団の舞台を観に上京したきっかけが原作が愛読書だった「トーマの心臓」でした。Studio Lifeとの出逢い、初演からの「トーマの心臓」を観続けている事はわたしにとって大きな宝物です。
PIECE
(2009-11-28 19:08)

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