『舞台レインマン』 製作発表レポート[レポート(記者会見、公開リハーサル、etc.)]

傑作映画「レインマン」を世界初の舞台化!
親に反発し家を飛び出した弟と、自閉症の兄の兄弟を通し、家族愛を深く描いた名作「レインマン」が、今、舞台として甦ります。
その製作発表が、12月8日に都内で行われました。その模様をレポート!
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脚本・演出:鈴木勝秀

元々の『レインマン』は、兄弟が旅の中で様々な人に出会っていくロードムービーなので、場所はどんどん変わっていくし、多くの人が出てくるので、舞台化するのは大変困難な作業でした。舞台化にあたっては、まず登場人物を4人に絞り込み、映画の根本にある普遍的なテーマの部分のみを抽出する作業を行いました。

映画でチャーリー役を演じたトム・クルーズは当時20代で、役柄も中古車ディーラーという設定でしたが、椎名さんも、また兄レイモンドを演じる橋爪さんも、それより年齢が上なので、いろいろ検討した結果、まずチャーリーの設定を40歳近くのネットトレーダーというように変更しました。兄弟の父親の死をきっかけに、二人は再会することになるわけですが、その時にちょうど、チャーリーが非常に大きな勝負に出ていて、負けると財産がなくなってしまう、という状況設定にしています。

ロードムービー的な部分については、舞台では回り舞台で表現しようと思っていまして、舞台を回していくことで、場所が移り変わっていくところを表現したいと思っています。

舞台化にあたって特に難しかったのは、このロードムービーを動かない舞台の上に乗せるということで、なぜ『レインマン』が今まで舞台化されなかったのかといえば、多分みなさん、面倒だったからなのでしょう(笑)。さらに、アカデミー賞4部門受賞という名作だけに、映画を越えていこうとすることにはかなりの労力が必要になってきます。

(そんな企画をなぜ引き受けたのかといえば)今まさに、家族の絆のようなものが薄れてきていると感じているんですが、兄弟愛、ひいては家族愛の再生をぜひ舞台表現にかけたいと、かなり強い衝動としてあったからなんです。
この二人が兄弟であることに気づき、そこに強い絆を求めていき、さらにそれが広がって、パクさん演じる恋人スザンナとの関係というところの決着まで、今回の舞台ではお見せしたいと思っています。みなさんの意気込みも十分にありましすので、どうぞご期待ください。

☆『BENT』以来となる椎名桔平について
椎名さんのことは、本当に若い頃から知っておりまして、その頃から何か一緒にやろうという気持ちがお互いにあったと思います。その後、テレビで僕が脚本を書いた作品を椎名さんが出演したりと言うことがあった中で、大きなところでご一緒したのが『BENT』でした。その時も、また一緒にやろうねと話していまして、いろいろ企画を考えていたんですが、今回TBSさんからこの企画をいただいて、椎名さんでどうかという話が浮上しました。とにかく魅力のある男ですから、これから先も機会があったら一緒にやって、いろいろな面を見たいなと思っています。今回はイケイケのネットトレーダーから兄弟愛に目覚めていくというキャラクターなので、彼の優しい面が見えたりするんじゃないかなと思ってます。


チャーリー役:椎名桔平

チャーリー役は、映画ではトム・クルーズが20代でやっていた役で、今自分(の実年齢)が40代なんですね。スズカツ(鈴木勝秀)さんといろいろ打ち合わせをし、職業をどうするかという話になりまして、いろいろ検討した結果、ネットトレーダーという職業になりました。

(映画版での)中古車ディーラーの20代後半という設定より、キャラクターは複雑化しているように考えています。幼い頃にレイモンドとの間に起きた事件で怪我を負っているというバックグラウンド、そして、人とのコミュニケーションを取らないで、パソコンの前ですべての仕事をする、引きこもりのようなスタイルの仕事をしているという、非常に病んでいるキャラクターになっていると感じています。人を信用できないし、贅沢をしているわけでもないのにお金が欲しいと思っている、そんなところも興味深いキャラクターです。魅力のあるキャラクターにできればと思っています。

僕も二人兄弟で兄がいるんですが、重ね合わせるところも出てくるかなと思っています。肉親に対しては、ついつい忘れがち……というか、近しいだけに甘えてしまうところや、あっという間だと思っていたら長い時間だったりということがある。田舎の両親も健在なんですが、この作品を通して気づきがあるのでは、と思っています。今回、レイモンドに会うことによって、今まで信じて生きてきた道、価値観が、本当に心から大きく変化していく瞬間があるんですが、そういったものを自分でリアルに受け止めていきたいと思います。

☆(『レインマン』世界初の舞台化に対するプレッシャーは?
まだ誰も舞台化してないし、初めてなので、あまりプレッシャーなどは感じていません。もちろん映画が名作だと言うことはみなさんご存知のとおりですが、舞台とは全然違うものですし、スズカツさんの台本はリニューアルされている感じが強いですし、キャラクター設定もかなり変化しているので、そういう意味ではまっさらな作品だと思って臨みたいと思っています。


レイモンド役:橋爪功

(今までのキャリアの中で)激しい芝居をたくさんやらせていただいて、僕自身も激しい舞台が好みだったので、なるたけウェルメイドな芝居には出るまいと誓いを立てていたんですが(笑)。今回は、ウェルメイドというものとはちょっと違いますが、みなさんご存知の有名な話だし、どうしようかと思っていたんですけれど、鈴木さんにお会いして、なんか油断しちゃって(笑)。話しているうちにやる気が起きて、お引き受けしました。一にも二にも十までスズカツさんの責任だと思ってます(笑)。

椎名さんとは、今日初めてお会いしましたが、同じ関西人同士で、ちょっと安心しました。今は稽古が早く始まるのを楽しみにしています。

レイモンドと言う役は、やたらめったら数字に強い人間で、あまり(会話に)絡まないんですね。だから台詞が起こりにくい。数字ばかり言わなきゃいけないので、どうしようかなと思ってます(笑)。スズカツさんはでたらめな数字を言ってればいいよ、と言うんですけど(笑)。そういう意味では、今まで私がやったどんな芝居とも違うし、燃えているという感じですね。

こういう企画をやってくださって、スズカツさんが脚本にしてくださって、僕も4〜5日前にいただいたんですが、よくできている、本当にいい台本が出来上がったと思ってます。それを上手く2時間ちょっとの間でお見せできて、なおかつお客さんがとても癒された感じで、帰っていただけるような舞台にしたいと思っています。的がいろんな意味で大きいので、ぶつかってもいいかなと思っております。

この作品の芯にあるテーマは、コミュニケーションだと思います。劇団の仲間うちで喋っていても、相手に伝わっているかどうかを不安に思うことは多々あるんですが、そういう問題はみんなが抱えている問題だと思うんですね。家族や友人でも、同じ言語でも通じないということがある。増して今は、情報がいっぱいあるし、ますますコミュニケーションは希薄にならざるを得ませんよね。今朝見てきたテレビの話題を喋ることはできても、喋りあう人間がどのように繋がっているかについては、とても不安で寂しい思いがあると思います。友人でも恋人でも夫婦でも、同じこと。それがつまり、人間関係の根本に流れている苦しさや難しさなんですね。
このドラマでは、レイモンドとチャーリーが話をしていく中で、過去とコンタクトが取れたり、自分が生きてきた時間の中で自分とコンタクトできたり、そしてチャーリーともコンタクトができるようになっていきます。いろいろな事件を考えても、あの時にコミュニケーションが取れていれば、ということがありますよね。そこが根っこにあるので、舞台の上で椎名くんとコンタクトできた!という瞬間を見てもらえたら、お客様も気持ち良く帰途についていただけるのではないかと思っています。

☆『レインマン』世界初の舞台化に対するプレッシャーは?
元がロードムービーなので、台本に起こすのも難しいし、舞台化するのも難しいと思うんですが、逆に舞台って何でもできると思っているんですね。そういう意味では、今までこれを舞台にしなかったのは不思議だと思っています。舞台上ではあらゆることが可能だということはお客さんも良くご存知だと思うし、その辺は全然心配していません。


スザンナ役:朴ろ美

最初にお話をいただいた時は、あまりの嬉しさに叫び声をあげました。ご本人を目の前にして言うのは恥ずかしいのですが、人間的にも役者的にも一番尊敬している橋爪さんとご一緒できることと、『ヌードの夜』から大好きだった椎名さんとご一緒できると言うことで、本当に足を引っ張らないよう、素敵な舞台を作っていきたいと思います。

スザンナという役は、チャーリーとの関係にも苛立ちを感じ始めていて、家族を持ちたいとか、結婚について、かなり焦りがあるんじゃないかとも思っているんですが、観に来てくださった方、特に女性の方に共感を持っていただけるようなスザンナを作っていきたいと思っています。

(声優としての仕事と舞台としての仕事の違いについて問われて)声の仕事も舞台も、表現することに変わりはないと思っていますので、あまりそういう意識をもったことはないんです。ただやり方は違うので、声の仕事の場合はマイクがあって、相手の方と目を合わせることもできないので、視線を合わせるようなことを強くイメージしていかなければいけないのですが、舞台の場合は、相手の方と相対して芝居を乗り切るので、自分の中でどんなものが動いていくのか、確認して精一杯体当たりしていきたいと思っています。

☆(『レインマン』世界初の舞台化に対するプレッシャーは?
プレッシャーはもちろんあるんですが、個人的なものなので、舞台化そのものについては、今お話を聞いて、プレッシャーに感じなきゃいけないのかな、と思ったくらいです(笑)。

☆『レインマン』のような再会の思い出は?
勝手に『ヌードの夜』で椎名さんと出会ったと思っていますので、今回は運命の再会です(笑)。

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