劇団Studio Life『トーマの心臓』製作記者発表会レポート[レポート(記者会見、公開リハーサル、etc.)]

4月20日(木)早稲田奉仕園にて、劇団Studio Life(スタジオライフ)の次回公演『トーマの心臓』の製作記者発表会が行われた。

劇団創立21年目のスタートとして、劇団の代表作である『トーマの心臓』を、2006年6月3日(土)〜29日(木)まで新宿・紀伊國屋ホールにて、7月8日(土)・9日(日)、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演することを発表。製作記者発表会には、原作者の萩尾望都氏を迎え、主宰の河内喜一朗氏、作・演出の倉田淳氏、そして新キャスト総勢23人が揃った。

『トーマの心臓』の世界を表現したいとの意図で選ばれた早稲田奉仕園の礼拝堂を舞台に、作品への熱い思いが次々と語られた製作発表会。その模様を、イープラス演劇班スタッフがレポート!


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主宰:河内喜一朗(ヴェルナー(トーマの父親)役)

まず初めに、劇団の主宰であり、これまで約100ステージでヴェルナー(トーマの父親)役を演じてきた河内喜一朗が、今回6度目となり、劇団を20年存続させた大きなきっかけともなった『トーマの心臓』について、
「ともすれば私たち役者は、お客様が笑わなければ演劇ではないと思いがちなのですが、『トーマの心臓』の舞台に立ち、しんとした静けさの中に身を置いて、これこそが劇的空間でありドラマなんだと感動したことを思い出します。このことが、その後10年、今に至るまでStudio Lifeの作風となっていきました。
今年は21年目で、次なるディケイド(10年)のスタートとなる年です。この時に、やはり初心に戻り、ストレートプレイを実感することが大切なのではないかと考え、Studio Lifeの原点とも言うべき『トーマの心臓』を上演を決めました。『トーマの心臓』と言う世界を、我々だけでなく、お客様にも体験し実感していただけたら幸せです」
と語った。


演出:倉田淳

次に、演出を担当する倉田淳より
「6度目の上演ですが、この作品は本当に奥が深く、稽古を重ねていく度に、毎回新しい発見があります。15〜6歳の少年たちが自分と真摯に向き合い、自分の深淵を見つめ、様々なことに答えを探していくドラマで、本当に大好きな作品です。私たちが聖域(サンクチュアリ)と呼ぶ世界に、また新しい気持ちで一歩足を踏み入れたいと思います」と、挨拶があった。

今回の新キャスティングについては、
「1996年に一緒に初演の舞台を立ち上げたオスカー役とユーリ役の役者が、当時20代半ば過ぎの年齢でしたが、10年経って30代半ばになると、さすがに制服が似合わなくなって(笑)、世代交代を決めました。『トーマの心臓』初演時から始めたオーディションで入団した世代が育ってきたこと、2003年に初代キャスト卒業公演という形で区切りを付けられたこともあり、今回は新しいキャストでスタートすることになりました。
新キャストと言っても、みんな『トーマの心臓』とは深く関わってきていますし、(エーリク役の)松本と三上は直接舞台で関わった経験はなくても、Studio Lifeでは先輩たちから折に触れ『トーマの心臓』の話を聞くこともあり、まったく知らないという役者はいません。みんなで力をあわせて、新しいトーマの世界に入っていきたいです」と語った。

なお、今回の舞台の見どころについては、
「タイトルでもあるトーマ・ヴェルナーという少年が、死ぬことによってユーリの中に生きようとしたことを、今までの公演では伝えられきれなかった部分が反省としてあるので、そこを強く踏まえてイメージを持って行きたいと思います。台本は特に変えませんが、それぞれの登場人物たちの背景に、トーマ・ヴェルナーがはっきりと見える舞台に挑戦したいです」
と語った。


原作:萩尾望都

『トーマの心臓』原作者であり、これまで数多くの傑作を生み出してきた少女漫画家の第一人者萩尾望都からは、
「私が20代の頃に書いた作品で、当時ヘルマン・ヘッセに夢中だったものですから、ドイツのギムナジウムを舞台とした、男子校の全寮制寄宿舎ではぐくまれる友情と愛というテーマで描きました。Studio Lifeさんに非常に清らかで美しい雰囲気の舞台にしていただき、大好きな舞台になりました。次の公演もとても楽しみにしています」
とメッセージがあった。


今回の新しいキャスティングについては、再演以来ずっとStudio Lifeの舞台を観続けてきただけあって、こんな詳細なコメントも。

■ユリスモール・バイハン役の山本芳樹、奥田努について

「芳樹さんは透き通った泉のような深さと香りのようなものを持っていて、イメージがふくらむユーリです。今回はどこまで深い底を見せてくれるかと思っています。奥田さんは初のユーリ役ですが、キャラクターがパッション系だと思うので、どれだけ情熱を見せてくれるか楽しみにしています」

■エーリク・フリューリンク役の松本慎也、三上俊について

「今回若手の二人になりましたが、いつもエーリクは、公演が進むにつれてどんどん天使になっていくように見えるので、今回はいつぐらいに天使の輪っかが見えてくるようになるか(笑)、それが楽しみですね」
ここでは、司会の曽世海児より「すごいプレッシャーがきましたよ!いつ頃から天使の輪を出していきますか?」と質問を振られ、松本慎也が「萩尾先生が最初に来てくださる日には必ず!」と答える一幕も。

■オスカー・ライザー役の曽世海児、高根研一について

「曽世さんは、ご本人が非常にチャーミングでスイートな方ですから、その持ち味が生かされたオスカーをまた観られると思うと、とても楽しみです。高根さんは逆に、エッジの上にいつも立っているような印象がありますので、また全然違うオスカーを見せてくれるのではないかと楽しみにしています」

■サイフリート・ガスト役の岩崎大、舟見和利について

「今回一番驚いたのが、サイフリート役に岩崎さんと舟見さんが抜擢されたことですね。岩崎さんは未知数のところがあって、どんなサイフリートになるか楽しみです。舟見さんは、今までソフトな役が多かったから、鞭を振るう時にどんな感じになるのか、今はわくわくしています(笑)」


各キャストからは、今回の舞台にかける意気込みが語られた。

■エーリク・フリューリンク役の松本慎也、三上俊より

松本「入団してから『トーマの心臓』が特別な作品であることを感じていたので、そこにエーリク役として参加できることをすごく幸せなことだと思います。今できる自分のすべてをかけて、真摯に役に取り組みたいと思います」

三上「Studio Lifeに入団してから、ずっと出たいと思っていた『トーマの心臓』に出られるのが嬉しいです。転校生の気持ちで、がむしゃらに頑張っていきたいです」

 

■ユリスモール・バイハン役の山本芳樹、奥田努より

山本「4回目のユリスモール役ですが、変に慣れずに新鮮な思いでやっていきたいです。新鮮な気持ちとは原点、そして原点とは、どれだけユリスモールと言う役、そしてこの作品の世界を愛せるかということに尽きます。役者を始めてがむしゃらにやっていた時の気持ち、好きで好きでたまらない気持ちでやっていた初心の思いを感じられる作品なので、小手先のことはいらないですね。どれだけ愛して愛して愛しぬけるか……テーマは愛、で臨みたいと思います」

奥田「ユリスモール役は、原作を読めば読むほど、つくづく難しいと思わされる役です。不安もありますが、それができる楽しさも役者として感じます。期待と不安でいっぱいですが、頑張ります。
(入団6年目で本公演初主役について問われ)主役というのは分量の多いキャストであり、果たして今の僕で出来るのかとまず思いましたが、でもやっぱりやりたいという気持ちがものすごく出てきています。役を演じるという意味では、小さい役も大きい役も変わらないと思うので、必ず今までやってきた自分を信じて、ユリスモールと言う役をやりたいです」

 

■オスカー・ライザー役の曽世海児、高根研一より

曽世「今回オスカー役は3回目ですが、今まで先輩とばかり組んできた『トーマの心臓』で、今回はがらりと変わり、自分が先輩という立場になってしまいました。関わり方としては、原点に帰って、どれだけその役を愛せるか、ということに尽きると思います」

高根「オスカーと言う少年は、(『トーマの心臓』の外伝的存在の)『訪問者』という作品で描かれている通り、ものすごい人生を生きてきた人なので、それを上手く表現していきたいです。すごい人生を送ってきたのにすごく優しくて、でも、その優しさの中にある苦しさや悲しみを表現していきたいです」

 

■サイフリート・ガスト役の岩崎大より

岩崎「サイフリートも愛ゆえの悪、悪ゆえの正義なんですね。自分の正義と愛を貫く役作りをしたいと思います。サイフリートは自分が信じる道を貫き通した人で、それが暴力と言う形で表現の仕方は違ってしまいましたが、結果それも愛だと(観る人に)感じてもらえればと思います」


次に質疑応答では、主に原作者の萩尾望都氏と演出の倉田淳氏に、記者たちから質問があった。

──萩尾望都先生との出会い、『トーマの心臓』に関する思い出は?

倉田「初演の上演許可のFAXをいただいた時、そこに、とても思い入れの深い作品なので、舞台化は自由にしていただいて構いませんが、私は観に行きませんと書かれていたんです。足がすくんで、こんなに大切な作品をやらせていただくのかと怖い思いでした。初演はご覧いただけなかったのですが、その翌年にベニサンピットで再演した時、今回はお見えになるかもと、当時プチフラワーの編集長だった山本さんから伺って、でもいついらっしゃるかは分からなかったんです。ある日、ふと「今日じゃないか」と感じた日があって、ずっと受付に張り付いていたら、本当にその日にお見えくださり、それはもう口から心臓が飛び出るような思いでした。劇団員が緊張してしまうから、萩尾先生がいらっしゃることは内緒にと決めたのですが、その15分後に座長みずから全員にそれをばらしてしまいまして(笑)。大騒ぎになって、すごく緊張した舞台でした(笑)。それ以来、Studio Lifeの公演には必ずお越しくださるようになり、劇団員も可愛がっていただいて、本当にありがたいと思っております」


──萩尾先生にとって、Studio Lifeとはどんな存在ですか?

萩尾「出会えて本当に良かったと思っています。初演は怖くて観に行けなかったんですが、いざ観てみたら、倉田さんの作る世界がとてもきれいで、一度で気に入ってしまいました。それから公演に足を運ぶようになりましたが、劇団特有の色合いや雰囲気が独特で、悲しいような甘やかな感じがいつも漂っていて、大上段ぶって感動ドラマをやっているわけではないのに、段々胸にしみてくる、そんなところが大好きです。いつも元気をいただいています」

──初演は行かれなかったのに、再演を観に行かれた理由は?

萩尾「初演の時、(当時の担当だったプチフラワー編集長)山本さんが、Studio Lifeはなかなかいい劇団だよと言ってくれたので、上演を許可したんですが、小さな劇団のようだからきっと(公演も)一回だけだろうし、あまりにドキドキして怖かったので、行くのをやめてしまったんですね。脚本もお願いして送っていただいたのに、ドキドキして読めなかったくらいだったんです。でも、すぐにまた再演が決まったと聞いて、やっぱり行けばよかったと惜しむ思いがわいて、ドキドキしながら再演を観に行って、そうしましたら、倉田ワールドにどっぷりはまってしまって、今に至ります(笑)」


──『トーマの心臓』が多くの支持を受け続ける理由は何だと思いますか?

倉田「今は人とのつながりが希薄になって、傷つかないように生きていけてしまう時代ですが、でも絶対に人は一人では生きられないし、そのためには傷つくこともあるけれど、成長という喜びもある。自分と真摯に向き合う姿勢から、多くのことを発見し成長していくということを、見事につくりあげている世界であり、そこが多くの方に共感されているところだと思います。私たちの舞台については、てらうことなく真摯に取り組んでいること、男性が女性役を演じることについても色物的なアプローチではなく、真面目に取り組んでいることをお客様が感じてくださっているんだと思います」

萩尾「Studio Lifeの舞台の上で、漫画で描いたキャラクターが肉体を持って立ち上がって動いているところを観るのは非常に快感で、それぞれのキャラクターがかっこよく見えるんですね(笑)。会話劇の面白さもあり、息遣いや間合いが伝わってくる全体の雰囲気が、何回も足を運ばせるところになっているのではないかと思います」


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東京公演は好評発売中!大阪公演は4/29(土)より発売!
東京公演はすでに予定枚数を終了した公演日が多数ありますので、お早めにお申込みください。

コメント

はじめまして。今から楽しみです。名古屋に住んでいるので1回しか観に池なんですが・・・・名古屋にも来て下さい。何回でも見に行きます。
みい
(2006-05-10 22:41)
初演から観ているので、もう何度目になるでしょうか。
あの頃は若かったので…、1公演中に何度も観に行きました。
前回の公演が、主キャストの卒業公演で、とてもさびしい気持ちでした。
今回は観に行くのをやめようと思っていましたが、行きます!
新キャストの皆さん、どうぞ新しい『トーマの心臓』を観せてください。
何度も劇場に足を運びたくなるような『トーマ』を作ってください…
エーリクのお二人、天使の輪が早くできるといいですね。
NO NAME
(2006-05-12 13:40)
トーマは、友人よりBSのDVDを借りて拝見してから、公演には、7公演拝見しています。
今回はフレッシュな顔ぶれが沢山悩みながら、頑張って居るとの事。優しい感覚で観たいと思います。
日々仕事追われているから、ほんとの意味で、癒されていて、尚且つ勉強になっていて助かります。
これからも皆様が色々な顔を見せてメジャーの階段を上られる事を願っています。楽しみです!!
mayu
(2006-05-28 13:21)
今日大阪千秋楽、名古屋から見に行きました、とても幸せな気分になり、ライフの皆様には感謝、感謝、です。先月は東京と今回は2回しか見れなかった、名古屋にも来て下さい。何回でも見たいです。
もも
(2006-07-09 23:21)

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