もしこのふたりが、同じクラスにいたとしたら……あんまり接点のなさそうなコンビだ。かたや劇団「カムカムミニキーナ」に所属、二枚目でも三枚目でも、ボケでもツッコミでもない絶妙なラインを歩む山崎樹範。かたや超端正なルックスと、意外なオトボケ風味をあわせ持つ金子昇。4年前のドラマ共演で意気投合した旧知の仲だ。
そんなふたりが、来月幕を開ける舞台『サムシング・スイート』で共演する。それに先駆けて彼らが顔を揃えたのは、山崎が定期的に行っているソロトークライブ「やましげひとりぼっち」。ゲストコーナーに突如現れた金子の姿に場内は騒然、そして大喝采。オイシイところを持っていかれた山崎は、はたしてどんな反撃に打って出るのか……?
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ステージの上に、椅子がふたつ。並んで座るふたりに、客席の女性陣から「……近っ!」とのツッコミが入る。言われるままにすごすごと、椅子を数十センチ遠ざける山崎。
女3人、男2人の少人数芝居。その共演者として山崎の名前を見つけたとき、金子はほっとしたという。
金子 「少人数の舞台だから、最初ぎこちない空気が広がったらどうしようと思って。だからやましげの名前があって、あーよかったーと思ったんだよ、ほんとに」
そんなふうに思ってくれたんだー、と目尻を下げる山崎。ああこのふたりは本当に仲良しなんだな、と、たぶん客席の誰もが思った。無理にテンションを上げるでもなく、相手のトークを冷ややかに見下ろすでもなく。同じ呼吸、同じ温度で、会話は続いていく。
でもよく考えると、ふたりは舞台についてあまり詳しく語ることができない。だって金子の役柄は特に、物語を大きく転換させるキーパーソンであり、それについて説明しようとすると、大いに「ネタバレ」になってしまうのだ。うーん、と頭を抱えるふたり。

山崎 「……ほんと言うとさあ、稽古始まるのもすーごい心配。俺浮いちゃうんじゃな
いかと思って」
金子 「すげえ。浮けるの?」
間髪入れぬ金子の小ボケに、山崎も「浮けねーよ! そんな芸当できたら俺こんなとこいないもん!」ときっちりツッコんだあとで、話は一気に加速する。俳優を目指してこの道に入りながら、バラエティ番組でも思わず笑いを取りに行ってしまう、互いの性分について。

山崎 「芝居の仕事より、しゃべる仕事の方が多かったりするからね。自己紹介するときとか、“俳優です”なんて言いきれないもん」
金子 「俺も俺も」
山崎 「でも、好きでしょバラエティ?」
金子 「……大っ好き」
山崎 「そうなんだよ! 芝居もバラエティも好きだから、両方できてうれしいんだけど、どっちもハンパにしたくないから、悩むんだよなあ」
金子 「ね。両方で一流になる方法って、ないのかなあ……」
少年のように心を揺らす、33歳の男たち。

山崎 「でもそんな、カッコよくて天然で、笑いも取れて、なんか素直にシャクなんだけど(笑)。しかもすっごい気配りするし、イイ人だしさー」
金子 「え、でも、ほんっとの意味で悪い人なんて、この世の中にいなくない? どんな人でも、みんな何かしら悩んでたり、気を遣ってたりするでしょ?」
ああ、まさしく。『Something Sweet』作・演出の中谷&板垣コンビの人間観は、まさにそれである。哀しいのに笑ってみせたり、寂しいのに強がってみたり、愛してるのに傷つけてしまったり。たとえば『ビューティフル・サンデイ』(2000年初演)で描かれたのは、愛されたくて転げまわる独身女性とゲイカップルの、ひとときの心の交流だったし、今回『Something Sweet』にも出演の星野真里が初参加した『お父さんの恋―Family Tale―』(2005年)は、それぞれの事情と思いを抱えた、父と子どもたちの物語だった。
大人だからこそ、身に染みる痛み。そしてそのあとにたどりつく、ささやかな温かみ。そんな劇世界の片隅に、こんな愛すべき男たちがいてくれるなら、これはちょっとした奇跡が起こったりするのかもしれない。

金子 「なんか楽しいねー。稽古場も、こういう空気でいきたいなあ」
山崎 「そだね。男子ふたり、結束していこう!」
その結束ぶりは、ぜひ劇場でご確認を。
◆プロフィール −Profile−
山崎樹範(やまざき しげのり)
1974年2月、東京都出身。
劇団カムカムミニキーナ所属。劇団内外の舞台公演で活躍するほか、映像出演も多数。主な作品にドラマ『天体観測』『Dr.コトー診療所』『電車男』『Ns’あおいSP』(以上CX)、『ママの遺伝子』(TBS)、『独身3!』(ANB)、『愛情イッポン!』(NTV)、映画『恋愛寫眞』『容疑者 室井慎次』など。ラジオ『SCHOOL OF LOCK』(全国FM 毎週月〜木22:00)では、“やましげ校長”として司会を務め、高校生をはじめとするリスナーたちに圧倒的な支持を得ている。
金子 昇(かねこ のぼる)
1974年10月、長崎県出身。
01年、ドラマ『百獣戦隊ガオレンジャー』に主演し子供から大人まで爆発的な人気を得る。以降、端正な顔立ちと運動神経を活かして多方面で活躍。主な作品にドラマ『火消し屋小町』(NHK)、『大奥〜第一章〜』(CX)、『嬢王』(TX)、『こちら本池上署』(TBS)、『松本清張 わるいやつら』(ANB)、バラエティ『スポーツマンNo.1決定戦』(TBS)、『隠れ家ごはん!』(ANB)、映画『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』など。舞台にも『お登勢』(芸術座)、『ラブ・レター』(博品館劇場)など精力的に出演している。
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