王道のラブミュージカル! 美内すずえ×ガラスの仮面劇場『女海賊ビアンカ』[観劇レポート]

 『ガラスの仮面』といえば、少女漫画史に刻まれる名作だ。その劇中劇という形で、原作者・美内すずえによって生み出されたのが『女海賊ビアンカ』。今回は一部キャストを変えての再々演。ちなみに、『ガラスの仮面』本編からは独立した物語なので、漫画の知識がなくてもご安心を。

ゲネプロレポート

 時は16世紀。ヴェネチアの大貴族の長女として何不自由なく育ったビアンカ(唯月ふうか)が、なぜ男の身なりをし、海賊として生きることになったのか――? 彼女の激動の人生が、前向きなメッセージを込めて描かれる。

 背景にあるのは、16世紀イタリアの歴史的窮地。ルネサンスの栄華は今や昔、イタリアの各都市は、大国スペインに対抗するため、生き残りをかけていた時代。ビアンカは、ジェノバの貴族の御曹司・ロレンツォ(神永圭佑)との結婚を命じられる。ヴェネチアとジェノバが手を結ぶための政略結婚だが、それを良しとしないスペイン側により、ビアンカはある陰謀にかけられてしまう……。

 政治が絡んだ歴史物としても楽しめるし、どんな運命にあっても自分を信じ、強く生き抜こうと前を向くビアンカに勇気をもらえるしと、様々な角度から堪能できる。主演の唯月ふうかの実力と存在感にも脱帽だ。ある時は夢見るお姫様として可憐な笑顔をほころばせ、またある時は男勝りの海賊として剣を振るい……どちらも魅力的で、知らぬ間に目と心を奪われていた。

 また、ド派手なCG演出が多い昨今にあって、影絵というアナログな手法も逆に新鮮だ。演出・上演台本は、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』で国内外から評価を高めた児玉明子。アンサンブルの踊り含め、完成度の高さを感じさせた。

 とはいえ、メインの見どころはやはり、少女漫画原作ならではの王道ラブストーリーだ。ビアンカを取り巻く3人の男性は、それぞれ魅力にあふれている。まずは、優雅で気品あふれるロレンツォ。政略結婚ながら、ビアンカと真実の愛を交わし合う純粋さは、まさに理想の王子様。2人目は、ビアンカの護衛として付き従うクールな剣士・アルベルト(原嶋元久)。自分の想いを押し殺し、影のようにビアンカを支える姿が、切なく胸を打つ。そして3人目は、海賊の副首領として、男装のビアンカを見守るシルバー(根本正勝)。海賊らしい、ワイルドな男臭さを漂わせる。

 三者三様の男性に対し、ビアンカが最後に選びとる愛とは、果たして……!?ハラハラ、そしてときめきながら愛の方を見守らずにいられない。原作ファンならずとも楽しめる作品に仕上がっていた。

[取材・文=荒川陽子]

公演概要

美内すずえ×ガラスの仮面劇場「女海賊ビアンカ」

<公演日程・会場>
2015/9/9(水)〜9/13(日)  AiiA 2.5 Theater Tokyo (東京都)

<スタッフ・キャスト>
原作・脚本:美内すずえ
演出・上演台本:児玉明子

出演
唯月ふうか

根本正勝

神永圭佑
原嶋元久

大沢逸美

三田村賢二
美郷真也
小西成弥
市山貴章

藤田 玲

吉岡 佑

寺山武志 、高橋里央、北村 毅、堀部佑介
替地桃子、山田美緒、佐々木もよこ
大岩主弥、山口侑佑、田中大地、高士幸也、成富健太、中山フラビオ一秋、
伊藤 慧、廣瀬湧也、福島悠介、及川崇治
明日香、新橋 和、太田ふみ、奈良里美、大崎朱音、高木真緒、山崎涼子、榊原萌 

※詳細につきましては、公式HPよりご確認ください。

主催 ネルケプランニング
企画協力 アカルプロジェクト
(c)美内すずえ/アカルプロジェクト

2015-09-18 15:17 この記事だけ表示