WAHAHA本舗PRESENTS「梅ちゃんの青い復活祭」 梅垣義明さんにインタビュー![インタビュー]

インタビュー

――1988年からスタートした「青い」シリーズですが、今回で24作目になります。元々はどうやって始まったものなんですか?

 劇団っていうのは芝居をする集団だから、役者は芝居がないと出どころがないんですよ。それで僕がWAHAHA(本舗)に入りたての頃、うちの演出家から「一人で何か面白いことやりなさいよ」って言われたんです。そこで、美輪(明宏)さんが好きだったこともあって、女装をして真面目にシャンソンを歌ってたんですよ。だけど誰も聴いてくれないから、何かネタをやりながら歌ってみようと思ったのがきっかけなんです。

――そうだったんですね。

 最初は、タバコを鼻で2本吸って口から煙を出しながら「煙が目にしみる」を歌ったり。タイトルに関しては、うちの近所に戸川昌子さんのシャンソニエがあって、それが“青い部屋”っていう名前だったんです。昔のシャンソンのライブハウスみたいな良い雰囲気の場所で、戸川さんに「名前使っていいですか?」って聞いたら、「いいよ」って返事をもらえて。

――なるほど。では、これまでの膨大な数の公演の中で印象深い出来事って何か思い出せますか?

 今までやってきた中で好きなのは、お客さん300人全員を舞台に上げて、「これから機関銃でみんなを撃つから死んでくれ」って死体役をお願いして、その中で「地上の星」を歌ったことですね。お客さんを舞台美術として使うんだから、普通の舞台ではありえないですよね(笑)。それで感動して泣いてる人もいるし、笑ってる人もいるんですよ。でも、僕からするとどう捉えてもらおうが構わないんです。

――とんでもないですね(笑)。

 他にも、開演前に客席からハゲのお客さんを探して楽屋に呼んで、開演前からずっとカツラをかぶっててもらうようにお願いするんですよ。それで、Billy Joelの「Honesty」っていう、「正直、素直」っていう意味の歌がありますよね。その曲を歌う前に、「人に言えないことをカミングアウトして、正直に生きていこう」っていう話をするんです。それで、曲を歌いながら客席まで降りていって、その人のところまで行ってカツラを取るんです。お客さんは一瞬、ポカーンとされるんですけど、すぐに笑いになって。そういう他でやってないことを僕はやりたいんですよね。

――それもまためちゃくちゃなエピソードですね。

 でも、おばあちゃんとか若い子が一緒になって笑ってる姿を見るのは楽しいし、変な話ですけど、こんなにくだらないことをやって盛り上がってくれるのはありがたいですよ。くだらないけれど、くだらなすぎると面白いじゃないですか。

――老若男女問わず一緒に笑うこともすごいけど、そういうお客さんを集められることもありえないですよね。

 会社が終わってから来たり、家から来たり、いろんな人がいると思うんですけど、会社から劇場まで来る時間、劇場で観てもらう時間、そこから家に帰る時間、その全部を僕はもらってるんですよ。その責任はすごく感じてます。だから僕は舞台が終わった後、当たり前のようにお客さんと握手をするんです。でも、みなさん「そんなことまでやってくれるの!?」って喜んでくださるんですよね。本当にありがたいと思います。

――そういったお客さんを楽しませるために、常に新しいものを生み出していくのもなかなか大変な作業ですね。

 大変ですよ! 新しいものなんて滅多に生まれてこないって(笑)!

――でも、これまで笑わせ続けてきたからこそ、24作目まで続いてるっていうことですもんね。

 それはありがたいことですよね。周りはみんな辞めていっちゃうけど、僕が続けてるのはこれをやりたいからだし、やると楽しい。他の舞台を観に行って面白いと頭にくるんですよ。ジェラシーを感じちゃって。僕は自分の舞台以外の芝居に出ることもありますけど、そこだとあまり心が解放されないんですよ。僕が普段やってるのは芝居ではなくてライブだし。

――そうすると、公演がなかったこの3年間はストレスがたまったんじゃないですか?

 いや、そうでもないですよ(笑)。

――あ、そこは違うんですね(笑)。

 芝居って楽だなぁって思うもん! ネタ作らなくてもいいし(笑)……芝居は一語一句間違いなくやらなければいけないけど、ライブでは、そうはいかないでしょ。その日のお客さんのノリに合わせて、その場で変えていかなきゃならないし……そんなことを考えた3年間でしたね。どんな3年間だよ(笑)

――それでも芝居からのフィードバックもありますよね?

 それはもちろんありますよ。面白い芝居を見ると「なんで自分はあそこにいないんだろう…?」って思うんですよ。そういう風に「出たい」とか「悔しい」と思わせてくれる舞台は楽しいです。

――さて、今回は「青い復活祭」ということですが、フライヤーにはなんだか思わせぶりなことが書いてありましたけど……。

 そうです! 重大発表をします!

――どんなネタになりそうですか?

 劇場っていうのは非日常の空間だから、普段味わえないことをやりたいですね。僕のネタは人から「下品だ」ってよく言われるけど、敢えて奇をてらおうとか、テレビで出来ないことをやろうということではないんですよ。そうではなくて、僕は“下品と上品の狭間”を行き来するのが面白いと思ってるんです。昔、よく観に行ってたゲイバーのショーで、おちんちんの形をしたキャンディを舐めながら歌うっていうのがあったんですけど、それはただ下品なだけじゃないですか。笑えるところでちゃんと寸止めしないといけないんですよ。そういった意味では、僕はどんなことをやっても下品に見せない自信がありますね。とにかく、新しいものをやります!だから、(周りにいるスタッフたちに向って)みんなネタ考えて(笑)

――それは楽しみです!

 あと、普段なら3、4ステージはやるんですけど、今回は1ステージしかないから本当に来て欲しいですね!

――3年も空いてたことで、みなさんすごく期待してくるでしょうね。

 いや、忘れてるかもしれませんよ(笑)。さすがに3年は空けすぎだって! 今の時代はサイクルが速いから! でも、長いことお待たせした分、楽しいものをお見せします! さっきも話したけど、下品と上品の狭間、舞台でやって許されるギリギリを楽しみにしていてください!

[取材・文=阿刀“DA”大志]
[撮影=渡辺マコト]

公演概要

WAHAHA本舗PRESENTS「梅ちゃんの青い復活祭」

<公演日程・会場>
2015/12/19(土)  ラフォーレミュージアム六本木 (東京都)

<出演・キャスト>
【構成・演出】 喰始
【出演】 梅垣義明 杉浦哲郎(pf)

2015-10-01 16:48 この記事だけ表示