ミュージカル「黒執事」−地に燃えるリコリス2015− 古川雄大・福崎那由他・広瀬友祐・佐々木喜英インタビュー![インタビュー]

 2009年の初舞台化以来、再現性の高さと世界観で人気を博しているミュージカル「黒執事」。昨年、シリーズ4作目として、原作でも人気の「赤執事篇」を舞台化し、連日満員を記録した『ミュージカル「黒執事」−地に燃えるリコリス−』が、今年11月・12月、新キャストを迎え、新たな演出と新たな楽曲も交えて上演される。

 なんといっても今回の話題は、大作ミュージカルでの活躍も目覚ましい古川雄大が主役の“悪魔で執事”のセバスチャンとして新参加すること。新たな座長を迎え、さらなる躍進を続ける本作。これから始まる稽古に先駆けて出演者の古川雄大・福崎那由他・広瀬友祐・佐々木喜英の4名が、再演への思いを語り合ってくれた。

客席で感じたあの思いを純粋に伝えていきたい。

――福崎さんは前回、ファントムハイヴ家の若き当主・シエルとして初舞台を踏みました。

福崎はい。初舞台なのですごく緊張したんですけど…それ以上にキャストのみなさんやお客様の存在に支えていただいた安心感で、全公演やり切れたんだなって思ってます。カンパニーのみなさんがオフの時間もすごく見守って可愛がってくださったので本当に楽しい日々でしたし、シエルを演じ切れたことで…少しですけど、役者としての自信もつけることができました。

――チャールズ・フィップス役の広瀬さんと、ドルイット子爵役の佐々木さんも前回に続いての登板ですね。

広瀬僕は前回からの参加で、公演に関して個人的な思い出はもちろんたくさんあるんですけど…やっぱり一番残っているのは大千秋楽での那由他の涙ですね。この年齢でこれだけの大役を任されて、その中では那由他にしかわからないプレッシャーや大変なこともたくさんあったと思うんです。でもあの純粋な涙を見て「コイツ、しっかりやり切ったんだな」って感じました。おそらく那由他の人生でも特別な時間になったその中で、共演者として一緒に側にいられたことは自分自身にとっても財産になりました。ホント、忘れかけていた気持ちを思い出させてくれた涙です。

古川当時12歳だっけ。確かにそれはすごいよ。

佐々木僕は2013年・2014年と出演させてもらってるんですが、去年はまた新しいソロの曲をいただき…それがその場を一気に持っていくような重要なナンバーだったので、毎回とても気持ちよくやらせてもらいました。

――そして今回、新たにセバスチャン・ミカエリスとして出演されることになったのが古川さん。今の心境はいかがですか?

古川僕はリコリスの前の「−The Most Beautiful DEATH in The World−千の魂と堕ちた死神」を劇場で観たんですけど、本当にお客さんとして純粋に舞台を愉しんだのを覚えています。目の前にこの『黒執事』の世界観がしっかり広がっていて、客席のみんながそこにグイグイ巻き込まれながら没頭できて。2.5次元ミュージカルとしての力や魅力をしっかり味わえた舞台という印象でしたね。そこに今回こうして座長として参加できるのは非常にありがたいですし、嬉しいことです。みなさんにお世話になりつつ、自分もこれからこの世界観をしっかり勉強していかないと。

福崎古川さんとはビジュアル撮影で初めてお会いしたんですけど、メイクと衣装がない普通の状態でもセバスチャンのオーラが出ていました。そこにさらにお芝居が乗ったらどんなセバスチャンになるんだろうって、わくわくします。

古川ありがとう。

佐々木僕の中の雄大くんは、見た目も細いし凄く中性的なイメージなんですよ。だから今回、雄大くんがどんなセバスを演じるのか楽しみ。きっと、僕らのまだ知らない新しい面を見せてくれるんだろうな。

広瀬確かに素の雄大くんは、見た目と中身のギャップが強い人だと思う。だって、男から見てもこんなに美しいのに、中身が…えーと、うーんと…

古川気持ち悪いんだよね(笑)。

福崎・佐々木(笑)。

広瀬うー、うん? まぁそこまでは言わないけど(笑)、すっごく柔らかいところと非常に個性的で男らしい面の両方がある感じ。僕らはもう雄大くんは雄大くんとして自分にしかできないセバスを信念もって出して来てくれるってわかってるし、全面的に信頼してます。なので、あとから入ったとかは気にせずに、好きなようにどんどんやってくれれば。もちろん、僕らもそこで一緒に進んでいきますしね。一緒に新たなリコリスを創っていきましょう!

古川セバスは本当に完璧な存在で…完璧主義な人物って凄く魅力的ですけど、舞台で生モノとしてそれを魅せていくのは凄く難しいことでもあって。でもホントにね、“自分がやるセバス”を追求するのが一番の課題ですね。

――ほかのみなさんは同じ役を再び演じる上で、自分の中で今回のトライと決めていることなどはありますか?

福崎前回はやっぱりシエルのことを考えるのでいっぱいいっぱいになってしまったので、今回はさらにシエルがセバスチャンのことをどう思っているのかとか、叔母であるマダム・レッドへの思いとか、愛情や気持ちの部分をもっとしっかり深めていきたいです。そうすることで歌もさらにシエルらしく歌えると思うので。

広瀬フィップスは相棒のチャールズ・グレイと共にWチャールズと呼ばれる存在ですが、あの白いコスチュームがより際立つよう、今回は体幹をガッツリ鍛えようかと思ってます(笑)。舞台って常に全身を見られているし、すべてにおいてごまかしが利きませんからね。『ミュージカル黒執事』の世界に生きる人物として、前回よりも細かなところにも注意を払いながら、より自然に、より特殊な存在としてのフィップスを印象づけていきたいです。

佐々木僕はやっぱり場の空気をグッと引き寄せるソロナンバーですね。あの曲ってバックダンサーさんは振付があるんですけど、センターの僕は歌っていることもあってそんなに激しく動けないし、そこは振りとか付けないから好きにやっていいと言われたので…前回の腰をクネクネしたり地面に這いつくばったりっていう動きは、全部自分で考えたんですよ。

古川そうだったんだ! ドルイットのテンションってすごいよね。

佐々木だからダンサーさんたちにも「どうやったら美しく気持ち悪い振りになりますか?」って相談してヒントをいただいたりもしつつ、毎日鏡の前で研究してました。

――ドルイットはダークファンタジーの世界の中で妖しく輝く、美と変態が共存したかなり濃いめのキャラですからね。

佐々木稽古で演出の毛利さんが僕を見て爆笑してくれるのがすごく嬉しかったです(笑)。一カ所、「もうだめ もう我慢できない」っていう歌詞のあとに4カウントくらい間があって、そこだけはなかなか埋められなかったんですけど、あるときなんとなく喘いでみたんですね。そうしたらその瞬間、音響さんがエコーかけてくれて! すごいですよね。もちろん、即採用になりました。

福崎その瞬間見てました! すごかったです。

古川・佐々木・広瀬(笑)。

――ちなみに福崎さんは『ミュージカル黒執事』でほかにやってみたいキャラクターってありますか?

福崎うーん…ドルイット子爵!

古川おっ。パチパチパチ!(拍手)。

広瀬まじで!?

福崎はい。ヒデさんの演じるドルイットってすごい気持ち悪くてカッコいいんですけど、やっぱり自分も一度はそういう変人的な役もやってみたいな〜って。憧れます。

佐々木うわ〜、見てみたいなぁ。じゃあ…10年後くらいとか?

福崎そうですね(笑)。

広瀬それ、なんかすごいな。

古川すごい。那由他は可愛いけどしっかりした面を持ってるのは僕もわかるからね、どんどんチャレンジしてみればいいんじゃない?

――ではそんな未来への期待も抱きつつ(笑)、まずは今回の公演で新たな「地に燃えるリコリス」に出会えるのを楽しみに待っています。

佐々木今回公演数が多いんですよね。なので僕ら役者は本番中のケアも改めてしっかりとやって。最後までドルイットのテンションの高さを保ちたいです。

広瀬どんな舞台も毎回、やってもやっても絶対「これで満足」ってことはないしね。まずは前回超えを目標に、このカンパニーにしかできないリコリスを目指しましょう。

福崎僕もこんなに長い公演は初めてだし、ちゃんと黒執事という作品を皆さんに届けられるようにしっかり気をつけながら頑張りたいです。

古川長い分、海外を含めいろんな地方のお客様に会える、僕らが作品を届けに行けるというのはすごく嬉しいですし、ありがたいですよね。今どきなかなかここまでのツアーを組める作品って多くないので…恵まれた環境に感謝します。作品としては僕が客席で感じたあの思いを純粋に伝えていきたい。そしてそこで座長として“居る”ことがもう大きな挑戦でもあるし…僕はセバスのように完璧なお世話をするのは無理ですが(笑)、サプライズとかプレゼントとか僕は誰かの喜ぶ顔を見るのがとても好きなので――みなさんへもそんな気持ちでこのミュージカル「黒執事」を届けにいきたいです。

[取材・文=横澤由香]
[撮影=平田貴章]

公演概要

ミュージカル「黒執事」−地に燃えるリコリス2015−

<公演日程・会場>
2015/11/7(土)〜11/10(火)  梅田芸術劇場 メインホール (大阪府)
2015/11/14(土)〜11/15(日)  名取市文化会館 大ホール (宮城県)
2015/11/21(土)〜11/29(日)  赤坂ACTシアター (東京都)
2015/12/4(金)〜12/6(日)  キャナルシティ劇場 (福岡県)
2015/12/11(金)〜12/13(日)  上海藝海劇院 (海外)
2015/12/18(金)〜12/20(日)  北京展覧館劇場 (海外)
2015/12/25(金)〜12/27(日)  深圳保利劇院 (海外)

<キャスト・スタッフ>
原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
演出:毛利亘宏 
脚本:井関佳子 
出演:古川雄大 福崎那由他 
植原卓也 矢田悠祐 広瀬友祐 輝馬/佐々木喜英
鷲尾昇 河原田巧也 坂田しおり 木俊 寺山武志 和泉宗兵
荒木宏文/AKANE LIV ほか

2015-10-16 10:22 この記事だけ表示