アラン・エイクボーンによる傑作喜劇『とりあえず、お父さん』で、藤原竜也、浅野ゆう子、柄本明との四人芝居に挑戦する本仮屋ユイカを独占インタビュー![インタビュー]

 世界的に知られる英国の喜劇作家、アラン・エイクボーンが1965年に発表した作品が『とりあえず、お父さん(原題:Relatively Speaking)』。この傑作戯曲を海外コメディの演出家として高評価を得ている綾田俊樹が演出し、藤原竜也、本仮屋ユイカ、浅野ゆう子、柄本明という意外性と新鮮味がある顔合わせで上演する。
 グレッグ(藤原)は、とあるパーティで出会ったジニィ(本仮屋)に夢中。ある日、実家に帰るというジニィをグレッグはこっそり追いかけ、目指す家に到着すると、そこではフィリップ(柄本)とシーラ(浅野)夫妻が互いの不貞を疑い、腹の探り合いをしていた。夫妻をジニィの両親だと思い込み挨拶するグレッグだったが、実は彼らは……?
 すれ違い、勘違いの人間模様にハラハラドキドキしながら爆笑できる痛快コメディが期待できる。
 この舞台経験の多い演技派揃いの四人芝居で、ジニィを演じるのは舞台出演は2012年の『パレード』以来これがまだ二度目となる本仮屋ユイカ。この秋3年半にわたり務めた『王様のブランチ』のメインキャスターを卒業し、この舞台を自らの新たな一歩として意気込んでいる彼女に、話を聞いた。

四人芝居のプレッシャーよりも、藤原さん、浅野さん、柄本さんと
密に演技ができることの期待値のほうが断然大きく思えるんです

――今回の舞台のお話が来た時はどう思われましたか。

 まずはやはり『王様のブランチ』のMCを卒業して、初めての作品が舞台というのはうれしいなと思いました。

――ということは、つまり初舞台『パレード』の経験がいい思い出だったから。

 そう、すごく面白かったんです! もう、舞台に立っている時間はずっと「生きててよかった〜、幸せ!」と思っていましたから。お客さんに観てもらえている、あの一体感みたいな感じは舞台のお仕事でしか味わえませんよね。

――あの時は同世代のキャストの方が多くて、いかにも現場が楽しそうでしたね。

 楽しかったです! 同じメンバーで毎日稽古ができるというのも幸せでしたしね。ひとつのシーンをあんなにたくさん練習できるということも、それにともなってみんなとたくさん言葉が交わせるのもうれしかった。練習を重ねなければ生まれない絆と信頼感というものもきっと生まれていたと思います。

――それはまさに演劇ならでは味わえることでしょうね。今回はまた初舞台の時とはかなり雰囲気の違う顔合わせ、内容の翻訳ものになります。

 今回の作品は確かに喜劇なんですけど、原作の戯曲を私はあまり笑わずに読み切っちゃった感じがあって。たぶん「自分がやるならどうなるだろう?」って想像しながら読んだせいでしょうけど。客観的に客席で見たら、勘違いしているところとか、慌てふためいているさまとかでかなり笑えそうだなと思います。

――四人芝居というのはプレッシャーではないですか。

 それ、いろんな人に言われてから気づきました。「担うものが大きいよ」って言われて「なるほど!」って(笑)。私はまず「藤原さん、浅野さん、柄本さんとご一緒できるなんてラッキー!」って思っていて、つまりお三人と密に演技ができることに対しての期待値のほうが断然大きかったんです。でもだんだん、そうか4分の1ってことは単純に計算したら、私の担当は30分間も!それは大変だーって思うようになってきました(笑)。

――柄本さんとは初顔合わせだそうですね。

 そうです。浅野さんとは『SMAP×SMAP』のコントで共演させていただいていて。藤原さんは『ブランチ』に何度かゲストでいらっしゃったので面識はあります。そして藤原さんと浅野さんとはポスター撮影の時にお会いできてご挨拶もできたんですけど、なんだか同じ地面に立っているのに大きく見えるというか、オーラに圧倒されるというか。決して威圧的なわけじゃなくて、たぶんいろいろな現場で培われたものだと思うんですけど、自由に使えるパーソナルスペースが大きいんでしょうね。舞台って何が起こるかわからない中でやっているパフォーマンスだからこそ身についた度量の大きさ、愛情深さ、自由度を感じました。それを見た時にも「なんてことだ!」と思いました。

――柄本さんに会ったら、またその思いが深まるかもしれないですね。

 そうですね。でも萎縮するというよりは大きい山を見て「うわあー、この山きれいだね」という感覚に近いかもしれません。みなさんきっと、いいボールをたくさん未熟な私に向かってわかりやすく投げてくださると思うので、それを全部拾いこぼさないように丁寧にやりたいなと思っています。

――そして演出は綾田さん。

 綾田さんにはまだお会いしたことがないんですが、笑いに関してはシビアで、求められるある程度のレベルまで粘る方だという噂は聞いているので。粘ってもらえることがありがたいと思いつつ、その場所まで行けるように努力したいと思っています。

今回はとにかく今までの自分を全部越えていきたい!
この舞台でそれがきっとできるという予感がすごくあります

――コメディをやることに関してはいかがですか。

 コメディ、大好きなんです! 人に笑ってもらうこと自体が大好きなのですごく楽しみです。でもふだんは笑ってもらえるように何か作為的に演技するというよりも、自分は普通にやってるだけなのになぜか笑われるということがとても多くて(笑)。

――天然ですか?(笑)

 なんかちょっとズレているように見えるみたいで(笑)。それはそれで自分の特性としてラッキーだなと思っているんですけどね。でも今回は喜劇ですから、計算された中で生み出していく笑いの部分が大事になると思うので、そのあたりは自分もきっちりできるようになりたいなと思っています。

――本仮屋さんが演じるジニィというのは、現時点ではどういう女の子でどう演じようと思われていますか。

 ちょっと大胆な女の子だなと思います。平気で嘘がつけちゃうし、それでも絶対大丈夫って思ってる、どこか強気な女の子。自信過剰なところもあるのかもしれないですね。でも、それだけだと私だったらあまりこういう女の子と仲良くなれないかなって思うから、お客様が「私でも、この状況ならあるかもな」って共感してもらえるような、リアリティのある女の子にしたいなとは思っています。せっかく約2時間、みなさんと一緒に時間を共有できるんですから、一緒にアタフタしてほしいし、一緒に慌てたり困ったりしてほしい。その空気をどんどん大きくして、最後は大きな笑いにつながったらうれしいですよね。

――本番に向けて、何か目標みたいなものはありますか。

 細かいことはいろいろあるんですよ。もともと声がそんなに太くないので、ちょっと太めの声が出るようにしたいなとか。でも、とにかく今までの自分を全部越えていきたいんです。この舞台ではそれがきっとできるという予感がすごくありますね。今回は自分が見たことのないような景色が見られるような気もするので、もうこれ以上出せないくらい、振り切って自分を出していきたいなと思っています。

――では、一番楽しみなことというと?

 やっぱり久々の舞台なので、ファンの方に生で元気でやってる姿を見ていただけることはすごくうれしいです。それと、今回オファーを受けた時にすぐやりたいとは思いつつ、どうしても怖い気持ちもあって。それを後押ししてくれたのは、実は愛知公演があったからなんです。名古屋に住んでいる妹に観てもらえますからね。さらに富山とか福岡とか大阪でも公演があって、公演回数が多くなることはビビリポイントでもあるんですけど(笑)。だけどその分、チャレンジできる回数も増えるわけなので、さらに進化していけるんじゃないかな。今回の舞台がすべて終わったあと、自分がどう変われるかというのも楽しみのひとつではありますね。

――いろいろなものを手にすることができそうですね。

 むしろ、今回は得るものより削ぎ落されるほうが多いかもしれないです。いろいろな本を読む中で、ああなりたい、こういうふうになりたいと自分の外に答えやあこがれを求めていたんですけど、結局自分がやることなんだから自分の中からしか生まれないんだということに最近気づいて。だから、いろいろなものを手放してシンプルに、怖がらずに表現できる潔さというものを身につけたいなと思うんです。

――では最後に、イープラスのお客様へ本仮屋さんからお誘いのメッセージを。

 関係者に言われたんですが、この公演、注目度が高くてマジで人気なんですって!(笑) ですから、もしちょっとでも行こうかなと思っているなら今、クリックしちゃったほうがいいですよ!

――力強いメッセージですね(笑)。

 それだけ魅力的なお三方が出られますからね。年末ですし、みなさんきっとお忙しいと思いますけど、そういう華やいだ季節にこういう楽しいお話はすごく合っていると思うので。いい年末年始を過ごすためにも、ぜひ観ていただきたいです。満足してもらえるのは間違いなし! きっと「ああよかったな〜」って思える、贅沢な2時間をお届けしますので、どうぞよろしくお願いします!!

[取材・文=田中里津子]
[撮影=平田貴章]

公演概要

とりあえず、お父さん

<公演日程・会場>
2015/12/3(木)〜15/12/23(水・祝) 天王洲 銀河劇場(東京都)
2016/1/9(土) 富山県民会館ホール(冨山県)
2016/1/13(水) 熊本市民会館(熊本県)
2016/1/16(土)〜16/1/17(日) キャナルシティ劇場(福岡県)
2016/1/22(金)〜16/1/24(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)
2016/1/27(水)〜16/1/28(木) 東海市芸術劇場 大ホール(愛知県)

<キャスト・スタッフ>
出演:藤原竜也/本仮屋ユイカ/浅野ゆう子/柄本明
作:アラン・エイクボーン
上演台本:藤井清美
演出:綾田俊樹

2015-10-19 10:38 この記事だけ表示