スーパー歌舞伎II(セカンド)ワンピース ゲネプロレポート[ゲネプロ]

 尾田栄一郎原作の世界的大ヒット漫画を舞台化したスーパー歌舞伎U(セカンド)『ワンピース』が連日賑わっている。注目の作品の全貌が明らかになったのは初日前日の公開舞台稽古でのことだった。主人公ルフィを含む3役を演じ演出を手がける市川猿之助が囲み取材で語った言葉を交えながらその内容に迫る!

スーパー歌舞伎U『ワンピース』はライブのような一体感!

 炎の場面から一転して舞台上に現れたのは大量の水が流れ落ちる大滝。客席に水しぶきを飛ばしながら大立廻りが繰り広げられたかと思うと、その興奮冷めやらぬまま宙乗りの場面へ。
 海賊王を目指す主人公・ルフィに扮した市川猿之助が1階席上空を斜めに横切る宙乗りは、かつて見せたどの宙乗りより滞空時間が長い。ゆずの北川悠仁が書き下ろした主題歌『TETOTE』が流れる中、客席のあちこちにカラフルな衣裳に身を包んだ登場人物たちが出現し場内に手拍子が巻き起こる。場内はまるでライブ会場さながら。

 公開舞台稽古の折の囲み取材で猿之助は、「仕上がりは90パーセント、やれることはすべてやりました。あとの10パーセントはお客様が入って初めて完成する」と話していたが、100パーセントを超える盛り上がりだ。

 そうかと思えば、血のつながりを越えた“家族”や“兄弟”の愛や絆が描かれたドラマ性の高い物語で観客をぐっと引き込む。せりやすっぽんなどの舞台機構を駆使した演出によって時空は超越、さまざまな演劇的手法で奥深い劇空間をつくりだしていた。火や吹雪の場面ではダイナミックで見応えある場面が続出。レーザービーム、フライング、本火などの戦闘シーンに観客が沸き立つ。

 “ゴムゴムの実”を食べたため手が伸びるという設定のルフィが戦闘の折に繰り出す技をどう表現するか……。関心を集めていた場面は新旧さまざまな手法で表現されていた。技によっては2階、3階席の方がそれをより堪能できることだろう。

 個性豊かな原作のキャラクターたちは、人間のみならず動物やサイボーグ、骸骨まで存在し、表現は難しいといわれていた。だが、隈取りや大仰にデフォルメされた衣裳など歌舞伎で培われてきた伝統との相性はよく、それを現代風にアレンジするとスーパー歌舞伎Uに登場する役としてみごとに溶け合う。

 なぜ歌舞伎でやるのかを意識し、「換骨奪胎をして歌舞伎なりのものをお見せする」と語っていた猿之助。その答えが舞台上に結実した。キャラクターの個性を役として自分の中に取り込み、それを表現する出演俳優ひとりひとりの舞台人としての志の高さが芝居全体を底上げし、観客の心に響いている。

 ルフィの冒険さながらにスタッフ、キャスト一丸となっての舞台は、爽快感いっぱいの見どころ満載の舞台となった。

[取材・文=清水まり]

公演概要

スーパー歌舞伎II(セカンド)ワンピース


<大阪松竹座3月公演 日程・会場>

2016/3/1(火)〜3/25(金)  大阪松竹座(大阪府)

<スタッフ・キャスト>
出演: 市川猿之助、市川右近、坂東巳之助、中村隼人、市川春猿、市川弘太郎、市川寿猿、坂東竹三郎、市川笑三郎、市川猿弥、市川笑也、市川男女蔵、市川門之助/
平岳大、嘉島典俊、浅野和之 ほか

曲目・演目:ワンピース
尾田栄一郎 原作
横内謙介 脚本・演出
市川猿之助 演出

※昼の部/夜の部 同一演目にて上演します。

<東京公演 日程・会場>
2015/10/7(水)〜11/25(水)  新橋演舞場(東京都)

<スタッフ・キャスト>
出演: 市川猿之助、市川右近、坂東巳之助、中村隼人、市川春猿、市川弘太郎、市川寿猿、市川笑三郎、市川猿弥、市川笑也、市川男女蔵、市川門之助/
福士誠治、嘉島典俊、浅野和之 ほか

曲目・演目:ワンピース
尾田栄一郎 原作
横内謙介 脚本・演出
市川猿之助 演出

※昼の部/夜の部 同一演目にて上演します。

2015-10-19 16:52 この記事だけ表示