ブロッケンの妖怪 稽古場レポート[稽古場レポート]

 竹中直人と生瀬勝久が「竹生企画」として4年振りにタッグを組んで送り出すホラーコメディ「ブロッケンの妖怪」。人気劇作家・演出家の倉持裕が作・演出を務めることもあり、大きな話題を集めている今作の稽古の様子が取材陣に公開された。

稽古場レポート

 取材当日、稽古開始直前の稽古はリラックスしたムードに包まれていた。キャストは思い思いの時を過ごしている。稽古場の隅でセリフ合わせを行っているのは竹中と高橋恵子。あまりに自然なやり取りで、セリフ合わせをしていることに一瞬気付かなかったほどだ。佐々木希と大貫勇輔はストレッチで体をほぐしている。佐々木は今作が舞台初挑戦だが、緊張した様子は見受けられない。セリフ合わせはいつの間にか終わり、竹中を中心に雑談に花が咲く。話している内容までは分からなかったが、笑い声も聞こえてきていい雰囲気だ。

 スタッフから稽古のスタートが告げられ、その前に取材陣が紹介されると、「写真の修正はしてくれるのかな? 目を大きくしてもらわなきゃ」と竹中がおどけ、一同大笑い。しかし、すぐにモードを切り替え、各人がそれぞれの持ち場につく。一気に緊張感が高まる。このメリハリにしびれる。
 稽古は台本の18ページ、つまり物語の序盤と思われるシーンから始まった。取材先である孤島の洋館にたどり着いた竹中演じる絵本作家・打越が、窓の向こうに霧が広がるのを見つけ、そんな打越の様子を暖炉の影から佐々木演じる小真代が見ているというシーン。「霧だ!」と竹中のバリトンの効いた声が稽古場に響き渡る。

 ひと通りの流れを演じ終えると、その様子を見守っていた倉持から佐々木へ、「つま先、かかとを意識して」と声が飛ぶ。その他にも2人の立ち位置を確認するなど、冒頭から細かい指示が入った。
 続いての場面では、桃役の安藤聖、黒柳役の生瀬、稲井役の大貫、泊役の田口浩正、そして虹子役の高橋も登場し、キャスト全員が舞台上に出揃う。洋館の持ち主でもある虹子が船乗りの泊に苦情を言いながら姿を現すシーンでは、高橋の存在感に全体がピシっと引き締まったのが印象的だった。

 一旦カットが入り、空気が弛緩する。束の間の休憩の間に、生瀬が佐々木に声をかける。「失敗しても失敗してないように見せるごまかし方を身につけたほうがいいよ。セリフを間違えてもとにかく話を進めるクセをつけて」と、百戦錬磨の俳優らしいアドバイスを与えているようだ。ちょっぴり強気な性格の娘を演じる佐々木は、真剣な表情で生瀬の言葉に耳を傾けている。

 稽古再開。「心配しないでも何も喋っちゃいないわよ! あなたがお父さまを殺したこととかね!」という小真代のセリフをきっかけに、舞台上に緊張が走る。ここからどう物語が展開するのか気になるところだ。

 場面は変わり、稲井と泊が豪雨の中、傘をさしながら物資を洋館に運び入れるシーンに。物語の本筋には大きな影響のなさそうな一幕ではあるが、ここで大貫が見事な身のこなしを見せる。17歳からプロダンサーとして活躍している彼らしく、体全体を使ったダイナミックかつ繊細な表現で嵐に煽られるマイムを披露。倉持と話し合いながら少しずつ修正を加え、よりリアルな演技を追求していく。まあ、劇中では「何をしてるんだ?」「踊ってる」「なんで豪雨の中で踊ってるんだ?」「知らないわ」と打越と小真代に茶化されるのだが。

 稽古開始から40分が経過し、稽古場の温度はいつの間にか上昇していた。キャストの演技にも一層熱がこもる。終盤は、竹中、生瀬、田口、高橋の4人による息つく暇のないセリフの応酬をメインに稽古が進んだ。こんな風にして約1時間にわたる公開稽古が終了。物語の全貌を掴むまでは至らなかったが、緊張と緩和が幾重にも重なる興味深い舞台であることに間違いはない。
 「ブロッケンの妖怪」は10月30日からシアター1010にて上演される。

[取材・文=阿刀“DA”大志]
[撮影=平田貴章]

公演概要

ブロッケンの妖怪

<公演日程・会場>
2015/10/30(金)〜11/1(日)  THEATRE 1010(東京都)
2015/11/3(火・祝) 広島上野学園ホール(広島県)
2015/11/5(木)〜11/8(日) サンケイホールブリーゼ(大阪府)
2015/11/9(月) 静岡 富士ロゼシアター
2015/11/12(木)〜11/29(日) シアタークリエ(東京都)
2015/12/1(火) 中日劇場(愛知県)
2015/12/3(木) 福岡市民会館(福岡県)
2015/12/5(土) 宝山ホール(鹿児島県)
2015/12/6(日) 鳥取県立倉吉未来中心 大ホール(鳥取県)
2015/12/8(火) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館劇場(新潟県)
2015/12/10(木) 岩手県民会館(岩手県)
2015/12/12(土) 栃木 足利市民会館 大ホール(栃木県)

<スタッフ・キャスト>
作・演出:倉持裕
出演:竹中直人、生瀬勝久、佐々木希、大貫勇輔、安藤聖、田口浩正、高橋惠子

2015-10-23 18:26 この記事だけ表示