大千秋楽を迎えたミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs聖ルドルフ、テニミュの表現にまたしても新たな1ページを刻む!

9月4日、TOKYO DOME CITY HALLにて幕を開け、11月3日に無事同劇場にて大千秋楽を迎えたミュージカル『テニスの王子様』3drシーズン 青学(せいがく)vs聖ルドルフ。前作の不動峰戦を受け、稽古場でも最後の最後まで粘り続けて生み出された新たな聖ルドルフ公演は、まさに“攻め”の回。テニミュの表現に、またしても新たなページが追加された一作となった。全44公演を終え12月よりスタートする最新作『青学vs山吹』へと動き出しているカンパニーの次の爆発を前に、改めてルドルフ戦を振り返ってみたい。

ミュージカル『テニスの王子様』
3rdシーズン 青学(せいがく)vs山吹
一般発売 11/22(日)10:00〜

原点へのリスペクトと、未来への飽くなき挑戦。

 今年2月〜5月に上演されたテニミュ3rd第1弾『青学(せいがく)vs不動峰』、そして6月の『TEAM Live』と着実に経験を積んで来た青学(せいがく)メンバーの本公演第2弾、『青学(せいがく)vs聖ルドルフ』。今回は都大会の準々決勝の模様が描かれた。

 始めに「ドキリ」とさせられたのは1冊のコミックをめぐる1年トリオのアクションが楽しいオープニング。2次元(原作)〜2.5次元(ステージ)〜3次元(客席)の時空をテンポよくつなぎながら観客をステージ上の世界へと引き込んでいく導入は、これまでのどの公演にもなかった新鮮な演出。早速、3rdシーズンスタート時の会見で聞いた「3rdシーズンのテニミュも攻めて行きます」の言葉が思い起こされる。同時に、コミックやアニメからテニプリを知りテニミュの舞台にやってきた層が多かった初期に比べ、今ではテニミュからテニミュを知って舞台にやってくる観客が増えているが、テニミュの誕生は「なにはなくとも原作が世に生まれたからこそ」というリスペクトの気持ちも甦る。この、ある種粋な計らいの演出は、今、目の前に現れた役者たちの躍動と輝きをさらに増幅してくれる素敵な魔法の呪文のようにも感じられた。

 聖ルドルフ学院テニス部は、テニスの強い学生を全国から集めて結成したテニスのエリート集団だ。マネージャー兼選手の観月(宮城紘大)を司令塔に、徹底的な分析を元にした“勝ちのシナリオ”を用意し、青学(せいがく)を苦しめていく。前回の対戦校・不動峰の泥臭さとは真逆のこのプライド高き集団は、シュッとした清潔感がチームカラー。迎え撃つ青学(せいがく)は、爽やかな空気はそのままに、ひとりひとりが場数を踏んだ頼もしさで一回り大きくなった存在感を感じさせる成長ぶりを披露。それぞれのキャラクターの個性もしっかり際立たせていた。

 一幕の目玉は「ダブルス2とダブルス1を2面のコートで同時進行で行なう」というイレギュラーなゲーム展開。ネットを挟んでの通常の試合描写はもちろん、可動式の足場が出現、高低差やクロスの移動を効果的に使いながら8人が入り乱れて打ち合う熱戦は非常に演劇的で、物語前半のクライマックスとして場内の温度を一気に上げる見どころポイントに。

 続く二幕。今回のリョーマの戦いは開幕直前のインタビューでリョーマ役の古田一紀が「ゲームの最初から飛ばして勝つ強気なリョーマです」と語ってくれたように、新たな技も繰り出しながらグイグイと勝ち筋を引いて行くたくましさに心が踊った。対戦相手の不二裕太(大原海輝)は青学(せいがく)の天才プレイヤー・不二周助(神里優希)の弟で、常に兄と比べられる苦痛から逃れるためひたすら自分のテニスに打ち込んできた信念の人。その思いの純粋さ故に、身体に負担のかかる危険な技を出すことも厭わず試合に挑む健気な姿も印象的だった。

 青学(せいがく)・聖ルドルフに加え、不動峰の面々が青学(せいがく)の応援団的ポジションとして作品にアクセントを付けてくれたのも忘れてはいけないポイント。不動峰としてのキャラクターの定着ぶりはもちろんだが、3校全員がステージ上で歌い踊る場面はやはりイイ! 大人数だからこそ醸し出せるあの心地よい圧は、思わず「これぞテニミュ!」と滾ってしまう青春のパワーの結晶。一度経験したら忘れられない、ここにしかない感動だ。

 オープニングのほか、新曲も多く、また、既存の曲もアレンジを変えて歌われている場面が多かったのも今作の「攻め」の一要素。これまで何度も観て来たはずの聖ルドルフ戦の名シーン、名台詞、名勝負が、大げさではなく「初めて観る」ように新鮮な手触りで受け止められたのは、全体を通じてこれまでの創り方にとらわれずに伸び伸びと解体し再構築された、“3rdシーズンの”『聖ルドルフ戦』だからにほかならない(元々、比べるなんてナンセンスなのだが…)。

 劇中にも示されているメッセージ「今と永遠」を体現する原点へのリスペクトと、未来への飽くなき挑戦。今後の対戦へとつながっていく伏線の数々とも相まって、常に「この先」を感じさせてくれる余韻を持って劇場をあとにできたのは、やはりシリーズものならではの醍醐味と言えるだろう。次回、山吹公演へのカウントダウンも始まった今、テニミュのますますの前進が想望される。

[取材・文=横澤由香]
[撮影=平田貴章]

次回公演概要

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs山吹

<公演日程・会場>
2015/12/24(木)〜12/27(日)  TOKYO DOME CITY HALL(東京都)
2015/12/30(水)〜2016/1/10(日)  大阪メルパルクホール(大阪府)
2016/1/15(金)〜1/17(日)  日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知県)
2016/1/29(金)〜1/31(日)  キャナルシティ劇場(福岡県)
2016/2/6(土)〜2/7(日)  多賀城市民会館 大ホール(宮城県)
2016/2/12(金)〜2/21(日)  TOKYO DOME CITY HALL(東京都)

<出演・キャスト>
公式HPでご確認ください。
http://www.tennimu.com/

原作:許斐 剛『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ・コミックス刊)
オリジナル演出:上島雪夫 演出:本山新之助
音楽:佐橋俊彦/坂部 剛
脚本/作詞:三ツ矢雄二 振付:本山新之助/上島雪夫

ミュージカル『テニスの王子様』
3rdシーズン 青学(せいがく)vs山吹
一般発売 11/22(日)10:00〜

2015-11-17 21:11 この記事だけ表示