ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」パワフルに開幕![ゲネプロ]


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

 バレーボールに打ち込む高校生たちを描く人気コミック『ハイキュー!!』の舞台版がいよいよお披露目! 最新の映像テクノロジーと生身の人間が躍動するTHE演劇とが見事に融合した“ハイパープロジェクション演劇”は、予想を超える熱さと興奮に満ちていた。

ゲネプロレポート


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

 主人公・日向翔陽はとにかくバレーボールが大好きな少年。舞台ではまずそんな日向がバレーの魅力に打ち抜かれた小学生時代と弱小チームで奮闘した中学生時代を駆け抜け、念願の宮城県立烏野高校バレーボール部に入部するまでを追う。日向役の須賀は登場時からトップギア! ステージ全体に映し出される映像やコスチュームの早変わり、そしてベンチコート姿の群衆に支えられながら日向の中の“バレーボール熱”は一気に放出され、観客は瞬く間に日向の無垢な明るさとバレーボールの魅力へと吸い寄せられていく。そこからが、物語の本当のスタートだ。

 ステージは体育館の床をイメージさせる板張りの八百屋舞台。中央のサークル部分が回転することで様々に見た目が変化する、シンプルだがとても効果的な構造だ。注目の映像は舞台奥の壁面だけでなく床やネットなどにも(!)投影。イメージ映像や影絵調の背景を始め、漫画のコマ割りや集中線、役者の表情の抜きや台詞が物語の進行や強弱に合わせて次々に登場、役者とのシンクロも心地よく、その体感はコミックを読んでいるときの感情の流れにも近いように感じられた。また、映像だけではなく照明が台詞を映し出すことなどもあり、全体的に「光と影」の演出が鮮やか。ともすると無機質で小綺麗になりがちな最新テクノロジーを人間味のあるアナログの感触に落とし込むことで、よりスポーツの躍動感が引き立てられていた。実物のボール、人が動かす棒の先につけられたボール、影絵のボール、目に見えないボールと、バレーのボールの登場が場面場面で変化するフレキシブルさも潔ぎよい。ラテンジャズ風や太めの音で汗と熱を後押しする音楽の存在も秀逸。

 「この物語は日向の疾走と熱で牽引されているんだな」と感じ始めた序盤過ぎ、その思いは気持ちよく裏切られる。なにしろバレー部の面々もまた、それぞれの温度と信念で熱く燃えているのだ。

初心者ゆえに場を掻き回すのが日向なら、その日向にまんまと巻き込まれながらトラウマを乗り越えるべく葛藤の中コートに立つ“天才セッター”の影山(木村)を始め、日向の熱に呼応するように先輩や同級生=チームメンバーそれぞれが自身のバレーに注ぐ情熱をそれぞれのプレーで見せてくれる。その姿から自然とひとりひとりのキャラクターが浮き彫りになるのはもちろん、セッター、リベロ、エース…などなど、バレーボールのポジションの特性や役割も自然と見極められるようになっていくのも興味深い。


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

 ライバル校の青葉城西高校は今回は練習試合の相手としての登場となり、ここは若干の寸止めで。しかし、彼らの存在は日向たちにとって大きなモノであることは明白で、このあたりはこの先の展開への大きな布石となっているのだろう。


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

 本作の最大の魅力は、体育館の喧噪の中、ひたすらボールを拾いながら理想のプレーに向かって切磋琢磨し続ける進行形の青春の躍動が舞台上からダイレクトに伝わってくること。役者たちがひるむことなく声を出し、動き、跳躍する。そこに生まれる底知れない熱さには誰もがエールを送りたくなるはずだ。

もちろん彼らはただがむしゃらなわけではなく、ストップモーションやスローモーション、複雑に入り乱れる試合中のフォーメーションなど全体を通じての演劇的な身体表現にも力強く取り組み、そのキレも抜群。台詞の応酬のテンポも含め、丁寧に稽古を積み上げて来た自信と結束力が、作品を確実に底上げしている。人力のリフティングで表現される日向と影山の“変人速攻”は、カンパニーの信頼感の結晶だ。

 新進気鋭のクリエイター陣と意欲溢れる若い役者たちが切り拓いた“2.5次元の新境地”は、最初の宣言通り、テクノロジーと人間力が見事に融合したエモーショナルな一作となった。この熱、このスピード、この視覚体験は絶対にクセになる面白さ。新たな人気シリーズ誕生の予感が!!


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

会見コメント

演出:ウォーリー木下

 「新しい技術と汗は相性が良くないと思っていましたが、結果的にはデジタルとアナログの力がしっかり融合した“今までにない舞台”になりました。原作の良さを生かし、熱い青春を生身の人間がやる演劇にしたかった。実際に漫画を読んでいるような、もしくはバレーボールの試合を見ているような気持ちで楽しんでもらえれば」

日向翔陽役:須賀健太

 「21年間生きてきて一番動いて汗をかいている舞台です。この演劇性の高い舞台で、2.5次元ファンの方と演劇ファンの方とを繋ぐ架け橋になれればいいですね。生だからこそ、一公演一公演まったく同じモノはできない。“2.5次元の頂の景色”を見れるよう、全身全霊でぶつかっていこうと思います」

影山飛雄役:木村達成

 「オーディションのときから影山は誰にもやらせたくないという気持ちでしたし、今はとにかく影山を生きてやろうと思っています。稽古中は全員汗の量が尋常じゃなかったですね(笑)。本番ではチームプレーを大事に、みんなと一緒に頑張って“頂の景色”を見たいです」

及川 徹役:遊馬晃祐

 「初舞台なので非常に緊張していますが、及川はキャプテンなので、舞台上では堂々と立っていられるようにしないと。高校3年間バレーボールをやっていた経験を生かした、及川のサーブとジャンプ力も見てもらいたいと思います」

岩泉 一役:平田雄也

 「岩泉は“漢の鑑”のようなキャラクター。憧れますし、すごく尊敬する気持ちで役を演じています。舞台もバレーボールもチームワークが大切。僕もキャプテンと共に、青葉城西高校の熱い思いをお客様に伝えていきたいです」

[取材・文=横澤由香]
[撮影=坂井美碧織]
[撮影=渡部俊介]

公演概要

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」


©古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

<公演日程・会場>
2015/11/14(土)〜11/23(月・祝) AiiA 2.5 Theater Tokyo(東京都)
2015/11/27(金)〜11/29(日) シアターBRAVA!(大阪府)
2015/12/5(土)〜12/6(日) 多賀城市民会館 大ホール (宮城県)
2015/12/10(木)〜12/13(日) AiiA 2.5 Theater Tokyo(東京都)

<スタッフ・キャスト>
原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
演出:ウォーリー木下
脚本:中屋敷法仁

出演:オフィシャルサイトをご覧ください。
   http://www.engeki-haikyu.com/
   オフィシャルTwitter
   https://twitter.com/engeki_haikyu

2015-11-18 17:08 この記事だけ表示