森山未來(主演)×荒木飛呂彦(原作)による話題の舞台『死刑執行中脱獄進行中』が開幕! 囲み取材&ゲネプロレポート[公演情報]

 俳優・ダンサーの森山未來が漫画家・荒木飛呂彦作品の初舞台化となる『死刑執行中脱獄進行中』に主演。11月20日に幕が開いた東京公演を前に行われた出演者・スタッフによる囲み取材とゲネプロ(最終通し稽古)の模様をレポート!

囲み取材&ゲネプロレポート

 若手屈指の実力派俳優であり映像・舞台を問わず幅広く活躍する森山未來は、幼少からジャズダンス、タップダンス、クラシックバレエ、ヒップホップ等を学び、その素養を生かしてダンスの世界でも先端を歩むアーティストである。シディ・ラルビ・シェルカウイの『テ ヅカ TeZukA』(2012年)『プルートゥ PLUTO』(2015年)、インバル・ピント&アブシャロム・ポラックのミュージカル『100万回生きたねこ』(2013年)といった世界的振付家が演出・振付を手がけた大作の上演が実現し反響を呼んだのは、演劇とダンスの枠を軽々と超えていく森山という破格の存在があったからであろう。2013年10月から1年間は平成25年度文化庁文化交流使としてイスラエルを拠点にピント&ポラックのカンパニー等で活動し、帰国後ますます活発にクリエーション活動を行っている。

 この秋、森山はさらなる挑戦に挑む。「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる漫画家・荒木飛呂彦の短編集「死刑執行中脱獄進行中」(集英社)の表題作を舞台化した『死刑執行中脱獄進行中』である。“死刑宣告を受けた男が監獄からの逃避行を試みるサスペンス”をベースに同短編集に収録された「ドルチ〜ダイ・ハード・ザ・キャット〜」の要素を織り交ぜたという。構成・演出・振付は長谷川寧。自身のユニット〔冨士山アネット〕(フジヤマアネット)を主宰しダンス・演劇の壁を越境した独自のスタイルの創作を展開する異才だ。

 東京・天王洲銀河劇場での初日前夜11月19日(木)に行われた囲み取材とゲネプロ(最終通し稽古)の模様をご報告する。

 囲み取材では、まず長谷川が今回荒木作品を舞台化した理由について答えた。「原作もので何かやるとなった時、短編なら膨らませることができる。強烈に印象に残っていたのが荒木飛呂彦さんの短編集「死刑執行中脱獄進行中」でした。荒木作品はビジュアルにもの凄く身体性が現れている。そのビジュアルと身体性を使って膨らませて上演できる」

 監獄に閉じ込められた“男”を演じ共同振付も行う森山は、荒木作品の独特の世界観を表現するにあたり意識したことをこう話す。「原作の土台の部分をしっかり忘れずに。演劇的な要素だったり、身体的な踊り的な要素だったり、音楽だったり、衣裳や美術だったり、さまざまなものをふんだんに使った舞台なので、見たことのない世界観になっていれば」

 謎めいた“女”を演じる初音映莉子は「少しずつ体を動かしていくことによって役柄ができていった。感情の肉付けし筋肉も鍛えられていった」と役作りについて語った。

 音楽監督を人気バンドbonobosの蔡忠浩が担当するのも話題だ。蔡は抱負をこう話した。「物語に反応するダンサー・役者の動き、リズムと僕らのリズムは一見合っていないけれど、トータルで見て新しいグルーヴが創れたらと考えています」  最後に森山がアピールした。「身体だけに頼り切らず、言葉だけに頼り切らず、一つひとつのマテリアルをフラットに捉えながら一つの作品世界を構築できるかを切磋琢磨している所なので、そこに立ち会っていただければ」

 ゲネプロの様子をお伝えするに際し本作はビジュアルや演出に関して百聞は一見に如かず。「ネタバレ」になってしまうので詳しくは触れ難い。しかし、ダンス、演劇、音楽、映像、衣裳、美術といった多様な要素が混在しながらゴチャゴチャしていない印象を抱いた。森山と初音の虚々実々のやり取りを軸に、いいむろなおき、江戸川萬時、大宮大奨、笹本龍史、宮河愛一郎、森川弘和という一騎当千のダンサーやマイム俳優が、監獄に始まり時空を超えて繰り広げられる破天荒な物語の、その時々における“現象”を表していく。

 演劇でもダンスでもない長谷川ならではのフィジカル・シアターの趣があり、荒木ワールドとマッチする。森山の佇まいと動きは陰影深く、初音の凛としてミステリアスな雰囲気も独特だ。音楽は生演奏で、演者の動きに反応しライブ感を生む。森山にはダンスの「見せ場」もしっかりあるが、これみよがしではなく物語に根付いているので説得力があった。

 11月29日まで天王洲銀河劇場で上演され、12月には仙台、広島、札幌、富山、大阪で公演が行われる。「言葉と身体と音楽が入り交じる、観たことのない舞台空間」がキャッチフレーズのこの舞台、他にはない不思議な感覚が呼び覚まされるのは間違いないだろう。

[取材・文=高橋森彦(舞踊評論家)]
[撮影=生井秀樹]

公演概要

「死刑執行中脱獄進行中」

<公演日程・会場>
2015/11/20(金)〜11/29(日)  天王洲 銀河劇場 (東京都)
2015/12/2(水) 仙台電力ホール (宮城県)
2015/12/5(土)〜12/6(日) 広島JMSアステールプラザ 大ホール (広島県)
2015/12/15(火) わくわくホリデーホール(札幌市民ホール) (北海道)
2015/12/19(土)〜12/20(日)富山県民会館ホール(富山県)
2015/12/22(火)〜12/23(水・祝) シアター・ドラマシティ (大阪府)

<スタッフ・キャスト>
出演:森山未來
初音映莉子/いいむろなおき、江戸川萬時、大宮大奨、笹本龍史、宮河愛一郎、森川弘和

演奏:蔡 忠浩、吉田省念、田中佑司

原作:荒木飛呂彦/短編集「死刑執行中脱獄進行中」(集英社)

構成・演出・振付:長谷川寧(冨士山アネット)
共同振付:森山未來

2015-11-20 22:13 この記事だけ表示