第5回: 地下鉄副都心線開通で変容する渋谷の街。'70年代生まれ、PARCO劇場の歴史を再確認![公演情報]

<連載・第5回>
      地下鉄副都心線開通で変容する渋谷の街
      '70年代生まれ、PARCO劇場の歴史を再確認!


祝・地下鉄副都心線開通〜! 池袋在住十数年。地下鉄っ子のワタシは、池袋と渋谷が地下鉄一本でつながるこの日をずいぶん前から待ちわびておりました。先日、しばらく工事中だった最寄り駅のホームのシートが取り払われ、もうひとつ地下に降りていく階段が出現していたときには思わずハナウタ♪どころか、歓喜のマーチでひとり脳内パレード状態に! ちょっと大げさ? いえいえ。新たな交通手段を手に入れた喜びは、それくらい大きいものですよ。
 

 地下鉄副都心線とは、埼玉・和光市〜渋谷をつなぐ東京メトロの一番新しい路線で、その開通により都心への人の流れがまた大きく変わるのではと、各方面から注目を・・・・集めている路線。池袋から先は西早稲田、新宿三丁目、明治神宮前など、乗り換え便利&使えるスポットを結んだ、なかなかにデキるヤツな的ルートが実現しました。2012年にはさらに東急東横線との相互直通運転もスタートするし――というわけで、今回のハナウタは副都心線のメインステーション、「新渋谷駅」に注目です。

 新渋谷駅、デザインを手がけたのはあの安藤忠雄氏。斬新なアイデアが随所に盛り込まれた個性的な空間は「地宙船」と名づけられ、ホームから地上に向かって吹き抜けがあったり、地下鉄の駅として世界でも珍しい「自然換気システム」を導入した画期的な駅となっています。将来的にはその駅の上部、旧東急文化会館跡地に複合高層ビルが建設され、完成後はあの一帯がかなりの変貌を遂げることになりそう。楽しみ〜。

 新渋谷駅完成でいくつか新設される地上出口の中、ワタシが注目しているのは宮下公園付近の13番出口。ここ、地上に出て渋谷駅を背に真っすぐ進めば原宿方面右へ進めば青山劇場方面左に進めばタワーレコードやPARCO劇場方面という、観劇移動にも便利そうなポジションなんです。周辺のお洋服屋さんなどブラブラのぞきながら移動するのもいいし、渋谷駅交差点やセンター街付近の人混みがどうも苦手という方や、“アラサー”&“アラフォー”世代のオトナの皆さんにも、こちらのルートはお勧めかも(もちろんワタシもこっち世代です!)。

 そんな新渋谷駅からの観劇目的地その1:青山劇場周辺…は前回ご紹介しましたので、今回は目的地その2:PARCO劇場をチェックしましょう。 

 PARCO劇場は渋谷公園通り沿いのファッションビル・渋谷パルコパート1の9Fにあり、開場は1973年。当時は「西武劇場」という名で、'85年に「PARCO劇場」と改称されました。パルコパート1を通り過ぎて公園通りの坂をさらに登れば渋谷C.C.Lemonホール(旧渋谷公会堂)、EGGMANNHKホールなど、ライブ好きの方にお馴染みの会場も多いのがこのエリアです。

 当時から若者が集い流行を生み出す最先端のスポットだった渋谷。その象徴ともいえるおしゃれな存在のパルコ内にある劇場とくれば、文化の発信地としての役割もかなり大きかったでしょうね。実際上演の記録をたどってみると、演劇はもちろんコンサートも多数開かれていて、「こんな人がここで歌っていたの!?」と驚きの連続でした。(上演データはPARCO劇場の公式サイト内ライブラリーで検索できます。データと一緒に表示されるチラシの画像も、時代を感じさせるデザイン揃いで見応えアリ!)
 劇場自体のキャパは458席とどちらかといえばコンパクト。また、場内は割と段差(傾斜)がついているのでどの席からでも観やすく、最後列でもステージから遠いという感覚があまりないのもうれしいところ。近年は「良質ながら冒険やチャレンジを惜しまない作品を上演する劇場」というイメージが強いですし、まさにここは濃密な演劇空間を体感できる場所ですね。


 現在は『恐竜と隣人のポルカ』(作・演出:後藤ひろひと/出演:寺脇康文ほか)を上演中


その後もブロードウェイを代表する喜劇作家ニール・サイモンの『サンシャイン・ボーイズ』(演出:福田陽一郎/出演:江守徹、西岡徳馬ほか)


『SISTERS』(作・演出:長塚圭史/出演:松たか子、鈴木杏、吉田鋼太郎ほか)


『ウーマン・イン・ブラック』(演出:ロビン・ハーフォード/出演:上川隆也、斎藤晴彦)

『幸せ最高ありがとうマジで!』(作・演出:本谷有希子/出演:永作博美ほか)など、話題の作品が続々待機しています。

 『SISTERS』カラオケ特集)は長塚圭史さんの3年ぶりのPARCO劇場書き下ろしで、家族をテーマにした新作です。長塚さんのパルコ劇場デビューは『マイ・ロックンロール・スター』('02年)。当時27歳、新しい才能の登場として注目を集め、続くPARCO劇場書き下ろし第2作の『ラストショウ』('05年)では読売演劇大賞・優秀作品賞を受賞。着実にそのキャリアを重ねている若き演劇人の代表格です。
 長塚さんは『SISTERS』上演後、演劇留学で英国へ旅立たれるとのこと。国内での長塚作品観劇は本作でしばしのお休みとなりそうですので、心残りのないよう、チケットはしっかり確保を。  

 ゴシックホラーの決定版と呼ばれる『ウーマン・イン・ブラック』カラオケ特集)は、その長塚さんが向かう英国で生まれた芝居。ロンドンのフォーチュン・シアターで19年のロングランを続け、日本でも繰り返し上演されている演目です。
 上川さん齋藤さんの顔合わせは'99年が初演で、再演が'03年。そして3度目となる今回は、いよいよ本家フォーチュン・シアターに進出! そう、日本公演後の9月には英国に渡り、〈ジャパニーズウィーク〉として日本語での上演が決定しました。
 観客の想像力をかき立てながら語られる「世にも恐ろしい体験」。ひとりが何役も演じ分ける、役者の演技力がすべての2人芝居――そういえば、ロンドンの「ホラー」と日本の「怪談」って、なんとなく温度や皮膚感覚が共通しているような。少し気が早いですが、英国公演成功の報も待ち遠しいですね。  

 本谷有希子さんの『幸せ最高ありがとうマジで!』は、個人的にも気になる1本。なにしろ公演決定に寄せるキャッチが「パルコカードの審査も通らなかったのに、本谷、PARCOで演劇やるよ」ですから。もう、わかるわかるってカンジ(笑)。また、「かつてはパルコの放つテンションそのものにコンプレックスが刺激されていた」というコメントもあったりして、そこのところも激しく同意です。

 渋谷といえば、センター街よりも公園通りやファイアー通り寄り、もしくはLOFTや今はなきレコードショップWAVEあたりがしっくりきていた若き日のワタシ。お洋服はもっぱら古着屋さんで探していたもので、「パルコでお買い物」っていうシチュエーション自体に非常に不慣れでした。カードで支払うっていう習慣もなかったし。なので店内に入るとなんかアガッちゃって…ああ、あの形容しがたいキュンキュン感! 今急に思い出して来た(笑)。まさに当時のワタシもパルコの放つテンションに負けちゃってたわけです。でもあの種のコンプレックスって、何かを生み出す原動力になったり、その後の人生に於いて有効なエネルギーに転嫁していくことも多いんですよね。なんか、そういう動機から挑んでいく創作活動っていうのもいいな。初期衝動というか。
 ちなみに本作は本谷さん20代でのPARCO劇場初進出作品。そしてヒロインはオトナになる毎に魅力を増し続けている永作博美さん。うーん、素敵! ガーリーとはまた違う「オンナ」感に満ちた女子の芝居作りが着々と進んでいることでしょう。必見☆ 【PARCO公式サイト】 

 女子といえば、PARCO劇場内の化粧室は光の加減で貝殻のように光るキレイな壁紙で彩られているのですが(男性用はどうなんだろう??)、あれは美輪明宏さんの提案だと聞いたことがあります。自身の公演では常に徹底した美意識で完璧な演出をされる美輪さんですから、そういう細かなところへの目配りもあって当然かもしれないですよね。
  美輪さんが次にPARCO劇場へ出演されるのは10月の『L'AMOUR2008 美輪明宏音楽会〈愛〉』近日受付日程公開予定)。素敵な香りとオーラに満ちたこの音楽会、帰る頃には観客の心が浄化され、幸福のオーラで満たされるともっぱらの評判です。

 そうそう。みなさんPARCO劇場で観劇後の半券はどうしてますか? ご存知の方も多いでしょうが、劇場下、パルコのレストラン街では半券を提示するとディナーが10%OFFになるんですよ。観劇の余韻に浸りながら、すぐにテーブルについてお腹を満たし、じっくり感想を語り合う。これぞスマートなオトナの観劇かも…って、なんか毎回お腹の心配をしているような気がしてるんですけど(笑)。おかしいな、そんなに食いしん坊でもないのに。

取材・文/横澤由香



*次回は7月。オトナの夏休みにぴったりなエンタメを特集します*
2008-06-10 15:15 この記事だけ表示   |  コメント 0   |  トラックバック 0

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