今年もやります!年1回恒例のシティボーイズミックス、今回は若手お笑いコンビの注目株、ザ・ギースとラバーガール2組がゲストとして参加することが決定。シティボーイズの大竹まこと、斉木しげる、きたろうに、おなじみメンバーの中村有志も加わり、それぞれ笑いにこだわる8人の男たちが個性を戦わせながら取り組む舞台となる。シュールでナンセンス、時にはベタで人情味に溢れてたりもする独特のシティボーイズワールドは今年も健在だ。稽古突入を前に、シティボーイズ3人とザ・ギース2人に集まってもらい、新作のヒントを語ってもらった。


「このタイトル、語呂がいいので口に出して言ってみたくなりますね」(尾関)
「オファーが来た時「俺たちもその位置に来たか!」と思いました(笑)」(高佐)

――まずは今回のタイトルについてなんですが、またどうして大豆なんですか?

大竹 ねえ。なぜ大豆なんだろう。

斉木 2時間かけて大豆にたどりついたんだけどね。いつも、こんな感じなんだよ。

きたろう シュールなタイトルにしたいという意志はまったくないんだけど。いろんな人の意見と面白がり方の最終地点が結局、シュールになっちゃうんだよね。ちなみに俺は『男の日傘』ってタイトルを主張したんだけどさ。

大竹 誰にも受け入れられなかったな。

きたろう ザ・ギースの2人は、このタイトルどう思うの。

高佐 僕らの単独ライブが『Alternate Green』ってタイトルだったとき、きたろうさんが「わけわからなすぎてこんなタイトル、ダメだよ」って。

きたろう 「きどってんじゃねーよ」って。

高佐 そうおっしゃってたんですけど。今回このタイトルを見て、あんまり僕らのと変わらないんじゃないかと思ったんですが。

きたろう ばっかやろ、全然違うよ。

斉木 きたろうさんは英語を使うと「きどってんじゃねーよ」って必ず言うんだよ。

きたろう 尾関はどう思った?

尾関 いやー、僕はなんかかわいいタイトルだなと思いました。

きたろう 大豆がちっちゃいから?

尾関 今まではもっとシュール感が強いイメージがあったんですけど。今回はそれよりもかわいいというか、語呂がいいのでなんだか覚えやすくて。口に出して言ってみたくなる感じがあります。

斉木 『ごとく』っていうのが古典的な響きをちょっと感じていいよね。

大竹 略しやすいしね、“トツダズ”とか(笑)。

高佐 “トツダイ”じゃないんですか。

大竹 いや、“トツダズ”だよ。

きたろう でもこんなに年くってるのに、前向きなタイトルではありますよね。

大竹 それが情けないのと恥ずかしいのと。なんか妙にこのタイトルは前向きだよ。

斉木 うんうん、なんかハジケた感じがある。

大竹 だけど、いい年こいて前向きって、どうよ。

きたろう いや、斜め向いたり後ろ向いてちゃダメ。前を向かなきゃ。

大竹 若い人たちへの熱いメッセージではあるよね。「もういい年なのにこいつらまだ前向いてるんだ!」っていうのは。俺たちは気恥ずかしいけど、若い人たちには「おまえらもっと前向けよ!」ってことは言いたいの。だからといって俺たちが率先して前向くことはないんだけどさ(笑)。

きたろう そこに恥ずかしさを持ってるから、俺たちはまだ救われるんだって。恥ずかしさを持たないで、若い奴にあんまり前向かれると俺、ぶん殴りたくなっちゃうもん。

大竹 今、一番ぶん殴りたいのはおまえだよ。

――今回はザ・ギースとラバーガールの2組4名が参加されます。

大竹 若いものの代表ってことだよ。「おまえら、前向け」って話だね(笑)。後ろ向きのラバーガールに「おまえらなにそこで滞ってるんだ、面白いくせに」って言いたいわけ。ザ・ギースみたいに「面白くもないのになんで前向いてるんだ」っていうのもあるけどさ(笑)。

きたろう 1組だけだとなんか俺たちに負けちゃうかもしれないけど、4人もいれば委縮せずにパワーが出せるんじゃないかと。ま、今回の若手はワールドカップのベンチみたいに、俺たちを支える感じがどうかなと思うんだけど。

尾関 ええっ! それじゃ舞台に出られないじゃないですか!(笑)ちょっとは出たいですよ!

きたろう いやいやいや(笑)。チームワークがテーマだから。ベンチにいて応援するイメージでもいいじゃない。

斉木 じゃあ、私たちは前半飛ばしに飛ばしますから、後半はまかせますよ。

高佐 ええ〜?(笑)交代するんですか。せっかくなのでできれば一緒にやらせていただきたいんですけど。

きたろう レッドカードが出た場合は、素直に交代するから君たちの出番。

大竹 じゃ、きたろうを俺が踏んづけたら、それを合図に出てくればいいよ。

――ザ・ギースのおふたりは今回、参加することになってどう思われましたか。

尾関 今までは著名な方が出ていて、その人たちとシティボーイズさんとの組み合わせがすごい面白いなと思っていたんです。だから、そんなところに自分たちが出て、今までのものを越える面白いものが作れるんだろうかっていうのはすごいプレッシャーで。でもなんとか足を引っ張らないように、同じ事務所ということもあるんで甘く見ていただきながら(笑)、がんばりたいです。

高佐 僕らにオファーが来て。「ああ、俺たちも、とうとうそういう位置まで来たか!」と思いました(笑)。

大竹 おい、おまえら、ずうずうしいぞ。

きたろう だから、ベンチスタートだって言ってるだろ。

尾関 えーっ、やっぱり交代なんですか?

斉木 俺が期待するのは、ドリフターズにおける志村けんに4人のうちの誰かがなってほしいなと。

大竹 なんでドリフターズにたとえるの? 意味がわからないよ。じゃ、おまえがドリフターズに入れよ。

斉木 いやあ、たとえば尾関がシティボーイズのメンバーになっちゃうくらいのパワーを出してほしいってことだよ。

きたろう でも全員で顔合わせして話したら、すごくいい雰囲気だった。(中村)有志を入れて今年は全部で8人か。なんかみんな、匂いが似てるんだよね。

大竹 それは俺もそう思う。

「俺たちって、いい男が笑いをやるグループの走りだよね」(きたろう)
「お客様が喜ぶようにするのはもちろん、それ以上に自分を喜ばせたいよ」(斉木)
「今回は「見てほしいなあー!」って、かなり本気で思ってる」(大竹)

――ラバーガールさんが今日いらっしゃらないので、読者に向けてちょっと2人を紹介していただけますか?

尾関 孤独が好きで、現代的な人たちというか。

高佐 2人とも、常に自分の場所を持ってて、そこにずっといるみたいなイメージですね。あまり人と交わろうとしない。まあ、普通に飲みに行ったりはしますけど。

きたろう 2人ともそれほどいい男じゃないのに、ものすごい二枚目だと思ってるよね、自分のことを。

高佐 そうそうそう!

尾関 絶対、思ってますね。

きたろう おかしな顔してるのに。

斉木 自分の世界観というか、知的世界の中にめいめいが入ってる感じがするね。変わりモノだよ。まあ、俺が言うのもなんだけど。

高佐 確かに変わってますね。

尾関 2人とも飄々としているように見えて、めっちゃ女の子にモテたい気持ちが根底にあるんです。

きたろう ああ、あるな。俺はそういうの、すぐ見抜くから。

斉木 同じ匂いを感じた?

きたろう いやあ、俺は全然違うよ。俺の若いときの二枚目ぶりを知らないの?

大竹 全然!年とってからならよーく知ってるけど。斉木は強烈な二枚目で、すごかったけどなあ。

斉木 よく黙ってろって言われたよ。黙ってりゃいい男なのに、って。

きたろう そういう意味じゃ、俺たちはいい男が笑いをやるグループの走りだよね。

大竹 いやいやいや。ピピー!

――レッドカードが出ました(笑)。

尾関 あ、きたろうさん、出場停止ですか(笑)。

――今の時点では、どういう方向で作っていこうとされていますか?

斉木 俺なんか、わりと今までになかった形を提示できそうな予感がしますけど。

きたろう でも演劇チックにはなりたくないんだよなあ。絶対、コントがいい。

大竹 じゃ、俺が演劇担当でいくよ。演劇チックなのをやりたいんで。島田正吾か!というようなものを。

斉木 演劇というか、新国劇だな。

きたろう じゃあ、大竹さんはベンチスタートで。

大竹 いやいや。だから俺はちょっとお笑いを捨てて、立ってるだけで感動を生み出す方向でいくからさ。

斉木 俺は大衆演劇路線をやりたいな。泣かせるような。

大竹 泣かせるのは俺がやるって言っただろ。

斉木 じゃあ、俺は泣き笑いでいくよ。

――ザ・ギースのおふたりは、どういう風に取り組みたいと思われてますか。

尾関 2カ所だけ、自分が超ウケたいんです。それが目標です。

――2カ所だけでいいんですか?

きたろう 充分だよな、2カ所で。

尾関 むしろ2カ所も難しいと思うんです。クスッと笑えるところが1カ所くらいが、リアルな路線かも。

斉木 いやあ、でも最初の登場で1カ所笑えるじゃない。

大竹 それは、おまえと同じやり方でやれってことじゃないか。

一同 (笑)。

高佐 僕は漠然と、エキセントリックなことをやりたいな、と。

きたろう ああ、いいねえ。

大竹 うん。それは、いい。

斉木 うん、見たいな。

大竹 そういうヤツがいないとダメだよね。

きたろう ただし恥ずかしくなく、やってくれよな。

大竹 それでエキセントリックなのをちゃんとできたら、すごいよ。

――今、まさに目の前でハードルが上がった気がして、こちらまでドキドキしますが。

高佐 いきなり自分で上げちゃいましたね。ちょっと今、後悔しています。

きたろう 道具は使っちゃダメだよ。バットとか持つなよ。

高佐 え、道具ナシですか。

きたろう じゃ、ちいちゃいモノ、携帯電話くらいだったらいい。

大竹 そうだな、ナスくらいならいいよ(笑)。

――では最後にお客様に一言ずつ、メッセージをいただけますか。

きたろう 俺は本当に「もうシティボーイズはこの先、見られないかもしれないんだからぜひ見に来なさい」と言いたいね。

――毎年そうおっしゃってますが(笑)。

きたろう でも毎年、内容は違うからさ。今回の感じも絶対に見ておいてもらいたい。

斉木 僕はお客様が喜んで下さるものを、というのはもちろんだけど、それ以上に自分を喜ばせたいよ。今回は、ぜひハンカチをお持ちください!

高佐 僕たちはベンチを温めているだけにならないように、大豆のように飛び出していきますよ!

きたろう お、うまいこと言ったね。

高佐 いや、それほどうまくなかったです……。

尾関 僕はシティボーイズさんの昔を見ているようだと言われるように、がんばりたいです。

大竹 またこいつも、うまいこと言おうとして。だけど俺たちが昔どれだけ浅はかだったか、知らないな(笑)。

一同 (笑)。

大竹 いや、正直に言うとね。年とると本当に時間がなくなるの。でもそのことが、若い人にはわからないんだよね。時間がないって、大変なことなんだよ。その時間のなさ加減は人を狂気に走らせるからね。

きたろう この年齢でしかできないものってある。だからこそ、今のうちに見ておかなきゃソンだってことだよね。

大竹 俺は今まで何度も「見て下さい」と言ってきたけど、社交辞令だった気がするんだ。うぬぼれもあって、どうせ客席はいっぱいになるだろうからって気持ちもあったかもしれない。だけど今回は「見てほしいなあー!」ってかなり本気で思ってる。ま、いいものがちゃんとできるかどうかは、本番当日までわからないんだけどね。


2010-07-23 16:14

 映画監督であり、大泉洋らTEAM NACSが所属する芸能事務所の社長でもあり、そして企画・構成に携わった人気番組『水曜どうでしょう』(HTB)では“ミスター”として自ら出演もしていた鈴井貴之。彼がまた、新しいことを企んでいるという。“OOPARTS”、かつて彼が結成していた劇団の名前でもあるこのプロジェクトが、この秋からスタートする。一体、どんなことを仕組もうとしているのか、鈴井本人を直撃した。




「OOPARTSプロジェクトは北海道発信なんでね、僕らはあくまで邪道なんです(笑)」

――今回は“OOPARTS”のVol.1ということですが、これが旗揚げ公演になるということでしょうか?

 いえ、“OOPARTS”は劇団ではなく、あくまでも僕のソロプロジェクトなんですよ。その第1弾の取り組みが、たまたま演劇であるというだけです。このプロジェクトに関しては今後、可能性は制限せず、この名義で映像を作ったり、もしかしたら音楽や出版みたいなこともやるかもしれないし、極端なことをいうと“OOPARTS”という名前のラーメン屋さんを札幌で出すかもしれません(笑)。そういうところまで含めた枠にとらわれない幅広い活動、と考えていただければと思います。

――このプロジェクトを始動しようと思われたいきさつは。

 僕の場合は全国的に知っていただくきっかけになったのが、大泉洋君とやってる『水曜どうでしょう』(HTB)という番組なんですね。そこで僕は“ミスター”と呼ばれておりまして。さらには映画監督としても活動しているのですが、今までに作った作品がたまたま家族を中心軸にしたハートウォーミングな内容のものが多かったので「鈴井さんってそういう人なんですね」というイメージが定着してしまったみたいなんです。すると、ちょっと残酷な、ダークな話を僕がやろうとしたときに「“ミスター”のイメージじゃない」と言われてしまって。かつて僕は北海道で演劇をやっていて、そのころはダークな世界観のものもやっていたし、ラジオも10年くらいやらせていただきましたけど、かなり毒舌だったので、そういう面もあることは北海道では知っている方もいるかと思いますが、だけど全国の方にはどちらかというと“大人しくていい人”というイメージがあるらしい。じゃあ、鈴井貴之という名前で「イメージじゃない」と言われるのであれば、わかりやすく違う名前“OOPARTS”という名前でやらせていただこうかなと思ったわけです。

――今回は場所がライブハウスだったりして、普通のいわゆる演劇とは違う匂いがプンプンするなと思ったんですが。

 ちょっと違った演劇をやりたいという思いはありますけど、特に新しい取り組みをしようというわけでもないんですよ。過去の、非常に才能あふれる演劇人がいろんな取り組みを既にしておりますので、僕が今さら新たに提示するものはないです。ただ、今はそういうことはやらなくなったけど昔はやっていたよねっていうようなこと、たとえば寺山修司さんや状況劇場の唐十郎さんたちがやっていたことに近い実験的なことを、今の時代に反映させてやるようなことはあろうかなとは思います。だから、それを知らない人は新しいと思うかもしれないですね。

――実験的なこと、ですか。

 ええ。それとOOPARTSプロジェクトは北海道発信なんでね、僕らはあくまで邪道で行きたいと思います。僕の考え方としては王道、正道なことというのは東京が作り上げているものだと思いますので。財力、才能、人材いろんなものが東京にはありますけど、地方にはそういうものが足りない。お金も限られて、優れた人もそんなにはいない、ノウハウもあまり持ってない。そこで正道なことを目標としてやっても到底、東京には及ばない。であれば、僕らは邪道なことをやるしかないですからね。で、今おっしゃっていただいたとおりで、ZEPPでやることでまず面白がっていただけるじゃないですか。これが普通のホールであれば引っかからないと思います。僕らはそういうことをやらなきゃいけないんです(笑)。

「初日、バッキバキに緊張している自分が想像できます」

――映画の現場が舞台になるそうですが、こういう物語にしようと思ったのはなにかきっかけがあったんですか。

 これは結局、自分が体験、体感している世界観であり、その中のバックヤードの話なんですね。そこには、表に出せないことって、いろいろあるじゃないですか。それを演劇という完全なる虚構の世界に反映させれば、言えるんじゃないかなと思ったんです。つまり「これはウソですよ」という大前提があるわけなので。

――演劇である、ということで。

 だけど、その中に真実もいくつか散りばめていくことによって、もしかしたらそこに観客の推測が生まれ、その物語をどう受け取っていただけるか。それが、僕の興味があるところなんです。ですから観る人によっては「えっ、映画業界ってあんななの?」ってすべて信じ込む人もいれば、一方では「あんなことあるわけないじゃん、現実の世界では」っていうような、両極端の意見が生まれると思う。それに対して僕は、どこまでが本当でどこまでがウソですよとはあえて言いませんし。

――正確なところは、教えない(笑)。

 はい。でも、根本的には「演劇はウソです、架空のドラマですから」とは言いますけどね。でもそこには、僕が実際に映画監督であり、タレント事務所の社長でもあるという事実もある。全部、僕が実際にやってきたことなのでね。そういう人間がやるっていうところで、リアリティが出てくると思うんです。だからこそ、観てくださった方に「どこまでがホント?」というようなせめぎ合いが生まれて面白いんじゃないかなと思います。

――今回は個性の強いメンバーが集まりましたが、キャスティングのポイントは?

 まず脚本を先に作って、その役柄にあてはめてどういうキャラクターの人がいいかなということで選ばせていただきました。本当にひと癖もふた癖もありそうな、個性的な方ばかりですよね。ひとつの系統に偏らない、てんでバラバラな人たちを集めることによって、どんな相乗効果が生まれるのか、期待値はかなり高いです。

――今回は鈴井さんも役者として出られますが、役者としての面白さとは。

 うーん、わからないですねえ。役者として出ると言っちゃったことを今、実は後悔しているんでね(笑)。本当にもう30年近く前になりますけど、舞台に初めて立った時と同じ感覚を得られるんじゃないかと思うんですよ。初日が札幌なんですが、今から想像できますよ、バッキバキに緊張している自分が。「やるって言わなきゃよかったー」って言いながら、情けない感じで楽屋にいるのが想像つく。でもたぶん舞台(イタ)の上にあがったらスイッチがポーンと入って、初日が終わったときには「うわーっ、またヤバイこと始めちゃったなあ、これはクセになるなあ」って思うんじゃないかと思います。

――初日、楽しみですね(笑)。

 初日……なければいいのに!(笑) ま、そんなことはありえないですけどね。

――今回のキャストで、緊張している鈴井さんを面白がりそうな方はいらっしゃいますか?

 みんな面白がるんじゃないですか?特に増沢望君、彼は20代のころ、札幌の違う劇団だったんですが同じ稽古場をシェアしていたり、テレビとかでもちょっと二人でユニットを組んでコントをやったりしていたこともあるんで。彼だけが唯一、僕が昔、役者だったことを知ってるんですよね。そうだよ、ヤバイなあ、彼は知ってるんだ、僕のすべてを(笑)。とか言いながらも、今回の僕の心のよりどころは彼でもあるんですけどね。

――では最後に、お客様へお誘いのメッセージをお願いします。

 地方からの発信で、またなんかちょっとヘンなことをやろうかなとしているので、それに興味を持って下さった方はぜひ!意外とキャストは40代のオッサンが多いので、昔を懐かしんでいただくような年齢の方、僕らと同年代やもっと上の方も「昔はこういう芝居があったよな」とか思っていただいてもいいですし。それと今回、若い方にも来ていただきたいということで、後ろのほうの席にはなってしまうかもしれませんが、学割席というのを設けました。だからちょっと覗いてみようかなという若い方は、それを利用して気軽に観ていただけたらと思います。

〈取材・文/田中里津子〉
〈写真/渡辺マコト〉

2010-07-21 20:43

 2010年の締めくくりを飾る超話題作『ジャンヌ・ダルク』の制作発表が都内で行われ、その全貌が明らかになった。

 15世紀初頭、フランス――。イギリスとの長い戦争が行われていたさなか、国を救うべく立ち上がり、17歳から19歳の2年間を鮮烈に駆け抜けていったひとりの少女、ジャンヌ・ダルク。彼女の波瀾万丈の生涯をドラマティックにエンターテインメントに描くこの作品で、堀北真希が待望の初舞台を踏む。演出は白井晃、脚本は中島かずきという小劇場出身の2人が強力タッグを組み、ジャンヌと運命的な出会いをするシャルル七世に伊藤英明を始め、演技派・個性派がズラリと顔を揃える共演陣も実に華やかだ。

今の日本の光明となるような作品にしたい。白井

 キャスト・スタッフが一堂に会した会見では、まずは演出を手掛ける白井が「閉そく状況だといわれる今の日本の光明となるような作品にしたいですね。ひとりの純粋な女の子の強い想いが人を動かし、周りを動かしていく。そういうことが本当にあってもいいと信じられる瞬間を作ってみようじゃないか、ということです。堀北さんならきっと意志の強いジャンヌを演じていただけると思って、ぜひにとお願いしました。ジャンヌとシャルル、2人の間になにがあったのかに焦点を絞った話にしていきたい。その周りを支えていただくのは百戦錬磨の実力ある俳優さんたちばかりです。今までに経験したことのない、濃い作品にできるのではと思っています」と意気込みを語った。さらに脚本を担当する中島は「世の中には勝てる企画というのがありまして、今回は堀北さんのジャンヌ・ダルクということでこれは基本的にもう勝てる企画なんですね。僕も観たいと思うし、たぶん皆さんも観たいと思うだろうし。これで面白くなかったら、演出か脚本のせいでしょう(笑)。今回のジャンヌとシャルルというのは、両極ではあるんですがどちらも自分に対して正直に生きている2人なんですね。ところが、その周りにいる当時の人々というのは生きていくために貪欲で、複雑な人間性を持っている人たちなんです。ある種、怪物のような人間たちが万華鏡のようにいる中で、2人の青春が浮かび上がるようなものにしたい」と、力強くコメント。また、音楽を手掛けるのは三宅純。「思い返すと幼少のころにジャンヌの逸話を母親から聞かされたことがあって。そのときにはフィクションだと思っていたのですが、先日、白井さんがパリに来たときにジャンヌにまつわる土地を訪ねてみて、気づくと日常の中に今も、ジャンヌがたった2年にわたって残した痕跡がそこらじゅうに残っていることを改めて認識しました。壮大なロマンとフィクションが現代と交わるところを音楽で埋めていく、言葉ではない部分を担当させていただきたいと思っています」と作品への想いを話した。

ぜひひとりでも多くの方に観に来ていただきたい。堀北
どんな脚本になるのか楽しみです。伊藤

 そして初舞台にしてタイトルロールを演じる堀北は「ジャンヌ・ダルク役といっても、自分の中ではまだしっくりきていなくて。ただ、まっすぐでとてもエネルギーのある人だなという印象はあります。これから脚本を読んで私なりに解釈していきたいと思いますが、初舞台ということで今は自信もなく、不安でいっぱいです。今から一生懸命がんばって、自信を持って舞台に立てるようにがんばっていきたい。ぜひひとりでも多くの方に観に来ていただきたいです」と、少々緊張しつつも笑顔を見せた。
 続いて、共演陣も口々に抱負を語った。まずフランス国王シャルル七世を演じる伊藤は「どうしてもジャンヌ・ダルクというとシャルル七世という役ははずせないイメージですが、今回はどんな脚本になるのか楽しみです」。傭兵ケヴィン役の石黒英雄は「未熟な自分がこんな素晴らしい作品に参加で来てうれしい。ジャンヌの死を見届けるひとりでもあるので、稽古中にすべてをさらけ出して本番で全部出し切りたい」。ベッドフォード公役の山口馬木也は「昔、六平さんと共演したとき、僕が六平さんを何度斬っても死なないという不思議なシーンだったんです。今回は殺陣も多いそうですし、ぜひ六平さんを斬りたいので中島先生、そういうシーンを追加でお願いします(笑)」。マリー・ダンジュー役の柴本幸は「私の役はとにかく良妻とありました。私自身はまだ結婚したことがないのですが将来のために、夫を支えるいい妻を皆さんの力も借りながら演じたいと思います」。アランソン公役の塩谷瞬は「ジャンヌを愛し、共に闘う騎士を演じます。ジャンヌの物語がすごく好きなので、苦しみや葛藤、愛を舞台上に表現できるようにがんばりたい」。幻影の少年役の高杉真宙は「僕が演じるのはジャンヌだけに見える心の中の少年です。演出の白井さんに指導していただき、僕なりに表現力を研究して精一杯がんばります」。タルボット役の上杉祥三は「同じ小劇場の出身ですが、白井さん、中島さんとご一緒するのは初めてなので非常に楽しみ。しかも今回は俳優陣が濃ゆい、何をするかわからない方々がいっぱいいるので、どうなるか皆さんも楽しみにしていてください」。エア・イール役の春海四方は「小劇場どころか私はホコ天出身です(笑)。フランス屈指の豪傑という役をやらせていただくので、自分でもどうなっちゃうんだろう?と楽しみにしております」。傭兵レイモン役の田山涼成は「なんと私、フランス人でございます!もうどうしようと迷いましたが、六平さんを見て安心しました、こちらもフランス人ですから(笑)。堀北さんとは映像の現場で会うときによく「舞台やったらどう?」と言っていたのが私なので、こんな形で実現してすごくうれしいですね」。コーション司教役の六平直政は「小劇場、ホコ天出身どころか私は劇場のないテント出身で、発声練習もストレッチもしない、何年たっても演劇の素人でございます。白井ちゃんとはドラマで昔からご一緒していましたが、今では演出家の大先生になりましたので私も高杉くんのように白井さんにお芝居のやり方を教わって毎日がんばります(笑)」。ヨランド・タラゴン役の浅野温子は「私は、伊藤さんと柴本さんのお母さんの役です。どうなるかまだわかりませんが、母性ある母をめいっぱい、やらせていただきます。がんばって母性を出します!」。ラ・トレムイユ役の西岡徳馬は「六平さんと田山さん、浅野さん以外は初めてご一緒するのでそれがものすごく楽しみです。2010年暮れに贈る、情熱をもった素晴らしいパフォーマンスになるはずです。みなさん、ぜひご覧になってください!」
 それぞれ実にバラエティ豊か、まさに濃い顔ぶれで、笑いを誘うコメントも多数。非常に和やかで、アットホームな雰囲気の会見となった。

なお、イープラスではこの会見後に主演・堀北真希の独占インタビューも決行!その模様は追ってご紹介します!お楽しみに。

〈文/田中里津子〉

2010-07-15 15:55

 ネタものの季節到来!ということで、劇団☆新感線が3年に1度上演するおポンチ系芝居“チャンピオンまつり”の最新作が動き出した。タイトルは『鋼鉄番長』。成り行きで鋼鉄の体を手に入れた不死身の男が次々に巻き起こす事件とは!? ――誰もが大好きな少年漫画的ドタバタ学園モノを、オーバー40の俳優たちが燃え尽きるほどの勢いと全力のギャグで舞台に刻み付ける本作。新感線メンバーの“滅びの美学”に彩られたステージは色んな意味での危険な香りが満載。ネタもの初体験のお客さんはくれぐれも要注意で!!

アナログ精神――そういう匂いのする世界にはしたい。いのうえ

――そもそも『鋼鉄番長』のアイデアはいつ頃生まれたんですか?

いのうえ 名前としてはもう大分前ですよ。『犬顔家の一族の陰謀』(07)よりももっと前。

橋本 あ、そんな前からあったんですか?

いのうえ うん、タイトルだけはね。どういう話にするかとはそんなのは全然別に、コトバとして『鋼鉄番長』、いいんじゃない?って、最初はフレーズだけで存在してた。

橋本 まるで『メタル マクベス』のようですね。

いのうえ そうそう。でも芝居なんかそういうもんでしょ? 最初にタイトルありきで、そこに向かってどう作って行くか、みたいな。

橋本 “メタル”とか“鋼鉄”とか、カッコイイですもんね〜。特に野郎にとっては。まあ…単純に英語か日本語かの違いっていうのもあるけど(笑)。

いのうえ 新感線っぽいじゃん。なんかわかりやすくてドカーンっいうニュアンスが。ビジュアルも想像出来るし。あと学園モノをやりたいっていうのも前あったから、『鋼鉄番長』ここで出すか。これはもう少年漫画みたにいこうかなって、特になんのヒネリもない。

橋本 (笑)。

――その鋼鉄番長を演じるのが橋本さんで。

橋本 いのうえさんには随分前から「『鋼鉄番長』はお前が投げろよ」って言われてて、「ええっ、それ、俺!? うーんそうかぁ…」って、まあネタもののときはいつも最初そんな風に「どうしよう」って思うんですけどね。細かいことは考えてません。とにかくしんどいのは覚悟の上で乗っかって行くだけですよ。ケガをしないようにっていうのだけはあるけどね。それを踏まえて準備しつつ、あとはもう走ってしまえ!みたいなところで。

――鋼鉄番長は本名が“兜剛鉄”(かぶと・ごうてつ)なんですね。マジンガーZっぽい!

いのうえ こいつは改造される役なんだけど、元々“兜剛”ってヤツが機械に改造されたから“剛鉄”…って、鉄くっつけただけじゃねーかよっ。ぞんざいな名前つけやがって!っていう突っ込みもありの(笑)、そういう名前。

橋本 まあ、キャラ芝居ですよ。

いのうえ 『轟天』とあんまり変わらない(笑)。

――速報にある“小六魂(昭和)!”っていう但し書きもとても気になります。“中学生レベルの…”なんて言い方はよくありますけど、今回はさらにその先の小学生。

いのうえ さらにレベルが低いと(笑)。うんこ、しっこ、おならの世界ですよ。

――いわば『ガキデカ』ですね。

いのうえ うん。こまわりくんとか『ハレンチ学園』とか。パンツが見えるってことに一生懸命になってるようなさ。

橋本 ハハハハッ(笑)。とりあえず覗くとか(笑)。

いのうえ (笑)。覗きに行くのに〔写ルンです〕を持って行って…あ、〔写ルンです〕って今のお客さん解るかねぇ?その辺がちょっとね、最近不安ではあるな。いのうえ歌舞伎なんかで若いお客さんも増えてるし。

橋本 あー、解らないでしょうねぇ。でもまあそんなもんわからんでもいいでしょ。知らない人には教えてやるくらいの勢いで行けば。

――アナログ精神ですね。

いのうえ そうね、そういう匂いのする世界にはしたいよね。それにはやっぱり“昭和”なんだよね。

橋本 世の中には楽をしてては解らないモノがある、と。ま、知ってる人は“そうそうコレ!”ってなるだろうし、画面の前のキー操作だけで何でも見える今の人たちには“なんかちょっと珍しいモノ観た”って思ってもらえれば。

いのうえ とは言っても新感線のメインのお客さんは意外と年寄り多いから(笑)。

しんどいのは覚悟の上で振り切ってやってナンボ。橋本

――客演も新感線でもお馴染みの役者さんたちですね。田辺誠一さん、坂井真紀さん、池田成志さん。

いのうえ 池田さんはお客さんも「あ、池田さんが出てる。そうか今回ネタものか」って安心してくれるネタもの印。田辺くんも俺たちにしたら元々「本人、ちょっとヘンだな」ってところがあったんだけど(笑)、最近は世の中的にも「もしかして…」と少しずつバケの皮が剥がれて浸透しつつありますからね。彼はずっと「ネタものやりたい」って言ってくれてて、それこそ『IZO』のときも「いやぁ、俺はホントはこっちじゃないんだよ〜」みたいなことすら(笑)。だから満を持して、ですね。真紀ちゃんも笑いのセンス持ってるし、やっぱり本人も出たいって言ってくれてて。それでこの機会に。

橋本 「出たい」って言ってくれる人は多いんですよ。でもなかなかそうはいかんのよっていうところがねぇ。

いのうえ 「何をやるか知っとるんか?」と(笑)。

橋本 そう。それでも「いい」と言ってくれて、さらにいのうえさんもOKのポテンシャルがないと。

いのうえ 古田がよく「ネタものは報われない」って言うんだけど、その報われないところに美学を感じてくれる人じゃないと難しいんだよ。いのうえ歌舞伎とかなら立ち回りがあってもちゃんとそこで「カッコイイ」とか「スゲェ〜」ってことになるんだけど、ネタものはバーッて闘ってるのが結果的に壮大なフリじゃん(笑)。いのうえ歌舞伎以上に動き回ってるのにも関わらずただのフリ。絶対そのあとオチがある。それってホントに報われないんですよ。

橋本 それと、全体に体力的に非常に大変っていうのはもちろん、喉にしてもね、(大声で)「アホかーっ!!」「それかーーっ!!」「ええーーーっ!!」って、不必要なまでのツッコミをその日の体調も度外視で間をはずさずにガッツリ入れ続けるというのは、やっぱり過度な負担をかけてやらなきゃいけないことで。でもすべては自己責任。段取りも多いけど、そういう体力的なところで長丁場を体験していただく客演のみなさん。…無事ならいいのに。

いのうえ そうだね。『薔薇とサムライ』のときだって、2回回しの日はね、みんなもう裏で死人のようでしたよ。

橋本 ハハハハハ(笑)。

いのうえ まあやらせといてアレだけど、だからこそ今回はネタものってことで本当に危険だからさ。週8ステージっていうスケジュールは死守した。ホント危ないもん。

橋本 危ないですよ〜。まあそうやって屍を乗り越えて行った先には何もないんですけどね(笑)。それでも幕だけは降ろさんと。しんどいのは覚悟の上で振り切ってやってナンボ。その辺はもう痛々しく見えて来るかもしれないですけど(笑)、それが現実なんでね、「これが生き様じゃい」ってところで。あとはもう僕に何が出来るかはいのうえさんが一番良く知ってはるんで、俺は準備だけして。

いのうえ そうだね。まあ、行けるところまで行きましょう。

――むしろ行けないところまでも行きましょう、と。

いのうえ (笑)。ネタものって体力測定期みたいなところがあるんだよ。「あー、昔はこれ出来たのに」って。でもまあ「実は僕たちはもうそういう年齢の人たちなんですよ」っていうところですよ。楽して出来るネタものはないですから。だってもう出てくる人たちはみんなアタマがおかしくて…

橋本 ハハハハッ!

いのうえ ハイテンションでね、冷静な人なんてほとんどいない。どうしたんだお前らっていう。そういうところも昭和っぽいんだと思うけど。

橋本 確かにそうですね。俺たちはそういうテンションを面白がって育ってきた。今の人たちにもぜひそういうアタマのおかしな人たちを見てもらいたいですよね。

いのうえ ドリフターズの『全員集合』も、あの大転換のステージを正味50分くらい、毎週毎週生でやっててさ、あれこそ昭和のハイテンションだよ。

――セットにパトカー突っ込んで来たり、凄かったですからね。じゃあ、ネタものの理想はドリフ?

いのうえ だろうねぇ。

橋本 金だらいにしたってヘタしたら死にますからね。

いのうえ うちのやつらもね、その辺命かけてますよ。「ガーンッて音しないとダメだぞ」「ガランガランガラーン」って。それを嬉々としてやってるのを「ドリフみたいだなぁ」って思って見てたり。

橋本 落とす人・受ける人。お互いの真剣勝負。

いのうえ あれだね。昭和の芸人さんはやっぱり芸に関しても厳しかったんだよね。

――ちなみにいのうえさんはどんな小六だったんですか?

いのうえ やっぱりうんこやおならの話をしてゲラゲラ笑ってた。あと、お楽しみ会でなんかやって友だちがゲラゲラ笑ってくれるのがうれしかったり。小学生だからまだ色気はないよな。モテたいよりウケたい。

橋本 それもう新感線の源泉じゃないですか! そうか〜、最初の一滴は小六のお楽しみ会か。

いのうえ 俺はみんなを笑わせたい、と。

橋本 (笑)。子ども時代で言えば、いのうえさんとも古田くんともバイブルにしてた漫画が被ってましたよね。『ガキデカ』『マカロニほうれん荘』…

いのうえ あと永井豪さんとかね。まあそういうことですよ。今回は小六な男子の学園もの、アクションのあるドタバタ。それ以上あまりここに書くこともないでしょ(笑)。

小六って言い切って振り切ってる男芝居をお見せ出来ると思います。いのうえ

――(笑)。では…劇団30周年ともなると新しいお客さんも常に増えていると思います。ネタもの初体験の方に向けてのアドバイスなどあれば。

いのうえ やっぱりね、「何だコレ?」って怒る人はいると思うんだよ、絶対。「金返せ!」とかさ。でも俺たちは「すいませんねぇ」としか言えないので、そこは解った上で来て欲しいかな。

橋本 チケット代も貴重ですからね。事前にDVDで『レッツゴー!忍法帖』か『轟天』あたりを観て頂いて、これなら大丈夫と思ったら観に来て頂ければ。今回はさらにそれらの上を行くかもしれませんし、事前のチェック、これもう逆に僕らからのお願いですね(笑)。できればちょっと大きい字で書いておいて欲しいですわ。

いのうえ でもね、『犬顔家』のときもあれは特に番外編だしどうかなぁって思ってたら意外とみんなゲラゲラ笑ってて、「アレ?」って思ったりはしたんだよ。みんな広い意味でお笑いに飢えてるのかなって。

――確実に求められていますよ。

いのうえ なんだよね。でもドタバタをやり続ける劇団としては、ここまで続けて来てるのって結構な挑戦だと思うんですよ。ドタバタやってた人たちの大抵はだんだんウェルメイドな喜劇に移行して行きますし、実際自分が今この年齢になると「そりゃそうなるよね」っていうのも全然わかる。たぶん僕らはいのうえ歌舞伎や音モノっていろいろやってるからこそ、ネタものも続けられてるんだろうな。ドタバタだけやり続けてたら、とっくにみんな疲弊してたでしょうね。

――だからこそ観る側も待ちに待ってしまうんですよね。

橋本 お客さんは貪欲ですからね〜。

いのうえ ネタものはやっててホントに大変なんだけど、ホントに面白い。そろそろ自分の中でネタも出揃って来てるし…まあ基本は下ネタですけどね(笑い)。小六って言い切って振り切ってる男芝居をお見せ出来ると思います。

橋本 楽屋はもう想像出来ますよ。「なんかみんなしゃべらんな…」って。田辺くんに「そんな橋本さん見たくないです!」とか言われたり(笑)。でも面白いモノを見せるためにやっぱり最後の一滴まで舞台上で絞り出さんと。そのための死人の山です。

〈取材・文/横澤由香〉
〈スタイリスト 中川原寛(CaNN)〉
〈ヘアメイク 杉山裕則〉

2010-07-14 12:17

 昨年、 結成30周年という節目を迎え、ますます血気盛んな劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)。座長・三宅裕司を筆頭に小倉久寛ら芸達者な劇団員たちが勢揃いで贈る、 歌に笑いにダンスにアクションと、まさに盛りだくさんのエンターテインメント劇団だ。「30周年は単なる通過点」と、今年も引き続き徹底してミュージカル・アクション・コメディーにこだわり続ける三宅座長に今回の新作の構想を聞いた。




「今までの作品で一番、人間の内面を壮大に描くストーリーになりそうです」

――次回作『オーマイ ゴッド ウイルス』は、どういうお話になりそうなんでしょうか。

 テーマは“必要悪”です。悪のススメということですね。今って教育でもなんでも、いい子を育てるためのもので、非常に厳しい母親が多かったりするじゃないですか。みんな、とにかくいい子にならなきゃいけないような教育状況になっているように思うんですが、果たしてそれでいいのか?ということ。もちろん法律を破るような悪さはいけないんだけれども、つまり人間の心の中にある悪の部分の魅力みたいなものを、もう一回考えてみたほうがいいんじゃないか?というのがテーマなんです。だいたい、男っていうのは自分の学生時代にした悪いことをとかく自慢しがちじゃないですか。そして女性もちょっとワルのほうにひかれる部分もあるでしょう。そのワルの魅力ってなんなんだろうという、そういうところから発想したものなんですよ。ストーリーとしては、わりと普通のシチュエーションから、だんだん奇想天外なところに行くんですが、その部分を詳しく話すと。

――ネタバレになって、つまらなくなっちゃいますね。

 そうなんですよ。まあ簡単に言うと、あるウイルスが突然流行してあちこちに感染していくんですが、それが実はとんでもないウイルスで……、というところから始まるんです。現代の日常生活から、非常に壮大なテーマのほうへ向かっていきます。現在制作中なんですが、今回のポスターやチラシを見ていただけるとイメージがわかるんですが、天使と悪魔、 エンジェルとデビルの顔が僕と小倉になってます(笑)。人間の心の中にある善と悪、 エンジェルとデビルの部分。それと現代の社会のこと、さらに実はもう一つ世界があって、そっちにもリンクしていくという流れですね。

――舞台は現代なんだけど、だんだんSFっぽくなっていくような?

 そうですね。SFっぽくもなるし、日本昔話風にもなるし。

――いろんな展開が待っているんですね。

 そうです。ある意味、今までの作品で一番、人間の内面を壮大に描くストーリーになりそうです。人間の心の中の善悪を大きくクローズアップしていくので。

――テーマを善悪にしようと思いついたきっかけは、なにかあったんでしょうか。

 子育てをしていく上でどうしても起こることだと思うんですよ、そういう悪いことと向き合うというのは。息子には自分が昔ちょっとワルだった思い出を話したくなるじゃないですか。僕なんかはマジメなほうでしたけど、それでもちょっとはそういうところもあったと言いたくなるものなので。それともうひとつは、鳩山さんのことかな(笑)。鳩山さんを見ていると学者的にはすごく頭のいい人で、宇宙人だって言われるくらい、なんかちょっと今までの首相とは違う感じがして期待もしていたんだけど。でも結局、周りも悪かったんでしょうけどいろんなことがうまくいかなかった。それでも近くにいる人たちはみんな「いい人なんだけどね」って言うでしょ。そのあたりがきっかけですね。

――演出面で、なにか狙ってることはありますか。

  そうですね。今回は舞台に小説とか日本の昔話とか、そういう世界も出てくるんですが。

――日本の昔話?

 お客さんたちもみんな知っている、悪のヒーローたちっていますよね。その主人公たちとの戦いになるんです。そこでミュージカル的な音楽の要素を使いたいと思っていて。僕は、急に感情が高まって歌い出すミュージカルがあんまり好きじゃないんですね(笑)。ですからこれまでも、芸能事務所を舞台にした話なら歌手が出てきて歌うシーンができるとか、そういうことを考えて設定をつくってきた。そういう意味でいうと、今回はその悪のヒーローたちが出てきて歌うというのは不自然ではないと思うんです。物語の中の架空の人物たちが音楽を使ってなにか表現をするなら、お客さんも不自然には思わないと思うので。そのミュージカルシーンの表現をどういうふうにするかというのが、今回の一番の演出ポイントかな。そこの音楽的要素が悪のヒーローたちとうまくリンクしたとき、いいミュージカルシーンができるんじゃないかなと思っているんですけどね。

「本当にSETの演出は難しいんですよ(笑)、いろいろ欲張り過ぎているんで」

――三宅さんご自身は伊東四朗一座や熱海五郎一座など劇団外の活動も数多くやられていますが、こうして改めてSETに戻ってきたときに感じる劇団ならではの楽しさ、醍醐味はどういう点でしょうか。

 まず、準備期間が長くとれるというのはありますね。でも最近はだいぶ劇団員も忙しくなってきて、昔ほどはとれていませんが…。一時は、プロデュース公演とは違う劇団公演をやらないと意味がないと考えてまして。それで劇団員にはミュージカル・アクション・コメディーのなかの何かひとつを1年間練習して披露させたりしていたんですが、最近はミュージカル・アクション・コメディーの全体のバランスを考えるようになりましたね。それぞれにレベルの高い人間が育ってきているので。そこをどう使って、劇団の特徴や良さを出すか。たとえば熱海五郎一座だとみんな笑いのプロですから、笑いに関してはものすごいラクなんです。ただ、ちょっと立ち回りやらせると動けないヤツが多かったり、ということはありますが(笑)。それがSET本公演の場合は、あまり知名度のない人間が笑わせるわけなので、台本のセリフの面白さと表現力とで勝負しなければならない。そうやって笑いの部分のレベルを上げつつ、肉体を動かす部分ではふだん訓練している部分を出して全体にレベルアップしていくという。その上でミュージカル・アクション・コメディーのバランスのいいものを作るというのが、今の劇団公演で前面に押し出している部分ですね。

――劇団の演出をするときに、一番苦労されることは。

 やっぱり知名度のない劇団員にギャグをやらせることですかね。どんどん経験させていかなきゃいけないんですけど、でもそのとき、お客さんにとって本当におもしろいギャグじゃないとやはり笑ってくれないですから。

――厳しいですね!

 厳しいけど、しょうがないんですよ。ふだんテレビで見ている人だと舞台に出てきたってだけで心を開いてくれるものだけど、それが劇団公演だとまったくなくなりますから。しかもSETの場合は、笑いだけがテーマじゃないんで。さっき言ったようなテーマなので、ストーリー的に無理なギャグというのはカットしなきゃならない。シリアスなテーマを進めていく上で邪魔になる笑いもできなくなってくる。ここでこのギャグを入れるとラストでテーマが壊れてしまうと思えば、どんなにおもしろくてもカットせざるを得ないこともあるという、そういう難しさが出てきますね。本当にSETの演出は難しいんですよ(笑)、いろいろ欲張り過ぎているんで。

――さまざまな要素がたっぷり盛り込んでありますものね。テーマが社会的なことだと、さらに笑いを生み出すのが難しくなるし。

 そのテーマを大切にすればするほど、難しくなってきます。

――かといって、笑いを排除するわけにもいかないし。

 まあ、お客さんとしてはもちろん、笑いは期待しているでしょうからね。そこははずせません。ラストの緞帳が下りるときに、お客さんがどのくらい感動してニコニコ拍手してるかっていうところはいつも考えます。僕たちは、そのためにやっているのでね。

――やはり、最終目的はお客さんの笑顔。

 ええ。そういうことが書いてあるアンケートも多いですから。「最近いいことが何もなかったんだけど、この芝居を観ている間だけはイヤなことが忘れられました」とかね。そこに、僕たちのやる意味があるんだなと感じます。

――では、お客様にお誘いのメッセージをお願いします。

 なにしろミュージカル・アクション・コメディーですから、まったく何も考えずに楽しんでもらいたい。シリアスなテーマはあっても、そこはSETなので。あまり構えずに、気軽に観に来てほしいですね。

――リピーターの方も多そうなんですが、特に初心者の方へ座長から観劇のおすすめポイントをいただけますか。

 三宅・小倉の台本を無視した自由な時間があるので、そこをぜひお楽しみください。そんなコーナーもありますよ、ということです(笑)。初心者の方は知らないでしょ、そういう場面があること。リピーターの方はそこを非常に楽しみにしている人が多くてですね。簡単に終わると許さないぞ、みたいな空気になったりすることもありますから。

――いつも、小倉さんを困らせる方向のアドリブが多そうですよね?

 いや、小倉の場合は実生活から困ってるんで。だから方向とかではないんです。

――常に困っているんですか(笑)。

 そうです。小倉は困れば困るほど、おもしろいんです。だいたい僕が台本を書いて、そこから小倉がいろんなリアクションをしていくんですけど。僕も毎日ツッコミが変わっていきますし。昨日やったからといって、今日もやるとは限らない。そういう場面があることを知っていると、きっと初心者の方も最初から楽しめますよね。ここはどうなるかわからないんだとスリルも感じられて。ま、僕自身もそのスリルを楽しんでいるんですけどね(笑)。

〈取材・文/田中里津子〉
〈写真/渡辺マコト〉


2010-07-07 18:52

 ホームグラウンドである歌舞伎で次々と大役に挑む一方で、この秋は蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品『じゃじゃ馬馴らし』にヒロイン役で主演するなど、活躍の場を拡げている若手歌舞伎役者・市川亀治郎。彼が8年前に立ち上げた自主公演「亀治郎の会」が、この夏で8回目を迎える。



ナマの舞台の面白さは、一生に一度だけでも味わっていただいて損はないと思うんです。

――なぜ「亀治郎の会」を始めたのですか?

 これは要するにリサイタルで、自分のやりたいことをやりたいようにやろうという会です。現在活躍していらっしゃる先輩方もかつては自主公演をやっておられますし、ここでは演者としてだけでなく、プロデューサーとしての眼も養われる。もの作りの勉強ができる場なんです。

――今回の演目のひとつ「義経千本桜」について。

 『義経千本桜 四ノ切』は伯父・市川猿之助が選定した猿之助四十八撰≠フ中でも、一番の代表作。澤瀉屋の家の芸ですから、主人公の狐忠信はいずれやるだろうと思っていました。静御前役の中村芝雀さん、義経役の市川染五郎さんをはじめすばらしい共演者に恵まれて、最高の配役で上演できます。

――歌舞伎屈指の人気演目ですが、その魅力はどこにあると思いますか?

 子狐の親を慕う純粋な思いが、人間たちの胸を打つ。現代の観客が涙することができる、普遍的な物語であるという点に尽きると思います。歌舞伎というと「よく分からないけど、キレイ」といった見方もあるけど、分からない物語をやってもしょうがないと僕は思う。現代においても理解でき、感動できる物語、そして役者の魅力でも成立するものを目指しています。

――新演出や工夫など、何か暖めているアイデアは?

 目的は古典歌舞伎の継承ですから、奇をてらうことなく、あくまで伯父の猿之助の指導通りにやります。新作の歌舞伎に比べて古典が非常に優れているのは、決して古いからじゃない。普遍的な素晴らしいものが詰まっているから、時代に左右されることなく伝えられているんです。古典を学ぶことで、僕ら歌舞伎役者は芸の引き出しを増やし、新作をやる上で必要となる部品を仕入れることができる。そして、澤瀉屋はものを作ることが伝統。その勉強をしようと思ったら、自主公演では古典の継承だけじゃなく、仕入れた部品を組み合わせた新作に取り組まないといけません。

――それが現代劇俳優・福士誠治さんとのコンビで見せる『上州土産百両首』ですね。

 牙次郎と正太郎、幼なじみの男ふたりの友情を描いた、心温まる作品です。それに初演は歌舞伎ですが、新国劇や藤山寛美さんといった歌舞伎以外の役者が手掛けることで、新たな生命が宿ってきたということもある。福士くんとは以前ドラマで共演して、「いつか一緒に芝居をやろうね」と話していました。ちょうど正太郎のキャラクターとも合うし、同じドラマで出会った渡辺哲さんも出て下さいます。ただ、福士くんが舞台でどんな演技をするかはまだ僕にも分かりませんから、これは一種の賭け。その意味において楽しみだし、お客さまも楽しみにして下さったらうれしいなぁ。

――キャスティングの決め手は?

 やっぱり仲間でひとつのものを作るときはチームワークが大事。このチームワークを前提にキャスティングを考えてゆきます。人柄が第一条件というのは、どんな世界でも一緒でしょ? ちなみにこちらは全くの新演出になりますし、脚本にも手を入れています。

――今回演じられるのはふた役とも立役=男性役で、女形をなさらないんですね。

 女形専門と決めたわけではないし。まぁ、うちの家の芸がほとんど立役だっていうのもあるし、歌舞伎は封建制の強い時代に生まれた演劇だから、どうしても女形が主になる作品が少ないんです。

――TVで亀治郎さんを知って、これが初観劇という方も多いかもしれません。

 今は芝居のチケットを取って劇場に行くのを面倒に感じてしまうような時代ですが、ナマの舞台の面白さは、一生に一度だけでも味わっていただいて損はないと思うんです。演者と観客が一体となっているその瞬間は、舞台から投げかけられたものを受取るだけじゃなく、お客さんから僕らに投げ返すことができる。それを僕は作品づくりで目指しているので、ぜひ参加≠オてほしいですね。それから「亀治郎の会」の目玉のひとつがプログラム。お陰様でプログラム売り場に大行列ができるほどですからね。舞台以外の要素も大いに楽しんでください。

〈取材・文/山上裕子〉
〈写真/渡辺マコト〉

2010-06-28 13:58

 1年間のロンドン留学から帰国した長塚圭史が、帰国後、最初に演出に挑む翻訳作品である『ハーパー・リーガン』。現代のロンドン、父親の危篤の報を受けたハーパー・リーガンは上司に仕事を休みたいと申し出るが叶わず、その瞬間に心の"何か"が動き出す。そして夫や娘にも何も告げないまま自分自身を見つめ直そうとあてもなく歩き出して――。ひとりの女性の2日2晩の旅を追う本作で主人公のハーパー・リーガンを演じるのは、これが5年ぶりの舞台となる小林聡美。初のタッグとなるふたりに、これから始まる"創造の旅"について聞いてみた。

自分たちの置かれている環境に対して、しっかり「今」というモノを見つめている作家だと思う。長塚

――本作とはロンドン滞在中に出会ったそうですね。

長塚 僕はロンドンではナショナルシアターってところにいたんですけど、そこのボスに一度「こっちのいいホンを教えてください」ってインタビューを試みたことがあったんです。そこで何人かの現代作家を教えてもらったうちとても興味を引かれる戯曲がいくつかあって、中でも一番インパクトが強かったのがこの作品だったんです。

――どんなところが魅力的でした?

長塚 彼女(ハーパー)の場合はお父さんの死が契機だったけど、人間誰しも生活の中で突然「あれ?」っていう疑問が起きる契機に出会い、自分の人生を振り返ることってあると思うんですよ。ハーパーほどドラマチックでないとしても何かこう…陥ってしまうことが。僕は英語で読んだんですけど―

小林 凄ーい!

長塚 仕方なくですよ(笑)。まあ単語なんかは難しいところもあるけれど、不思議なものでね、英語なのにすごくリズミカルに一気に読めてしまったっていうところがまず「スゴイな」って思った。

小林 物語にチカラがあるんですね。

長塚 で、怖くなるんですよ。読んでるうちに。最初の上司との会話のところなんかも、真正面から完全に向き合ってないとなかなか生まれないような相手に対する緊張感だったり威圧感だったり相手の恐怖につけ込んだりっていうモノが凄く描かれていて。どのキャラクターもそうなんだけど、お互いグッと向き合って来るからみんな正直にならざるを得ない。根本は家族の話なので一番近くにいる人たちとどう向き合うかっていうところがキチンと描かれているし、しかも、僕らの許容量を超えた情報が溢れる現代の闇のような中でいかに人間が生きて行くかってことをしっかり見つめている。

――作者のサイモン・スティーヴンスは長塚さんと同年代の作家です。

長塚 そこも大きいですね。英国人の特性もあるのかもしれないんだけど、自分たちの置かれている環境っていうものに対して、経済的にも政治的にも人種的にもしっかり「今」というモノを見つめている作家だと思う。それでこれはもう日本に持ち帰って絶対どこかでやってやろうと思ったんですよ。

――素晴らしいお土産です。

小林 留学した甲斐がありましたねぇ(笑)。

長塚 それはもうホントに(笑)。

俳優さんにはぜひやったことないものをやって欲しいし、自分は現場でそれに一緒に立ち向かっていきたい。長塚

――小林さんは5年ぶりの舞台になりますね。

小林 そうなんですよ。特に舞台はやらないとか決めてないんですよ。でもあんまり舞台の出演依頼がこないんです(笑)。

長塚 ホントですか!?

小林 ホント、ホント。それで気がついたら5年も経ってたっていう。

――お2人はこれが初顔合わせですが、お互いの印象はいかがでしょう?

長塚 実は僕、子どもの頃に…

小林 あ、子どもの頃とか言ってる(笑)。

長塚 (笑)。子どもの頃、父の仕事場に連れて行ってもらって見学してたときに紹介して頂いたのが最初で、「あ、見たことあるお姉さんだ」って思いました(笑)。なにしろまだチビッコでしたから。

小林 (笑)。私が二十歳くらいのときですかね。今思えばあの子だったのか、と。スタジオで、ホントにごあいさつ程度だったんですけれど。

長塚 いや、でも僕からすると子どもの頃に会ってるっていうのは割とデカイですよ! 勝手な親近感が湧いてしまうというか。

小林 フフフフ(笑)。私はお父様に大変お世話になっているので…長塚さん、年々お父様に似て来ているじゃないですか。そういった意味ではホントに昔から知っているような気持ちが強いです。

長塚 良かった(笑)。僕が小林さんのお仕事で一番印象的だったのは舞台の『おかしな2人』ですね。本来男の人たちの話(陣内孝則/段田安則)で、そちらもとても良かったんですが、個人的には女性バージョン(小林聡美/小泉今日子)のほうがより面白かったんですよ。

小林 へぇ〜。

長塚 男と女をすり替えたことでそこにまた一個大きな嘘が生まれて劇的なモノが増えるというか。とにかく主演のお2人がとてもチャーミングで「2人とも好き!」って。で、僕もどっかでなにかをと思いつつ…僕の話って大概イヤ〜な(笑)、話ばっかりでしょ。

小林 血みどろ!

長塚 そう。だから絶対…いや、絶対ってことはないだろうけど、やっぱりどうなのかなぁ、僕の話の中では小林さんはなかなか出て来て頂けないんじゃないかなぁって思っていて。ずっと興味はあれど機会がないという状態でした。

小林 舞台、何本も拝見してますよ。

長塚 でも…苦手な作品も多いんじゃないですか?

小林 突然、バーンッ!とか、ガーンッとかね。そういうところは「あー、来る来る来る…ギャーッ!」ってなってますけど(笑)。でも非常にナイーブで劇的な作品をたくさんやってらっしゃって。もちろんご一緒してみたいという思いもあったんですけど、でもあの血みどろの世界に私の場所はあるのかって感じてて…。

長塚 ほらね、やっぱり! お互いそうだったんですよ!

――片想い同士。

長塚 (笑)。それで今回の作品の打ち合わせのときにふっと小林さんのお名前が挙がって、これは…!と。

小林 ちょうどいい!

長塚 ちょうどいい! もちろんハードな部分もいっぱいあるんだけど、いろいろ考えて…やっぱりね、見たことないモノを見たいんですよね。俳優さんにはぜひやったことないものをやって欲しいし、自分は現場でそれに一緒に立ち向かっていきたいと思うし。

小林 ご一緒するにはとてもいいタイミングでしたよね。ハーパーは私の年齢にも近いですし、物語の内容が読んでいていちいち腑に落ちるというか、凄くわかるっていうか。長塚さんがおっしゃったように、人と人がちゃんと向き合って正直に自分をさらけ出して行くっていうことは普段の生活ではなかなかないことだし、そこはきっと見てる人も気持ちいいところでもあるので…うん、そういうところをちゃんとやっていきたいですね。

――逃れられないモノに対峙して行くのは怖いけれど、同時に清々しさもありますからね。

長塚 現代の現状に対して劇作家が筆を執って書くっていうのはね、やっぱり、非常に強いんですよ。僕自身は偏っているので(笑)ここまで現実味のあるタイプの作品を書けなかったりするんだけど、でも演出だけをやらせてもらえるというところで、こういう戯曲を見つけたときに上演することが出来る。「俺が書いた」みたいな気持ちにさせてもらえるのは幸せですよね。

――"今"の物語を"今"やる意味。

長塚 そう。僕の頭の中にある構想では、翻訳モノだっていう抵抗感を持たずに見られる作品だって思ってるんです。今回は初演だし、言葉にしても例えば「うん」なのか「はい」なのか「ええ」なのか。そういうところをひとつひとつホントにぎりぎりまで探りながら、この作品をこのキャストでどう上演するのかっていうところを突き詰めていきます。

小林 今回ご一緒するキャストの皆さんも素晴らしい方たちばかりなので、「いい作品だね」って言われるよう、みんなの力が最大限に出ていいお芝居が出来たらいいですよね。台本も読めば読むほど深いところにいける感じがするので…まあ、そこを探っているあいだは頭がずっと働いていて眠れなくなったりもしますけど。

長塚 やっぱりそうなりますよね。神経おかしくなるほど考えてすり減らすような作業をたくさん経験した上で、稽古場のみんなで持続できる道順を見つけていく。そこからさらにスリリングでフレキシブルなところで芝居をやっていけたらいいなぁとは思いますけど。

小林 そうですね。舞台は肉体的だけじゃなく、精神的な強さも持っていないと出来ないですからね。

――クリエイティブで刺激的な稽古場になりそうですね。では最後に改めて本作の魅力をお聞かせください。

小林 けっこうタフな部分もある内容ですけど、見終わったあとは、「よし、頑張ろう」っていう気持ちになれる作品だと思います。終わり方がね、いいんですよ。ここから再びみんながそれぞれに歩き出して行く、人生を続けて行くっていう。結婚して家庭を持っている方には特に共感していただけるんじゃないかと思います。

長塚 登場人物もみんな魅力的。あの風景の中、ハーパーと旅、冒険をして、そのあとの一歩をまた踏み出していく…たぶん今どこへ歩き出してもマイナスには行かないんじゃないかっていう余韻がいい。本当に、誰にでもシンパシーを感じ共有出来る部分が大きくある物語だと思います。自分自身今まで書いて来た作品を思い返すようなところもあったし、いい出会いでした。

小林 大人が楽しめる物語ですね。

長塚 そうですね(笑)。女性の方はもちろん、僕を含めた男性の面々も「おお、女性ってこうなんだ」という発見もいろいろ出て来ると思いますし、また夫の視点も大変興味深いものになっていますよ。たくさんの人に観て欲しい家族の話。お友達をいっぱい連れて来てくださいね(笑)。

〈取材・文/横澤由香〉
〈写真/渡辺マコト〉

公演概要

パルコ・プロデュース「ハーパー・リーガン」

作:サイモン・スティーヴンス
訳:薛珠麗
演出:長塚圭史
出演:小林聡美 山崎一 美波 大河内浩
    福田転球 間宮祥太朗 木野花

【東京公演】
公演日:2010/9/4(土)〜9/26(日)
会場:PARCO劇場

【大阪公演】
公演日:2010/10/2(土)〜10/3(日)
会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

2010-06-22 13:22

 日本を代表する劇作家のひとり、つかこうへいによる、激しくも哀しい名作『広島に原爆を落とす日』。タイトルからしていかにも刺激的だが、祖国とは、戦争とは、そして人を愛することとは……? といった深く重いテーマをカタルシスたっぷりに、ドラマティックに描いていく、まさに衝撃作だ。

 この作品に取り組むのが、今年も映像に舞台にと大活躍中の筧利夫。「つかが書いたセリフを、ぜひとも筧の声で聞きたい」とのファンのアツい想いに応える形での、久しぶりのつか作品への登板となる。しかも『広島に〜』には1982年、1989年以来の3回目の挑戦となる筧。作品への思い入れも、一段と深いようだ。


『広島に〜』は、つかさんの芝居と最初にちゃんと触れあった作品

――『広島に原爆を落とす日』には筧さんは3度目の出演となりますが、これは以前に上演されたバージョンとはまた違うんですか。

 それはもちろん、全然変わりますね。今回はつかさんの『広島に原爆を落とす日』の小説の方をもとにして、そのエキスと心意気を残しつつ、解体して演劇に再構成する感じです。

――やはり、作品への思い入れが強そうですね。

 そうですね、思い入れはありますよ。僕が、つかさんの芝居と最初にちゃんと触れあった作品ですし。そのときは、つかさんの演出ではなくて劇団☆新感線のいのうえ(ひでのり)さんの演出だったんですけどね。しかも、この作品でいのうえさんとも初めて一緒に芝居をやったんですよ。確かに、記念すべき作品ではありますね。

――2回目の"ペーパーカンパニー"プロデュース公演のときのことは、小劇場界では伝説に残る舞台とよく語り継がれていますが。

 本多劇場で3日間だけやってね。珍しくギャラをとっぱらいでもらったことを覚えてるよ(笑)。チラシは、かわぐちかいじさんでさ。よく描いてくれたよね。演出の"市堂起立"は、実はマキノノゾミさんだったんだ。

――改めて、つかさんの芝居ならでは感じる醍醐味とか、面白さとは。

 うーん、言葉で言うのがすごく難しいんだよなあ、つかさんの芝居って。あの感覚は、なんて言えばいいんだろうねえ。あの、足し算引き算感というか。たとえばリンゴとモモの半分ずつのモノがぴたーっとくっついて、しかもそれがちょっとズレてる感じを出せるのはね、つかさんの演出じゃないとできないんだよね。音の選び方や、照明の入れ方とか、セリフとかも含めて全部、見事なんですよ。あんな人はね、ほかに見たことがないね。だからまた、今回もつかさんの作品にぶつかり稽古をしていく、という感じですよ。演出は岡村(俊一)くんだから、これはまるっきり新作ということにもなりますしね。

――新作となると、これまでの『広島に〜』と比べてどのへんが変わりそうですか?

 もっと物語っぽくなりますよね、きっと。お話としては、わかりやすくなるのかも。アジアの演劇として、ブロードウェイで3年くらいできるような作品になるんじゃないの。岡村くんは、そういう芝居を作るから。つかさんの考え方と精神力を借りて、岡村くんの作り方で岡村ワールドにするという作品になるはずです。

――岡村さんはもう何度も舞台を一緒に作られてきている盟友のような存在だと思いますが、ここで改めて岡村演出の魅力とは?

 そうだね、岡村くんのスゴイところはね。「この人とはどこでどう知り合ったんだろう?」という人をカンパニーに連れてくるんだよ。役者とかスタッフとかも含めて。昔からそうなんだ。プロデューサーとして、関西で演劇をやっている学生で人気があるヤツみんな集めて芝居をプロデュースしたりしていたしね。演出的には、とにかく最後にはなんとかする男だね! だから、そのへんはいつも安心してる。僕は性格的にイラチなんでアセっちゃうんだけど、時間がなくても絶対なんとかしてくれる男だからさ。

舞台の仕事が面白いのは、毎日毎日ゼロから始まるところだよね

――今の時点で、山崎という役をどう演じようと思われていますか。

 とにかく、まずはセリフをよどみなく覚えて、よどみなくしゃべることがすべてなんですよ。演じるもなにもないです。どういう方向の芝居になるのかなあ。あんまり僕自身は歌って踊ってって芝居ではないという感じはするけど。そうだな、わかりやすく言うと、8月ごろにあるテレビの終戦特番で、ドキュメンタリーと半々になってるようなスペシャルドラマみたいな演劇になるかも(笑)。いや、ともかく本当に、コクーンでやるのにふさわしい方向のお芝居になるんじゃないですかね。きっと、ためにはなると思うな。

――ここのところ、映像のお仕事が多かったようでしたが、今年は舞台への出演も続きます。舞台の仕事の魅力は、どういうところに感じられていますか。

 舞台の仕事が面白いのは、毎日毎日ゼロから始まるところだよね。スタッフとキャストがお客さんの様子を見ながら毎日細かく、手を入れて編集していく作業をするのが舞台なので。映画みたいに完全にできあがったものだと、お客さんが沸いているときでも静まっているときでも同じものを見せますけど、お芝居だと音の大きさや間をその場でちょっと変えたりするので。そういう面白さがありますね。バトンリレーやってるようなところがあるんですよ、芝居は。まあ、照明はなかなかその場では変えられないけど、音響さんとは録音の音を使っていても音量の調整をしたりして、意思を合わせられたりするんで。芝居の本番の醍醐味っていうのも、たぶんそこにありますね。

――特に今回、本番に向けて楽しみにしていることは。

 演出の岡村くんが新しモノ好きなので、またどんな新しい技術をこの舞台に投入してくるつもりなのかが楽しみですよ。最先端のものを製作費そっちのけで投入するからね。今回もラスベガスで仕入れたネタがあるらしいですよ。マジシャンの人が、今回のステージではどんな新しいネタをやってくれるんだろう?みたいなところがあるんですよね。それは照明かもしれないし舞台装置かもしれないし、まだわからないんだけど。

――では最後に、お客様にメッセージをお願いします。

 この夏、ぜひ私と一緒に見えない何かを乗り越えに劇場にいらしてください。私も、みなさんと一緒に乗り越えたいと思います!(笑)

2010-06-07 12:00

 岸谷五朗と寺脇康文による演劇ユニット〔地球ゴージャス〕の11作目『X day』。未だ明かされていないストーリーは「まさに"X"」と悪戯っぽく微笑む二人がこの最新作で挑むのは、6人の俳優(岸谷五朗 寺脇康文 中川晃教 陽月華 藤林美沙 森公美子)だけで繰り広げる濃密な世界だ。前作『星の大地に降る涙』では迫力ある群衆劇でエンターテイメントの爆発力を見せつけてくれた地球ゴージャス。さらなる一歩に向かって創作活動を続けるココロの内を聞いてみた。

基本的にやりたいことをやるのが俺たちの芝居。アタマで考えるんじゃなく、カラダが自然と求めるているモノを大事にしてそこに向かうというか。(岸谷)

──本作の構想はいつ頃からあったんですか?

岸谷 前回公演をやっている頃にはもう「次は少人数の芝居をやろう」っていうのは決まっていて…。

寺脇 ああ、いや、もうちょっと前からあったよね?

岸谷 そうだね。次の芝居、その次の芝居っていうことは常に別の回路として動いてるからね。前回の『星の大地に降る涙』は大人数の群衆芝居でとても地球ゴージャスらしいエンターテイメントでしたし、今後もゴージャスがお客様に見せていきたい芝居の形態だとは思うんですよ。でもそうすると一方でまったく違う系統の芝居にも欲が出て来る。

寺脇 決して戦略を話し合うとか、計算しているというわけではないんですよ。五朗ちゃんがよく「何に飢えてるか」っていうことを言うんだけど、基本的にやりたいことをやるのが俺たちの芝居。アタマで考えるんじゃなく、カラダが自然と求めるているモノを大事にしてそこに向かうというか。前作の『星の大地に降る涙』をひとつの集大成としてやり遂げられた次に求めているのは何? 何に飢えてる?っていう答えがここだったんですよね。

──違う人間同士でそこの感覚が合致するのは素敵ですね。ふたりのバイオリズムがしっかり同調している。

岸谷 まあ、そうなんでしょうねぇ。

寺脇 …ですね。この15年で徐々に大きな劇場でやれるようになってきて、「もっと行きたい!」「もっと行ける!」っていうときは二人でガンガン行きましたし、そこを経て今はまたちょっと人間の感情のほうにグッと入って行きたい気持ちになってるんですね、たぶん。

岸谷 それに、6人でやっても30人、40人でやるエンターテイメントを超えるモノが創れると思うんです。音楽と踊りという肉体表現と共に、ココロの隅っこをくすぐるような芝居を、ね。

──では、キャスティングのポイントと言うと?

岸谷 求めているのはやはり"板の上のエンターテイメント"なので、劇場に立つことを一番の仕事にしている人、オンステージのプロフェッショナルに集まってもらいました。

寺脇 ふたりでまず歌のうまい人、そして浮かれることなく舞台に足がガッチリついている人とやりたいっていうところから始めて…抜群のキャスティングになったと思います。

──現代劇ですか?

岸谷 そうですね。決して飛ばない…いや、ある意味飛んでいるとも言えるけど…。

寺脇 不思議な空間にはなるでしょうね。

──でもやっぱりストーリーは未だ秘密(笑)。

岸谷 そうなんですよ。まさに『Xday』。良かった〜、このタイトルにして(笑)。

俺と五朗ちゃんが25年前に始めて出会った日、これは確実にX day。(岸谷)

──(笑)。『星の〜』では"反戦"が大きなキーワードになっているというお話がありましたが、例えば今回は何かそういった物語の核になるようなコトバはありますか?

岸谷 うーん、ひと言でいうのは難しいですね。『X dax』っていうのは元々は何十年先でしたか、惑星が当たって地球が滅亡しちゃうかもしれないっていう話しがあってそこから取ったんですけど、実際、もの凄い数の星がある中で衝突する確立なんてまずないんですよ。それでふと思ったのは、実は僕らは毎日がx dayなんじゃないかって。僕らが創る芝居もそうだし、今回の6人の俳優が一同に揃うということももうX day。人間にとって誰かと出会うって、一番素敵なことでしょう? それが一生のつき合いにあるか本当にその場だけで終わってしまうのかはわからないけど、そういう"毎日の出会い"みたいなことは一個、テーマではあるのかなぁ。

寺脇 例えば俺と五朗ちゃんが25年前に始めて出会った日なんて、これは確実にX dayでしょうね。

岸谷 あ〜、そうだよねぇ。

寺脇 まだ不良みたいな格好してた五朗ちゃんが稽古場にいてね(笑)、その日僕が(スーパーエキセントリックシアターに)入団してそのまま飲み会に流れて…会った初日なのに気づいたら最後の最後、二人で残ってまだ飲んでた。

岸谷 当時40人くらい劇団員がいたのにな。考えてみればなんでアレ、二人だったんだろう。

寺脇 恐らく支払い済んでたからでしょうね。「まだ飲める!」って(笑)。

岸谷 そうか!

寺脇 ま、そのときの二人の想いはまだ劇団の中でいい役を取るっていうのが一番大きな目標だったんですけどね。

──でもそこからもう今日までずっと、変容し続ける目標に向かって共に走り続けてきたわけですよね。好きなものが似ている?

岸谷 そうですね。意見調整をしたっていうのでもなく、自然にここへ向かってたっていう感じですから。

寺脇 最終的にはね、そうですよね。例えばAとBの村があったら俺たちは迷わずAに行くんですよ、一緒に。で、着いてからはそれぞれ好きなことをしてるんだと思う。そこがいいんでしょうね。

──お客さんも芝居を通してそういう絆が結ばれてるふたりの創るモノが見たくて劇場にくるんだと思います。

岸谷 それはホントにありがたいです。今回も取材も何もまだ始まっていないうちにチケットが売れて、もう追加公演も出せることになって…。そういうのを見ていると、なんかね、「地球ゴージャスを観に行くとその度に新しいモノが観れて楽しめるよね」っていう意識が少しずつ広まって行ってるのかなっていうのは感じますね。「ゴージャスあるよ」「じゃあハズせないね」って思ってくれる人がたくさんいるんだなって。

寺脇 ゴージャスのファンクラブがあるのもそういうことなんでしょうね。だって、俺や五朗ちゃんが個人のファンクラブなんて持ったとしても…。

岸谷 あんなにはこないだろうねぇ〜(笑)。やっぱり芝居なんだよ。

寺脇 来ないね(笑)。芝居だね。だから地方にもどんどん行こうって決めてるんです。やっぱり東京・大阪だけだと来たくても来られない方がいらっしゃると思いますし。

──前回、三浦春馬さんが出演されたことをきっかけに、またゴージャスファンの裾野が若い人にも広がったような気がしますが。

寺脇 そうですね。春馬のファンで芝居を観に来てくれた若い子たちから「地球ゴージャスがすごく好きになりました」っていうお手紙ももらいましたし、芝居を通じて何か感じてもらえるものがあったと思うとそれがうれしいですよね。

岸谷 『星の大地に降る涙』をきっかけにいろんな芝居を観に行くようになったっていう声も届いてます。ゴージャスを体験して芝居自体を好きになって興味を持ってくれた。演劇人口を増やすという使命を果たせてるかなって思うと、それはもうホントにうれしい。

──だからこそ続けて行くプレッシャーみたいなモノを感じることは…。

岸谷 全然ないです。もちろんゼロから芝居を創るのはしんどいし憂鬱なんですけど、これはもう誰にやらされているのでもなく自分たちから勝手にやってることなので。泳ぐことが当たり前の魚のように、芝居を創るのがあたりまえっていうか。

寺脇 だからと言ってそこにあぐらをかいちゃいけない。毎回ゼロになって一生懸命創るってことを怠ったらお客さんにはすぐ見抜かれてしまいますからね。本当に苦しんで創らなければ伝わらない、これでダメだったら全部おしまいだぞっていうくらいの気持ちで挑むっていう意味での危機感は常にありますけど。

岸谷 作品はやっぱり僕らの年表ですよ。作品タイトルを見たらたぶん我々がそのとき何を思っていたかとか、そこに込められてますから。

──『X day』、ますます意味深なタイトルに聞こえてきます。

岸谷 結局ね、僕が本を創ると…まあそれがゴージャスのテーマでもあるんだけど、「生きること」になるんですよ。いかにして死ぬかはいかにして生きるかっていうような…大きく言えばね。でも今回はそこをもっともっと日常的に見つめて、非常にセンシティブに描こうと思ってるんです。誰もが抱えているような"小さなお話し"を。

寺脇 うん。小さなひとつひとつを乗り越えるステップが実はすごく大事なんだよっていう、より個人に返っていく作品になるんじゃないでしょうかね。

岸谷 まあ…頑張りますよ。これから本番に向けて稽古して飲んで稽古して飲んで稽古して。

寺脇 飲んで稽古して飲んで。

岸谷 稽古しないで飲んで。

寺脇 アッ。それ、一番だよ(笑)。

〈取材・文/横澤由香〉
〈写真/渡辺マコト〉

2010-06-03 11:00

 これまで歌舞伎作品では何度もタッグを組んで世間をアッと言わせてきた野田秀樹と中村勘三郎が、またしても新たな挑戦をすることがわかった。この秋、NODA・MAPの番外公演として上演される『表に出ろいっ!』は野田と勘三郎による"現代劇"ならぬ"現在劇"となるという。上演場所は、野田が芸術監督を務める東京芸術劇場、しかも小ホール。濃密な空間で、野田と勘三郎によるがっぷり四つの演技合戦が観られるという趣向だ。

私ども、このたびめでたく結婚をすることになりました。

 5月某日、「野田秀樹と中村勘三郎の二人からお話ししたいことがございます」というなんだか謎めいた記者会見のお知らせが届き、詳細はなにも明かされないままに会場に集まったマスコミ陣。その前に野田と勘三郎が揃って登場し、早速その"企み"についてが語られ始めた。

 まずは野田が「私ども、このたびめでたく結婚をすることになりました」と、いきなり衝撃の告白! とはいえそれはもちろん、このNODA・MAP番外公演で上演する芝居のなかでのお話。

 「9/5〜28までの短期間の結婚でして、どちらが夫で妻かというと、私が妻の役です。古いタイプの夫唱婦随の家庭で、その家庭が崩壊していくドラマをお見せしたいと思っています」と、野田はいたずらっ子のような表情で企画の内容を明かしていく。

 タイトルの「表に出ろいっ!」は、実際に勘三郎の口癖なんだとか。

 「新橋かどこかで飲んでいるとき、若い女の子と芝居談議になって、その子が生意気なことを言ったら彼(勘三郎)は憤然と立ち上がり、その若い女に向かって「表に出ろいっ!」って言ったんです。それが私の頭に残っていたので、それをそのまま今回のタイトルにしました」

 といっても、当の勘三郎は「私は覚えがございません」と苦笑い。野田と夫婦役を演じるのはもちろん初めてなうえ、今、現在を舞台にした芝居も勘三郎は「今まで一度もやってない気がする」とのこと。

 「だから、よく一緒にやることになったなあと思ってね。これでもし僕が降ろされたら、ひとり芝居になっちゃうかもしれないよ(笑)。だけど僕もどうして引き受けちゃったんだろう。歌舞伎座が建て替えで、仕事がないんだよね。この芝居で食いつなぎますよ!」といかにも楽しそうに、笑いを誘うコメントを連発する。

ぜひ若い人にも、なんとか劇場に足を運んでほしい

 そして今回はもうひとつ、企みごとがあると言い「二人は現在、娘を募集中です」との野田の言葉に、どよめく会場。

 「夫婦の新居には、娘がほしいんです。それで、今からオーディションをしたいということですね。ちなみにオーディションは7/12に行います!」

 つまり今回の芝居は夫婦とその娘による、三人芝居ということになる。それにしても、この夫婦の娘となるとどんな女の子を想定しているのだろうか?

 「20歳から25歳に見える方で、性別はやはり女性のほうがいいかな。だって野田秀樹が女形をやるわけですから。まあ、女性に見えればいいんですけど。有名な方でもいいけど、無名な方でもOKです。とにかくイキのいい、可愛らしい人がいいですね」と勘三郎。野田によると、登場する家族は三人ともなにかにハマっているものがあるそうで……。

 「夫はアミューズメントパークが大好きな能楽師。私が演じるのはアイドル系にハマっている妻。そして娘はファーストフード好きのロンドン帰りの留学生ということになります。ただ、セリフの分量がすごくある。だからかなり達者じゃないと……って、でもあまり最初からプレッシャーをかけてもよくないか(笑)」

 その野田は、昨今の文化状況を憂える意味もあって、今回この経験未経験を問わないオーディションを考えたとも。

 「若いところから新しい力が出にくくなっているなとは感じていたんです。大きな事務所とか、そういうものによって俳優が作られていきやすい状況なので、そうではないところ、演劇からも育てられないかなと思って。僕らのころは若い人の動きによって文化が始まっていたのに、それが今では若い人たちがだんだん文化に入れなくなってきている気がして、なんだかもどかしくて。それでぜひ若い人にも、なんとか劇場に足を運んでほしいということです。そして、この試みはこの芝居に限るわけではなく、第1弾としてはその前に上演されているNODA・MAP『ザ・キャラクター』(6/20〜8/8、東京芸術劇場中ホールにて)でも、限られた枚数ではありますが高校生には割引チケット1000円で観ていただきたいと思っています」

 またそのあとの質疑応答では上演期間が近いということで、その『ザ・キャラクター』と『表に出ろいっ!』との関連性を聞かれた野田が「モチーフが"人が信じるもの"ということで関連性はあるのと同時に、実は仕掛けとして『ザ・キャラクター』のなかのある部分の話が『表に出ろいっ!』のなかにもちょっと出てきます」、そして「人が一回信じてしまうと、なかなかその呪縛からとけないというか、離れられなくなる。ちょっと向きを変えればその信じているものから逃げられるのに、というような話です」と芝居のヒントを少し教えてくれたほか、野田と勘三郎の初めての出会いは20代で、渋谷の道路ですれ違ったのが最初だったなど、思い出話にも花を咲かせていた。

 会見の最後に行われた写真撮影ではなんと、よく観光地にある顔出しの記念写真用のパネルも登場。その穴から顔を出して、満面の笑顔の野田と勘三郎。25年以上にもなるという長年の付き合いから既に息もピッタリ、まさに固い絆で結ばれた夫婦のような二人の姿がそこにはあった。今回の企みもまた大きな話題を集め、演劇史に残る伝説の舞台となりそうだ。

〈文/田中里津子〉

NODA・MAP 公演情報

■NODA・MAP 第15回公演「ザ・キャラクター」

公演日:2010/6/20(日)〜8/8(日)

会場:東京芸術劇場 中ホール

作・演出:野田秀樹

出演:宮沢りえ/古田新太/藤井隆/美波/池内博之/チョウソンハ/田中哲司/
   銀粉蝶/野田秀樹/橋爪功

★追加席販売決定! 6/5(土)10:00〜先着順受付


■NODA・MAP 番外公演「表に出ろいっ!」

公演日:2010/9/5(日)〜9/28(火)

会場:東京芸術劇場 小ホール1

★ヒロインオーディションの詳細はこちら
NODA・MAP公式サイト http://www.nodamap.com/


2010-05-31 13:02

 グレアム・グリーンの小説『叔母との旅』を読んだことがある人なら、こんな叔母さんがいたらなあと、必ずうらやましく思うに違いない。75歳で年下の恋人あり、年をとってもチャーミングで、バイタリティにあふれている。もっとも、彼女に振り回されることになる甥っ子にとっては、災難だったかもしれないが。無類に面白いこの長編傑作小説の舞台版は、日本でも演劇集団円が上演しているが、今回、久しぶりの登場となった。

 銀行の支店長を務めあげ、引退して静かな生活を送っていたヘンリーは、55歳。ダリアの栽培だけが趣味の平凡な男で、結婚もしていない。このまま何事も起こらない人生のはずだったのに、母の葬儀で50年ぶりに叔母オーガスタと再会したことから、ヘンリーの生活は大きく動き始める。叔母に誘われるままに、最初はブライトンへの小旅行、次はオリエント急行に乗って、イスタンブールへ。ついには、南米アルゼンチンからパラグアイへ。

 旅の途中で、叔母が語る昔話は、途方もないものばかりで、犯罪の匂いさえする。自由奔放で、かなり冒険的な人生を送って来た叔母にびっくりしながらも、ヘンリーは、次第に叔母に共感していく。叔母が提案する旅は、実はみんなある目的があってのもので、時には警察が介入してきたりもする。冒険などとは、一切縁のなかったヘンリーが、叔母との旅を通して、人生の喜びを知り、まるで違う生活を選びとることに。常識やモラルにとらわれない叔母の生き方や考え方は、痛快そのもの! ユーモアとアイロニーたっぷりの、そして密やかなロマンスもある冒険物語は、面白い!の一言につきる。

 小説では登場人物も多く、時代もいろいろで、舞台もイギリスから南米までころころ変わる。スピード感を活かすために、舞台版では、4人の俳優が老若男女24人もの役を演じ分ける。主人公のヘンリーは3人の俳優が交互に演じ、その一人はオーガスタ叔母さんの役も演じる。会話の途中でも役が変わるので、大げさな衣裳の変更などはなく、例えばスカーフ一枚やスカートなどで、女性役も表現することになる。一瞬で、そこがどこなのか、誰が話しているのか、観客に分からせなければならない。この難しさに挑戦できるのは、選ばれた俳優だけに許される特権のようなものだ。今回は、段田安則、浅野和之、高橋克実、鈴木浩介の4人。実力派証明済みの俳優ばかりで、きっと、素晴らしい「旅」に連れて行ってくれるに違いない。劇場の椅子の座っていても、世界旅行が、そして魂の旅ができるのだということを、体験してほしい。

文/沢 美也子

公演概要

日程:8/20(金)〜9/19(日)

会場:青山円形劇場 (東京都)

最速プレオーダー:5/31(月)12:00〜

一般発売:7/3(土)


2010-05-28 12:19

 モーリス・ベジャールやマシュー・ボーンの舞台で高い評価を得ている日本を代表するダンサーの首藤康之と、カンパニー"水と油"での活動、そしてパリへの留学を経てますますその表現力に磨きをかけている演出家・振付家で自身もパフォーマーでもある小野寺修二。この、世界を相手に活躍するパフォーマンス界の異才が、伝説の作品で再びタッグを組む。

 2008年に、180席という小さい空間であるベニサン・ピットで約1ヶ月半にわたり53回公演を決行した『空白に落ちた男』。その完成度や新鮮味のあるパフォーマンスが話題となったこの作品が、PARCO劇場に場所を変え、さらにキャスト2人を入れ替えてリニューアル上演される。この舞台で、クラシック・バレエのステージで見せる姿とはまた一味違う魅力を発揮する首藤に、作品への想いを語ってもらった。

「約14週間かけてつくりあげていった初演の舞台。稽古はまるでジグソーパズルのようでした」

――そもそも、首藤さんと小野寺さんとの接点、出会いはどこにあったんでしょうか。

 実は僕、ずっと"水と油"のファンだったんです。でも初めて小野寺さんにお会いできたのは、"水と油"が活動休止する直前で。本当は客演みたいな形で、あのなかに自分も入ってみたかったくらいなんです。音楽の選曲のセンスや小道具の使い方も素晴らしいし、隙のない演出、パフォーマンスですしね。言葉を持たないマイムというのも、僕のやっている世界とすごく共通していましたし。あの世界に自分もいつか身を置いてみたいなと、ずっと思っていたんです。そうしたら、小野寺さんがパリに留学されているときに、ちょうど僕もベルギーでずっと仕事をしていたので向こうで何度か会っているうちに、このプロジェクトの話になってきてね。

――じゃ、パリで生まれた企画なんですね。

 ええ、そうなんです。

――それで、初演をやってみての手応えはいかがでしたか。

 これは75分くらいの作品なんですが、約14週間、4カ月近くかけてつくりあげていったものなんですね。まずは出演者5人で自分たちになにができるのか、お互いの身体を感じたりするところから始めて。

――本当にゼロからスタートだったんですね。

 はい。まさに、みんなでつくりあげていった感じです。直接的な動きの稽古に入ってからは6週間くらいで、それだけでも普通の作品より稽古期間が長いんですけど。なんだか、ジグソーパズルのような感じでした。もともと絵があって、それをピースに分けますよね。小さい子なら4つに分割するようなものを、1万ピースくらいに分けていったような感じかな。だからこそ、完成したときの満足感、達成感はすごくありました。

――改めて、小野寺さんのつくりあげる作品の面白さ、魅力とは。

 不条理の世界といいますか、すぐに観客を不思議な世界に連れてってくれるんですよね。そして、いつも自分の人生とリンクさせながら観ることができる。その不思議な感覚が面白いんです。

――それは首藤さんご自身が、お客さんとして観ていて感じられていたことですか。

 はい。でも、実際に自分が舞台に立ってやってみても同じ感覚でした。どこか違う箱の中に、ポンと入れられる感じで。

――箱の中の世界の住人になるような。

 そうです。しかも、自分がまったく想像してないようなところにまで、連れてってくれるんですよね。

「これはいずれ古典になるような作品だと思うんです。今回の再演はそのための次への一歩ですね」

――今回は再演とはいえ、劇場もかなり雰囲気が違ってきますね。

 はい。劇場は少し大きくなりますし、渋谷という街で上演されるという点も違いではありますが、でもPARCO劇場という空間にも、渋谷という街にも、この作品は合っていると思いますね。ただ今回はキャストが2人、変わるので。5人のうち2人変わるというのは、やはり大きいですからね(笑)。そこはもう、まったく同じものをやったとしても、自然と違ってくるのではないかとは思います。僕自身も、その点はすごく楽しみなところです。それと僕、これは本当にいずれ古典になるような作品だと思うんです。キャストが変わっても、今後も長く、上演され続けてほしいんです。今回の再演は、この作品が古典になるための次への一歩だと思いますね。

――cobaさんの音楽も、とても印象的です。

 あれはすべてオリジナルで、先にあった音楽ではないんですよ。cobaさん自身がリハーサルに何度も来てくださって、あとからつけていったんです。"水と油"時代から小野寺さんは何度もcobaさんの音楽を使ってらっしゃったんですが、オリジナル曲をつくっていただくのは初めての作業だそうです。でもやはりcobaさんも鋭い方なので、リハーサルを見て「じゃあこんな曲を合わせてみたらどう?」って音をつくってきてくださって。その曲でやってみると、驚くほどぴったりなんですよ。それまでの稽古は無音でやっていたんですが、本当にイメージ通りの音楽をつくっていただけたので、僕たちはより演じやすくなりましたね。

――今回は、ダンスファン以外のお客様も大勢いらっしゃるのではないかと思います。でも、もしかしたらダンス作品を敷居が高いと敬遠してきた方もいるかもしれません。首藤さんにぜひ、そういう方の背中を押してもらいたいのですが。

 演劇をよくご覧になっている方にとっては、言葉のない世界って不安だとは思うんですよ。「セリフがないのにわかるのかしら?」とか。でも、誰でも初めて外国に行くときって言葉も通じないし、不安じゃないですか。それでも初めてフランスに行ったら、フランス語はわからなかったけどとにかくすごくキレイだったとか、そういうことってあるでしょう。それと同じで、思い切って飛び込めば本当に素敵な世界なので、ぜひ足を運んでいただければと思うんです。それに、言葉のない世界を観ると、より言葉の重要性を感じるということもありますしね。逆に僕らがストレートプレイをやったときには、動きの重要性を感じますから。その両方の世界を行ったり来たりするというのも、とても素敵な旅になるんじゃないかと思うんです。

――確かに、セリフがないのになぜここまで物語が伝わるんだろう?と驚くことがありますね。

 そうですよね。(笑) 言葉のない世界も言葉のある世界もどちらも偉大なので、尊重しながら両方を行ったり来たりすると、とても楽しい旅になるんじゃないかと思います。今回はきっと特に不思議な世界観になるはずなので、ご覧いただいた方それぞれがいろいろなことを感じてもらえたら、僕もとてもうれしいですね。

公演概要

「空白に落ちた男」

作・演出:小野寺修二
音楽:coba
出演:首藤康之 安藤洋子 藤田善宏(コンドルズ) 藤田桃子 小野寺修二

公演日:10/7/24(土)〜8/3(火)
会場:PARCO劇場 (東京都)


【e+Movie】初演ダイジェスト映像!「水と油」小野寺修二&ダンサー首藤康之&coba

2010-05-25 14:33

 自身の劇団、ペンギンプルペイルパイルズ(PPPP)だけにとどまらず、劇団外のプロデュース公演などでの活躍も顕著な、今、注目の劇作家で演出家でもある倉持裕。2006年にM&O plays+PPPPプロデュース公演の第1弾として上演した『ワンマン・ショー』では、岸田國士戯曲賞も受賞している。その彼の最新作にあたる『窓』は、ロシアの文豪・ツルゲーネフの『はつ恋』に想を得た恋愛劇だ。舞台を日本に移し、ある女優をめぐる男たちの愛憎が渦巻く中で、成長していく青年の姿が描かれていく。悪女とも思える女優役に挑戦するのは野波麻帆、そして青年を演じるのは高橋一生。倉持作品にはどちらも初参加となる二人と、新境地ともいえるこの作品に取り組む倉持に話を聞いた。

「こういう悪女みたいな役ってやったことがないので、今回はすごく楽しみです」(野波)

――――M&O playsとペンギンプルペイルパイルズの共同プロデュースという形では2回目の公演になりますが、やはり前回の『ワンマン・ショー』をやられたときに、手応えを相当感じられたということでしょうか。

倉持 そうですね。手応えは確かにありました。あの公演以降、ペンギンでゲストの方を呼ぶ場合も怖気づかずにやれるようになりましたし。あれからいろいろなことをやってきて、そしてこの第2弾ということになるので、今回はまたちょっと違う形の公演になるかもしれないですね。

――――ツルゲーネフの『はつ恋』を下敷きにされるとのことですが。このモチーフを選んだのは、なにかきっかけがあったんでしょうか。

倉持 初めは若い男女と中年の男という設定で、違う流れのプロットを書いていたんですが、途中から『はつ恋』の物語を思い出してきて。まあ、実はそれほど好きな小説だったわけでもないんですけど、プロット自体は気に入っていて。あの相関図はわりと使えるんじゃないか、あれを自分なりに発展させて書きたいなと思ったんです。

――――高橋さん、野波さんはこの舞台に参加されることになって、まずどんなことを思われましたか。

野波 私は、今回のお話をいただいたとき、とにかくめちゃくちゃうれしかったんです。ペンギンさんの舞台は以前から観させていただいていて、「ああ、私も出たい!」とずっと思っていたので。だからすーっごい、うれしかったです! しかも今回は私、男性を魅了していくような役なので。果たして自分にそんな引き出しあるのかなあ?とも思いつつ、でもここは一生懸命がんばりたいと思います。

倉持 いや、野波さんなら大丈夫ですよ(笑)。

野波 だけど、こういう悪女みたいな役ってやったことがないんです。なんだかだんだん年齢があがるごとに、すごいアホな役ばかりやってる気がしていて(笑)。だから悪女役をやらせていただけるのは、すごく楽しみです。

高橋 僕は倉持さんとは『アイスクリームマン』(2005年)のときに、倉持さん演出の舞台ではないほうに出ていたんですけど。

――――岩松了さんの作品を連続上演するという企画の、別の作品に出られていたんですね。

高橋 ええ。でも倉持さん演出のほうも観させていただいたりしていたので。今回のも面白そうだなあ、ツルゲーネフを下敷きにするなんて一体どんなものになるんだろうなあって、すごく楽しみでした。人間の面白いところって、大戦慄より小戦慄だと思うんです。ちっちゃく戦慄しちゃうときが一番ゾゾ―ッとするというか、そのほうが人間味がものすごく出てきてしまったりする気がして。ツルゲーネフの『はつ恋』にはそれがあって、倉持さんの書かれたあらすじにもそれを強く感じましたね。

「あるときは滑稽であるときはすごく怖い。倉持作品は観ていて小気味良いです」(高橋)

――――倉持さんとしては、おふたりにはどういうふうに演じてほしいと思われていますか。

倉持 そうですねえ。そんなに、役を作り込まなくてもいいなとは思っていて。だから、野波さんだったら確かに悪女的な役なんだけれど、だからといっていかにも悪女っぽく振る舞わないほうが結局、男はひっかかるじゃないですか。ただ普通に会話しているだけなのに、っていうほうが。

高橋 うんうん。

野波 ふうん、そういうものですか。

倉持 話す相手によって、それぞれ違う過去をしゃべる女がいいなと思っているんです。生い立ちみたいなものを話すんだけど、全部ウソというか、どれが本当なのかわからない。それもひとつひとつ、ちょっとだけかわいそうな生い立ちだったりして。

野波 ああ〜、なるほど。

倉持 「そんな話を俺だけにしてくれた」ってことで、男は単純にグッときたりするから(笑)。ただ、結局、憎たらしい女だったなっていうイメージにはしたくなくてね。

野波 それって、難しそうですね! 

倉持 そう?いや、演じる側としてはいつも通りで大丈夫。セリフで語られる内容の真偽の程がわからなくて観客は戸惑うとしても、役者はすべて本当のこととしてしゃべればいいわけだから。自然体でいいとは思うんですよね。

野波 それを聞いて少し、気が楽になりました(笑)。

倉持 一生くんに演じてもらうのは、人間観、人生観みたいなものをどんどん更新していくような役なんですよね。一応、シナリオライターになりたい人の役だけど、そんなにまだ人生経験もなくて。人間とはこうなんだ、恋愛とは、人を愛するとはというような固定観念があるところから物語がスタートして、そこから、ある種異常な愛憎の形を見ることになり、その固定観念を更新していくというような役なので。なんか、揺れててほしいですね。最初はわりと達観した感じなんだけど、それがだんだん揺らいでくる不安定な感じ。そういった起伏は見せたいし、それを楽しんで演じてくれたらいいなと思います。

高橋 はい。楽しみたいと思います(笑)。

――――おふたりは倉持作品の、どういうところに魅力を感じていますか。

野波 私は倉持さんの舞台を初めて観たとき、独特の空気感を感じたんですよね。ちょっとモヤがかかってるみたいな、そういう空気感があって。さらにまた次の違う舞台では、人間の怖さとか、人の闇みたいなものを感じて。それも「こうです!」というわかりやすい感じではなくて、じわじわじわじわ、あとから来るんですよね。観終わったあともずーっと考えちゃうようなあの感じが、大好きなんですよ。そういう世界に今回は自分も入れるのかなと思うと、すごい楽しみです。

高橋 なんか、「激しい川ほど、表にはそういうふうに見えない」みたいなことわざがあった気がするんですけど。倉持さんの作品を初めて観たとき、まさにそういう感じだなと思ったんです。急流ほど、表面は穏やかに見えるらしいんですよね。それと同じで表層と内側の差、見た目の温度差。一見ドライですごく静かに見えるんだけど、暗部がすごいことになってる、みたいな。人間の本質って、実はそうだと思うんです。そこを描いているのが面白かったですね。それがあるときは滑稽で、あるときはすごく怖い。そこは観ていて、小気味良いですね。

――――倉持さんとしては今回、お客さんにはどんなことを感じてもらいたいですか。

倉持 作品の内容としては、平たく言っちゃえば愛の形ではあるんですよね。特殊だろうけどこういう愛もありますよっていうような。恋でも愛でも、反応の仕方は人それぞれ違うわけで、それをバリエーション豊かに見せたいと思っています。それとは別に、もう少し自由な芝居の作り方をしたいなとも思うんですよ。これも最初に考えたときにはワンシチュエーションで、別荘のひとつの部屋の中でやるつもりだったんですが、ちょっと今はもっと飛躍させたくて。なるべく、脱線したいんです。

――――脱線、ですか?

倉持 劇中劇みたいなものも、いくつか散りばめていきたいなと思っていて。

――――本筋とは違う物語も織り交ぜていく?

倉持 そうですね。それを散りばめることで本筋を目立たせるような作り方をしようかな、と。無意識に自分の中で演劇というものはこうだって考えが固まってきつつある気もするので、ここでもう一度疑って、改めて芝居という表現はもっと自由だということを自分で確認したいし、お客さんにも再確認してもらいたいんです。

「昔の作品を下敷きにしていますが、わりと目新しい恋愛劇になる気がします」(倉持)

――――本番に向けて今、楽しみなことは。

野波 楽しみはいっぱい、ありますよ! 稽古が始まってみたら、私の気持ちがどういう風に動くのかとか、みなさんのお芝居と共鳴したときにはどうなるかとか。こればかりはやっぱりやってみないとわからないですしね。そのへんの面白さは一番、演じるものとしては感じるところですし。お稽古ではこうだったけど、いざ本番を迎えて舞台に立ってみたらまた違う気持ちになったりもするので、その揺れというか、そういう心の動き方みたいなものが、今は一番楽しみです。

高橋 そうだなあ、一番楽しみなのは人との出会いじゃないですかね(笑)。人を知れるというのは、舞台の醍醐味だと思うんですよ。年をとればとるほど、人と知り合えることが少なくなってくるじゃないですか。こんな年になって、初対面の人と出会って「よろしくお願いします」ってこと、人生ではあまりないことなので。特に、舞台の稽古場って独特なんですよね。本当に、大勢が団結していく現場ですし。でもちなみに、実は僕と野波さんって同じ学校の同級生なんですよ。だからそういう意味では、既に知り過ぎてるくらいに知ってるんですけど(笑)。

――――えっ、本当に同じクラスにいらしたんですか?

野波 ええ、そうなんです。高校の3年間、ずっとクラスメイトだったんです。

倉持 僕は全然、そのことは知らずにキャスティングしていて。今日、さっき初めて聞いたんですよ。

――――なんだか、不思議ですね。

野波 そうなんですよ。

倉持 だけど、なかなか考えられないよね。同級生と一緒に仕事をする、一緒に芝居をするっていうのは。

高橋 しかも、本当にただ同級生だったってだけで、これまでまったく一緒にやったことはなかったから。

――――初共演なんですか?

野波 ええ、初めてなんですよ。

高橋 まさか高校生のころ、こうなるとは思ってなかったし。

野波 まったく思ってなかったよね。

――――再会というか、これも一種の出会いですよね。

高橋 そうですよ、出会いですよ(笑)。

野波 うん、ホントにそうですよね。

――――では最後にお客様へ、メッセージをいただけますか。

野波 もちろん面白い、いい舞台にしたいですし、本当に大勢の方に観に来ていただきたいですね。いやホント、私自身もどういう舞台になるのか、すごく楽しみなんですよ。もうとにかく、がんばります!(笑)

高橋 僕も自分が出ていなかったら、ぜひ観たいと思うくらいに楽しみな作品です(笑)。現実離れしている話も確かに面白いとは思うんですけど、こういう、現実と並行してあるような世界で展開していくものって、隣り合わせの喜びだったり恐怖だったりが感じられて、それがより面白いんじゃないかと思うんですよね。覗き見感覚というか、そのへんも楽しんでみてください。

倉持 確かに、ツルゲーネフという昔の作品を下敷きにはしているんですけど、わりと目新しい恋愛劇になる気がしています。描き方もさっき言ったように、いろいろ脱線しながら蛇行しながら進んでいきますし、たぶん見た目にも新しい芝居にできるんじゃないかなと思っているんですよ。


■M&O plays+PPPPプロデュース『窓』
作・演出:倉持裕
出演:高橋一生、野波麻帆/小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡、
   近藤フク、吉川純広、内田亜希子/河原雅彦
東京公演:2010/9/16(木)〜9/26(日) 下北沢本多劇場
大阪公演:2010/9/29(水) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

2010-05-19 19:08

 管理人の女性を除く住民全員がゲイ、というアパートを舞台に、哀しくて笑えるテンポの良い会話劇が繰り広げられる『−初恋』。作・演出の土田英生さんと、出演者の田中美里さん、片桐仁さんにお話を伺いました。

ひとりひとりの個性を活かしつつ、いいパス回しができる芝居をつくりたいですね。(土田)

――この作品は97年に初演されましたが、この作品にまつわる思い出は何かありますか?

土田 実は僕の役者仲間の女の子が、ゲイのお店の人を好きになっちゃったんです。それで「男性が行った方が喜ぶから一緒に来て」と言われて僕もお店について行ったんです。すると、彼女は彼のことを好きなのに、彼は僕の方に寄って来ちゃって…(笑)。その彼女の切ない気持ちを思うと、どう振舞ったらいいかと迷ったりして…そんな実話がベースになってできたお話なんです。初演時はゲイの方たちからたくさんのお手紙をいただき、中には厳しいご意見もありましたが、逆に自分達の理解者と思ってくれて、その後、他の芝居も色々と観に来てくださった方もいます。

――現在はゲイに対する見方も変わり、初演の時とは状況も違ってきているのかもしれませんね。

土田 そうですね。それで設定が古くならないようにするため、場所を過疎の漁村に移しています。

片桐 脚本を読んでみて、ゲイうんぬんではなく、会話劇として面白いと思いました。「ゲイは卑屈になるか居直るしかない」というセリフがあって、そういう気持ちを内包している者たちのやり取りだから、けんか腰になっていても、なんか笑える部分があって…いい設定だな、と思います。

――東京公演の会場である三鷹市芸術文化センターについての印象は?

土田 大きさ的にやりやすいですね。今までに色々なところでやってきましたけど、ポンポンと弾む会話劇には、1000席以上もある所では成立しにくいですよ。

――片桐さんは三鷹市芸術文化センターは2回目ですね。

片桐 ええ、そうです。前回はホールの裏手にある公園で、四つ葉のクローバーを見つけて盛んに取っていた覚えがあります(笑)。

――田中さんは、土田さんの舞台への出演は2回目ですね。どのような感想をお持ちですか?

田中 そうですね。前回の土田さんの印象は、舞台上によく出てきてよく動く、熱血演出だな、という感じです。お芝居がひとつのセリフで完結せず、みんなで繋いでいって最後に落ちがある、というのが楽しかったです。

――今回の出演者に関しては、土田さんのどんな思いがあったのでしょうか。

土田 このような組み合わせはめったに見られないと思うんです。これまでの枠を全部はずして、今回は自分のやりたい人に声をかけさせてもらいました。だから本当に楽しみです。どう機能するかはわからないけど、うまくいけば間違っていなかったってことになりますし。

――あらすじを少々教えていただけますか?

土田 ゲイの皆さんが集まっているアパートがあって、田中美里さんはそこの管理人さんです。なぜこんな方がそこの管理人をしているのだろうということについては伏せます。言えないです!(笑) 芝居のタイトルに係わってくる…とだけ言っておきます。片桐さんは、そのアパートのリーダー(今井朋彦さん)とライバル関係にあり、過去の因縁から一度そのアパートを飛び出したが、また同じアパートに戻ってきているという役です。その飛び出した理由にもタイトルが関係していて…つまりみんなの『初恋』をモチーフにして、それぞれの初恋が描かれているというお話です。

――人を愛する気持ちには、異性が好きな人も、同性愛の人も変わりがないということですね。

土田 そう、そうです!「愛することに変わりはない」それもらいましょう!

――今回、「土田英生セレクション」という名前をつけられたのはどうしてでしょうか。

土田 Vol.2があるかどうかは定かではないんですけど(笑)。今回、三鷹さんと一緒にやらせていただいた後に地方のホールにも回るので、何か名前をつけたいと思って。まさか『土田MAP※1』なんておこがましい名前はつけられない(笑)ので、考えているうちにこうなったんです。好きな俳優さんたちと一緒にやれる機会を持つための第一歩としたい、という気持ちからです。

――今回の舞台への皆様の抱負をお聞かせいただけますか?

田中 土田さんとまた一緒にやりたいと思っていたので、初めてのことづくしですが、飛び込んでみようと思っています。今井さんとは先日初めてお会いしましたがチャーミングな方で、どんな風にお芝居で掛け合いができるのかも楽しみです。

片桐 僕はこれまでオカマコントや女装はありましたけど、お芝居でゲイ役というのは初めてで…しかも男全員ゲイでしょ。今井さんという、ストイックなスッーと背筋の伸びた方がライバルという設定なので、自分なりの「ゲイ」をどう表すか、何か仕掛けられたらいいな、と思います。

土田 今井さんはたたずまい自体が綺麗なんですよね。同姓でもちょっとドキッとするくらい。部屋が散らかっているとかは絶対ありえないだろうなぁ。

片桐 こたつとかないでしょうね(笑)。

土田 絶対ないね。こたつで袢纏にみかんとかは…

――もう一人の女性、千葉さんのイメージは?

田中 姉御肌で厳しい方かと思っていたら、とても謙虚な方でびっくりしました。

土田 そうなんですよ。僕は同業者※2ということで、「台本が書けない」とか「稽古場を上手くまとめきれない」とかそんな後ろ向きの話をし合って前向きになれる相手なので…今回もつらいことがあったら千葉さんに話そうと思ってます(笑)。

片桐 初めての役で勉強と思ってますので、土田さん、何か気付いたら言って下さいね。

土田 いやぁ、とにかく気が弱いので…僕がまわりをウロウロし出したら、言いたいことがあるのに言えないんだと思ってください(笑)。

――他の役者さんたちもご紹介いただけますか?

土田 犬飼君は僕と一緒に89年に劇団を旗揚げした時からの付き合いです。その後、彼はうちの劇団を辞めたので、芝居を一緒にやるのは94年以来久しぶりですね。根本君は今回、漁村の住民代表の役をやってもらうんですが、いいクッションになってくれると思います。川原さんは本当に若い、アイドル的な存在ですね。綺麗な顔立ちをしていて、この芝居でブレイクするんじゃないかと。千葉さんとかなり年の離れたカップルの設定です。あと奥村は……劇団員なのでコメントはなしです(笑)。

――最後に土田さんから意気込みを一言お願いできますか?

土田 いいアンサンブルを作りたいと思います。皆さんの個性を立たせつつ、チームとしていいものを作りたいですね。際物きわものの芝居を作ろうとはしていないので、自然な形で見ている人たちに「ゲイ」ということを意識させない芝居にしたいと思っています。
皆様、ぜひお越しください。

3月8日
インタビュー:(財)三鷹市芸術文化振興財団
協力:赤坂レッドシアター

*1 土田MAP:演劇界の第一人者野田秀樹さんがプロデュース公演を行う時のユニット名が『野田MAP』であることをもじったもの。
*2 同業者:千葉雅子さんが人気劇団「猫のホテル」の主宰者でかつ作・演出・出演を務めており、土田さんと全く同じ立場なので。

2010-05-19 15:32

 ミュージカル『美女と野獣』は、エンターテインメント業界の雄 ディズニーが、演劇ビジネスに発進出した作品です。 大掛かりな舞台装置、豪華絢爛な衣装、数々のイリュージョン、心に残る美しいメロディーなど、同名アニメーションを忠実に再現した舞台は、ディズニー作品ならではの魅力に溢れています。

 瞬きする間も惜しい華やかなステージと、アカデミー賞受賞の有名なナンバー「美女と野獣」を始めとした名曲の数々に彩られた純粋で美しい珠玉のラブストーリーに、どうぞご期待下さい!


ミュージカル『美女と野獣』 栄光の軌跡

 1994年4月18日、ブロードウェイのパレス劇場で、ショウ・ビジネスの歴史を塗り替えるミュージカルが誕生しました。エンターテインメント業界の雄、ウォルト・ディズニーが総力を結集し創り上げ、初めてライブミュージカルに進出した作品、『美女と野獣』。この作品は従来の演劇の限界を軽々と超え、「魔法にかけられた舞台!」と大絶賛を浴びました。

 『美女と野獣』の原作は、1757年に出版されたボーモン夫人(仏)のおとぎ話とされ、また、ジャン・コクトー監督、ジャン・マレー主演の映画としても広く知られています。コクトーの映画は、野獣を演じたジャン・マレーの美しさとともに一世を風靡しました。

 誰もが知っているこの作品をディズニーが新しい要素を盛り込んで、楽しいアニメーション映画にしたのは1991年のこと。野獣の家臣たちのキャラクターを生み出し、ベルに恋する「ガストン」という敵役を登場させるなど、新しいアイデアが盛り込まれたこのアニメーション映画は、アニメ映画史上最高の3億4千万ドル(3年間)の売上を記録しました。また、アニメーション映画としては初めて、アカデミー賞作品賞にノミネートされ、作曲賞と主題歌賞(♪美女と野獣)を受賞しました。

 1993年12月2日に、テキサス州ヒューストンのアンダー・ザ・スターズ劇場でトライアウト公演をオープン。この劇場のチケットの売上記録を瞬く間に破り、その勢いのまま史上最高の製作費1,190万ドル(11億6千万円)を投入して、ブロードウェイ初日を迎えたのです。ブロードウェイでも勢いは止むどころか強くなり、連日超満員の観客でパレス劇場は埋め尽くされました。

 1994年のトニー賞では、最優秀ミュージカル賞、最優秀演出賞など、9部門にノミネートされ、最優秀衣裳賞を受賞しました。受賞式(6月13日)の翌日には、それまで『オペラ座の怪人』が持っていた一日のボックスオフィスの売上記録(92万9千271ドル/1987年11月23日)を更新。

 129万6千722ドル(1億3千万円)という空前の記録を樹立。正に世界のエンターテインメント界の雄、ディズニーの実力が遺憾なく発揮された大ヒットミュージカル。それが『美女と野獣』なのです。

夢の世界を創る衣裳と特殊効果

◆トニー賞最優秀衣裳デザイン賞に輝くコスチューム

 ミュージカル『美女と野獣』には燭台、時計、ポットといった"物"に姿を変えられてしまったキャラクターが多く登場します。また、ストーリーが進行するに連れて、徐々に"物"そのものになっていく家臣たちの過程を衣裳で表現することも要求されました。『美女と野獣』の生物と無生物の入り混じった世界を創り出すため、普段舞台衣裳ではあまり使用されない特別製の真空形成プラスティックやラテックス、バネといった素材が慎重に組み合わされたデザインを生み出しています。こうして創り出された衣裳と装置、特殊メイク、カツラなど様々な要素が組み合わさり、ミュージカル『美女と野獣』の世界が舞台に出現するのです。

◆めくるめくイリュージョンの世界

 古くから伝わるおとぎ話をもとに構成された『美女と野獣』。当然そこには日常生活のなかでは起こり得ないことが起こります。しかし、ミュージカル『美女と野獣』では、この起こり得ないことが実際に舞台上で繰り広げられます。

 ポット夫人の息子チップはティーカップに姿を変えられているのですが、ワゴンの上に首だけが載っている状態で登場し、観客を驚かせます。

 また、野獣の運命を握っている一輪の薔薇が散っていく様子や野獣の変身の場面は、これまでに観たことのない、そして忘れられないエキサイティングなものになるに違いありません。また、ショーストッパーである「ビー・アワ・ゲスト」の場面を始めとして、たくさんの場面で花火や様々な特殊効果が綿密な計算のもとにストーリーのなかに無理なく組み合わされて、まさにイリュージョンの世界が創り出されています。

『美女と野獣』その音楽の魅力

◆二人の天才

 二人の天才音楽家――アラン・メンケン、ハワード・アッシュマン――が野獣に生命を、そして心を与えました。1982年、オフ・ブロードウェイ初演のミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』でもコンビを組んだメンケンとアッシュマン。彼らとディズニーとの記念すべき第一作は、1989年公開のアニメーション映画『リトル・マーメイド』。

 アッシュマンは作詞だけではなく、製作総指揮も担当。二人の作った「アンダー・ザ・シー」は、アカデミー賞主題歌賞を受賞しました。この後、アッシュマンとメンケンの二人が取り組んだのが、映画『美女と野獣』でした。

◆アカデミー賞作曲賞・主題歌賞の名曲

 1991年に公開された映画『美女と野獣』でアッシュマンとメンケンの作ったナンバーは、心に残る名曲ばかり。1992年アカデミー賞では作曲賞を受賞、有名な野獣とベルのダンス・シーンのナンバー「美女と野獣」(作詞:ハワード・アッシュマン、作曲:アラン・メンケン)は、同主題歌賞の栄誉にも輝きました。同年度ゴールデングローブ賞では、作曲賞と主題歌賞を受賞。

 アッシュマン、メンケン二人の作った曲はこの他にも多くの賞が与えられました。思わず口ずさんでしまうダンス・ナンバー「ガストン」や、客席と舞台が一体となるまさにショウ・ストップ・ナンバー「ビー・アワ・ゲスト」など、映画『美女と野獣』は音楽によって生命をあたえられたといっても過言ではないでしょう。

◆ミュージカル化と第三の天才

 1991年3月、映画の完成を待たずして、ハワード・アッシュマンは病に倒れ、40年の短い生涯を閉じました。アッシュマン亡き後を継いだのは、『ジーザース・クライスト=スーパースター』、『エビータ』で知られる作詞家ティム・ライス。ライスはアッシュマンの作り上げた作品全体のバランスを崩さぬよう、歌詞の微妙なフィーリングを研究、彼独自の色を加えていきました。

 『美女と野獣』舞台化に当たって、メンケンはさらに精力的にオリジナル映画の音楽に手を加えていきました。メンケン、ライスという新しいコンビによって「愛せぬならば」、「ホーム」など7曲の名曲が新たに生まれました。また、映画では上映時間の関係上外されてしまったメンケンとアッシュマンの隠れた名曲「ヒューマン・アゲイン」が、舞台版では復活し、舞台に一層の華やかさを加えています。故ハワード・アッシュマンとアラン・メンケン、そしてティム・ライスの三人の音楽家の情熱によって、ミュージカル『美女と野獣』は成功を収めたのです。

ストーリー

◆第一幕

 昔、ある国の光り輝く城に、若くて美しい王子が住んでいました。王子はわがままで優しさを知りませんでした。ある夜、城にみすぼらしい老婆がやってきて、一輪のバラと引き換えに宿を乞いますが、王子は老婆の醜い姿を嫌って追い払います。「外見で人を判断してはいけない」と説く老婆を、王子が再び追い払おうとしたとたん、老婆は魔法使いに変身し、王子を醜い野獣に、召使たちを「もの」に変えてしまいます。そのバラの花が散る前に王子が人を愛し愛されなければ魔法は永遠に解けず、人間に戻ることは出来ないのです。

 ある日、近くの村に住む美しくて聡明な娘ベルが城に迷い込んできました。家臣たちは呪文を解くチャンスだとベルをもてなします。野獣はベルに思いを寄せますが、その愛を伝える術を知らず悩み、また、自分の醜い姿を恥じて苦しみます。

◆第二幕

 城を抜け出したベルは、森で狼の群に囲まれます。危機一髪というところで野獣が駆けつけ、ベルを助けます。城に戻り、傷を負った野獣の手当てをするベル。いつしか二人の心は通いはじめます。

 野獣はベルに図書館をプレゼントし、本が好きなベルは大喜び。ベルは夕食をともにしたいと野獣に頼み、二人だけの晩餐会が開かれます。野獣は愛を告白しようとしますが、言い出せず、父親のモリースを案じるベルを、愛するがゆえに家に帰してやります。

 その頃、村ではガストンがベルを自分のものにするため、モリースを狂人に仕立て上げようとしていました。ベルは父親が正気であることを証明しようと、野獣を魔法の鏡に映し出しますが、ガストンは村人たちを引き連れ野獣を殺そうと城へ向かいます。ベルが城に駆けつけた時、野獣はガストンの手にかかり死に瀕していました。ベルは野獣を抱き、涙ながらに愛を告げます。しかしその瞬間、最後のバラの花びらが…。

2010年夏、劇団四季 首都圏で6館目の専用劇場、四季劇場[夏]が誕生!

 2010年夏、劇団四季の新たな拠点として首都圏では6番目となる専用劇場、《四季劇場[夏]》が誕生します。四季劇場[春][秋]や電通四季劇場[海]と同様、「舞台と客席に一体感がある、濃密な空間」をコンセプトに、大井町駅に隣接する品川区有地内に開設される《四季劇場[夏]》。是非この機会に足をお運びください。

【劇場アクセス】
・JR京浜東北線「大井町」駅 東口/東急大井町線「大井町」駅より徒歩5分
・東京臨海高速鉄道りんかい線「大井町」駅 出口Bより徒歩5分


公演概要

劇団四季「美女と野獣」

公演日時:2010/7/11(日)〜11/30(火)
会場:四季劇場[夏] (東京都)
プレオーダー:5/19(水)12:00〜5/20(木)18:00
一般発売:5/23(日)

2010-05-18 13:58
「イカれた主婦」が5/15(土)ル テアトル銀座でスタートしました!
初日を迎えての木の実ナナさん、山崎育三郎さん、ROLLYさんのコメント、 そして舞台写真と、お客様の感想をご紹介します!



【木の実ナナさん】
お稽古は、辛いけど楽しかったです。
20年前の初演を知るのは私だけですが、今回も今が旬の「イカれた主婦」になりました。
息子役の山崎育三郎くんは、かわいいですよ。母親っていいなぁ、こんな親子が居たらいいなぁ、と思います。
大人の「セクシー・パンク・ロック」をぜひ見にいらしてください!

【山崎育三郎さん】
普段女装をすることはないですが・・・ハマりそうです(笑)。
一緒に親子役を演じるナナさんは、何をやっても受け止めてくれます。愛があります。
(それぞれ男女ペアの役なのですが)このペアが一番ラブラブです!

【ROLLYさん】
今日のメイクは、ゆうべのパックからいれて24時間かかりました(笑)。
普段からこういう衣装をつけるのは"嫌いじゃない"ので、お金をもらってこんな格好ができるなんて、一石二鳥です!
舞台に登場する、木の実ナナさん率いるバンドは、まさに「アングリー・ハウスワイヴズ」!
リアルな演奏ですよ。



◆5/15(土)の初日をご覧になったお客様の感想をご紹介します。

・ 男性陣の女装が妙にかわいい(笑)
・ 音楽が盛りだくさん! 主婦4人のハーモニーが素敵。
・ 最初から最後までタイクツしない。
・ アラフォー、アラフィフ世代は共感できる。



・ 生演奏って贅沢!
・ ちょっと身につまされるストーリー、でも最後のライブでスッキリしました。
・ コミカルで楽しい、最後がライブみたいでストレスが解消できた。



「イカれた主婦」
【東京公演】
2010年5月15日(土)〜23日(日) ル テアトル銀座byPARCO
【名古屋公演】
2010年5月26日(水)18:30 中日劇場
【金沢公演】
2010年5月29日(土)18:30 本多の森ホール
【仙台公演】
2010年6月3日(木)18:30 イズミティ21
【岡山公演】
2010年6月10日(木)18:30 岡山市民会館
【北九州公演】
2010年6月14日(月)18:30 北九州芸術劇場
【大阪公演】
2010年6月16日(水)19:00 森ノ宮ピロティホール

2010-05-17 17:45

 ゲームだとかパズルだとか、完全にインドア系のイメージが定着している、京都の劇団「ヨーロッパ企画」。しかしその新作公演の題材は、なんとサーフィン! およそ彼らからは縁遠そうなこのテーマを、どのようにあの"ゆるいけど緻密"なコメディで表現するのか? 今回は作・演出の上田誠と、毎回絶妙なボケ・ツッコミ会話で楽しませてくれる役者の諏訪雅&石田剛太に、その内容を直撃。実は前作『曲がれ! スプーン』の公演中から始まっていたという稽古の話や、「ヨーロッパ企画はコメディじゃない?!」と一瞬ドキッとする発言も飛び出した、最新&独占インタビューです。

今回はサーフィンをしないサーファーたちの話。諏訪

──今回のタイトルは、初めて見た時に笑っちゃったほど秀逸ですよね。チラシ画像と合わせて推察するに、ネットサーフィンの話なんですか?

上田 そのニュアンスも入ってくるでしょうが、どちらかと言うと、実際に波に乗るサーフィンの話になります。というのも、今回はとにかく「波」を扱った舞台にしたくて。波や風って、たとえば(テーブル上のコップを指して)このように形状がハッキリあるわけじゃなく、瞬間の物というか、現象みたいな物。そんな物についてあれこれ語るのって、すごく演劇的だなあと思うんですよ。

石田 たとえばサーフィンの世界では、波にいろいろ名前が付いてるんです。固定の形があるわけではないけど、いろんな流れや形に合わせて名前を付けているという。

上田 「掘れた波」(註:斜面が急なカール状の波)とかね。お芝居を作るのも結構、これと似た作業。たとえばこの世にありえないようなモノのタイトルを付けて、それに合う感じの芝居を作っていったら、もともと存在しなかった物質や世界ができあがったりする。波には何か、それに近い面白みがあるのでは? とは、ずっと考えてました。

石田 でも実際に僕らがサーフィンをやるとか、そういうことにはならないんだよね?

上田 舞台上で本物のサーフィンをするなんて、まあ不可能ですから(笑)。それで陸にいるサーファーたちが、サーフィンという遊びや波や海などについて、いろいろと語り合う芝居にしようと思っています。

諏訪 しかも全然、サーフィンをしないサーファーたちの話。

──サーファーなのにサーフィンをしない?

上田 今回のもう1つのモチーフに「伝説」があるんです。「昔こんなすごいサーファーがいた」とか「あの波はどうだった」とかいう感じで、話を進めていく。こういう話をする人たちっていうのは、ほぼ間違いなく伝説の当人じゃない(笑)。その"伝説じゃなさ"が、伝説を語らせるわけで。そういう人たちの群像にも、興味があったんです。

──ということは、実際に動いてサーフシーンを見せるのではなく、会話ですべてを見せるという感じになるんでしょうか?

上田 そうですね、会話中心の芝居になると思います。というのもここ最近、しっかり美術を作りこんだ上で、どうしてもビジュアル化できない部分を台詞で補うというやり方が、一番現実から遠いイメージを作れるということがわかってきたんですよ。たとえば前々回の『ボス・イン・ザ・スカイ』では、ドラゴンの尻尾だけを出しておいて……。

石田 実際にどのように戦うのかは、口で語るだけ。アクションはまったくない。

──でもそうやって身振り手振りで説明するだけでも、観ている側は案外勝手に、ドラゴンと戦うシーンを脳内で作り上げていくものなんですよね。

上田 そうやって観ていただくのが、一番ありがたい(笑)。ただそういう会話に説得力を持たせるには、舞台美術をしっかりと作りこんでおく方が、素舞台で演じるよりも全然効果があるんですよ。

諏訪 それと単純に、美術が面白い方が、観ている人も面白いんとちゃうかなあ?

石田 そうだよね。そういうユニークな舞台美術の地形を生かしながら、ゆるくて笑える会話をするというのが、今のヨーロッパ作品の重要なポイントだと思う。

上田 ただここ最近テーマにしている「高低差のある場所での会話」は、普通に会話をしていても変な雰囲気になるという面白さがあるので、今回も続けたいですね。なので平面的な海辺ではなく、海の上にどこか別の世界があるような……そういう何か、立体的な美術の仕掛けが可能な状況を、今考えているところ。多分現代ではなく、何らかの理由でサーフィンという文化がなくなった、近未来の話になるんじゃないでしょうか。

一般的な"コメディ"ほどには、温度が高いものじゃないかもしれない。上田

──メンバーの日記などによると、すでに稽古が始まってるそうですね。

諏訪 2回ぐらいやりましたね。

上田 僕らの芝居作りは、いつも「どんな群像を描くか」というところから始まるんです。だから1人1人のキャラクターが明確でなくても、集団としてのキャラクターが決まれば、どんな舞台になるのかが大体決まってくる。だけど一口に「サーフィン伝説を語る集団」と言っても、サーフィンに詳しい人たちと全然知らない人たちとでは、果たしてどちらの会話が面白いんだろう? と。それを探るために、エチュード(註:1つの題材に沿って、役者に即興で芝居を演じてもらう稽古)をやりました。

諏訪 ちなみに1回目は、「海の家での会話」というエチュードだったんです。

石田 カキ氷のシロップの話を、30〜40分ぐらい集中的にやったりして(笑)。

上田 で、そのカキ氷の話だけでもう、芝居の概要が見えました(一同笑)。

──ちなみにメンバーで、サーフィン経験者はいるんですか?

石田 いないです。

諏訪 でも石田君は、サーフィン行くって言ってたよなあ?

石田 僕の友達で、すごくサーフィンが好きな子がいるんですよ。一緒に行く時間が全然合わなくて、結局まだ行けてないんですけど。

上田 でもね、今回の舞台の記者発表なんかで「サーフィンをしたことがない人たちが作る、サーフィンの芝居」とか言ったら、単純にキャッチーじゃないですか? だから石田君がサーフィンを始めるにしても、その事実はちょっと……伏せてほしい(一同笑)。

──ちなみに諏訪さんは、何かサーフィンへのアプローチは?

諏訪 いやあ、ないですねアプローチとか。サーフィンに思いを馳せる以外は(笑)。

上田 概念的なアプローチ(笑)。

諏訪 そうそう。でもそれが、最高のアプローチだと思うんですよ。家でダラダラしていても、頭の中では波に乗っているという感じの方が、今回は近いんじゃないかなあ?

上田 確かにスピリットのようなものは、大事な気がしますね。

諏訪 そうよね。何かサーフィン文化って「あそこにいい波が来る」と言ってあちこち移動するところとか、すごく挑戦的な気がする。

石田 完全にサーフィンに、ライフスタイルを合わせたりしますからね。さっき言った僕の友達も「日本で一番いい波が来るのは高知だから」という理由で、高知県に移住する計画を進めているぐらいなんですよ。それって「農業がやりたいから」という理由で田舎に住んだりするのとは、だいぶ違いますよね?

上田 波という全然つかみどころがないものに、自分の生活を合わせるというのがね。しかもその気持ちよさって、波に乗る瞬間だけのモノじゃないですか? ずっと持続する幸せではなく、来るかどうかもわからない瞬間の快楽に、軸足を乗せた生活をしている。そういう人たちは、やっぱり1つの群像としてすごく面白い。

──そんな不確定なモノを追い求める人たちを描くには、確かに具体的なビジュアルがシビアに求められる映像よりも、演劇の方が表現しやすいのかもしれませんね。

上田 それにサーフィンのドラマや映画って、あまりストーリーがなくても、キレイな海の映像さえあれば良い感じになったりしますよね? でも舞台だと、当然そういう風景に助けを借りることができない。だから逆に、話に集中しやすいかもしれないです。

諏訪 いつも新しい試みみたいなのが、作品ごとにあるじゃない? 今回そういうのは?

上田 ……今回はないんじゃないですか?(一同笑)

諏訪 いやいや、それは単に、まだ考えてないってだけだよね?(笑)

──ただ前回、典型的な会話劇コメディだった『曲がれ! スプーン』を観て再認識したんですけど、最近のヨーロッパ企画の笑いは、単純に「シチュエーション・コメディ」とは言いにくい世界になってきてますよね。

石田 確かに『ボス……』なんか、シチュエーション・コメディとは違う気がする。

上田 何でしょうね? コメディと名乗るには、あまり「人間」を笑うようにはできてない。コメディって、もっと人間の言葉の綾(あや)だとか感情の機敏だとか、もう少し近視眼的な視点で世界を描いてると思うんです。でも僕らは、人間や社会をもっと引いた視点で見せる……いわば、水槽の中を観て笑ってもらうというイメージがすごくある。だから一般的な"コメディ"ほどには、温度が高いものじゃないかもしれない。

諏訪 新しい名前付けたいよね、何か(笑)。「コメディ」ってずっと言ってるけど。

──人間そのものより、全体の世界観を見せることに意味があるという点では、オーバーだけどアートパフォーマンスのコンセプトに近づいてる、と言えるかもしれない(笑)。

上田 あー……それはおこがましいですけどね(笑)。でもホンマにね、そんな感じなんですよ。自分では絶対言わないですけど(一同笑)。

石田 ただ芝居って、主に台詞をしゃべってる人を目で追うのが普通じゃないですか? ヨーロッパも一応そういう作りにはなってますけど、そこ以外の部分……舞台美術の細部だとか、後ろで何かしている役者とか、そういう別の所も観たくなる人は多いかもね。

上田 台詞ってだから、そうなんですよ。台詞回しが観客の視線……映像で言うところの、カメラワークを誘導するものなんです。それも悪くはないけれど、もう少し他のカメラワークがあるんじゃないか? と思うんですね。たとえば舞台上にカーソルの矢印が出てきたら、観客は台詞をしゃべってる役者よりも、カーソルの方を観るんやなあ、とか。そういう新しい見せ方を探るのは難しいけれど、可能性は追求していきたいです。

諏訪 でもまあなんだかんだ言っても、観てる人には普通に笑ってほしいですけどね。

上田 そうですね。まあ『サーフィンUSB』なんてタイトルを付けた時点で、真面目なことをやるとは思われないでしょうけど(笑)。

──今回も、挑戦的だけどキッチリ笑える芝居が期待できそうですね。その辺の意気込みを、何かサーフィンにたとえて語っていただけませんか?

石田 そうですね、大きな笑いのウェーブを起こして……。

上田 その笑いのビッグウェーブから、ワイプアウト(註:サーフボードから転落すること)するお客さんがいないように……。

諏訪 で、その笑いのウェーブのパイプライン(註:波が作る筒状の空間。あるいはハワイにある、有名なサーフポイントの名前)を、全国ツアーでくぐり抜けていきたいな、と思います(笑)。


〈取材・文/吉永美和子〉
〈写真/渡辺マコト〉
〈取材日/2010年4月19日〉

2010-05-14 13:47
劇団、本谷有希子の新作『甘え』は、夜這いという風習を現代に持ち込んだ設定で、いつになく不穏で妖しげな空気を際立たせる舞台になりそうだ。大河内浩と小池栄子が演じる父子の関係性を軸に、アンチ・モラルな振る舞いが生々しく描かれる、本谷言うところの「深いエンタメ」。観る者の価値観を揺さぶり、ぐらつかせることにこそ、本作の真価や本質があるはず。


観た人の中になかった価値観が芽生えたりとか、知らなかったことが分かるようになったらいいな

本谷 『甘え』のプロットは、「夜這い」っていう設定をどう料理するかっていうところから始まりました。以前、知り合いから、「今でも夜這いの文化がそのまま残っているところがある」っていう話を聞いて、興味を持って。ちょうど、不道徳というか、ダーティーな芝居が書きたいなあと思っていたので、面白いな、と。

――不道徳なものを書きたいっていう衝動は、どこから?

本谷 自分の中に、誰かを遠慮なしに傷つけたいっていう衝動があるみたいなんですよ。でも、普段の私が日常的に人を傷つけたり貶めているわけじゃない。そんなことしたら自分に自己嫌悪が跳ね返ってくるだけですしね。でも、お芝居とか小説の中でだったら、登場人物を自由に傷つけられるから、刀の切れ味を試したくなるんです(笑)。いつも峰打ちばかりしているから、たまには思いっきり人を斬っておかなきゃ、みたいな(笑)。もちろん、現実でやったら迷惑がかかるし、自分の胸も痛むけど、劇の中でだったら許される。役者さんたちだって、ある意味、斬ったり斬られたりするために舞台に出てきているわけだし(笑)。

――『甘え』という舞台を語るキーワードとして、「深いエンタメ」という形容を使っていますね。これはどういう意味で?

本谷 自分で「深い」って言ってるところがいいなぁというのと、お客さんのものの見方や価値観が、観劇前と観劇後で変わるような舞台にしたかったんです。例えば、夜這いっていう設定に眉をひそめる人もいるかもしれないけど、それが日本ではかつて日常的に行われていたって知ったら、価値観が少し変わりますよね。今回、お話の最後に、常識的に考えたら"とんでもない"ことが起こるんですけど、最初から物語を追っていくとそれが"有り得る"ことだと思えるようになるはず。で、それができたら「深いエンタメ」として成功だと思う。だから、観た人の中になかった価値観が芽生えたりとか、知らなかったことが分かるようになったらいいなって。

――舞台の登場人物も、今までにない体験をすることで、価値観が揺らいだり、がらっと変わったりしますよね。

本谷 そうそう。「これは風邪薬だから」って騙されて覚せい剤を打たれて、最後にはシャブ中になってしまう、みたいな話、週刊誌によく出てるじゃないですか?(笑) まさにああいう感じ。軽い気持ちである習慣を身につけたら、それを皮切りに、自分のことを直視できないほど価値観がぐらついてしまう。で、そのきっかけを作った人に対して「お前、俺の人生めちゃくちゃにしやがって!」みたいな気持ちが芽生えたり……。だから今回の舞台、設定やディティールは「夜這い」や「不道徳」だったりするけれど、ある意味、人の価値観についての話でもある。変えられないと思っていた価値観が変わるっていう体験を、真正面から描いてみたかったんです。

本谷有希子(もとや ゆきこ) プロフィール

1979 年、石川県出身。「劇団、本谷有希子」主宰。『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞受賞。『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞を受賞。小説では『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が三島賞候補、『あの子の考えることは変』が芥川賞候補にノミネート。

オフィシャルブログ 劇団、本谷有希子の「現実日記」

2010-05-07 19:34
 自分の顔がとんでもなく醜いと知らされショックを受けた男は、整形手術で素晴らしい顔を手に入れるが…。ドイツの若手劇作家、マリウス・フォン・マイエンブルグの'07年初演作『醜男』は、山内自身「台本を読んでいて久しぶりに笑ってしまった」と語る、人間の可笑しみと哀しみを描いた非常に魅力的な物語である。



個人的に何か面白いなぁと思ってた感覚と、この『醜男』は非常に近かった。

――『醜男』、ストレートなタイトルですが、山内さんが演じられるのがズバリその"醜男"ということで。

 僕、翻訳モノってほぼ初めてになるんですけど、台本を読んだときにまあ…おこがましい言い方ですが、「なんか感覚的に近い方が書いてはるなぁ」と思いましたね。つまり、面白かったんですよ。昔、早川義夫さんというシンガーの方が『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』っておっしゃってたのにもリンクするというか、僕自身そういう感覚でモノを考えることがよくあったので、この『醜男』も非常にリアルな話しとして興味深く読むことができました。

 この作品で僕が演じる男は、ある日、長年すごくいい関係を築いて来た妻に「今まで聞かれへんから言わへんかったけど、あんためちゃめちゃブサイクやで」って言われるんですよ。そんなのすっごいショックやろうけど、でも彼は「えー、そうやったんや。なら顔変えるわ」っていう(笑)。

――価値観の崩壊。

 それこそ僕自身もここ何年か「正しいことって何なんやろう?」ってすごく考えていて…ほら、どんなに近しい人でもよくよく話してみると違うことって多々ありますよね。「えっ、これって君にとってそんなに重要なことなんや」みたいな。だからこそ世の中上手く回すために一定のルールがあるんだろうけど、それだって決めた人からして守ってへんし。制限速度40kmって言ったって、誰が40kmで走ってるんやろうとか(笑)。あと、何故か人は人を不変だって思っちゃうんですよね。例えば自分にとっていつも穏やかだった上司がある日その態度を豹変させる。そんなの人間なんやから実は当たり前のことなのに、こっちは互いの関係は不変だと思い込んで安心してたもんで、そこでものすごくショックを受けるわけですよ。いらないショックを。葬式だって、「人はいつか必ず死ぬんだから、まぁ死に方はいろいろあるにしてもそんなに悲しまなくてもいいんじゃない?」って思えて来たり。個人的に「そんなんが何か面白いなぁ」なんて思ってた感覚と、この『醜男』は非常に近かった。

――確かに自分にとっての「普通」が必ずしも他の人の「普通」ではないことって多いですよね。

 そうそう。あとね、長塚圭史くんとかともよく話すんですけど、最近の演劇って全部説明しちゃってる情報過多の作品が多いじゃないですか。それこそもう、チラシ見ただけで内容がわかっちゃうような。まあ…Piperは全部台詞で説明しちゃってますけど(笑)。

――それはそれで全然、アリですよ!

 うん。でもそうじゃないところでわかりやす過ぎるモノばかり増えて来てて、「そんなのは僕らがやってもしょうがないよな」なんていう中、この『醜男』と出会えたのはホントにいいタイミングだと思いましたね。最初は「まさか整形なんて」って思うかもしれないけど、これは案外リアルな話しですよ。むしろ実際にはもっと「やっちゃってる」人、いますからね〜。例えば食品の偽造なんかもそうでしょう? いろいろ混ぜちゃってたのにバレたら会見で堂々と逆ギレとか(笑)、そんな人のほうがよっぽど僕なんかよりドラマチックで演劇的ですよ。そこの感覚が楽しめる話しなんだよなぁ。自分がちょうど翻訳モノに興味を持ってたっていうのもあったけど、やっぱり現実の方がすごく面白いこととすごく怖いことがたくさんあるってことも確認出来たし。

あまり演劇に触れたことのない人にとってもこれはすごくいいソフトなんじゃないかな。

――カンパニーは山内さん、内山理名さん、斎藤工さん、入江雅人さんの4人の座組。山内さん以外はそれぞれ複数の役を演じるという構成ですね。

 そこにこの戯曲の面白さがあって。ほら、『ピーターパン』もフック船長とウエンディのパパを同じ役者がやるってところに意味があったりするでしょう? たぶんね、小劇場というか、演劇ってもともとそういうもんなんやと思うんですよ。このホンにはそういう演劇の面白さが非常に濃縮されて入ってる。しかも、情報過多ではないけれど、決してわかりにくくもないですからね。むしろ演劇初心者の人でも入門編として素直に「ああ面白いなぁ」って思えるもんやと思うから、あまり演劇に触れたことのない人にとってもこれはすごくいいソフトなんじゃないかな。もちろん、僕にとってもね。とにかく台本読んでてホンマに笑ったし、俄然感情移入できました。それはたぶん見ている人も同じだと思いますよ。人間誰しも自分の容姿ってすごく気になってるはずだし、毎日たくさんの顔と出会いながら社会人として働いてる方たちなんかは特に思うこといっぱいあるだろうし。だから、普段演劇なんて見ないような彼氏を誘ってアベックで観に来てもらったりしたらいいなぁと思いますね。見終わったあと、お互いにいろんな話しが出来るハズですよ。

――では見所としては…

 人って、どこかで許して欲しいと思ってるじゃないですか。直接的には言ってないけどそういうこともここには絶対ある。なんかの歌じゃないけど(笑)、「今、ここに観に来てる君がいいやん」「そのままでいいやん」っていう、ね。きっと、観ているうちに自分のコンプレックスも愛せるんじゃないかな。

――ヒューマンですねぇ。

 そういうのをね、ホンマに一生懸命演じたいなって。「この作品の中の役として生きたい」という思いはいつもありますけど、今回、特に強く感じてるんです。稽古が始まってみないとまだわからないことは多々ありますけど、ホントにもう、かなり楽しみですね。今年はずっと舞台が続いていて…でも新しいことが出来るのは非常にうれしいことなので、今は文句なんて言われへん、多少休まれへんでも全然いいかなって思ってます。うん、幸せですよ。

〈取材・文/横澤由香〉
〈写真/坂野則幸〉

公演概要

世田谷パブリックシアター プロデュース「醜男」

【東京公演】
日程:7/2(金)〜7/12(月)
会場:世田谷パブリックシアター (東京都)

【大阪公演】
日程:7/15(木)
会場:サンケイホールブリーゼ (大阪府)

一般発売:5/22(土)

2010-04-23 18:52

 東京芸術劇場を皮切りに全国18箇所28公演で行われるWAHAHA本舗全体公演「バカの力」の製作発表を、4月7日(水)に神奈川県南足柄市にある夕日の滝にて行いました。

 なぜゆえに、都内ではなく箱根に程近い夕日の滝という場所での発表に至ったかと申し上げますと、演出家 喰始の鶴の一声

「どうせ発表するなら、ワハハならではの面白いことしないと!滝行とか!よし、面白い滝の打たれ方コンテストをしよう」

によるものです。

面白い滝の打たれ方コンテスト<T-1グランプリ(滝-1)>開催!

 そして、当日、行われたのが製作発表および賞金10万円をかけてワハハメンバーが奇妙な滝の打たれ方を競い合う<T−1グランプリ(滝―1)>。

 早朝、渋谷に在ります事務所より大量の衣裳や小道具、昼食用の食材や飲料を何台もの車に積み込み一路<夕日の滝>へ。

 資料画像で見るよりも、はるかに高く激しく思える滝を目前にして、エントリーした若手メンバーが震え上がったのは言うまでもございません。あいにくの雨により水量の増した約23mの滝、水温は5度前後。

 司会進行すずまさ、柴田理恵、久本雅美、総合演出 喰始、審査委員は、司会の女性陣を含む10名(下記参照)にて開幕しました。

 まずは、エントリーメンバーではなく、ワハハの若手マネージャー三代貴史による模範?入滝。
メンバーに先駆けて白装束を纏いいたってシンプルな滝行パフォーマンス。

 マネージャーの決死の?滝行を皮切りに、20組29名によるメンバーパフォーマンス上演。冷蔵庫マンというダンボールキャラクターネタでお馴染みの飯塚俊太郎による大ヒット映画アバターのパロディー「アバター春太郎」、セクシー寄席に属する兵頭有紀&光野亜希子の2名による<そみん祭>の「男流しそうめん」、顔が似ているという理由のみで相撲取り姿となった寺田奈美江が髷とマワシ姿で挑んだ「朝青龍の土俵入り」、愛用ギターがダメになるのも厭わず滝の中で「たどり着いたらいつも雨降り」を熱唱したポカスカジャン タマ伸也、座頭市の鮮やかな殺陣シーンを滝の中で再現したポカスカジャン省吾率いる<省吾剣友会>による「夕日の滝子守唄」等等、どれもこれもくだらなくバカの力を発揮しまくる滝行となりました。若手メンバーのみならず、焼肉を4枚食べたら翌日胃もたれして動けなくなるくらい 虚弱体質な なんきん も、歌姫梅ちゃんこと梅垣義明もエントリー。梅ちゃんは股間に付けた大きなサラダボールにドライアイスを大量に入れてスモークまみれで「霧の摩周湖」を熱唱しました。トリでの出場だった為、待機時間が長くなり大切なオチ○ンチ○がドライアイスに寄って低温火傷をするという名誉の負傷をしてまでも滝に入ったのです。

 滝のしぶきと雨で審査員の方々、司会者も濡れながら滝行を見守り、盛り上げて下さいました。

 厳正な審査の結果、優勝を手にしたのはセクシー寄席のアラフォーメンバー清水ひとみ&ヴァチスト太田&矢原加奈子<セクシー寄席チームアラフォー>によるパフォーマンス「地縛霊滝行」。OL二人(清水&矢原)が滝で記念写真を写していたら、なんと滝の中に地縛霊(髪が長いというだけで抜擢だれた太田)がいて写りこむという、とても判りやすい設定とパフォーマンスで高評価を得て満場一致で決定しました。

(関係者の方々からのご好意で頂いた品々、司会を務めた柴田理恵&久本雅美が自腹を切っての副賞の受賞は下記をご参照下さい。)

 恙無く(雨には降られましたが)T−1グランプリは終了し、お越しいただいたマスコミの方々との質疑応答囲み取材も実施いたしました。その模様は、夕方のフジテレビ系列スーパーニュースで放映され、翌日の日刊スポーツでも大きく取り上げていただきました。「メレンゲの気持ち」「アッコにおまかせ!」「知りたがり」等の番組でも近日放映予定です。

 滝に打たれ気持ちも新たに、4月15日より稽古が始まります。8月8日(日)焼津市文化センターでの千秋楽までパワー全開でバカの力を放出しまくりながら全国を駆け巡ります。ご期待下さいませ!!

出演者一覧

  1. 飯塚俊太郎 「アバター春太郎」
  2. パーマーイ雅晴 「鉄腕アトム」
  3. そみん祭 「男流しそうめん」(兵頭有紀/光野亜希子)
  4. トニー淳 「神様の小便」
  5. なんきん 「まっしろなひとときをおたのしみ下さい」
  6. マイケル星川 「キング・オブ・修行」
  7. ジジ・ぶぅ 「おば捨て山」
  8. 正源敬三 「もっと〜」
  9. 大窪みこえ 「河童」
  10. 浜田もり平 「ちんぽくん金冷法」
  11. セクシー寄席チームアラフォー 「地縛霊滝行」
  12. タマ伸也 「たどりついたらいつも雨降り」
  13. 寺田奈美江 「朝青龍の土俵入り」
  14. 劇団Tenbin座〜10月に生まれし者たち〜 「弱肉強食」(てるやひろし/浜田もり平/我善導)
  15. おいおい教教祖 「褌流し」(元氣安)
  16. 3ガガヘッズ 「男根滝のぼり」(トニー淳/正源敬三/ぱーまーい雅晴)
  17. 大久保ノブオ 「紙おむつ祈願」
  18. キャラメルマシーン 「滝マジック」(SADA/おだじ)
  19. 省吾剣友会 「夕日の滝子守唄」(省吾/トニー淳/飯塚俊太郎/パーマーイ雅晴)
  20. 梅垣義明 「霧の摩周湖」

審査員

  • 日刊スポーツ 笹森さま
  • エイベックス 島田さま
  • 焼津市文化センター 三岡さま
  • 日舞振付 橘左梗先生
  • 洋舞振付 菅原鷹志先生
  • ニュースプロモーション 板垣さま
  • サンライズプロモーション東京 近藤さま
  • DoTheMonkey 辛島さま
  • 柴田理恵
  • 久本雅美

賞金&副賞&受賞者

優勝 賞金10万円
セクシー寄席チームアラフォー
副賞 制作会社提供「カップラーメン4ケース」
なんきん
副賞 安齋肇さま提供「Tシャツ詰合せ」
パーマーイ雅晴
副賞 制作会社提供「サイクロン式掃除機」
寺田奈美江
副賞 制作会社提供「お食事券3万円」
省吾剣友会
副賞 制作会社提供「商品券2万円」
タマ伸也
副賞 エイベックス提供「CD&DVD」
キャラメルマシーン
副賞 柴田理恵提供「餃子の王将 食事券」
元氣安
副賞 久本雅美提供「メロンパン30個」
そみん祭 & 大窪みこえ
2010-04-20 16:54

2009年、若手俳優たちを中心に、お子様はもちろん、大人も楽しめる本格エンターテイメント作品として大好評で幕を閉じたミュージカル「冒険者たち」の東京・名古屋での再演が決定!様々な困難を乗り越えながら旅をする、小さな生き物たちの冒険がまた始まる!

2010年6月、あの可愛いネズミたちと一緒に海の旅へ、さぁ出かけよう!


『冒険者たち』とは

斎藤惇夫氏原作の『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』は、72年の発表以来、今でも多くの人に愛され、読み続けられている児童文学の名作。75年には『ガンバの冒険』としてTVアニメ化もされ、広く知られるようになった。また、放送から30年以上経った現在でも、DVD−BOXやキャラクター商品が販売されるなど、根強い人気を誇っている。

これまでも劇団四季をはじめ、いくつかのカンパニーや劇団等で繰り返し上演されているこの物語を、2009年に、内藤大希、お笑いコンビ「あさりど」の川本成、演劇ユニット*pnish*の佐野大樹、RUN&GUNの宮下雄也や各方面にて活躍中の若手キャストを中心とした様々な個性がぶつかり合う、パワー溢れる布陣でリニューアル。2010年6月、待望の再演が決定!

あらすじ

町ネズミのガンバは、初めての海、そして冒険への期待と不安を膨らませながら港へやってきた。
港では、ちょうど船乗りネズミたちの会合があり、宴に参加したガンバは、荒くれものだが陽気な船乗りネズミたちと出会う。
そこへ、忠太と名乗る傷ついた小さなネズミが現れる。忠太は、恐ろしいイタチのノロイ一族に支配された”夢見ヶ島”から逃げてきたのだという。そして、ガンバたちに夢見ヶ島に残してきた家族を助けてほしいと請う。ガンバとその仲間たちは、夢見ヶ島へ向かうため、船へ乗り込むのだが…。
ガンバたちは、さまざまな困難を乗り越え、知恵と勇気の限りを尽くしてノロイ一族と戦う。だが、凶暴なノロイを前に、仲間たちは次々と倒れ…

登場キャラクター紹介

■ガンバ:内藤大希

台所の床下の貯蔵庫に住んでいる、町ネズミ。正義感があり、勇気があるが、無鉄砲な一面もある。同じ町ネズミのマンプクに誘われて、海を見に港へ行ったことで、夢見が島のノロイ一味討伐に赴くことになり、リーダーとなる。始めはリーダーとしてやや頼りない面があり、仲間のネズミに教えられる事も多かったが、冒険を通して成長していく。

■ヨイショ:川本 成

海流丸に乗る100匹のネズミを束ねるボス。力持ちで、男気があり、豪快な性格。右目の傷はかつてノロイに襲われた時に付けられたもので、そのためノロイの恐ろしさを誰よりもよく知っている。

■ガクシャ:RUN&GUN 宮下雄也

船乗りネズミで、ヨイショの親友。物知りで理屈っぽい。ガンバやイカサマと度々衝突する。

■イカサマ:*pnish* 佐野大樹

いかさま博打が得意。
2つのサイコロをいつも持ち歩いていて、時々サイコロの目で吉凶を占う。ひねくれ者だが、人情に厚い一面も。

■ボーボ:佐藤永典

港ネズミ。うすのろで、いつもぼんやりしていて、夢見がちな性格。水平線の向こうを見てみたいと、船に乗り込んでしまった。

■シジン:平田裕一郎

いつも酔っぱらいながら詩を考えている、変わり者のネズミ。だが、傑作が出来たためしがない。

■オイボレ:外波山文明

身元の不明な年寄りネズミ。いつも仲間たちの足を引っ張り、お荷物と思われている。謎の多き老人。

■忠太:山田 諒

夢見が島の島ネズミ。ノロイに襲われ、家族たちと離れ離れになり、島から命からがら逃げ出してきて、ガンバたちに助けを求める。

スタッフ紹介

原作:斎藤惇夫(岩波書店)


脚本・作詞:うえのけいこ

演出:カサノボー晃

音楽:大石憲一郎 ・滝千奈美

振付:紀元由有

公演概要

ミュージカル『冒険者たち』−ガンバとその仲間たち−


【東京公演】

公演日:2010/6/10(木)〜6/13(日)

会場:サンシャイン劇場 (東京都)


【名古屋公演】

公演日:2010/6/19(土)〜6/20(日)

会場:名古屋・テレピアホール(愛知県)


2010-04-16 20:41

「"この舞台版があって映画が出来た"とイメージして書いた」
―脚本・演出 マキノノゾミ

 この舞台『ローマの休日』は、主役のジョー・ブラッドレー、アン王女、そして、ジョーの友人であるカメラマンのアーヴィングの3名だけで構成。映画の視点に変化を加え、当時の時代背景をベースに、新聞記者ジョーにもスポットをあて、彼の生い立ちや背景をしっかりと捉え、人物像をより深く描き出します。そしてジョーと、彼の友人であるカメラマン・アーヴィングのコンビネーションを軽妙に、時に男同士だから分かり合える胸のうちを切なくもあたたかく描きます。
 映画よりも凝縮された舞台空間で、ジョーとアンの恋愛模様、ジョーとアーヴィングの友情、そして3人の人間模様、それぞれの役の人間性を感じることができるでしょう。

e+(イープラス)プレイガイド独占販売!"オードリー・ヘップバーン"バースデー記念クルーズ!セットチケット販売中!

 東京公演中の5月4日は、映画『ローマの休日』のヒロインである【オードリー・ヘップバーンさんのお誕生日】にあたります!皆でこの日をお祝いするために、物語の重要なシーンである「船上パーティ」をイメージした、“バースデークルージング”が開催されます!
 銀河劇場から運河をはさんで反対側にある、美しいレストラン「クリスタルヨットクラブ」 (http://www.crystal-yc.co.jp/)のクルーズ客船が、この日だけ『ローマの休日』ヴァージョンに!
レインボーブリッジをくぐる東京湾の景色に加えて、なんと“舞台『ローマの休日』特典映像”が船内限定でお楽しみいただけます!しかも嬉しいワンドリンクつき!
 皆さんもジョーやアン王女のように、優雅なひと時をお過ごしください。
 さらに、夜公演をご観劇頂くと、出演者のアフタートークもあります!スペシャルな一日をお楽しみ下さい☆
 スペシャルクルーズと観劇がセットになった特別チケットは、イープラスにて絶賛発売中!

開催日時:5月4日(火・祝)
※東京公演限定
※定員になり次第受付終了

■マチネ観劇&クルーズセット
《マチネご観劇》13:00開演 & 《クルーズ》16:00〜17:00(予定)

■ソワレ観劇&クルーズセット
《クルーズ》16:00〜17:00(予定)& 《ソワレご観劇》17:30開演(アフタートーク有)
チケット料金:観劇+クルーズ(1ドリンク付)10,000円
※クルーズは、今回販売する上記観劇セットのみの販売です。
※クルーズ出航時間は、若干変更になる可能性があります。詳細は銀河劇場ホームページ(http://www.gingeki.jp/)にてご確認ください。

さらに耳寄り情報!

■出演者と記念写真♪ 客席集合写真をプレゼント!
日本初のストレートプレイ化となる、「ローマの休日」。この新たな挑戦を記録に残す、出演者とお客様のコラボレーション企画が決定!
東京公演5月6日(木)18:30公演の終演後、出演者3人が客席へ座りお客様と一緒に集合写真を撮影します。この写真は、希望される方全員にプレゼント!
※5月6日18:30の回を観劇された方全員が対象です。
※写真は、当日会場にてご希望された方のみ後日郵送。

■初日プレミア写真プレゼント
東京・大阪ともに初日公演をご観劇のお客様全員に未公開の扮装写真(3人バージョン)サインプリント入りを当日劇場にてプレゼント!

■アフタートークショー開催決定!
東京公演:4/29(木・祝)夜公演、5/2(日)夜公演、5/4(火・祝)夜公演
大阪公演:5/15(土)夜公演
出演者はキャスト3名に加え、4/29・5/2のみマキノノゾミも参加予定です。
※いずれの回も公演終了後に開催。各該当公演をご観劇のお客様はどなたでもご参加いただけます。

キャスト・スタッフ

 この3人芝居に臨むのは、スタッフ・出演者ともに強力な布陣。
 ジョー役には、最近ではNHK「だんだん」の父親役も好評、テレビのみならず映画・舞台にと活躍目覚しい実力派俳優【吉田栄作】。バツグンのスタイルで映画に劣らぬ二枚目ぶりと確かな演技力で、映画の素晴らしさを残しつつも、舞台ならではの奥深さを表現します。
 アン王女には、東宝ミュージカル「エリザベート」でタイトルロールを演じ、最近では日生劇場「シラノ」においてヒロインであるロクサーヌ役を演じ、ますます磨きがかかる元宝塚歌劇団雪組トップスター【朝海ひかる】。オードリー・ヘップバーン主演映画『暗くなるまで待って』の舞台化で主演も務めたばかり。多くのファンから是非『ローマの休日』のアン王女をという声に応え、今回の上演・配役が実現。
 アーヴィング役には、スーパー・エキセントリック・シアターの【小倉久寛】。劇団のみならず、テレビドラマやバラエティで活躍するその個性を活かしたアーヴィング役ぶりに期待がかかります。
演出は、作品の中に時代を投影させ人物を描くことにかけては定評があるマキノノゾミ。脚本は鈴木哲也・マキノノゾミの共同執筆。そして音楽はさだまさし氏の音楽プロデューサーであり、NHK大河ドラマ「利家とまつ」・映画「UDON」「解夏」「リング」などの音楽監督でもおなじみの渡辺俊幸が手がけます。


ジョー:吉田栄作

アン王女:朝海ひかる

アーヴィング:小倉久寛

公演概要

舞台「ローマの休日」
【東京公演】
日程:2010/4/27(火)〜5/9(日)
会場:天王洲 銀河劇場(東京都)

【大阪公演】
日程:2010/5/12(水)〜5/16(日)
会場:シアター・ドラマシティ (大阪府)

2010-04-09 19:26

世界の著名なバレエ団で引っ張りだこの人気振付家、オハッド・ナハリン率いるバットシェバ舞踊団がイスラエルからいよいよ来日する。
公演の度に、新しい顔を見せるオハッド・マジック、4/15(木)〜17(土)彩の国さいたま芸術劇場で上演される『MAX』にはどんな企みが……。
現地で一足早く“MAX体験”した乗越たかお氏のレポートをお届けします。

文=乗越たかお Takao Norikoshi(作家・ヤサぐれ舞踊評論家)

日本でも人気の高いオハッド・ナハリン率いるバットシェバ舞踊団。初来日の97年に3プログラムを一挙公演し、日本のダンスファンに強烈なインパクトを与えた。しかしその後、アンサンブル(バットシェバ舞踊団の若手カンパニー)の公演や、他のカンパニーによるオハッド作品の上演はあっても、本体のバットシェバ舞踊団の公演は、じつはそんなに多くはない。二度目の来日公演(2008年)『テロファーザ』までは11年という月日が経ってしまった。しかし今回、時を置かずして彩の国さいたま芸術劇場で『MAX』を上演されるのは、大きな悦びである。
 というのも、アーティストは刻々と変化しているからだ。当然、オハッド・ナハリンも変化があった。『テロファーザ』を見た観客はわかるとおり、オハッド・ナハリンは、大量の椅子を使った雪崩のようなダンスの『アナフェイズ』からは遠く離れたところに来ている。その間にオハッド・ナハリンには芸術監督を退いていた二年間があった。筆者は10年間、毎年テルアビブでのダンス・フェスティバルを訪れ、その変化を見守ってきたが、激しさよりも癒しをもたらすような、まるでリハビリを思わせるいくつかの作品(だがその魅力は減じることはない)を経て、再び彼の揺るぎないエネルギーを感じることができたのが、この『MAX』なのだった。

『MAX』をテルアビブで見たのは2007年。本拠地であるスザンヌ・デラル・センターで毎年行われているインターナショナル・エクスポージャーというフェスティバルであった。ちなみに同センターは昨年20周年を迎えた。
 暗い無音の舞台上には男女五人ずつのダンサーがいる。ラクフェット・レヴィによる衣装はシンプルなものだ。しかし彼らが、これというきっかけもなく、それでいて完璧にシンクロした挙動で「ふわり」と動くのである。その瞬間、ゆったりと観ていた観客の感覚は置き去りにされる。ワンテンポ置いて観客が知覚するのは、ダンサーの動きそのものよりも、舞台全体の空気がふわっと動く、不可視なはずのムーブメントである。自分が知覚したものが一体何なのか、認識できるまでにさらに数秒かかる。そしてその頃にはもうオハッドの魔術に取りこまれているのだ。それは観る者の心の奥深くにまで入り込み、かつて味わったことのない仕方で揺さぶる。

後半にはオハッド・ナハリン自身の声によるカウントに合わせた動きのシーンもある。いわば音ハメで、しばしば彼の作品に出てくるシークエンスではある。しかしそのハメ方がヒップホップのようにバチッと当てるのではなく、闇のなかに灯火をそっと置いてくるような、胸にしみるようなシーンとなっている。
 良く通るオハッドの声はまるで祈りのように、厳格さと優しさを持って舞台を包む。「1、2、3……」と続いていくように聞こえるカウントは、途中から何語かよくわからなくなる不思議なものだが、これもオハッドによるデタラメな言語なのだった。

カンパニーのダンサー達の素晴らしさも特筆するべきだろう。今はカンパニー全体が若返っている。バットシェバ舞踊団のダンサー達は、オハッド・ナハリンが生み出した独自の身体訓練メソッド『GAGA(ガガ)』によって鍛えられ、動きの発想が独創的で、他に類を見ない。新しいことをやっているつもりでその実、小さな枠を出ることができない悩める若いダンサーたち、そういうダンスにウンザリしている人たちは、是非ともこのダンスを見てみてほしい(ちなみに『GAGA』は日本でも受けることができる)。

この『MAX』において、オハッド・ナハリンは、ダンサーのみならず、舞台空間全体を踊らせようとしているかのようである。ふわりとした直後にはシャープで冷たい風が吹くような時もある。観客の予断を裏切ったかと思うと、ふっと寄り添う。動きの快感、構成の妙、円熟してなおパワーを失わないオハッド・ナハリンの真骨頂を味わってみてほしい。

[(財)埼玉県芸術文化振興財団 情報誌「埼玉アーツシアター通信」第25号より転載]

オハッド・ナハリンOhad Naharin

1952年イスラエル生まれ。20代から舞踊を始め、ダンサーとしてバットシェバ舞踊団で活躍の後、ジュリアード音楽院で学ぶ。80年に振付家としてデビュー。90年バットシェバ舞踊団の芸術監督に就任し、『キール』(90年)、『マブール(洪水)』の成功により評価を高める。彼の作品はネザーランド・ダンス・シアター、リヨン・オペラ・バレエ団など世界中の著名なバレエ団で踊られており、現在世界で最も注目される振付家の一人である。

公演概要

公演日:2010/4/15(木)〜4/17(土)

会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール (埼玉県)

2010-04-09 19:21

 国内外で幅広く活躍する実力派ヴァイオリニスト、川井郁子とバレエの神髄を極めた世界的スター・ダンサー、ファルフ・ルジマトフの夢のコラボレーション公演『COLD SLEEP』の開催が決定!“ヴァイオリンの女神” と“バレエの美神”が紡ぐ極上なひと時に酔いしれたい!







キャスト紹介

◆ヴァイオリン:川井郁子 Ikuko Kawai

 香川県高松市出身。東京芸術大学卒業。同大学院修了。大阪芸術大学(芸術学部)教授。

 ソリストとして、今までに国内外の主要オーケストラと共演、更にジャンルを超えて、シーラ・E、フェイ・ウォンやジプシー・キングス他ポップス系のアーティスト達、バレエ・ダンサーの熊川哲也、フィギアスケーター荒川静香とも共演している。活動の場は日本だけではなく韓国、台湾などアジアにも広がる。アメリカでもフィギュア・スケート選手のミシェル・クワンが「レッド・ヴァイオリン」の曲を使用して世界選手権で一位に輝き、川井の名前が一躍注目を浴びた。

 作曲家としても、ジャンルを越えた音楽作りに才能を発揮。2003年、東京国際フォーラムで自作の「オーロラ」を世界的コンダクター、チョン・ミョンフンと共演、大成功を収めた他、テレビやCM等映像音楽の作曲も手がける。

 その活動は多岐にわたり、舞台では、自身の音楽世界に加え独自の表現世界を持ち、舞踊劇・音楽劇の出演や、2005年からはオリジナルステージ『Duende』(ドゥエンデ)のシリ−ズ化などますますその活動の場を広げている。

 社会活動にも積極的に取り組み、困難な環境にある子供達へのサポートを行うために「川井郁子Mother Hand基金」を設立、自身主催のチャリティー・コンサートを行っている。また国連UNHCR協会の評議員としても2007年秋、初めてタイ難民キャンプを、2008年にはアフリカ・ウガンダの難民キャンプを訪問し、演奏と支援の思いを届けると共に、帰国後は全国各地の公演でその現状を伝えている。
オリジナルアルバム「レッドヴァイオリン」「オーロラ」「嵐が丘」、抒情歌アルバム「La Japonaise」初のベストアルバム「The Violin Muse」(ビクターエンタテインメント)が発売され、クラシック界では異例の発売記録を更新。2008年は、ニューアルバム「新世界」をリリース、全国ツアーと共に、10月に初のニューヨーク カーネギーホール公演を開催アメリカデビューを果たした。2009年1月には「川井郁子 at カーネギーホール2008〜新世界〜」をリリース。

 現在、レギュラー番組として、TVでは「ミューズの晩餐」(テレビ東京系)にてゲストとのコラボレーション演奏と共に司会を、ラジオでは「川井郁子ハートストリングス」(ニッポン放送、ABCラジオ)のパーソナリティーを務めている。

川井郁子ホームページ

◆ バレエ:ファルフ・ルジマトフ Farukh RUZIMATOV

 ウズベキスタンの首都タシケントに生まれ、9歳からドゥシャンベに移り住む。1973年にワガノワ・バレエ学校の視察団の目にとまり、その年に親元を離れ、サンクトペテルブルグの同校に入学。1981年にバレエ学校を卒業し、マリインスキー劇場(キーロフ)バレエに入団する。1990年にはアメリカに渡り、ABT(アメリカン・バレエ・シアター)で活躍する。ちょうどソ連ではペレストロイカの頃、多くのダンサーが海外に流出していた時期なので、そのままアメリカを本拠地にするのかと思われたが、翌年帰国。ロシアのファンに一層愛される結果となった。

 初来日は1986年のマリインスキー劇場(キーロフ)バレエの日本公演。アルティナイ・アスィルムラートワと「ジゼル」全幕に主演している。1991年の来日公演での「海賊」アリ役が大きな話題になり、ファンを増やした。その後は「ルジマトフのすべて」「オールスター・バレエ・ガラ」「世界バレエの美神たち」公演、またレニングラード国立バレエに本公演へのゲスト出演などで来日している。

 「白鳥の湖」「眠りの森の美女」「バヤデルカ」「ジゼル」などではノーブルな雰囲気を漂わせ、「ドン.キホーテ」では明るさを、「シェヘラザード」ではエキゾチックな魅力を感じさせる。また「タンゴ」(タグノフ振付)、「バクチ」(ベジャール振付)、「カルメン」「若者と死」(プティ振付)などモダン作品でも個性を発揮。「ニジンスキーの肖像」(98年初演)では伝説の天才ダンサー、ニジンスキーに扮し、2004年に笠井叡振付の「レクイエム」を世界初演、2005年9月には笠井振付 「UZME」でスサノヲ役を演じ、さらにフラメンコ・ダンサーとの共演を果たし、ロシア史に数々の伝説を残した怪僧ラスプーチンを演じ、2007年にはリカルド・ロメロ振付の「ボレロ」、岩田守弘振付の「阿修羅」を初演するなど、独自の新たなジャンルに常に挑戦しつづけてきた。2002年12月には「モーツァルトとサリエリ」のモーツァルト役で演劇デビューを果たしている。高度なテクニックと表現力の豊かさに加えて独特の熱情を持つダンサー。そこにはカリスマ性があり、観客を魅了してやまない。2007年5月にレニングラード国立バレエのバレエ芸術監督に就任し、世界を驚かせた。昔からの伝統を守りながらバレエ団全体の刷新に着手。芸術監督としての手腕も注目されている。


◆振付:岩田守弘
◆音楽:塩入俊哉(音楽監督)

公演概要

『川井郁子&ファルフ・ルジマトフ1st Collaboration COLD SLEEP』

公演日
10/7(木)  19:00開演(18:30開場)
10/8(金)  19:00開演(18:30開場)
10/9(土)  18:00開演(17:30開場)
10/10(日)  14:00開演(13:30開場)
10/11(月・祝)  14:00開演(13:30開場)

会場:新国立劇場 中劇場(東京都)

プレオーダー:4/9(金)10:00〜4/16(金)

一般発売日:4/17(土)










2010-04-09 19:15

 TBS系で放送されたドキュメンタリー番組で大きな反響を呼び、のちに書籍化、2009年には映画化されて多くの人々に感動を与えた『余命1ヶ月の花嫁』。この実話を2010年初夏、なんと舞台化することが決定!
 桜が咲き誇る3月末、赤坂Sacasの野外ステージにて、この舞台の制作発表が行われた。

 赤坂を訪れた一般客も多く入場した会場に、今回の舞台のイメージソングでもある平原綾香の『AVE MARIA〜カッチーニ〜』の切ないメロディーが流れたあと、主演の二人、貫地谷しほりと渡部豪太が登場。ウエディングドレスとタキシードという純白の衣裳を身にまとった初々しい二人の姿に、集まった一般客はもちろん、記者たちからもほうっと溜息がもれる。

思い切り肩ひじを張って、感動をお届けできるようにがんばりたい(貫地谷)
正面から向き合って素晴らしい作品にしたい(渡部)

 乳がんによって24歳という若さでこの世を去った長島千恵さんの役を演じる貫地谷は、まず「今、一生懸命台本を読んでいるところなんですが、まだ第三者として見ているせいか涙が止まらなくて。稽古に入るまでにはもっと千恵さんの気持ちに近づいて表現できればと思っています。舞台は3年ぶりになります。今まで、ドラマの主役をやらせていただくときは「主役といってもひとつのコマなので」と言っていたのですが、今回は肩ひじ張らずに、ではなくて思い切り肩ひじを張って、観客のみなさんに感動をお届けできるようにがんばりたいと思っています」と意気込みを語り、今回は特に思い入れが強い様子。
 さらに千恵さんを支える恋人の赤須太郎さんを演じることになった渡部は「この作品を通して自分に何が残るのかも楽しみです。生きることだったり、愛だったりを、この舞台を通して気づけたらと思います。これから稽古が始まるのがすごく楽しみで、ワクワクしています。題材としては悲しい話かもしれませんが、そこに正面から向き合って素晴らしい作品にしたいと思いますので、みなさんぜひ観に来てください」と、爽やかな笑顔を見せていた。

 続いて、千恵さんの父親である長島貞士さんに扮する天宮良も花嫁の父親風の正装でステージに登場し「このドキュメンタリーや映画などで広く知られている作品に、我々は今回“演劇”という手法で挑んでいくわけですが、そこで千恵さんの伝えたかったメッセージをどうやって表現できるかというのは、とてもいいチャレンジになると思っています。なんとか千恵さんの想いが伝わるように、みんなで力を合わせてがんばりたい。いい意味で期待を裏切れるような、非常に意味のある舞台をつくれるのではと思っています」と力強くコメント。
 さらに、今回の脚本と演出を担当する鈴木勝秀が「この作品を引き受けた理由としては、まずなぜ千恵さんはドキュメンタリーに出ることを選択したのかというところを考えたことが一番大きくて。それはきっと、自分が生きていたことを証明したかったのと、自分のことを長く覚えていてほしいという思いからだったんじゃないかと強く感じたんです。そして、この脚本をぜひ無料で公開するなどして、たとえばリーディングでもいいし、今回の舞台とは違う形でいいので延々と続いていく物語として語っていきたいと思うんです。僕らは100年前、200年前の戯曲や小説を演劇にしてやってきた経緯もありますし、演劇にはそういう力があると思うので。そしていろいろな人の口から千恵さんの言葉が発せられていくことによって、彼女が永遠に生き続ける力にもなると思う。出演者も今回、素晴らしい方ばかりが揃っているので、エネルギーのある舞台がつくれそう。悲しい話だけれど、観終わったとき、生きる力を持てるような作品になると思います」と、熱く作品への思いを語った。

 次いでステージ上ではイメージソング『AVE MARIA〜カッチーニ〜』について平原綾香から「自分が千恵さんだったらどういう気持ちだったろうと思いながら、自分にとっての祈りって?ということを考えながら歌詞にさせていただきました。私にとっての祈りが、たくさんこめられている曲です。今回は舞台ならではの感動もあると思いますので、私も実際に観に行くのを楽しみにしています」とのビデオメッセージが披露され、さらには千恵さんの友人たちが、千恵さんに似ているといって彼女を励ますためにプレゼントしたというキャラクター“さくらパンダ”も登場し、場を和ませた。ちなみに、この“さくらパンダ”は公演中に劇場ロビーのどこかに隠れているかも?とのこと。
 また、最後には貫地谷のブーケトスも行われ、ポーンと勢いよく投げられたブーケは一般客の11歳の女の子が見事にキャッチ!明るい笑い声と拍手とともに会場全体があたたかいムードに包まれたまま、会見は終了した。

 キャスト、スタッフたちの思い入れの強さがひしひしと伝わってくる、“演劇”ならではの力をも感じさせてくれる良質の作品が誕生しそうだ。そして劇場に足を運ぶ際には、どうぞハンカチをお忘れなく!

公演概要

舞台「余命1ヶ月の花嫁」
【東京公演】
公演日:2010/6/15(火)〜6/27(日)
会場:世田谷パブリックシアター (東京都)

【大阪公演】
公演日:2010/7/2(金)〜7/4(日)
会場:イオン化粧品 シアターBRAVA! (大阪府)



【e+MOVIE】舞台「余命1ヶ月の花嫁」CM映像をチェック!

【e+MOVIE】舞台「余命1ヶ月の花嫁」平原綾香のイメージソングで贈るPV映像!

2010-04-09 18:28

 2008年に日本で公開後、翌年には米国のアカデミー賞外国語映画賞に輝き、そのほかにも数々の映画賞を受賞して大きな話題となった映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)。なりゆきで死者を棺に納める“納棺師”という仕事に就くことになった主人公と、その家族や周囲の人々の姿を通して生と死を描いたこの秀作が、2010年春、なんと舞台化されることになった。
 物語は、映画版のエンディングから7年後の世界。主人公と妻の間には無事に息子が生まれ、幸せに暮らしてはいたのだが……。主人公・小林大悟に扮するのは、歌舞伎だけでなく映像に現代劇にと精力的に活動している中村勘太郎。その妻・美香には、2008年『思い出トランプ』で初舞台を踏み舞台女優としての才能も見事に開花させた田中麗奈。さらには真野響子、柄本明といった演技派共演陣が顔を揃える。
 また、舞台の脚本を初めて手がけるという小山薫堂が映画と同じく今回の脚本も手がけるほか、音楽も久石譲が担当。そして、ここ数年は自身のプロデュース公演だけではなく、時代劇にミュージカルにと幅広いジャンルの舞台に引っ張りだこのG2が演出にあたる。
 社会現象ともなったあの大ヒット映画に、果たしてどのような形で新しい息吹が吹きこまれるのか。現代劇としては実に6年ぶりの出演となる中村勘太郎に、作品への思いや意気込みなどを語ってもらった。

「映画版の気持ちというか、魂は引き継いでいきたいと思っています」

――映画版はご覧になっていたんですか?

 もちろん!公開中に観にいきまして、凄い映画だなあ〜と思っていましたね。ただ単に感動させるというだけではなく、本当にいろいろな想いが込められている作品で。納棺師という職業のことも、そのときに初めて知りました。生と死というものをいろんな形で表現している作品で、とてもおもしろかったです。

――でも、まさかそのときは、舞台版でご自分が演じることになるとは?

 ええ、夢にも思っていませんでしたよ!(笑)

――では、この舞台化のオファーを聞かれたときは、どう思われましたか。

 いやー、映画の舞台版って難しいじゃないですか!(笑) ましてや、あんなにヒットした映画ですからね。どうなのかなあ?と最初は思ったんですけれども。でも、この舞台版は物語が7年後の世界になる完全オリジナルだというので、それだったら!と思いまして(笑)。だって、あの作品をあのまんま舞台化するというのは、相当難しいことだろうと思うんですよ。

――確かに7年後ということであれば、また全然違う切り口になりそうですね。

 そうですよね。映画の終わりの方で、主人公の奥さんが身ごもってらっしゃった子供が、7年後の世界では生まれていて、小学生になっているくらいですから。あの夫婦も父親になり、母親になっていて、また違う形で親子の絆が描かれるのではないでしょうか。主人公は今回、子供に自分の職業が納棺師というのを言い出せないわけなんですが。

――映画版では、奥さんになかなか言い出せなかったように。

 そうそう(笑)。で、そのことをめぐって周囲がどう変わっていくかというような作品になるんじゃないかと思いますね。

――映画では本木雅弘さんがやられた納棺師の役を演じるということに関しては、いかがですか。

 この作品は、そもそも本木さんが15年間もあたためていたという大切なものじゃないですか。ですから、その気持ちというか、魂は引き継いでいきたいなということはすごく思いますね。題材は死という重いものにはなりますけれど、映画を観たときに僕はとてもあたたかいものを感じたんです。なので、舞台版も同じようにあたたかいものに見えたらいいなというのはありますね。

――舞台版を演出されるのはG2さんです。G2さんとお仕事をされるのは。

 はい、初めてなんですよ。だけど、叔父(中村橋之助)が『魔界転生』(2006年)と『憑神』(2007年)で二度ほどお世話になったので、よく芝居を観に来てくださるんです。なので、歌舞伎座の楽屋とかで、ちょこちょことはお会いしていたんですね。だけど、おそらく物語的には派手なものではないですし、まだ現時点では具体的なプランはお聞きしていないので、どう演出されるのかは想像もつかないですねえ!(笑) 今はとにかく、稽古に入るのが楽しみです。

――田中麗奈さんと夫婦役で共演することに関してはいかがですか。

 歌舞伎のときにも夫婦役を演じることはよくあるんですけど、なにしろ相手は男ですから、そこはかなり大きな違いがあります(笑)。でも本当に、田中さんも最近いろいろなことをやられていらっしゃるので、ずっと発信し続けている方なんだなーと思いましたね。

――真野響子さん、柄本明さんと共演することについてはいかがでしょう。

 お二方とも、とても素敵な役者さんですよね。真野さんはもちろん存じ上げてはいるんですけど、本当に初めてお会いする感じなのでやはり楽しみですし。柄本さんとは『ご存じ浅草パラダイス』(2000年)という、父(中村勘三郎)と藤山直美さんとでやられている舞台に僕も一度出させていただいているので、そのときにご一緒させていただきました。それに、実はふだんでもよくお会いしているので、柄本さんがいてくださることは心強いです。柄本さんって、やっぱりカッコイイですし、で、怖いですしね(笑)。本当に尊敬する人でもありますから、今回共演できるのはとてもうれしいです。

「舞台版も、映画と同様に心があたたまる作品になるはずです!」

――今回は、映画版を観たお客さまも大勢いらっしゃる気もしますが。

 そうですよね。だけどもちろん観ていない方でも、オリジナルの脚本なので充分に楽しんでいただけると思います。でもまあ、あの映画を観ていない方はあまりいないんじゃないですかね(笑)。映画を観終わった後ってやっぱり、この夫婦はこの先どうなっていくんだろう?とか、想像するじゃないですか。今回の舞台は、その姿が確かめられる続編になるわけですし。また、それをいい意味で、裏切ってみたいとも思いますけどね。

――映画と同じく脚本は小山薫堂さんですし、音楽は久石譲さんなので。

 ええ、すぐに『おくりびと』の世界に入り込んでいただけるんじゃないかと思います。それと僕、映画を観に行ったときにも思ったんですけど、お年寄りから若い人たちから、すごく幅広い年齢層の方が観ていらっしゃって。だから舞台版のほうも、同じように幅広い年齢層の方に観ていただけるような作品になるんじゃないかなとも思いますね。

――そして今日は勘太郎さん、チェロをお持ちのようなので、それもとても気になるんですが……。

 はい。でも実はあれ、カバンなんですよ(笑)。……というのはもちろん冗談で、今、実は練習中なんです。

――ということは、舞台上で披露されるかもしれないんですか?

 うーん、どうですかね? まあ、納棺師ではありますけど、でも元チェロ奏者の役なので……。

――そういうシーンがあるかも?

 ハハハ、どうでしょう? とりあえず、あったら困るんで稽古しているという感じです。たぶん、今後の稽古次第、その出来次第ということになるんじゃないでしょうか(笑)。

――まだやりはじめたばかりなんですね。手ごたえはいかがですか?

 それが……ダメですね(笑)。洋楽器はまったくやったことがないんです。ギターすら弾いたことがないですから。

――お稽古で三味線とかはやられていても。

 いやいや、だって全然違いますから! 糸の太さも本数も弾き方もまったく違うし(笑)。

――それはそうですね(笑)。では、相当苦労されている。

 はい、しております。本当に大変です(笑)。だけど、こうやっておかげさまでいろいろなことをやらせていただけるのは楽しいことでもあるので。だってなかなか、普通はできないことばかりじゃないですか。

――そういう意味では、納棺の儀式の稽古というのもしなければいけないですね。あの所作も、美しく見せるようにやるのが難しそうだなと思ったんですが。

 既に納棺協会の方にお話を伺いました。ただ、形よりも気持ちだと思います。もちろん形も美しくなければいけないんですけれども、そこに気持ちがなかったらただの形なので。その点は歌舞伎と同じです。

――そうですね。舞踊をやられるときと、似た感じなのかなとも思いました。

 うんうん。やはりどんなときも、ここ(胸を指す)ありきです。

――では、最後にお客様にメッセージをお願いします。

 やはり、とにかくいろんな方に観ていただきたいなというのはあります。映画を観た方、特に登場人物のそののちの物語が気になる方にはぜひ来ていただきたい! また、舞台を観てから映画を観直しても、たぶん感じ方が違ってくるような気もするんですよね。もちろんこの舞台版も映画と同様に心があたたまる作品になるはずですので、みなさんどうぞ劇場にお越しください!

(取材・文/田中里津子)
(写真/渡辺マコト)

公演概要

【東京公演】
公演日:5/29(土)〜6/6(日)
会場:赤坂ACTシアター

【大阪公演】
公演日:6/9(水)〜6/13(日)
会場:イオン化粧品 シアターBRAVA!

【愛知公演】
公演日:6/16(水)〜10/6/24(木)
会場:御園座


【e+MOVIE】 舞台「おくりびと」 スポット映像が到着!
【e+MOVIE】 中村勘太郎&田中麗奈 舞台「おくりびと」新CM映像到着!

2010-04-07 17:30

「プロペラ犬」がホーム(劇場)を飛び出し、アウェー(赤坂BLITZ)に舞い立つ! ロックから程遠い面々が(※一部出演者を激しく除く)、筋肉少女帯の音魂と共に、ライブハウスを舞台に繰り広げる、あまりに無謀なロックン演劇「アウェーインザライフ」。
2月25日、都内で行われた制作発表では、主演の水野美紀をはじめ共演の、村上知子・ソニン・小林顕作・伊藤明賢・市川しんぺー・木野花、脚本の楠野一郎、演出の河原雅彦、そして筋肉少女帯の大槻ケンヂが登壇した。

出演者・スタッフからのコメント

■水野美紀(主演/プロペラ犬共同主宰)
赤坂BLITZというライブハウスで演劇をやること自体がそもそもアウェー。
芝居もやって音楽もやる、ミュージカルとも違う前例のない無謀な企画ですが、後にも先にもない企画なので、吉と出るように全力を尽くします。
是非、BLITZに目撃しに来てください!!

■村上知子(森三中)
人生の中で、ロック的な事をして来なかったので、この機会に“ロックな村上”が出せればと思います。実は、吉本興業以外の舞台は初めてなので、緊張していますが、チカラのある役者さんたちの中で、面白い事が出来るのは本当にありがたいので、皆様の胸をかりるつもりで頑張りたいです。

■ソニン
私自身、常にアウェー感を感じていますが、逆を言うといつもHOMEを探しているんだと思います。ぶっ飛んだ作品に仲間入りする事を夢みていたので、この作品に参加できることは本当に嬉しい!この作品で、自分自身が生まれ変われるかもしれないと思っているので、お客様にも新しい感情が生まれればと思って演じます。

■小林顕作
舞台だけやっているので、稽古場をどう楽しく過ごすかにかけてます!
稽古が終わった後の飲み屋の手配は素早くやろうと思ってます!(笑)

■伊藤明賢
素晴らしいメンツに囲まれて光栄です。稽古場がぶっとんだ感じになりそうで、
今から不安です・・・。(笑)

■市川しんぺー
ロックな人生を歩んでこなかったので、アウェー感はすでに満載だと思います。
その感じを埋めない方がいいのかなと・・・。

■木野花
自称17才で60才の役なんて・・・。非常に難しい役柄で、今までにない意気込みです。バンドは好きだけど、何も楽器のできない私がバンドを組めるのはとっても楽しみなので、命がけで取り組みます。期待してください!

■楠野一郎(脚本/プロペラ犬共同主宰)
ニッポン放送の「オールナイトニッポン」の構成をやらせていただいて大槻さんと知り合って、その縁で水野とも出会いました。筋肉少女帯の音楽が大好きで、いつか一緒に何かを出来たらいいなと思っていました。素晴らしい出演者の方々と演出家の力をかりて、できる限りのことをしたいです。
最新情報はブログを見てください!(http://www.engekirock.com/blog/
ツイッターもはじめました(kusunopropeller

■大槻ケンヂ(筋肉少女帯)
筋少を休止している間に、世間では大きなロックフェスをやるようになっていて、復活したら自分たちも出ることに…。
若いバンドばかりで、モーレツな アウェー感 を感じましたが、オーディエンスからすると目新しいという事。アウェーは “ウィークポイント”ではなく、アウェーだからこそ目立てるチャンスでもある。そんなことを 舞台にぶつけたらどうかね!と、脚本の楠野さんに伝えたんです。自分たちの楽曲がどう演劇に取り入れられていくのか、今からワクワクして楽しみです。

■河原雅彦(演出)
責任は全部自分が取ります!
うまくいったら「プロペラ犬」と「筋少」の手柄。
ダメだったら自分が悪い・・・。
本当に大胆な企画、無謀と言えば無謀。
でも、水野美紀さんの生き様に、もの凄く惹かれてしまう。
筋少のニューアルバム(6/2発売)にも貢献できればと思います。

公演概要

エンゲキロック in 赤坂BLITZ・プロペラ犬×筋肉少女帯「アウェーインザライフ」

【東京公演】
日程:2010/6/4(金)〜6/18(金)
会場:赤坂BLITZ(東京都)

【大阪公演
日程:2010/6/23(水)〜6/25(金)
会場:サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2010-04-07 17:07

嵐の相葉雅紀主演の舞台『君と見る千の夢』の製作発表会見が都内にて行われた。

本作は『燕のいる駅』『忘れられない人』『グリーンフィンガーズ』に続き、相葉主演舞台4度目の演出となる宮田慶子からの「相葉さんに純粋なラブストーリーを」という要望を受け、『ナースのお仕事』シリーズや『陰日向に咲く』『ロミオとジュリエット』など、数々の作品を手がける脚本家・金子ありさが書き下ろした作品。


<あらすじ>
交通事故で昏睡状態となり、自分の身体を抜け出した池辺春也(相葉雅紀)は事故の原因を探るべく、今までの人生を振り返る。恋人・美智子(上原美佐)との出会い、諦めた夢、家族や友人との日々、周囲の人間との絆……
そしてたどり着いた事故の真相とは?

会見には相葉雅紀、上原美佐、春也の父親役の田山涼成、春也が運ばれた病院の看護士長役の藤田朋子、院長役の相島一之の出演者陣に加え、演出の宮田慶子、脚本の金子ありさが登壇した。

来ていただく皆さんに何か感じてもらえる舞台にしようと頑張ってます。相葉
綺麗なラブストーリーにうっとりします。涙します。宮田

相葉は最初に脚本を読んだ印象について「台詞の量が多くて半分くらい読んだ後に最初に戻っちゃったんですけど」と彼らしいコメントをしながらも、「幽体離脱したところから始まるので現実からかけ離れたお話かと思いましたが、キャラクターにリアリティがあって。笑える所もあって、春也くんがいろんな顔をする作品だなと思いました。」と語った。4度目のタッグとなる演出の宮田については「いつもアドバイスをたくさん貰って、色々な部分を引き出してもらっていると思います。」と語り、「来ていただく皆さんに何か感じてもらえる舞台にしようと頑張ってます」と意気込んだ。

それに対し、宮田慶子は「(相葉くんの)俳優として信頼できるところは、誠実さ・ナイーブさ・並外れた集中力だと思います。それは(初めて仕事をした)5年前から変わりません。昨年の嵐の大活躍で大変な1年を乗り切って『よし、いい男になってきたぞ!』と母のような心境でいます。『今現在の(相葉くんの)等身大で、色々な面を投入できる作品、また貪欲な相葉雅紀の次へのステップになるような作品にしたい』と、金子さんに書いていただいて脚本が仕上がりました。いい作品になると思います。」「本当に綺麗なラブストーリーにうっとりします。涙します。人を愛することの素敵さと大切に紡いでいかなきゃいけないものだという事に気づかされる作品です。」と早くも作品の仕上がりへの手ごたえを感じているようだった。

また相葉から「宮田さんだけでなく、たくさん先輩方も共演してくださるので、先輩からも色々とアドバイスをいただいて、楽しい現場になりそうです。」との言葉もある中、相島から「藤田さんから相葉くんに、初日から"渡鬼"仕込みのダメ出しがあって素敵な現場だと思いました(笑)」というエピソードが暴露されたり、田山からは「(相葉くんと)親子役という事で『ここから相葉くんが出てくるかしら?』とリアリティの心配をしましたが、稽古場で一緒に過ごしていて段々『あれ?相葉くんに似てきたかも』と自信がついて参りました」と笑いを誘う(?)場面もありながら、田山から「嵐の一員だということを忘れるくらい『演劇人・相葉雅紀』の一面を見て感動しました。」とのコメントが出るなど、舞台初挑戦となる上原美佐も含め、すでに稽古に入っているというカンパニーの雰囲気の良さが感じられる終始笑顔の溢れる会見となった。

昨年、グループとしての活躍はもちろん、舞台のみならず初の連続ドラマ主演と俳優としてのキャリアも重ねてきた相葉雅紀。これまでもテレビで見せる天真爛漫なキャラクター以外の部分を引き出してきた宮田慶子の手によって、今回はどんな新たな魅力を見せるのか。

公演概要

『君と見る千の夢』
公演日:2010/5/2(日)〜5/24(月)
会場:東京グローブ座(東京都)
一般発売日:4/4(日)


2010-03-31 16:21

3/5(金)、翌日に公演初日を控えた舞台「変身」の囲み取材(登壇者:森山未來、穂のか、永島敏行)と、 脚本・演出・美術・音楽のスティーブン・バーコフの合同取材が行われた。




【スティーブン・バーコフ】
イスラエル、ドイツ、英国など、色々な国で演出してきましたが、日本の俳優は感応性も 学習意欲も高く、とても楽しかったです。演劇はとても普遍的なものだし、芸術は人間の 類似性を引き出してコミュニケーションを円滑にできる、と思うので、もっと盛んになったらいい と思います。

【森山未來】
(演出の)バーコフさんやカフカの世界を自分なりに解釈し、理解するのに頭と体を使って 必死でした。“虫”になりますが、“虫”という表現はデフォルメだと思うので、様々に解釈でき る作品だと思います。

【穂のか】
初舞台で、右も左も、どこがわからないのかもわからない、というところから始まりましたが、み なさん優しく教えてくださいました。稽古場では、毎日勉強の日々で、贅沢すぎる初舞台 です。色々な方に、ハチャメチャに頑張っている姿を観に来ていただきたいです。

【永島敏行】
「変身」は凄まじいファミリードラマ、と見ることもできると思います。現代の親子関係にも通 じる、普遍的なことが描かれていて、それを見据えていたカフカはすごい、と思います。異空 間に入れる舞台です。是非、観にいらしてください。





公演名
「変身」
フランツ・カフカ
脚本・演出・美術・音楽
スティーブン・バーコフ
出演
森山未來 穂のか 福井貴一 丸尾丸一郎(劇団鹿殺し) 久世星佳/永島敏行
公演日程
2010年3月6日(土)〜22日(月・祝)
会 場
ル テアトル銀座 by PARCO
お問合せ
パルコ劇場 03-3477-5858 www.parco-play.com
■岡山公演■
公演日程 3月31日(水) / 会場 岡山市民会館
■大阪公演■
公演日程 4月2日(金)〜4日(日) / 会場 サンケイホールブリーゼ
■福岡公演■
公演日程 4月6日(火) / 会場 福岡市民会館
■富山公演■
公演日程 4月11日(日) / 会場 富山オーバード・ホール
■新潟公演■
公演日程 4月13日(火) / 会場 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場



2010-03-17 13:40

  2008年最優秀作品賞を含むトニー賞4部門、2009年グラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞!ブロードウェイの若き才能、リン-マニュエル・ミランダが学生時代に書き上げ、オフからオンへ上り詰めた超話題作、 待望の初来日!
 サルサ、メレンゲ、ヒップホップなどのラテンのリズムにパワフルなダンスで ニューヨークの中南米系移民3世代が、絆を深めながら逞しく生き抜く姿を描く。こんなミュージカルは今までになかった!
 涙あり笑いあり、忘れかけている家族や仲間への想いやり。夢見る日本人に贈るラテン生まれニューヨーク発、インザハイツ!この夏絶対見逃せない!

【e+MOVIE】満天のラテン!「イン・ザ・ハイツ」PV映像到着!

ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』とは

 イン・ザ・ハイツが全く新しい21世紀のミュージカルと評される理由は物語の題材を通常描かれる白人社会ではなく、マイノリティがたくましく生きる姿をラテンのリズムに乗せて歌いあげている事に尽きる。
 劇中のウスナビのセリフはラップ調であり、セリフの中にもふんだんにスペイン語が織り交ぜられている。このブロードウェイの常識を覆すほどの衝撃作品は、自身もニューヨークで生まれ育ったプエルトリコ系移民であるリン-マニュエル・ミランダが全ての楽曲を手がけ、トニー賞楽曲賞を受賞。オリジナルブロードウェイキャストとして主役も務めた。幕が開けた1曲目の冒頭にラップを歌うブロードウェイミュージカルが今までにあっただろうか?
 キャストの歌唱力やダンスは紛れもなく衝撃的で新しいが、圧巻はアンサンブルの見事なまでに作り込まれたダンスだ。舞台中を所狭しと動き回り、そのフォーメーションに彩られたダンスは息つく暇もないほどにエキサイティング。まるでロックコンサートのようなポップな照明がダンスを引き立たせる。コンテンポラリーの要素がありながらも、ブレイクダンスやサルサなどの動きを取り入れている凄まじいまでのこの振付はアンディー・ブランケンビューラーの手によるものであり、彼が2008年トニー賞最優秀振付賞を受賞したことに疑問を持つ観客はいないだろう。
 そのような斬新でポップなイメージとは裏腹に、このミュージカルが伝えているメッセージには心くすぐる温かさがある。このギャップがまさしくラテンだ!家族、友人、そして自分が住んでいる地域社会への純粋なまでの思いやりを隠すことなく全面に押し出している。鬱陶しいまでに温かい。
 涙あり、笑いあり、衝撃あり、感動あり。それが、、、イン・ザ・ハイツ!

イン・ザ・ハイツの誕生

 イン・ザ・ハイツの誕生は、この作品の原案を作ったリン-マニュエル・ミランダが大学2年の時(1999年)に遡る。この大学時代に上演された作品は、劇場の売り上げ記録を塗り替えた。卒業後、ニューヨークのホームに戻り、ミランダは演出家トーマス・カイルと、作品を更に大規模な劇場向けの為の作品にすべく、 推敲を重ねる。これがレント、アベニューQ、ドロウジー・シャペロンといったヒット作を次々飛ばすプロデューサー陣(Jill Furman, Kevin McCollum, Jeffrey Seller)の目にとまる。さらなるワークショップやコラボレートを重ね、ついに、オフ・ブロードウェイの37アーツシアターという新たな“ホーム”を見つける。作品の原案が生まれてから7年が経っていた。このオフ・ブロードウェイ公演中に、作品はすぐに観客や批評家達を虜にした。その反響は予測不可能なもので、コンサバなシアターゴーアーから、若い観客層まで幅広く、結果数々の演劇賞を受賞。200回公演の後、2007年7月15日に一度幕を閉じ、ブロードウェイ上演に向けた準備に入った。その後、2008年2月14日にリチャード・ロジャース劇場でプレビューが始まり、3月9日に初日を迎え、2008年6月トニー賞受賞、同年11月にユニバーサル・ピクチャーズが映画化の権利を取得、そして2009年のグラミー賞受賞と快進撃を続けている。
プエルトリコの旗を掲げ、受賞スピーチをラップでする姿は、ブロードウェイに新風を巻き起こし、新しいブロードウェイスターの存在を人々の目に焼き付けた。

ストーリー

 マンハッタンの最北端に位置する中南米系移民が多く住むワシントン・ハイツ。7月4日の独立記念日直前の暑い夏の朝。いつの日か自分のルーツであるプエルトリコを訪れるのを夢見ているウスナビが経営する街角の食料雑貨店に、ハイツの住人、みんなの母親的存在として愛されるアブエラがいつものように宝くじを買いに来る。アブエラのお隣はカミラとケビンが営む小さなタクシー会社だ。移民2世として苦労しながらも育てあげた自慢の1人娘、ニーナはカリフォルニアの名門大学に進学し、夏休みでハイツに帰省する。物語はここから始まる。。。

 ウスナビは隣の美容室で働く幼なじみのヴァネッサに首ったけだ。デートに誘おうと試みるのだが言葉に出来ない毎日。そんなある日、帰省したニーナが告白する。学費を払う為のアルバイトと勉学を両立する事が出来ず大学をドロップアウトしたというのだ。ケビンは家業のタクシー会社を売って学費に充てると言い出す。従業員のベニーはニーナに想いを寄せているのだが、それを察知したケビンはベニーがアフリカ系移民であることを理由に冷たく突き放す。親友のヴァネッサも母親の浪費で家の電気代さえ払えない始末。勤務する美容室も家賃の高騰でブロンクスに移るという。そんなおり、アブエラは購入した宝くじが当選している事を告白する。
その額ナント $96,000!ハイツの住民は大喜びするのだが、喜びもつかの間、その晩突然アブエラは眠るように人生の幕を閉じる。
 心の故郷、アブエラを失ったハイツの住人はこのままバラバラになってしまうのか?宝くじと共に残されたウスナビ達へのアブエラの密かな想いとはいったい何だったのか?ウスナビ達の恋の行方、そして、住人達が考えた$96,000の使い道とは?
 独立記念日の花火がまもなく打ち上がる。。。

PRESS REVIEWS

The New York Times ニューヨークタイムズ紙
まれに見る新しいセンセーション!夢を追うこと、本当の故郷をさがすミュージカル

Radar レイダー
近年で最もホットで知識のあるブロードウェイプロダクションだ

The New York Times Magazine ニューヨークタイムズマガジン
家族の絆と故郷の大切さを教えてくれる

Time タイムマガジン
ブロードウェイの変革を示す作品。コンテンポラリーだが暖かくて心からの希望に満ちている

The Washington Postワシントンポスト紙
純粋なブロードウェイ。古き良き、無邪気な喜びに満ちた夜だ

Associated Press AP通信
辿り着くに値する目的地。生き生きとした活気を通して伝わるスパイスの効いた喜びに満ち、じれったいまでの雰囲気に、セクシーで腰を回したくなるような振付。

公演概要

ブロードウェイミュージカル
『イン・ザ・ハイツ』

公演日:2010/8/20(金)〜9/5(日)
会場:東京国際フォーラム ホールC (東京都)



【e+MOVIE】満天のラテン!「イン・ザ・ハイツ」PV映像到着!
2010-03-09 16:05

オペラやバレエに興味はあるけど、何を観るのがいいかわからない。そんな方にお勧めするのが、新国立劇場のシーズン・セット券です。
世界最高水準の舞台を一般発売にさきがけ優先的に、しかも、お得な料金で、多岐にわたるセットのなかからライフスタイルにあわせて選べるのが魅力です。

>>オペラ公演セット券はこちら

新国立劇場は、海外の第一線で活躍する歌手やダンサー、スタッフが集結し、世界水準の舞台を提供し続けている、日本が世界に誇るオペラハウス。豊富で多彩な演目も魅力で、2010-11シーズンには、バレエ6演目・35公演が予定されています。

ビントレーの「ペンギンカフェ」

バレエを楽しむすべての要素がそろった、豪華なトリプル・ビル。『ペンギン・カフェ』は、80年代一世を風靡したペンギン・カフェ・オーケストラに触発されて創られたとってもおしゃれな作品。ウェイター姿のペンギン、舞踏会のドレスに身を包んだ羊など次々に踊りを披露します。でもこの陽気なダンス(ボールルームダンスやスコティッシュダンスなど!)を披露している動物は実は絶滅あるいは絶滅危惧種ばかりなのです。楽しいなかにも、ちくりと現代を風刺する珠玉の傑作バレエです。視覚の美しさを追求したバランシン振付『シンフォニー・イン・C』、ロシアのダイナミズムの溢れるフォーキン振付『火の鳥』などバレエ・ファン垂涎の公演となること間違いなしです。

アシュトンの「シンデレラ」

今年はちょっと早いクリスマスを『シンデレラ』でお楽しみください。かわいそうなシンデレラのもとに仙女が訪れ、魔法によって美しいドレス姿となったシンデレラは舞踏会で王子と恋に落ちる…。皆さん良くご存じの、誰もが憧れるようなおとぎ話がそのままバレエとなりました。自身も秀逸なキャラクターダンサーだった振付家アシュトンの傑作で、その小気味よい振付は、豪華な舞台美術、そしてプロコフィエフの魅惑的な音楽とブレンドされ夢のひとときを醸成します。見すぼらしい姿のシンデレラが一瞬のうちに豪華なドレス姿へと替わるシーン、シンデレラと王子の夢のようなパ・ド・ドゥ、意地悪な義理の姉たちのユーモラスな踊りなどバレエが初めてというお客様にも十分お楽しみいただける多彩な魅力が満載です。

牧阿佐美版「ラ・バヤデール」

プティパの大スペクタクルバレエを牧阿佐美が改訂した作品。次期芸術監督のビントレーが、世界で一番素晴らしい『ラ・バヤデール』と絶賛する舞台が再び新国立劇場に登場します。オリエンタルな雰囲気にあふれた壮麗な舞台で繰り広げられるのは、インドの寺院に仕える舞姫ニキヤをめぐる愛憎に満ちた物語―― 戦士ソロルの舞姫ニキヤへの裏切り、大僧正の横恋慕、女同士の争い、そして罠…。全身を金色に塗った神像の踊りや、神殿が崩れていく場面など見どころの多い作品ですが、中でもつづら折りにスロープとなった舞台を一人ずつアラベスクを繰り返しながら降りてくるシーンは圧巻。この豪華な舞台は世界中で新国立劇場だけです。圧倒的なスケールと詩情あふれる名作を心ゆくまでお楽しみください。

ビントレー監督が贈る「ダイナミック・ダンス!」

若き振付家としてアメリカに滞在したことのあるビントレーが、アメリカの持つダイナミックな魅力にあふれた3作品をセレクトした必見の舞台。アメリカで活躍した巨匠バランシン振付の宝石のような作品『コンチェルト・バロッコ』、本格ジャズカルテットの生演奏で贈るビントレー振付『テイク・ファイヴ』、そして、掉尾を飾るアメリカ人振付家サープの『イン・ジ・アッパールーム』はスタンディング・オベーションが毎回巻き起こるという超人気作品。音楽にフィリップ・グラス、衣裳デザインにノーマ・カマリを起用するという贅沢な布陣にも注目です。クラシカルバレエとサープ特有の現代的な振付が融合したサープの最高傑作とも言われている作品、ぜひお見逃しなく!

ビントレーの「アラジン」

2008年11月にここ新国立劇場で次期芸術監督ビントレーにより世界初演され、大成功をおさめた舞台です。そのスケールの大きさ、ストーリーの面白さ、踊りの多様さで子どもから大人まで楽しめる、芸術とエンターテインメントが見事に融合した作品として話題になりました。宙に舞う空飛ぶじゅうたん、宝石が踊りだす洞窟、神出鬼没のランプの精ジーンなど、楽しい場面が目白押しです。バレエで物語を紡いでいくことにかけてビントレーは今世紀随一と言っても過言ではなく、その手腕がいかんなく発揮されたこの『アラジン』は、お客様を一瞬のうちにアラビアンナイトの世界へとお連れすることでしょう。

マクミランの「ロメオとジュリエット」

シェイクスピアの最も有名な同名悲劇を20世紀英国を代表する振付家、マクミランがバレエ化した作品です。人間の内面を描くことに長けたマクミランの傑作の一つで、若さゆえの破滅をも恐れない一途な愛を見事に描ききっており、観るものを感動させずにはいられません。新国立劇場でも2004年の上演から7年ぶり、待望の再演となります。バレエ初心者にも、バレエ通にも胸をしぼるような感動をお約束します。

初日限定のシーズン通し券

バレエ公演のシーズン通し券「プルミエ」では、各公演を初日限定でお楽しみいただくことができます。
ファーストキャストで楽しむ初日の贅沢。幕あけの感動をご堪能ください!
※中劇場公演『ダイナミック ダンス!』はお好きな公演日が選択できます。


>>オペラ公演セット券はこちら
2010-03-04 18:47

旗揚げ25周年という節目となった昨年、『無駄な力』と題した全体公演を派手にブチあげ、全国的に大好評だったWAHAHA本舗。彼らが今年も“力(POWER)シリーズ”第二弾として、またまたにぎやかなお祭り騒ぎを企んでいる。そのタイトルからして「バカの力(チカラ)」!
 アイデア満載の群舞などのダンスネタから、舞台でなければ見られないお下劣なネタまで、ワハハならではの笑いがてんこもりのステージが期待できそう。そこで、演出を担当する主宰の喰始と、メンバーの久本雅美、佐藤正宏、梅垣義明を直撃!今回はどんなステージになりそうなのか、探ってみた。

「前回の舞台で、もっとヘンなことや新しいことをやれる手ごたえがあった」(喰)
「過激すぎて苦情も来るけど、その一方で感動も与えられるんだよね」(佐藤)

――前回公演『無駄な力』を振り返ってみて、特に印象深かったことは?

佐藤 印象深いということでは、きっと久本が一番だよね。

久本 そうそう、訴えられた、というか苦情が来ちゃったんですよ(笑)。

 匿名メールで「某有名女優が卑猥な言葉を舞台で連発している。子供に悪影響なのではないか」ってね。

久本 だけどね、そのあとに来た子供からのファンレターには「観に行ってよかった。私、実は落ち込んでたんだけど、まちゃみは訴えられてもがんばってる。私も負けません」って書いてあったんですよ。

佐藤 へえ! 何年生?

久本 まだ小学生だったかな。おかあさんからも「ありがとうございました、おかげで元気になりました」と。

梅垣 逆に、そういう子供もいるというのも事実なんですよね。

久本 そうなのよ。

佐藤 過激すぎて苦情もあるけど、その一方で感動も与えられるというね(笑)。

 きっと、影響力が強くなってきたってことですよ。だから、それもいいことなんです。昔、小劇場で公演をやっていたころはもっと過激なことをしてたのに、たいして話題にされてなかったんだから。

佐藤 そうだよねえ。だけど実はね、前回は俺の子供の小学校の校長先生や担任の先生も観に来てくれたんです。帰りに楽屋にも寄ってくれて「おまえの娘はもう退学だ」とか「よくて転校だ」なんて言ってましたけど、大丈夫でした(笑)。校長先生ですら、非常に喜ばれてましたよ。

久本 私の友達も「キレイだった」って言ってくれてた。オープニングのダンスとか、男性陣がドラッグクイーンに扮して踊るところとか。

佐藤 それは、俺たちの女装のビジュアルがキレイだったってこと?

久本 なんかね、キラキラ輝いてたって。

佐藤 つまり、衣裳がってこと?(笑)

久本 衣裳も照明も全部含めて、とにかく豪華さがあってキレイだったって。でもそれってすごくいいことだと思うんですよ。ひとつの絵になってるってことだから。

梅垣 俺の友達は「金平糖みたいだった」って言ってましたよ。これもなんかいい表現だなと思うけど。

佐藤 おいしそうだなってこと?(笑)

久本 どうせなら、宝石みたいだとか言ってほしいのに。それを金平糖て(笑)。

 知り合いのディレクター、演出家も観に来てくれたんだけど、その人も最初の10分間のダンスがすごいと言ってくれたよ。要するに、端の端まできちんと踊ってるから。なかなか他のところでは観られないくらい、素晴らしかったって。

久本 うれしいね。本当に、端の端までみんな一生懸命やってたもん。でもやっぱり、そうやって全体の力がひとつになってるところを観てもらえるのがいいですよね。個々のシーンもあるけど、全体としてワハハがおもしろかったー!って言ってもらえることが一番うれしい。

――ネタ的に群舞も多いですもんね。

久本 そうなんです。

 以前の“踊るショービジネス”のシリーズのときには実を言うと、リメイクものが3分の1くらいあったんですよ。だけど前回の「無駄な力」ではほとんど新作だった。実際、リメイクものって過去にウケたってことがあるから、演出としては結構安心してやれるわけ。だけど初めてのネタだと、どっちだろう?って不安感があったんだけど。まあ、それなりにみんなウケてくれて。あ、これならもっともっと、ヘンなことや新しいことをやれるなっていう、手ごたえがすごくありましたね。

――では今回も新作中心で?

 オール新作です。

――大変ですね(笑)。

久本 オソロシイですよ! もう、全部新作だなんて、私たちは正直コワイです(笑)。

「半世紀生きてきたなかで今回は最高級、最低級のバカになります!」(久本) 「単に観に来るというより、参加するような気持ちで来てほしい」(梅垣)

――今度はどんな舞台になるか、ちょっとネタを予想するとどんなものがありますか?

 やりたいと思っているのはね、“相撲ダンス”。

久本 みんなで、関取のカッコするの?

 うん。まわしをちょっとマンガっぽく分厚くして。

佐藤 肉襦袢は?

 つけないほうがいいと思ってるんだけど。

梅垣 裸のほうがいい、と。

 客席から順番に「東方〜」って呼ばれてぞろぞろ登場するの。「佐藤正宏〜山形出身〜」とか。横綱は久本と柴田でね。

久本 アハハ、なんかうれしいねえ。

佐藤 じゃ、女性陣の衣裳はどうします?

 そこはもちろん、裸タイツでしょ。

久本 もうね、私はなんだってやっちゃいますよ〜(笑)。

佐藤 もう、50歳過ぎたからねえ(笑)。

 客席には、うすっぺらい座布団を事前にひいておいて、ラストでお客さんにうわーって投げてもらう。

久本 いいねえ、それ!

梅垣 やるほうは、絶対楽しいと思うな。

佐藤 アナウンスで「座布団を絶対、ぜーったい投げないでくださーい!」って、わざと言うのもいいね。

久本 喰さんの選曲はセンスいいから、どんな曲で踊るのか、すごい楽しみ! こういうネタだって、美しく仕上げちゃいますから、うちの喰は! ファンタジーの世界に、ちゃんと持っていきますからね〜!

――あと、前回の『無駄な力』の時に“座長引退宣言”が出たそうですが、あれはどういういきさつで?

 あれはね。僕が座長引退させたかったの、ホントのこと言うと。佐藤くんって本当におもしろいのが、実は舞台よりも稽古場なんですよ。

佐藤 え? この25年間ずっとそうだったってこと?

一同 (笑)

 稽古のとき、無駄でバカなアイデアや思いつきをバンバン言ってくるのがすごいおもしろいんだよ。それはワハハを作った当初からそうだった。だけど座長という立ち位置にいると、どこかちょっと立派なふるまいをしなきゃいけないという責任みたいなものがどうしても生まれるじゃないですか。だからもっとラクな立場にして、ノーテンキにしていたほうがいいだろうと思ったわけ。

久本 喰さんって、優しいねえ。

 あともうひとつは、新しい座長は誰になるかわからないけど、そういう部分で動きがあったらまたおもしろいかなと思ったの。それで今回の『バカの力』で、お客さんに新座長を決める投票をしてもらうんです。各劇場ごとにそれをやって、最終的にはそれを集計して決める。だから今年の座長はまだ決まってないわけ。今は空白なの。

梅垣 なるほど。

佐藤 じゃ、来年は襲名公演とかやるつもり?(笑)

久本 ハハハ。決めるのはお客さんだから、誰がなるのか本当にわからないね。

 だけど、たとえば久本や柴田や梅ちゃんが候補になると人気投票になっちゃうから。そこは応援、後援にまわってもらって。

久本 なるほど、了解です、わかりました。そうだよね、梅垣とかが候補になったらみんなわざと投票しそうだもん。それでもし本当に梅垣が座長になっちゃったら正直、私はワハハ辞めるよ!(笑)

一同 (笑)

佐藤 となると、立候補の権利は?

 まだ決めてないけど、なるべく全員にチャンスがあるようにしたいね。

――では、若手から候補者を募るんですか。

 というより、無理やり立候補させちゃう。

久本 そのほうがおもしろいよ(笑)。若手全員出したほうがいいよ。で、新しい座長が決まったとして、その人にも満期とかあるの?

 あるでしょうね。やっぱりコイツじゃ失敗だったー!ってこともあるでしょうし。

――じゃ、また1年くらいで交代したり?

久本 1年もてばいいけど、みたいな(笑)。なんか、すぐ代わりそうだな。結局誰もいなくなった、ってことにならなきゃいいけど。

――じゃ、これで佐藤さんはとりあえず肩の荷が下りた感じですか?

佐藤 いや、どうなんだろう。自分では、そんなに背負ってたものがあるようにも思えないんだけどなあ(笑)。

――では、最後にそれぞれ、お客様へメッセージをいただけますか。

久本 今まで半世紀にわたって生きてきましたけど、今回は最高級、最低級のバカになります!ぜひ見に来てください!!

佐藤 しかも、小学校の校長先生からのお墨付きでございますからね!

 人間っていつもこれをやっちゃいけない、あれをやっちゃいけないって、自分を抑えている部分があると思うんだ。だけどこの舞台を観に来たら、お客さんもバカになれる。やるほうも、お客さんも一緒になってバカになれるっていうのは、こういうお祭りみたいな舞台以外にはないですから。

梅垣 特に、ワハハ本舗の場合は単に観に来るというより、参加するような気持ちで来てほしい。ぜひ大勢の方が参加しに来てくれたら、うれしいですね。

久本 ホントそうだよね! みんなで一緒にバカになろう!!

2010-02-16 11:16

 2010年2月3日、『飛龍伝 2010ラストプリンセス』が新橋演舞場で開幕しました。作・演出のつかこうへい氏が、病床から稽古ビデオを見て指示を飛ばすという異例の演出を経て迎えた初日。しかし、その圧倒的な出来映えは、どこからどう見ても、紛うかたなき、完全無欠の「つか芝居」でした。感動でした。
 この公演を開幕早々にご覧になられたのが、毛皮族を主宰する江本純子さん。現在、東京芸術劇場の『農業少女』に向けた稽古に毎日多忙の江本さんですが、つかこうへい作品にはひとかたならぬ思い入れがあるとのことで、今回e+は無理を言って、観劇レポートを緊急執筆していただきました。

私流・つか作品の楽しみ方〜『飛龍伝 2010ラストプリンセス』を観て
江本純子(「毛皮族」主宰)

 これは極・私的な、とても私(わたくし)流のつかこうへい作品の楽しみ方であるので、あまり参考になるかはわかりませんが、「つかってどんな?」「難しいんじゃない?」「暑苦しいんじゃない?」と首を傾げてしまいそうになる私と同世代の方(ちなみに私は現在31歳、演劇歴約10年)や、私よりも若者な者達の首をまっすぐにして差し上げたいので、そして願わくばそのまま首をまっすぐにした状態で現在『飛龍伝 2010ラストプリンセス』が上演されている新橋演舞場に直行して頂きたいので、記しておきます。

 余裕がある方はお弁当代も持参して下さい。そして30分ある休憩中には是非演舞場名物のお弁当を食べて…と、それはそれぞれの意志に任せましょう。お腹空いてない人もいるでしょうし、その後デートの食事がある人もいるでしょうし…と、無駄に饒舌な私が芝居とは関係ない食べ物の話を始める前に、とっとと芝居の話をしましょう。はい。

 私が近年観たつか作品は『売春捜査官』『幕末純情伝』そしてこの度の『飛龍伝』である。いずれの物語もヒロインは大多数の男達に「やらせろ」と野卑なことを必ず言われ、「うん、わかる」と私は芝居をみながら大多数の男達と同じ感情を抱かずにはいられない。彼女達は「やりたい」と思わせるに十分な魅力がある、それぞれがそれぞれの理由で戦っている強く美しい女性達なのだ。
 そんな罪作りなヒロイン達が、物語が進行していく上で時に繊細に、時に大胆にこぼしていく、その人間性溢れる凄まじい程の色気を「絶対逃さないぞ」と拾い集めながら鑑賞するのが私の常だ。ヘンゼルとグレーテルが帰り道を忘れないために道にお菓子をこぼしていったように、このつかヒロイン達の目的は何かとわからないままだが、彼女達も進むべき道を進みながら必ずや色気を落としていってくれているので、それを拾って連れ添ってやらなきゃ男じゃない(私は女だが)。そうしていつ帰れるかもわからない物語の渦中に自らの身を置く。
 ちなみに、私にとっての色気とは「人間らしさ」みたいなものであり、転じてそれが「色気」と感じ、つまり「やりたさ」と同意となる。だから「やりたい」と言う気持は野蛮ながらも非常に人間らしい感情であると認識しているし、つか芝居における「やらせろ」と言うセリフに代表される人間らしさの諸々が私は観たくてつかこうへい作品を好んで観に行っている。

 さて、『飛龍伝』の主人公・神林美智子(黒木メイサ)は、分厚い瓶底メガネをかけてマンガのようなガリ勉女スタイルで登場する。彼女は早々にして、愚直気味に描かれている貧弱な青年・ひょっとこ(矢部太郎)に「やらせろ」と言わるがまま処女を奪われるも、それまで相手にされていなかった初恋相手である全共闘のカリスマ・桂木順一郎(東幹久)の前でメガネを外した途端「美女だ。やらせろ」と桂木に見初められ、彼の女になる。その後、あれよあれよと全共闘40万人の委員長に納まり、革命闘争の作戦のためと、常々「やらせろ」と言われていた機動隊員・山崎一平(徳重聡)の女になり、子供を産み、いよいよ愛の関係で結ばれた山崎と殺し合わなくてはならない日を迎える。

 この美智子・桂木・山崎3者の狂おしき三角関係を中心に激しい人間感情のあれこれが学生達の革命闘争の社会背景(他、「核」のことなど諸々)を以て描かれる。戦うあばずれ女の一代記だ。すごく雑な説明をしてしまって申し訳ない。(「やらせろ」を中心に筋を紡いでみました。本当はもっと・・色々あります。)

 とにかく、その最中で描かれている「細かいこと」への理解は、もうそれぞれ観る者の知識レベルに委ねられているわけで、私なんかは例えば核関連の話は難しすぎて大雑把にしか理解しえず、自分の頭の悪さを嘆くばかりだが、どうだっていいんだそんなこと。話が難しくなってついていけなくなってもヒロインについていけばいいんだ、ヒロインの激情にその生き様に理屈なく陶酔して身を委ねればよいのだ、と思う。
 なんせ、ヒロインや登場人物達の向うべき先は人として間違っていない。生きるための愛があり、だからこそ傷が生まれ、悪がある。その汚くて美しい人間らしい姿に、私は感動する。胸がいっぱいだ。実に「やりたい」女だ、なんて不埒な気持で観ていた私の俗な性根を打ち崩し、明日からは聖人になりたいような清らかな気分が訪れる。

 とそこへ、さっきまで唾を飛ばしまくって叫び狂っていた俳優達がタキシードを着てバリっと踊っている。聖人気分はグッとアップ?いや、その姿はただただカッコいい。あれ、カッコいい、なんてのは俗っぽい気分だぞ。そして他の俳優達と同じく上下黒ジャージだったヒロインも、いよいよ女らしいドレスを纏って登場する。これです、これ。これが観たかったんです、私は。休憩入れて約3時間、「女」を封印するような姿でずっと焦らされていたけども、ようやくエロス決壊の時です。

 「やらせろー!」私もつか作品に出てくる野蛮な男達が言うようにヒロインに叫びたい。それが最も人間らしい姿だと、思いたい、帰り道でありました。



<執筆者プロフィール>

江本純子:千葉県出身。女優、劇作家、演出家、小説家。2000年9月に町田マリーと共に劇団毛皮族を結成。以後、主宰として全作品の脚本・演出を手がける。2009年には、新プロジェクト「劇団、江本純子」シリーズ開始。2010年3月1日〜『農業少女』(作:野田秀樹、演出:松尾スズキ)に出演。

2010-02-12 18:53
 キューバのトップカンパニー・Ballet Rakatanによる魅惑のダンスステージ“ハバナ・ラカタン”。ハバナ直輸入の情熱がサルサ、マンボ、ジャズ、ボレロ、ソン、チャチャチャ、ルンバなど、きらびやかなダンスのオンパレード!キューバの暑い夏の魂と生バンドの演奏が劇場を熱気の渦に巻き込み、観ているだけでリズムを刻みたくなってしまう。
 ロンドンでコンテンポラリーダンスを生み出し続けるサドラーズウェルズ劇場での公演では、完売になるほどの大好評を博した魅惑のステージ、初来日公演!

ハバナ・ラカタンとは?それはステージで弾けるキューバのダンスと音楽の陶酔のリズム!

 セクシーで情熱的なルンバから軽快なステップが魅力のチャチャチャまで、8名のライブバンドを従えた14名のダンサーが、魅力的でカラフルなキューバの刺激的なダンスで彩る。情熱と活気溢れる、その豊かな音楽とダンスの歴史が繰り広げられる。
 青い空と海、そして街角にいつも音楽と踊りが溢れるキューバ。かつてスペインとアフリカ民族が遭遇する地であり、その音楽とダンスはまさにスペイン文化とアフリカのスピリットの融合を元に発展した。ジャズ、マンボ、ボレロはもとより、フラメンコ、ヨルバ、アフロ-ハイチアンのリズムは、20世紀初頭のサロンダンスの元となる、モダンサルサへ繋がる長い旅へ観客を誘う。

■BALLET RAKATAN バレエ・ラカタン

 2001年にニルダ・グエラによって設立されたバレエ・ラカタンは、キューバの中でも多彩なトップ・ダンサーのグループとして活動。ダンサーは、ハバナ国立芸術学校(通称ENA)で、キューバダンス、ラテンスタイルを軸にコンテンポラリーダンスを学んでいる。
 2002年には、スイスのチューリッヒで行われたワールド・サルサ・コングレスに初めてのキューバのグループとして参加。2006年にエディンバラ・フェスティバルにて5つ星を獲得。2007年春、ロンドン・ウェストエンドでは、サドラーズ・ウェルズのピーコックシアターにて公演は完売、翌2008年春に再演及び世界ツアーを成功させ、2009年の再再演、また2010年の2-3月にも4度目のロンドン公演を控えている。

■TURQUINO トゥルキーノ

 音楽を担当するのは伝統的なキューバ音楽”ソン”を現代に蘇らせたトゥルキーノ。アフロ-アフリカンミュージックをルーツとするソンは、モダンサルサと、トレス、ギター、トランペット、ボンゴ、ギロ、シンガーの編成の基礎を作り、またハンドドラミングを使った最初の音楽のジャンルとしても認識されている。
 トゥルキーノは1980年代初頭にキューバの伝統音楽に傾倒する学生達によって形成され、世界中をツアー。現在この8ピースのバンドはハバナ・ラカタンのステージに不可欠な華を添えている。

PRESS REVIEWS

The New York Times

「演出/振付のニルダ・グエラによるダンスは創造的である。気取ったステップからさざ波のように全身に広がる動き、熱狂の渦と、魅力を華やかに伝える。トゥルキーノによる演奏も衝撃的だ。」

The Guardian

「魅惑的な衣裳、素晴らしい音楽、多彩なダンサー達によって惜しげもなく披露されるショー…振付けの勢いは止まらず、ダンサーのパワーが観客に伝染して行くようだ。」

Sunday Express

「最もホットで、クールで、セクシーダンサー達が踊るチャチャチャやルンバやサルサは、あなたが今まで見て来た物とは全く違う。スリルと血湧き肉踊るようなリアルに満ちたダンスは、あなたを収支笑顔にさせてしまう事だろう」

The Stage

「ハバナ・ラカタンにはあなたがキューバのダンスショーに期待する全てがある…素晴らしい音楽と、それに会わせて踊る信じられない程セクシーなダンサー達、日焼けしてたくましい肉体、引き締まったヒップや肩、軽快な足さばき、蛇のようにしなやかな腕の動きに放埒な佇まい、ハバナ・ラカタン派伝染性のある上質のエンターテインメントであり、緞帳が下りる頃、私はすっかりキューバ行きの便の予約を決意していた。」

公演概要

プレイガイド最速先行!パソコン画面でお好みの座席が選べます!

『ハバナ・ラカタン』

公演日:2010/8/6(金)〜8/15(日)

会場:東京国際フォーラム ホールC (東京都)

最速先行:2010/2/7(日)10:00〜10/2/14(日)18:00

一般発売:2010/4/17(土)〜





2010-02-03 18:01

 わずか1週間で26,000人を動員した脅威のステージ、『ドラムラインLIVE』再来日公演決定!映画「ドラムライン」をベースに、ブラックミュージックの歴史を魅せる2時間ノンストップのショー。楽曲はマーチング音楽だけでなく、アフリカンドラム、モータウン、ゴスペル、スウィングジャズなどブラックミュージックの名曲の数々が登場!
 大興奮のブラスアンサンブル、衝撃的なダンススタイル、打ち鳴らすパーカッション、アメリカ黒人文化が今、力強さと共にステージ上を駆け巡る!誰にも止められないハーフタイムバトル!

生で感じる未体験のビート、驚異のマーチング・バトル!

 青春映画「ドラムライン」はグラミー賞の常連、音楽界の巨匠ダラス・オースティンの実体験を基に、「フォレスト・ガンプ/一期一会」など名作を製作するウェンディ・フィネルマンがプロデュースした話題作。天才的なスネアドラム・テクニックを持つ主人公の成長と葛藤を描いた作品は、大ヒット記録した「ブラスト!」来日公演もあり、日本でのブラスバンド、マーチングバンド人気に火をつけ、ロングランを記録するなど世間の話題となった。
 目玉は、全米の大学から選び抜かれたマーチング・バンドが優勝を賭けて究極の妙技を競い合うシーン。
特にクライマックスのスネアドラムなどパーカッションを交えたドラムラインのバトルは手に汗握るスリルと迫力の名場面の連続。
 「ドラムラインLIVE」は映画以上の迫力と緊張感で舞台が展開。本作の前身ともいえる“HALFTIME・LIVE”を、映画でマーチングバンドの演奏シーンを監修したチームが舞台としてショーアップ。アメリカ黒人文化や歴史を随所に散りばめながら、ソウル溢れる洗練されたステージを創り上げた。HBCU(Historically Black Colleges and Universities)のファンク溢れるパフォーマンスがステージを縦横無尽に駆け巡る。

■演奏曲目(予定。一部抜粋)

・ダンシング・マシーン(ジャクソン5)
 Dancing Machine / Jackson 5

・愛するデューク(スティービー・ワンダー)
 Sir Duke / Stevie Wonder

・マイ・ガール(テンプテーションズ)
 My Girl / Temptations

・シャイニング・スター(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)
 Shining Star / Earth, Wind, and Fire

・シング・シング・シング(ベニー・グッドマン)
 Sing, Sing, Sing / Benny Goodman

■HBCUとは

HBCU (Historically Black Colleges and Universities)とは、主に南東部に120校程存在する州立/私立の大学であり、歴史的には南北戦争後、アフリカン・アメリカンの若者達の未来の尊厳と希望の拠り所、そして教育水準の向上の為に設立。
キング牧師、アリス・ウォーカー、スパイク・リー、ライオネル・リッチーなどが出身者として名が挙げられる。
これらの大学ではまた、50年以上前にショースタイルのマーチンクバンドを生み出した。カレッジフットボールチームのハーフタイムを彩るパフォーマンスは、クラシックからtop 40のヒットチューンやファンキーなダンスに溢れた、もう一つのアメリカの伝統/文化となっている。
ハーフタイムショーとして始まったHBCUマーチンクバンドは、現在では全米大会が60,000の観客を集める人気を博す程深く根付き、その人気を背景に映画「ドラムライン」や本作などが生まれるきっかけとなった。
また、オバマ大統領就任のパレードでもHBCUのマーチングチームが演奏したことも話題となった。

公演概要

プレイガイド最速先行!パソコン画面でお好みの座席が選べます!

『ドラムラインLIVE』

公演日:2010/8/11(水)〜8/15(日)

会場:東京国際フォーラム ホールA (東京都)

最速先行:2010/2/6(土)10:00〜
2/14(日)18:00

一般発売:2010/4/3(土)〜

2010-02-03 17:56
パントマイムという表現方法を武器に、日本はもちろん数多くの国でそのパフォーマンスが高く評価されているサイレントコメディー・デュオ、が〜まるちょばの最新公演がスタート! 現在上演中の天王洲 銀河劇場を皮切りに、日本全国32会場を巡る一大イベントとなるこのツアーの見所を探るべく、初日幕開け直前に行なわれた会見取材と公開ゲネプロを直撃した。

 今やが〜まるちょばの“正装”ともなった、光沢のあるグレースーツ&ドクターマーチンのブーツという出で立ちで取材陣の前に登場したケッチ!(赤いモヒカン)とHIRO-PON(黄色いモヒカン)。「ツアーの楽しみはやっぱり食事。スタッフ同士“美味しいランキング”を作って楽しみます」(HIRO-PON)。「お客さんの反応にしっかり県民性が出るのが面白い。チケットはギリギリにならないと買わないとか、すっごく下ネタが受けるとか(笑)」(ケッチ!)と、ツアーへ出発するのが今から待ち遠しいと微笑むその表情は、とても晴れやかだ。

 結成11年、過去に創った傑作ネタの数々に新たな息吹を吹き込んで臨む大舞台。「ネタのリニューアルに関しては、今まで150〜300人規模の会場でやっていたモノを2000人規模の立派な劇場に対応出来るよう、距離感を大きく創ることを心掛けました」(ケッチ!)。「結成時からやっているモノも多くの人に見てもらいつつ、今回、そこにまた新たな自分たちの魅力を見出してもらえればいいですね」(HIRO-PON)。台詞のないパントマイムを駆使し、大きな笑いを生み出す彼らのステージ。会見は終始“準備は整った。あとはみんなに楽しんでもらうだけ”という自信がこちらにもビシビシと伝わる、期待感溢れる空気に包まれていた。

 そのパッションは、ゲネプロ開始直後の1幕冒頭からすでに全開。お馴染みジュラルミンのトランクを絡めて見せるストリートネタ『が〜まるSHOW』では敏感に会場の空気に反応。コール&レスポンスで会場を温め、カメラマンにも「撮影する暇があるなら拍手と歓声を!」と(もちろんジェスチャーで)容赦なくあおりまくる。会見で「お客さんの反応しだいでネタの内容も長さもどんどん変わる」と言っていた通り、会場が盛り上がれば盛り上がるほど舞台上も熱くなるというわけだ。

 続く『M&D』はマイケルVSドラゴンの対決! 常にボケ役のドラゴンに突っ込み続けるマイケルというコンビネーションが愉快。お決まりのポーズを次々に繰り出すマイケルのジェスチャーがそのまま彼の感情を表すという巧妙さから、“身体で伝える”というパントマイムの原点を自然に感じ取ることが出来た。

 舞台上に透明人間を配することで登場人物の数を増やすことに成功、こちらのイマジネーションを存分に働かせて“見えないもう1人”の姿も追いながらの『透明人間』が始まる頃には、会場にいる誰もがノンヴァーヴァルな世界に身を委ねる楽しさと気持ち良さの虜になってしまっていた。

 休憩を挟んだ第2幕は約50分に渡る大作、長編ラブストーリー『BOXER』の一本勝負。世界各国で上演して来た演目をこのツアーのために練り直した意欲作だ。HIRO-PONが演じるのは主人公のボクサー。また老トレーナー、ボクサーの恋人、さらに何人もの役を次々にケッチ!が演じ分け、壮大な愛の軌跡が描かれていく。挫折、出会い、挑戦、栄光と、描かれるストーリーは明快だが、それらのすべてを“なにひとつセットのない舞台上でたった2人の人間がマイムで演じている”という事実を思うと、ただただ驚愕するばかり。スローモーションで戦うボクサーの躍動感、スピーディーな役の入れ替わりと演じ分け、そしていつしか心の中に聞こえて来る彼らの絶叫――。まさに「パントマイムはとても面白いモノ。観る人もやる人も増やしていきたい」(ケッチ!)、「パントマイム界の裾野を広げていくのも自分たちの仕事ですね」(HIRO-PON)という2人の想いが詰まったサイレントコメディーの真骨頂と言える、感動の物語に仕上がっている。

 パントマイムの限りない可能性を全身で伝える2人のオリジナルなパフォーマンスを体感できる本ツアーは5月まで続く。見逃すことのないよう、早めのスケジュールチェックをお忘れなく!

〈取材・文/横澤由香〉

2010-02-03 10:33

「あの五右衛門が帰ってくる!」と巷で大きな話題を集めている、劇団☆新感線の最新作『薔薇とサムライ〜GoemonRock OverDrive』。ちょうど劇団の30周年を記念する公演でもある、この春最大の注目作の製作発表が1月某日、都内にて行われた。

 まずは、劇団主宰で演出も手がけるいのうえひでのりが「2年前の『五右衛門ロック』がことのほか楽しかったので、このパッとしない世の中でせめて劇場では楽しいお祭り的なことをしたいと思い、再び『GoemonRock OverDrive』という形で上演することにしました。物語としてはまた、古田新太演じる石川五右衛門がいろんなところで大暴れするという話です。マドンナには華のある、名実ともにビッグな女優さんである天海祐希さんをお迎えし、派手にぶちあげることになりました。“なんちゃって”ミュージカルではありますけど(笑)、僕らなりのインチキミュージカルを楽しく創造したいと思っています」と、その意気込みを熱く語った。

 次いで、劇団の座付作家の中島かずきが今回の脚本について「今回は、前回の『五右衛門ロック』のパラレルストーリーです。脚本を書くにあたって、特にこだわったのは天海さんの衣裳。女海賊、男装の麗人の軍服、甲冑、そして貴婦人。いかにこの衣装を着せられるストーリーにするか、かなりがんばりました(笑)。新感線でヨーロッパを舞台にするのは初めてで、ビジュアル的にもかなりインチキくさいものになると思いますが、その分、楽しく盛り上がれる痛快娯楽音楽活劇になるはずです」と、今から本番の舞台を楽しみにしている模様だ。

 さらに作詞家のは「新感線に参加するのは(『五右衛門ロック』と『蛮幽鬼』に続き)3回目で、今回も本当に楽しく仕事をさせていただいています。楽曲は全22曲で基本はロックですが、今回は特にえせヨーロッパが舞台ということなので、ヨーロッパの香りのする胡散臭い曲を書かせていただきました(笑)。ベースにロックがありながらも、いろいろなところに旅行ができてしまうような、不思議な作品になったと思います」と話し、既に手応えを十分に感じている様子。

 主人公・五右衛門を演じるのはもちろん、劇団の看板俳優、古田新太だ。会見では「今回は“R”シリーズということで歌が多いこともあり、新感線のテイスト的にはわかりやすい舞台になると思います。天海さんのことは、実は宝塚時代からのファン。実家にブロマイドもあるくらいです(笑)。以前『パンドラの鐘(1999年)』で共演したときにはからむシーンがあまりなかったんですが、今回はがっつりからませていただきますので、私生活のほうでもスキャンダルになるようがんばります!」と常に余裕綽々で、笑いをとっていた。

 そして、さまざまなコスチュームの早替わりを披露してくれるはずのヒロイン、アンヌを演じる天海祐希も、この舞台への参加を心待ちにしてきたようで「新感線に出演させていただくのは『阿修羅城の瞳(2003年)』以来です。またこうして大きな舞台、それも今回は書き下ろしの作品に出演させていただけて本当に幸せです。出演させていただくからにはみなさんと一緒になってひとつ大きなものを作りたいですし、私自身も大きなものを持って帰りたい。楽しみですが、なおかつものすごく試される場だとも思っています。そういう意味では今もすごいプレッシャーを感じているところではありますが、とにかく楽しく元気にがんばりたいですね」と、満面の笑顔でコメント。

 歌あり、アクションあり、笑いあり、新感線ならではのゴージャスなステージになることは間違いなし!春の開幕を、首を長くして待とう!!

(取材/文:田中里津子)
(写真:渡辺マコト)


2010-01-29 12:48

1982年のニューヨーク初演以降、多くの人々に愛され上演され続けているオフ・ブロードウェイミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』。日本でも人気の高い本作の2010年版がいよいよ始動する。小さな花屋で働くさえない主人公・シーモアを演じるのは、これがミュージカル初出演のDAIGO。シーモアの片想いの相手・オードリーに安倍なつみ、2人の恋に立ちはだかる歯科医・オリンに新納慎也というフレッシュな顔合わせによる“B級ホラーロックミュージカル”。「楽しさ満載の舞台にしたい!」と盛り上がる3人が、作品にかける意気込みを語ってくれた。

★オフィシャル先行プレオーダー:2/1(月)〜2/14(日)
★一般発売:2/27(土)


――DAIGOさん初のミュージカル。出演が決まったときのお気持ちは?

DAIGO ミュージカルやお芝居は人並みには観に行ってましたしすごく興味はあったんですけど、やっぱり最初は「まさか!?」っていう感じで。でも自分の人生的にはいろいろチャレンジしたいっていう気持ちがホントに強いので…とはいえいきなり出番の多い主人公っていうのはちょっとビビリましたけど(笑)、新しい挑戦っていうのはいつも楽しみですし、せっかく声をかけて頂いたんだから全力でやろうと思いましたね。

――安倍さんは舞台に出る機会が増えていますね。

安倍 そうですね。この作品のことは知らなかったんですけど、ミュージカルで、B級ホラーで、面白い部分もいっぱいあるし、しかも本多劇場でっていうお話しを聞いてたらうれしくなってきて「ぜひやらせてください!」って。とにかくすっごい楽しみでわくわくニコニコしてます。私、稽古に入ると結構壁にぶつかってしまうほうなので(笑)、今のうちいっぱい笑っておきます(笑)。

――新納さんはオリンは「いつかやってみたい役」だったそうですが。

新納 好きで気になる役でしたし、いつかは来るんじゃないかな〜とは思ってたんですよ。だから「とうとう来たか」と。年齢的にはもうあと10年くらいはできる役柄だと思うので、これを機会に10年間は演じ続けます。

DAIGO おぉ〜。

新納 だから振付けもね、今は出来るけど10年後はキツくなって来ることも多いだろうし、激しいのはやめてくださいとか、長いスパンを感じながら作っていこうかなって(笑)

――それはある意味、プロデューサー的な目線で作品創りに関わっていこうという決意ですね(笑)。

新納 まあ…そういうことなんでしょうかね(笑)

安倍 新納さん、スゴ〜イ!(笑)

新納 でもほら、やっぱり再演出来るのが舞台のいいところでもあるから。

DAIGO この3人が、10年後も…。

新納 出来たら、ね。いいでしょ?

安倍 フフフッ。

――それぞれの役柄についてはいかがですか?

DAIGO さえない青年、シーモア。まあ俺もやっぱシャイだし照れ屋だし…って、そんなの知らねえよって感じ??

安倍・新納 (爆笑)

DAIGO (笑)。傷つきたくない草食系なんでね。まあ客観的に見て自分は頼りがいのないタイプだと思うので、そこはあえて役づくりの必要もないかと。でもちょっと気弱なんだけど上手く行くと調子ブッこいちゃうみたいな、人間らしいといえば人間らしいキャラクターだなって自分なりにすごく理解出来るところがあるので、そこを手がかりに楽しく演じられたらいいなと思ってます。

――そのシーモアの想い人が、安倍さん演じるオードリー。

安倍 彼女、とっても天然ですよね。オードリーのような役はこれまで演じたことがないし台本もこれから頂くのでまだ見えないモノもいっぱいあるんですけど、映画版を観て感じたのは、オードリーは私が持ってないモノをいっぱい持ってるすごく魅力的な女の人だってこと。オリンに殴られても「やっぱり好き」って思えるほど愛に真っすぐで…どうなんだろう、でも…そう、ひとつだけじゃない、いろんな表情のオードリーを演じたいな。

――そしてオードリーを殴ってしまうサディスティックな歯科医、オリン。

新納 今さら僕に王子様的な役は回ってこないんです(笑)。もうね、際物役を全うしますよ! オリンはこれまでもいろんな素敵な役者さんが演じて来た役ですけど、陣内孝則さんが演じられた印象が強いと思うんです。5年くらい前に共演させて頂いた際、その陣内さん本人が「俺の次に歯医者が出来るのはニイロ、お前だよ」って言ってくださった。だから自分の中では陣内さんが観に来てくださって「よし」と言ってくれたらOKかなっていう密かな目標はありますけど、影響されるのも悔しいので(笑)、僕はまた新たな“平成のオリン”を創りあげたいですね〜。ガ・ン・バ・リ・マ・ス!

――DAIGOさんにとって初体験尽くしの初舞台。稽古を前に改めて今の心境は?

DAIGO いろいろ勉強させて頂きます! 自分たちのライブでもリハーサルにひと月とかそんなにはやらないし、毎日ステージで歌って、しかも1日2回公演もあってとか、ホントにそこはやってみなくちゃわからない未知数なことばかりなので、正直今はつかめない部分もたくさんあります。でも先ほど新納さんが“プロデューサー的な視線で”って言ってくださったんで、これからは何か言いにくいこととかあったらまず新納さんに伝えて、と(笑)。

新納 やだよ〜、責任取れないよ(笑)。でも武道館を満員にしちゃうロックスターが下北でB級ミュージカルなんてイイよね! 超近くで観れてお得だし。それに今回本多劇場って聞いて思わず「最高〜!」って拍手しちゃった。この作品はもともとオフブロードウェイ作品で100人、200人って劇場で上演されてる作品だから、シチュエーション的にも本来持ってる空気感が存分に出ると思う。

安倍 歴史ある劇場だから楽しみです。『三文オペラ』のときに(宮本)亜門さんに「舞台上で裸になっている位の気持ちでいなさい」って言われて、あのときはもう恥ずかしいって感覚よりも「どこまで行っちゃえるか」みたいな感覚でやっていて…もちろん、作品によっていろいろですけど、今回も「お客さんが近い!」っていうこととかは特に気にせず、みんなに伝わるよう、全力で歌っていければいいですね。

DAIGO 俺、本多劇場の前はもう何百回も通り過ぎてるぞっていう下北育ちなんですけど、そんな場所に初めて足を踏み入れるのが自分の主演ミュージカルっていうのは、何かとても運命的なものを感じます。

――では改めて本番へ向けての意気込みをお聞きかせください。

安倍 ドキドキするちょっと怖いシーンも愛情いっぱいのシーンもある素敵なお話しなので、やっぱり一番は「お客さんに楽しんで欲しい」ってことですね。あとこれは私自身も楽しみにしてる部分なんですけど、人喰い花のオードリーIIがどんな風に出て来るのか。気になる〜。オードリーとしてはもう愛の溢れる作品にしたい、それだけです。

新納 今回、DAIGOファンをはじめ「これが初ミュージカル」っていうお客さんもたくさんいらっしゃるだろうけど、この『リトルショップ・オブ・ホラーズ』は初ミュージカル体験にぴったりの作品だと思うんですよ。曲もポップだしロックだし……

安倍 ゴスペルやバラードもあるっ。

新納 そう! とにかくナンバーはどれもカッコイイし、物語は“花が人を食べちゃう”っていうホントにおバカな世界。この素晴らしきB級の世界を大いに楽しんで、盛り上がって、帰りに喧騒溢れる下北の街でちょっと飲んでほろ酔い気分で帰る、とか。

DAIGO コース、完璧じゃないですか。

新納 ね。若い人たちからファミリー層まで、カジュアルに楽しんでもらえる作品をお届けしたいと思います。

DAIGO まさに“お子さまからおじいちゃんまで”。ライブもそうですけど、SFホラーロックミュジーカルってことで、劇場にいる間はいつもの現実を忘れて「来てよかった」「メチャ楽しかった」って思ってもらえるような舞台になったらいいですね。そのためにも自分がやるべきことをちゃんとやって、あとはチームワークでイイ感じに、共演者のみなさんとうまくコミュニケーション取って、足を引っ張らないようにしたいと思います。

(取材・文/横澤由香〉
(写真/坂野則幸)

公演概要

『リトルショップ・オブ・ホラーズ』

東京公演
2010/5/13(木)〜5/30(日) 下北沢・本多劇場

宮城公演
2010/6/1(火) 仙台市民会館 大ホール

千葉公演
2010/6/5(土) 君津市民文化ホール 大ホール

福岡公演
2010/6/11(金) 福岡市民会館 大ホール

大阪公演
2010/6/12(土)〜6/13(日) 森ノ宮ピロティホール

神奈川公演
2010/6/19(土) 神奈川県民ホール 大ホール

富山公演
2010/6/21(月) オーバードホール(富山市芸術文化ホール)

★オフィシャル先行プレオーダー:2/1(月)〜2/14(日)
★一般発売:2/27(土)


※訂正のお知らせ(2/1)
東京公演の会場表記に誤りがあり修正いたしました。大変申し訳ございませんでした。
2010-01-28 11:31

窮屈な毎日の中で抱える不満を爆発させ、女性だけのロックバンドを結成した主婦たちの姿を描いたミュージカル『イカれた主婦』。自ら行動を起こすことで愛する人たちとの関係を見つめ直し、新しい自分と出会っていくという痛快なストーリーは観客の心をつかみ、劇場は連日スタンディングで盛り上がった。あの興奮から20年。初演で主演を務めたベブ役の木の実ナナを中心に、新たなキャストとスタッフが再び開く『イカれた主婦』の幕。イカれたママ・木の実ナナとその息子・山崎育三郎が語る新たな決意とは――。


今の自分だからこそ出来るティム像をやっていきたいですね。(山崎)

――まずは何と言っても20年ぶりの再演。うれしいニュースです。

木の実 そうですね。でもね、この前改めてシノプシスを読み直したら「えーっ、こういう話しだったっけ?」なんて思うくらいにすっごく新鮮で新しくて。時間を経てもその時その時で違う輝きを見せてくれる作品なんだなって感じました。

――ティム役の山崎さんとは初共演ですね。

木の実 そう、ハンサムよね〜。20年前のティムよりも…なんて言ったら怒られちゃうか(笑)。ご一緒するのは初めてだけど、お仕事ぶりは以前から拝見してましたから、こうして共演出来るのはやりがいがあるな、と思いますよ。

山崎 こちらこそ光栄です。僕もナナさんのことは小さい頃から拝見してましたし、さっきちょうど20年前の公演パンフレットを見ていたんですけど、何にもお変わりなくて。

木の実 フフフッ!(笑)。ねぇ〜、上手いわよね〜。


山崎 ホントですよ〜(笑)。もちろん舞台を拝見してもいつもパワフルでエネルギッシュでいらっしゃるから、僕も負けずに気持ちでぶつかっていかなきゃって。今23歳なんですけど――

木の実 えっ、あら、じゃあ初演のときは3つの坊やだったの!? うわ〜っ。それがこうして息子役で共演ですものね。そうか。じゃあもううーんとティムを悩ましちゃうお母さんになろうっと(笑)。

山崎 今の自分だからこそ出来るティム像をやっていきたいですね。僕もたくさんママを困らせて(笑)。


――反抗心いっぱいのパンク少年ティム。実際の山崎さんはティーンの頃、ティムのような気持ちってありました?

山崎 それが、ほとんどないんですよ。この仕事をやりたくて、大学でも歌のために、クラシックを勉強してたので…。だから逆にこういう自分にはない部分を持った役を演じられるのはうれしくて。

木の実 そうよね。

山崎 台本も読み始めたら面白くて一気に読んでしまいました。こういう痛快なコメディーのミュージカルって、最近余りないような気がして新鮮でしたね。ティムはパンク少年だけど、芯にはとにかく真っすぐで純粋な心があると思ったので、そこを大事 にしながら…あとはもう、お母さんとガンガンぶつかっていければ。

木の実 ママが息子に「パンクやめてやめて!」って言っていたのが逆に息子が「ママ、パンクなんてやめてやめて!」って逆転しちゃって、でも最後は応援してくれる。この親子の関係って、物語の中でも一番重要なところだものね。だからケンカシーンもほんとに遠慮ナシにリアルにぶつかって、でも数秒後にはもうケロッとしてる。そんな“本当のつながり”をお客さんに見てもらって楽しんで頂きたいんです。オープニングからカーテンコールまで、2人の強い血の繋がりを感じさせたいわ。どのカップルよりも目立っちゃうように(笑)。


今回、私の中では“LOVE”がひとつのテーマ。イカるってことは裏返すと「周りにいる人たちすべてにもっと愛を持って接しましょうよ」っていう気持ちだから。(木の実)

――久しぶりの再演としては、前回観劇したお客様が今度はママの世代になって観に来る、みたいな楽しみもありますね。

木の実 ええ。すでにそういうお手紙もたくさん頂いてますし、当時すでにママ世代で、「すっかり歳を重ねてしまったけど、また『イカれる〜』が観れるなんてうれしいです」っていう方もいらっしゃいます。それだけみなさんの中に残る作品だということだから、こうして再演っていうのは素直にうれしいけれど、だからこそみなさんの期待を裏切れないぞって思いもあります。ただね、私はどこかに“慣れ”みたいな精神を持ちたくはないって思いがすごくあるの。再演っていってもいつも初めて臨む気持ちでいるんです。『阿国』なんかもそうだけど、バージョンアップというよりはやはり毎回新作という気持ち。こちらが新鮮な気持ちで演じれば、それは絶対お客様にも伝わるはずですし。だから初参加のティムと同じ気持ち。真っ白な状態で一緒にスタートするんだ、って。

山崎 僕もなるべく余計なことは考えず、稽古場ではスポンジのような気持ちですべて吸収していこうって思っています。

木の実 スポンジか。いいわね、素敵。

山崎 みなさん先輩ばかりなので、もう気持ちで身体ごとぶつかっていきますよ!

木の実 キャストは全部で8人。その8人でもう100人、200人ものパワーを出せるくらい、自分の持ってるあらゆるチカラを出し切っていかなくちゃ。


――そのパワーが弾けるクライマックス、ライブシーンはやはり必見。

山崎 楽しみですね。ロックを聴くのは元々好きですし、今は地道にコツコツとギターのレッスンをしてるところですが(笑)。

木の実 私も! 前はどうしても三味線みたくなっちゃったけど(笑)、今回はもうバシッと決めていくからね。ライブシーンは出る前はもうドキドキで本当に大変。それだけにキマるとカッコイイし、本当に気持ちいいの。私、舞台って、SHOWって、やっぱりお客さんも参加してくださって役者と一体になってこそだと思うのよね。この作品はまさにそのSHOWの醍醐味が感じられるのが素晴らしいところ。

――舞台もお客さんも大いに爆発!

木の実 こんな時代だからこそね、ホントにアングリーに爆発よ。今回、私の中では“LOVE”がひとつのテーマなんです。イカるってことは裏返すと「周りにいる人たちすべてにもっと愛を持って接しましょうよ」っていう気持ちなの。だから常に自分の周りを小さなハートが飛び回ってるような気持ちでベブを演じてみたい。もう愛が溢れて大変! ティムもしっかり受け止めるのよ!って(笑)

山崎 もちろんです! 大変だ〜。何倍にもハートを返せるように頑張らないと(笑)。

木の実 うん。楽しくやろうよね。

――そしてまた20年後に再演を?

木の実 ヤダ〜ッ(笑)。うーん、いつもね、あんまり先のことって考えないの。でもそうだなぁ、実際パワー溢れてるし、そういうの嫌いじゃないほうだから、その時になったら…やるんでしょうね。きっと(笑)


〈取材・文/横澤由香〉

公演概要

「イカれた主婦」

公演日:2010/5/15(土)〜5/23(日)

会場:ル テアトル銀座 (東京都)

※その他各地ツアーあり

2010-01-28 11:24

 その過激かつ豊かで大胆な表現力で、人間の本質をえぐり出す作品を上演してきた、ポツドール主宰の三浦大輔。新作を発表するごとに演劇界に刺激を与え続けている彼が2010年、また新たなステップを上がり始めた。注目の書き下ろし作品『裏切りの街』は、秋山菜津子、田中圭、松尾スズキといった、三浦とは初顔合わせの個性はキャストがズラリと揃う。果たして、どんな舞台を作り上げようとしているのか、三浦と秋山に話を聞いた。

「人が人を裏切る行為を、共感を持たせながら見せたいというのが狙いです」(三浦)

――この作品を書かれるにあたって、三浦さんとしてはどのような狙いがあったんでしょうか?

三浦 タイトルどおりに、人が人を裏切る瞬間というものをしっかり描きたいなと思ったのが発端なんです。人が人を裏切る瞬間って、悪だけじゃないような気がするんですよ。裏切りという行為自体は悪意にとられがちなんですが、そこには罪悪感とか後悔とかいろいろな感情が含まれていると思うので。そのあやふやなというか、善と悪が振り子のように行ったり来たりする感じを丁寧に描きたいんです。裏切る行為を、共感を持たせながら見せたいというのが今回の狙いです。

――観ているお客様が、自分にもそうやって人を裏切ることがあるかもしれない、と思えるような?

三浦 そうですね。その行為自体は本当に見るに堪えないものではあると思うんですけれども。でも、やはり皆思い当たる節のあることだと思うので、そこに共感してほしいですね。人は、一貫性がないものだと思うんですよ。もうやめようと思うのに、一晩寝ると翌日は結局また同じことをやってしまう。そういう人間のつかみどころのなさを、エンターテインメントとして見せようという目論見なんです。

――そして今回、秋山さんをキャスティングした一番のポイントというと?

三浦 ぶっちゃけて言いますと、秋山さんに出てほしいなというのがまずあって。そこからストーリーを考えたんです。

秋山 そうでしたっけ? 私がいかにも人を裏切りそうなイメージだったから、とかじゃなくて?(笑)

三浦 いえいえ(笑)。ポツドールの劇団公演だと、どうしても若い人たちの物語しかできないんですが、実は夫婦の話とかも書いてみたいという気持ちが前からあったんですよ。秋山さんには、色気があるのはもちろんですが、いい意味で大人気ない感じもあるかなと。

秋山 ふふふ。

三浦 美しいんだけれどもダメで弱い感じを見てみたいなと、僕が思ってしまったんですよね。そもそも、この芝居の始まりはそこなんです。

――秋山さんは、このお芝居に出ることになって、まずどう思われましたか。

秋山 三浦さんの舞台はこれまでに『顔よ』(2008年上演)という作品1本しか観させていただいていなかったんですよ。でも、なんだか楽しそうですし。私、挑戦することが好きだから、やってみようかなと思いまして。その『顔よ』を観たときは、ちょっとビックリしましたけどね(笑)。噂には聞いていたんですけど。でも、以前はもっとすごかったそうですね。

三浦 はい(笑)。今は結構、落ち着きました。

秋山 なんだか、新しいことをやるときってすごくいいじゃないですか。初めてパルコ劇場でやる、とか。私、そうやって初めてのことに関わるのが好きなんです。気付くと、そんなことになっていることが多いんですよね。

――智子という役を、三浦さんとしては秋山さんにどう演じてもらいたいですか?

三浦 そうですねえ。秋山さんのままで演じてくださればいいと思うんですけれども。

秋山 そうですか。今回の役の場合は現代が舞台なので、自分自身が置かれている立場にちょっと近かったりすると思うんですよね。年齢的にもそうだし、場所も東京だったりするし。そういう役を演じるのって、意外と照れくさいんです(笑)。近いからこそある壁を乗り越えなきゃいけないので。

――三浦作品ということは、やはり激しい絡みのシーンがあったりするんでしょうか。

秋山 あるの?(笑)

三浦 まあ、妥協はしないつもりでいます。

秋山 松尾さんはやる気マンマンですよ(笑)。

三浦 ハハハ! 本当ですか。ただ、普段からいつも思っているのは、そういう表現が目的になっちゃだめだということなんですよ。そのテーマを描くために、演出として露骨な表現が必要であればやらなきゃいけないとは思うんです。そこを省略しちゃうとテーマが弱くなると思えば、きちんと描かなくてはいけない。でも、その点は役者さんとしっかりコンセンサスをとってやっていきます。役者さんも同じようにそういう表現が必要だと思ってくれたならば、きっとやってくださると思うんです。それが単に露悪的なものだったら、誰だってやりたくないですからね。だからそこは慎重に考えていきたいと思っています。

――秋山さん、ご覚悟のほうは。

秋山 いや、今の話を聞いてすごく安心しました。私も、必要だと思えばやっていくほうだから。そんな感じなら大丈夫です。だけど、三浦さんって、もっとガーッて自分からやっていく感じの方かと思ってました。

三浦 そんなことないですよ。逆に、役者さんが自ら「ここは脱いだほうがいいですよね」って言ってくれることのほうが多いんです。

秋山 へえ〜、そうなんだ。

三浦 無理やり脱がせるわけにはいかないので。ただ、うちの劇団はそういうことをやり過ぎて、感覚が多少マヒしちゃってるところはあるかもしれないですけどね(笑)。

「ポツドールらしさと私たちらしさを出しつつ、新しい何かを生み出したい」(秋山)

――田中圭さんと共演されることに関しては、いかがですか。

秋山 圭くんとは岩松了さんの芝居で一緒だったこともあって、なんだかやっぱり照れくさいんです。

三浦 でも先ほど、二人が並んでいる姿を見ていたんですが、すごくいい雰囲気でしたよ。

秋山 息子みたいじゃなかった?(笑)

三浦 いやいや、逆にこの二人が…というのがグロいというか、生々しいんですよ。田中さんってあまりセックス的なアピールはないじゃないですか。それが逆に秋山さんとだと、いい意味でちぐはぐになる。

秋山 そうだよね。ちょっとちぐはぐ感があるよね(笑)。

三浦 そこがいいなあと思いました。そこが逆にピッタリ。

秋山 ハマり過ぎてもね。

三浦 ええ。どこかマヌケだったりするので。そのデコボコな感じがいいんです。

――松尾さんとはもう、何度も共演されていますが。

秋山 今回、夫婦役をというのがまたこれも照れくさいんですよ(笑)。圭くんよりも、もっとよく知っている相手だから。でもまあ、気心が知れてるからやりやすいと言えばやりやすいし、心強いです。だけど松尾さんのお芝居はすごく面白いから、オイシイところをみんな持って行かれそうな気もする(笑)。

三浦 ハハハ!

秋山 だけど今回、二の線でいくんでしょ?

三浦 そうですね。エキセントリックな感じではないです。そこら辺にいそうな中年おじさん役をやってほしいと思っているので。

――三浦さんは松尾さんとは、今回が初顔合わせですよね。

三浦 そうなんです。僕はもともと、松尾さんに影響されて芝居をやってきたというところもあって。だから、自分の作品に出演していただけるのは、とても光栄です。

秋山 ああ、だから三浦さんの作品もちょっとダークな感じがあるんだ。

三浦 そうですね。でも、作品の空気は違うと思います。結局、今みたいな作品を書くようになったのは、松尾さんのマネをしちゃいけないというところから始まっているんです。

――では最後にお客様へ、お誘いのメッセージをいただけますか。

秋山 ポツドールらしさを出しながらも、そこに若くない私とか松尾さんも出ているので私たちらしさも出しつつ、みんなでぶつかりあって、新しい何かを生み出したいと思っています。大勢の方に、観に来ていただきたいですね。

三浦 パルコ劇場進出ということで「ひよったな!」とは思われたくないので(笑)、ポツドール色はなくさないつもりです。だけど本当に、いろいろな人が観にいらっしゃると思うんです、たぶん今までポツドールを一度も観たことない人もいらっしゃるでしょうし。せっかくの機会なので、だからこそ自分のやりたいことは曲げないで、いつものようにやるつもりです。こういう作品をやってはいますが、実はいろいろな人に観てもらいたい欲は人一倍あるんです。普遍的なことをやっているという自負はあるので、受け入れられる気はするんですよ。

――初めて観る人は、ビックリするかもしれないですけどね。

三浦 その驚きと嫌悪感も含めて(笑)、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

(取材・文/田中里津子)
(写真/渡辺マコト)
(衣裳協力:VICTRIA WEBB)

2010-01-28 11:18

アニメ「魔法のプリンセスミンキーモモ」は、1982年に最初の放送がスタート、1991年には2ndシリーズも放送され、「魔法少女」というジャンルを確立。

当時一大ブームとなり、後のアニメ作品にも大きな影響を及ぼすことになった「ミンキーモモ」が、ドラマやミュージカルで活躍中の桂亜沙美(ミンキーモモ役)と今回が、ソロとしての初ミュージカル作品となるAKB48の秋元才加(ナイトメアー役/敵役)が演じる、本格的キャラクターミュージカルとして復活することになった。


現在、世界20カ国以上で愛される日本を代表するアニメ作品の1つとなっている「ミンキーモモ」だが、1stシリーズ放送開始から30周年を迎える2012年に向け、アニバーサリープロジェクトが発足。新たにかき下ろされたオリジナルデザイン&ストーリーで、ミンキーモモがミュージカルで待望の復活を果たすこととなった!

ミュージカルミンキーモモは「アルゴミュージカル」、「サクラ大戦歌謡ショウ」、「セーラームーンミュージカル」のスタッフ・キャストが集結し、創りあげる21世紀の女の子のための全く新しいミュージカルだ。

公演概要

公演日程: 2010年4月29日(木)〜5月5日(水)

 4/29
(木)祝
4/30
(金)
5/1
(土)
5/2
(日)
5/3
(月)祝
5/4
(火)祝
5/5
(水)祝
11時  
15時 ○☆●☆○☆●☆
18時半      

●…一岡モモ
○…勝沼モモ
*5/1(土)〜5/4(火)15時の回公演終了後、ミンキーモモ(子供・大人役)との握手会☆あり(12歳以下のお客様に限る)

会場:池袋サンシャイン劇場(豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ文化会館)

スタッフ・キャスト:

脚本・作詞:広井王子 演出:藤森一朗
作曲:中村友則 振付:伊藤大輔/WAKAKO 衣装:木鋪ミヤコ

ミンキーモモ(大人):桂亜沙美 ミンキーモモ(子供):一岡杏奈/勝沼美紅 *ダブルキャスト
犬のスケッチブック:幸村吉也 お猿のモンチャ:大山貴世 小鳥のルピル:服部杏奈
鏡の国の王様・パパ:縄田晋 鏡の国の王妃・ママ:横山智佐

ドロボウ1:西村陽一 ドロボウ2:Velo武田 医者:森隆二 警官:佑太 婦人:勝部祐子
町の人々(子供):日岡愛香/長澤夏実/小西香穂/渡部真鈴/安藤玲奈/相馬毬花
説明係(ぷっちモモ):関谷樹愛瑠/猪狩美月
ナイトメアー:秋元才加(AKB48)

*出演者等は変更になる場合があります

料金:

S席6,300円
A席5,250円
B席4,200円
全席指定(税込)

※限定ファミリーセット券あり。詳細は公演事務局まで
※3歳以上のお子様はチケットが必要になります(2歳以下のお子様でもお席が必要な場合はチケットが必要になります)
※12歳以下のお子様には公演当日(全公演)、お土産を用意しております。


2010-01-25 23:04

 個性派俳優として、あらゆる舞台や映像でインパクトのある演技を披露してきた池田成志。実は演出家としての顔も持つ彼が、今回取り組むのはここ数年、自らの劇団外の公演でも注目を集めている猫のホテルの千葉雅子による書き下ろし脚本だ。日本統治の幕切れが迫る台湾を舞台にしたこの『博覧會』という作品は、芸人の師匠と弟子を中心にした物語になるという。

 この弟子を演じるのが、どんな作品に出ていても強烈なキャラクターがひときわ目を引く大人計画の人気役者、荒川良々。役者同士として共演経験はあるものの、演出家と役者という関係になるのは今回が初めてという池田と荒川に、話を聞いた。

「いろいろな役者さんを横に並べたときに、そこに良々がいると面白そうだなと思ったんだ」(池田)

――池田さんは、この公演の企画段階から関わられているんですか?

池田 はい。2年半くらい前から。千葉さんとは以前、"月影十番勝負"(2006年上演『SASORIIX 約束』)でも一緒に芝居をやっていまして、「いつかまたやろうね」って言っていたんです。それから何度も頓挫しそうになりながら、ようやくここまでこぎつけました。

――ということは、千葉さんと一緒に芝居をやりたいという思いが、この公演のそもそものきっかけだった。

池田 そうです。千葉さんを男にしたい、というかね。

荒川 えっ、千葉さん、男なんですか?

池田 いやいや(笑)。千葉さんって、書き手として本当に面白いことを書くんだけど、ものすごく遅筆で、なかなかふんぎりがつかない人なんですよ。だから「なんか、やろうよ! 千葉さんはもっともっと面白いはずだよ!」みたいな気持ちがあって。それで今回、一生懸命たきつけてみようかと。まあ、今もたきつけている最中なんですけどね(笑)。

――千葉さんには、こういう物語を書いてほしいと注文されたりしたんですか?

池田 いや、千葉さんが書きたいものを書くべきだと思ったので、特にしていません。でも案の定なかなかアイデアが出てこないので、いくつか候補を出してもらって。その中で台湾を舞台にした戦時中の話というのがあって、面白そうだからそれでいきましょうということになったわけです。

――そして今回、荒川さんをキャスティングした狙いというのは。

池田 いろいろな役者さんを横に並べたときに、そこに良々がいると面白そうだなと思ったから。良々と、(篠井)英介さんや大谷(亮介)さんが並ぶことって、めったにないんじゃないかな。あまり一緒にやったことないでしょ?

荒川 ええ、ないですね。共演しても、あまりからんでいないし。

池田 そうやって「これって、どうなるかわからんわい」と思える組み合わせのほうが、面白そうじゃないですか。

――荒川さんはそのオファーを受けて、どう思われましたか。

荒川 「じゃ、やらせてください!」と二つ返事でした。千葉さんの脚本の舞台は何本か観ているけど出演したことはないし、成志さんの演出した舞台も観たことはあるけど、演出を受けたことはなかったですし。

――今回の、演出のポイントとしては。

池田 あまり、ふざけるのはよそうかなーとは思っていますけどね。みなさん、なんでもできちゃう人たちが多いから。骨太なというか、そんなに軽くならないようにしたいなと。ふだん、軽いのばかりやっているのでね(笑)。

――物語としては、芸人さんの話なんですよね。

池田 そうです。なにをやってもうまくいかない人たちがたまたま、台湾のある地点に集まって、なんとかしようとあがく話にしたいんです。終戦間近、1940年代の台湾を舞台にするつもりなので、社会全体もうまくいっていないはずだし。そうなると、ふざけるにしてもきっと逆に悲壮感のあるふざけになると思うんですよね。だから、あまり軽はずみなノリでやるのではなく、しっかり作っていこうかなと思っています。

「初めての成志さん演出で、見たことのない自分を見せられるといいなと思います」(荒川)

――荒川さんは今回、どういうキャラで、どう演じようと思われていますか?

荒川 どうなんでしょうかね。まだよくわかっていないですけど。芸人の師匠と弟子の話なんですよね。

池田 うん。英介さんが師匠で、良々が弟子。そして、その師匠がこさえるつもりのなかった娘を、弟子のほうが親代わりに育てているという関係があって。この弟子が、師匠になぜか盲目的にずっとついていっているので、彼はどうして師匠から離れないのか、結局は離れるのか、みたいなお話を軸に持っていこうとしているんです。だけど、英介さんが師匠で良々が弟子っていう、その絵づらがもうおかしいよね。全然、合ってなくて。ただこれも今のところの話ですわ、もうしわけないけど、今から大幅変更もあるかもです。

――池田さんとしては、荒川さんにどう演じてほしいと思われていますか?

池田 今の時点では、特にないですね。まだ、どう転ぶかわからないんでね。ただ、良々の場合はいじめている役が多いじゃない?

荒川 はい。

池田 いじめられている役ってあまりなかったと思うんだよね。いじめられてても気づかないというのはあるかもしれないけど。

荒川 ああ、そうですね。

池田 すごく人がいい役もいいんじゃないかなと、僕は思っているんですけどね。そのへんは、これから千葉さんがどう書いてくるか、僕自身も楽しみですよ。

――では最後に、お客様へお誘いの言葉をいただけますか。

池田 僕はもう20年以上芝居をやっていて、英介さんや大谷さんとも長い付き合いなんですけど、仕事を一緒にするのは実は今回が初めてなんです。それに、たとえば(星野)真里ちゃんに英介さんとか大谷さん、良々、(菅原)英二たちをここで紹介するというか、こうやって人と人とを会わせることができるだけでも、いいことができたなと思っていて。きっと、面白い化学反応が起きるはずですよ。今回って、みんなそれぞれバイプレイヤーみたいな人が多いじゃないですか。自ら看板しょってやってるような人は英介さんくらいでしょ。意外と、ありそうでない組み合わせだと思うので、その顔合わせの妙をぜひ確認しに来てもらいたい。それに今回はお値段もお手ごろになっております!(笑)ホント、このメンツにしては出血大サービスですから!

荒川 僕は……ただひたすらがんばります、としか言えないなあ。

池田 もっといいこと言ってよ(笑)。

荒川 いいことですか。まあ、英介さんと大谷さんとの化学反応をですね……。

池田 俺と同じことじゃないかよ(笑)。

荒川 いやいや本当に。僕としては、千葉さんの脚本が初めてなので、これまで見たことのない自分を。

池田 見たことのない荒川良々を出す? いいねえ!(笑)

荒川 はい。初めての成志さん演出で、それが見せられるのではないかと思います。

池田 言っちゃ悪いけど、良々って不気味じゃないですか。そういうキャラも多いしさ。

荒川 いや、本当は好青年ですよ。

池田 意外にこう見えてイイヤツなんだよね。それも含めて出していこう、と。

荒川 ええ、自分の殻を破って。みなさんに、力を貸していただきながら。僕も貸します。

池田 貸すんだ(笑)。新しい自分を見つけるために。

荒川 はい、絶対。

池田 あとで笑っちゃわない、そんなこと言っちゃって?(笑)

荒川 そうですね、かなり恥ずかしいかも(笑)。まあとにかく、僕は一生懸命やらせていただくだけですよ!

(取材・文:田中里津子)
(写真:渡辺マコト)

公演概要

「博覧會〜世界は二人のために〜」

公演日:2010/4/8(木)〜4/21(水)

会場:東京グローブ座 (東京都)

作:千葉雅子   演出:池田成志

出演:荒川良々/星野真里/大谷亮介/菅原永二/千葉雅子/池田成志/篠井英介


2010-01-25 18:13

 三谷幸喜にとって初めての挑戦となった04年初演の一人芝居「なにわバタフライ」。主演の戸田恵子は本作を含めた活躍により朝日舞台芸術賞に輝き、三谷も会話劇を思わす巧みな演出が高い評価を得た作品だ。今回はさらに濃密なものとするため、脚本から演出まで全てを見直したという三谷に、本作への意気込みを聞いた。

「一人芝居には観客にも緊張を強いる雰囲気があるので、初演は力を抜くことが目標だった。でも皆に「頑張ったね」と言われ頑張りすぎたのが反省点。ある意味一人芝居といえる落語は観客を楽しい気持ちにさせる、ああいう方向性が理想ですよね。初演は勢いと力技で切り抜けた感じ。同時に一人芝居の可能性も感じられたので、今回はもっと高みを目指そうと。楽に観られるポイントを探りながら、一人芝居でもエンターテインメントといえる作品にしていきたい」

 それはあらゆる装飾を省くことで実現しそうだ。今回は作品にテンポを生み出しどこか共演者のようでもあった生演奏が全てカットされ、セットもよりシンプルものになるという。まさに落語を思わす世界感。そんな未知なる領域への挑戦を可能にするのが戸田恵子の存在だろう。女優・声優・歌手とマルチな活躍を続け、三谷が絶大な信頼を寄せる実力派の一人だ。

「そうはいない逸材、プロの俳優さんだなと思う。物語には旦那や恋人などのエピソードが出てきますが、彼女が見つめるだけで彼らの姿が見えるような、そんなマジックを初演では見せ付けられました。今回は戸田さんの凄さをより際立たせる究極の一人芝居。何の仕掛けもない中で彼女の技術を見てもらいたい。上演時間も短縮するつもりです」

一方の三谷も再演を待つ6年の間にさまざまなフィールドで新たな挑戦を続けてきた。昨年は脚本・脚色を手掛けたテレビ人形劇がスタート。年末にはオフ・ブロードウェイで新作を上演。日本のオリジナル作品が現地で初演されるのは史上初という快挙を成し遂げた。

「海外公演は憧れ以上に『日本人でもこんなに面白い作品が作れる』と、世界に知らしめたかった。笑いに国境はないし実際、現地でその事を実感しました。日本語交じりの脚本に笑う観客の姿は自信にも繋がりましたね。歌舞伎やミュージカル、ドラマや映画と常に一つのジャンルに留まりたくない思いがある。今後もあらゆる分野に目を向けてやっていきたい。ただ僕は演劇の人間なので、最終的には“他流試合”で得た経験は演劇に還元される。今回も何らかの形で生かされていると思います」

今や世界へ羽ばたく喜劇作家となった彼が唯一、笑いに関して「手ごわい」と感じるのが関西のお客さんだ。「劇中どんなに笑っていてもアンケートは厳しいとか(笑)。楽しみ方を知っている人が多い」。そんなドキドキの関西(京都・大阪)公演を含む本作の見所を改めて聞いた。

「初演では蝶々さんを知る方々から『そっくりだったよ』と言われることも多く、多少近づけたのかなと。ただ劇中では彼女の名前は語りません。あくまでも“ある女の物語”なので、観る人にはバイタリティー溢れる普遍的な女の生き様や、2時間近くを一人で演じきる戸田さんのパワーに注目して欲しいですね」

 浪花の喜劇女優・ミヤコ蝶々をモチーフに恋に仕事にと逞しく生きたある女の一代記。時に困難に直面しながらもへこたれず前進する彼女の姿には、世代や時代を超えて観るものの胸を打つ力がある。誰の胸にも響く笑いと涙の感動作。初演をしのぐ新たな演出で存分に楽しみたい。

(取材・文 石橋法子)

2010-01-19 18:08

T.M.Revolutionの西川貴教が主演するブロードウェイミュージカル「ザ・ミュージックマン」の製作発表会見が12月都内にて行われた。
本作品は1957年に初演され、翌1958年トニー賞9部門を受賞。以来上演回数2,000回以上を数えるという、まさに王道を行くミュージカル。もちろん、歌もダンスも盛りだくさんだ。
舞台はアイオワ州の田舎町。楽器を売りつけては姿を消す詐欺師ハロルド(西川貴貴)は、この町でも音楽教授と偽って、町にマーチングバンドを作る・・・。頑固で排他的な田舎町の人々が、ハロルドという詐欺師の存在によって次第に変わっていき、ハロルド自身も変わっていくという、ハッピーな展開。
会見会場には、各キャストのファンを招待され、作品同様ハッピーな雰囲気。舞台衣裳に身を包んだキャスト陣と、演出の鈴木裕美が、作品への意気込みを熱く語った。

◆西川貴教
本当にいよいよこのミュージカルがスタートするんだなと言う気持ちです。暗いニュースが多い中、少しでもなにかみなさんの心にあたたかい気持ちを咲かせられるような、そんなミュージカルにできたらいいなと思います。この作品を通じて共演者の方々と一緒に、僕自身の中にもなにかを咲かせられるような、そんな舞台になればいいなと思っています。
舞台上から皆さんにたくさんのものを届けられるような、素敵な舞台にしたいです。 楽しみに劇場に足を運んでください。

Q.詐欺師の役ということですが、ご自身の経験も含めまして役作りはいかがですか?
騙すほうはいかんせんヘタというか、まったく経験がないものでして…。どのように成立していくのかと言うことを、よく考えながらその気持ちを役柄にのせていきたいと思います。

Q.ポイントとしてはどういうところを膨らませて?
皆さんと楽しくできれば、それだけでたぶん素晴しい舞台になると思います。なので、皆さんと一緒にいる空気を明るく楽しくさせていただくというのが僕の仕事だと思いますので、全ての汗や涙は僕が受け止めます!

Q.ミュージシャンである西川さんがミュージカルを経験されたことで、音楽活動に活かせたことはありますか?また、逆にミュージシャンでもあるからこそ、ミュージカルに活かせると感じる事はありますか??
舞台の出演は3作品目となるんですが、前回が2年前、その前だとさらに8年も前です。
舞台というかミュージカルをやらせていただくまでは、正直苦手なジャンルというか…。
僕が聴いてきたり、育ってきた音楽とは真逆なところにいるオーケストレーションですし、なにより台詞と台詞の間に音楽が挟まって、さっきまで愛し合っていた二人が突然愛を歌で語るという、非常に異質なものにずっと抵抗感があったんです。けれども、実際にやってみて、作品のなかで気持ちがたかぶって、気持ちと気持ちが通じ合ったときにそれが歌になるって言う事が自然にできて。それが本来の音楽と言うものの有るべき姿なんだなと実感しました。また、先日もヨーロッパのツアーで回った際も日本語ってまだまだマイノリティで、文化の中では壁になる部分が多いんですけれども、それをマイムだったり表情だったり、そういうもので乗り越えていけるところが多分にあるんだなと言う事を実際に感じました。そういうものを与えてくれたのはやっぱり舞台の経験がすごく大きかったんじゃないかなという風に、改めて思ったりしています。そして、今回の作品の中でも非常にハードルの高い演出を鈴木(裕美)さんがお求めになっていらっしゃるという事を今知り、非常に居心地の悪い状態でおりまして(笑)。僕、今、今井さんと同じく「できません!」と言えばよかったという風に思っております。非常に不安です(笑)。

◆彩乃かなみ
同作の映画版を拝見した際、西川さん演じるハロルドが詐欺師なのになぜか憎めないなと思いました。悪役が出てこない、ハートフルな内容に惹かれました。この作品をあたためていけるよう頑張りたいと思います。
ハロルドを疑いながらも惹かれていくところを演じられるのが楽しみです。まだ、台本がないのでなんともいえないですが、稽古をするのを楽しみにしています。

◆植木豪
音楽もたのしいものが多く、キャストも明い方ばかりでとても楽しい雰囲気。みんながハッピーになれるような舞台になればと思っています。
ダンスをちゃんとできないとここにいる意味がないので、頑張りたいです。ただブレイクダンスがまだ生まれていない時代のお話なので、僕の技は全部封印されるっていう(笑)。一から覚えていきたいと思います。

◆竹内都子
歴史あるミュージカルという事で、とても楽しみです。映画版を拝見したのですが、私の演じるパルーという役は、とてもチャーミングな女性。私自身はミュージカル初出演なので、「歌は大丈夫かなぁ?」と鈴木裕美さんに相談したら、「踊りもあるよ♪」と言われてしまいました(笑)。大人から子供まで楽しめるミュージカルなので、ご期待下さい。
私の役は心配性のかわいいお母さんなので、演じるのがとても楽しみです。アイルランド人らしい教育というのをしらないので、これから勉強したいと思います。

◆今井ゆうぞう
最初にお話を頂いたとき「コメディで、アメリカの作品です」と聞いて、お断りをしたんです。難しいかな、と思って。日本人にしてみたら、明るく表現したり、コメディがわざとらしいとよくないですよね。だからリアルな雰囲気が会場を包んで、楽しい笑いと元気とか勇気とかを届けられたらと思います。
僕の役は、ハロルドを追っかけているセールスマン。間違った事を一つもしていないのに、一番寂しい役回りのキャラクターなので、どういう風に演じるか考えています。

◆佐渡稔
僕の演じるシン市長の役はアイオワ人で、一番の嫌われ者なんですが、日本人なのでアイオワ人の感覚をまだよくわかっていません。稽古を通して皆さんと作っていければと思います。
ハロルドを最初に見たときから怪しいと疑う役なんですが、どうして怪しいと思ったのかまだわかっていないので、そのあたりをこらから掘り下げていこうと思っています。

◆うつみ宮土理
ミュージカルは4回目なんですが、たくさんしゃべってちょっとだけ歌うというのが多かったので。今回は踊りの特訓を受けて360度足を回せるように、変身したところをみなさんにお見せしたいです。子供たちがたくさん出てくるということなので、ロンパールームができちゃうんじゃないかなと思ってすごく楽しみです。みやちゃん(竹内都子さん)はこの作品で痩せるということなので、私は逆に太ろうと思っています。どっちがみやちゃんかわからくなるくらいに(笑)。共演者の皆さんとはお会いして1分で仲良くなったんです。本当に楽しい仲間です。
私の演じる役はユーラリーという名前なので、ユーラリユーラリしながら演じたいと思います(笑)。良妻賢母で生真面目な女性がハロルドにあって楽しい人物に変わるそうなので、その変わり目をハロルドに作ってほしいですね(笑)。

◆鈴木裕美
1912年7月の物語で、非常に古い作品ですが「王道」というか、オールドファッションなミュージカルです。歌とダンスがふんだんに入っていて、ハッピーでチャーミング。私はオールドファッションが好きなので、とても楽しみです。仲が悪い者同士が歌を歌わせただけで仲良くなっちゃうような頭の悪い感じのミュージカルですが、そこを楽しんでいただけたら。高級でセンスのいい学芸会のようにできればと思っています。

Q.音楽活動や、俳優としての活動など、様々な側面を持っている西川さんですが、西川さんのご印象は?
エネルギーにあふれた方だなと言うのが第一印象です。それから、サービス精神に非常にあふれていて、トーク番組とかを拝見していると、そこまでやらなくても大丈夫よ、案外もう大丈夫なのに、もう一つやるって言うような感じの印象を持っています。どんどん即興で音を作っていって、という役なので、そういうのが非常に楽しみだって言うか毎日違う事もできますので、コードはあるんですけど。そういう意味で非常に西川さんにあってると思って楽しみにしています。

■ブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ミュージックマン」
東京公演 :2010/4/23(金)〜5/5(水) 東京芸術劇場 中ホール
        2010/5/8(土)〜20(木) 新国立劇場 中劇場
名古屋公演:2010/5/22(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
大阪公演 :2010/5/25(火)〜30(日) 森ノ宮ピロティホール
札幌公演 :2010/6/5(土) 札幌市民ホール

2010-01-15 16:16

 『ゴッドハンド輝』など数々のテレビドラマや映画、CMで活躍中の平岡祐太が、待望の初舞台に立つ。『相対的浮世絵』は、劇作家・土田英生率いる京都の劇団MONOが2004年に上演した作品だ。

ある事件から十数年。友人の前に死んだとばかり思っていた弟と同級生がひょっこりあらわれ、不可思議な再会を果たす。思い出話をする彼らの会話から、それぞれの想い、兄弟愛や友情が浮き彫りになっていく。土田独特の可笑しげな世界観、不思議なムードに満ちたこの快作を、平岡のほか袴田吉彦、安田顕、内田滋、西岡徳馬という顔合わせで改訂上演する。

演出を手掛けるのは、自身のプロデュース公演だけでなく、ミュージカルから時代劇までジャンルを越えて様々な舞台にひっぱりだこの人気演出家・G2。この『相対的浮世絵』ニューバージョンは、果たしてどんな舞台になりそうか、平岡とG2に語ってもらった。

土田さんの脚本は、ちょっとズレてるような会話のやりとりがとても面白い。最初の設定からして変わっていますしね(平岡)

――平岡さんは今回初舞台ですね。この舞台への出演が決まって、率直なご感想としてはいかがですか。

平岡 「ああ、ついに舞台ができる!」と。以前からよく舞台は観に行っていて、いずれやれればいいなと思っていたんです。だから「いよいよ来たな!」という感じでした。

――G2さんがMONOの作品を演出するという、この顔合わせはちょっと意外かなとも思ったんですが。

G2 そうですか? でも実は、MONOの作家の土田くんが外部のために初めて書き下ろした作品は、G2プロデュース公演だったりするんですよ。

――そういえばそうでした。『いつわりとクロワッサン』(1999年上演)ですね。

G2 だから、全然共通項がない話ではないんですよ。まあ、その時は僕が演出ではなくて、プロデュースだけだったんですけど。そのあと『ラフカット』という企画公演でも一緒にやっているので顔合わせとしては3回目なんですが、本格的に彼の脚本を演出するのは今回が初めて。でも、いずれやるだろうなと思っていたので、それこそ僕も「ついに来たか!」という感じですよ。

平岡 おぉ〜、そうなんですか。

G2 土田くんって基本的にアッサリ味なんですね。僕はどっちかっていうと作りたいものがコッテリ味というか、濃縮系。そういう意味で、意外な顔合わせだと思われるのかもしれないね。ただ『相対的浮世絵』という脚本の場合は、ツッチーの作品の中でも特に僕のコッテリ味を刺激するエッセンスがあるんですよね。

――平岡さんは、初演の脚本を読まれた感想としてはいかがでしたか。

平岡 ちょっとズレてるような会話のやりとりがとても面白いなと思いましたね。最初の設定からして、いきなり変わっているし。その辺がすごく面白かったです。

――どの役を演じられるんですか?

G2 平岡くんには、兄弟の弟役のほうをやってもらいます。

平岡 実は最初、どの役をやるか聞かされずに台本を読ませていただいたんです。そのあと「どの役がいい?」って聞かれて、そのときちょうど「弟役がいい」って答えているんですよね。

――では、希望通りだったんですね。

平岡 そうなんです。今の自分が一番やりやすくて魅力が出せる場所は、弟役なのかなーと思って。いきなり難しい、深みのあることはできないかもしれないですしね。だけど弟役なら、わりと前のめりにガンガンいけるんじゃないかなって思ったんです。

G2 うん、その分析は当たってると思うな。

――G2さんは、平岡さんにどう演じてほしいと思われていますか。

G2 僕は、今はただ単純に楽しみにしていますけどね。土田くんからも「平岡くんは初舞台だから長ゼリフは少なめに書き直したほうがいいですかね?」って聞かれたので「いやいや、ハードルは高めに設定してください!」って言っておきました(笑)。たぶん、そのほうが燃えるタイプじゃないかなと、勝手に思ってるんだけど?

平岡 ああ〜、確かにそうかもしれません。切羽詰まってるときのほうが、余裕があるときよりも、自分でもいいような気がします。だけど、この間G2さんが僕のことを「まだ化けるかもしれない」ってコメントしてくださっている記事を読んで、すごくうれしかったんですよ。ちょっと今、僕、変化したいな、と思っているので。

――この舞台で化けたい、と?

平岡 はい!(笑) 僕、ずっと好青年役を演じることが多かったので。そういうものとは違うエッセンスが今回、自分でも見つけられたらいいなと思っているんですよ。

平岡くんは「うっそー、そんなの飛べない!」って思うくらい高いハードルをぶつけたほうが面白い人だと思うんだ(G2)

――土田さんには、どのあたりを書き直してもらおうとしているんですか?

G2 一番大きな変更部分は、初演の脚本は"土田語"で書いてあるじゃないですか。セリフがみんな「わちは、〜だで」みたいな、どこの方言だかわからない独特の言葉でしょ。

平岡 ああ、そうでしたよね。

G2 それは今回いらないんじゃないか、と。

――あの独特の言葉づかいを、すべて標準語に?

G2 ええ。基本的には標準語にします。なかにはヘンなしゃべり方の人がいるかもしれないけどね。

――ということは、雰囲気はだいぶ変わりそうですね。

G2 変わりますね。だけど、そこを書き直すことによって、また違う面白さが出てくると思うんです。ツッチーの今の香りみたいなものが新たに入ったりするだろうし。

――では、演出的には今の時点ではどうしようと思われていますか。

G2 キャストが男優だけ5人なので、やることはひとつですよ。一番のポイントは、とにかくこの男優同士のからみとかズレとか、空気感をいかにしてつくるか。劇場のサイズ的にも、この5人の役者ならちょっとがんばれば、まったく大丈夫だと思いますしね。

平岡 おお〜、本当ですか!(笑)

G2 だから、演出的にはそれほど大がかりなことは考えていません。ひとつだけ、アッと驚く仕掛けを考えていますけどね。そこ以外は、役者の芝居をいかに見せるかということに尽きると思います。大仕掛けなものでずっと走りまわっているような芝居じゃなく、とことん役者同士の濃密なからみを追求したほうが面白くなるし、作品もより生きてくるような気がするんですよ。

平岡 それ、すごくガチですよね!!

G2 ハハハ、そうだね。そういう意味でもハードルは高いほうがいいでしょ。

平岡 やり遂げた時の達成感もありそうですよね。

G2 うん。平岡くんは「うっそー、そんなの飛べない、飛べない!」って思うくらいにすごく高いハードルをぶつけたほうが面白い人だと思うんだよね。

平岡 ふふふ。なんだかやっと今、この舞台に立つことが現実味を帯びてきた感じがしてきました(笑)。でもやっぱり、きちんと目標を定めておかないと、どっちみちツラいことになりますよね。なんとなくやるのではなく。

G2 だけどそういうのは、今回はありえないな。特にこのツッチーの本は、やりようによってはサスペンス感もあるわけじゃない?

平岡 ええ、そうですね。

G2 うすら怖さもあり、でもズレたギャグもあり。設定からして突飛だから、場合によっては役者はそのことに負けがちになってしまう。設定や脚本にゆだねていればいいんじゃないか、ってことになりがちなので。

平岡 ああ、なるほど。

G2 そこを、その面白い設定以上にぐーっと人物像を掘り下げてもらわないと。そうしないと逆に、別に誰がやってもいいんじゃないのってことになっちゃうからね。

――そのためにも、それぞれの役者がガチで取り組んでいかないと、ということですね。

平岡 そうですよね! でももう、とにかく僕は今、いろんなことをめっちゃ吸収したいんです。テレビや映像の仕事とも違うものが吸収できそうなので、今からものすごく楽しみなんですよ。

G2 いや〜、平岡くんはこの舞台で、絶対に大化けするはずですから!

平岡 アハハハ、本当にそうだといいなあ!

G2 だからホント、その瞬間に立ち会わないなんて、すごくソンだと思いますよ! あとね、今回はわりと不思議なキャスティングになっていて、この味わいの顔合わせって最近あまりないとも思うんですよ。この5人の男どもが織りなすハーモニーが、本番で果たしてどうなるのか、ぜひナマでみなさんに体験していただきたいですね。

(取材・文/田中里津子)

(写真/渡辺マコト)

2010-01-12 18:55

 全国の読者に感動を与えた実話集『届かなかったラヴレター』。シリーズ累計35万部のこのベストセラーを、歌手・クミコとミュージカルスター・井上芳雄が朗読し、そして歌うハートフルコンサートが2009年に引き続き、再び開催される。前回の好評に応え、今回はさらにパワーアップ! 朗読&ナビゲーター役として徳光和夫、上柳昌彦という大御所アナウンサーがふたりも参加することになった。

「なんだか家族写真を撮っているみたい!」と顔合わせの時点から和やかなムード満点だった4人に、今回のステージへの想いを語ってもらった。

「ナマで朗読をするというのは、実は初めての経験なんです」(徳光)
「いつかクミコさんと何か一緒にしたいと話していたんですよ」(上柳)

――クミコさんと井上さん、おふたりにとっては2回目の『届かなかったラヴレター』になりますが。徳光さんは、この企画に初めて参加することになって、まずどんなことを思われましたか。

徳光 僕はほら、もう“アラシチ”ですから。

上柳 “アラシチ”?(笑) 今、おいくつなんでしたっけ。

徳光 68歳。このトシだとどんな仕事をやってももう仕事慣れしちゃってて、いただく仕事をどっちかというと“こなす”という感じだったんです。だけど、今回のように舞台で。ちゃんと声づくりをするというか、毎日、声に出して読んで準備をしておきたいです。手紙には微妙なニュアンスが書かれていますから、その言葉のニュアンスを音で出せるようにしていかなきゃいかんかな、と。

――上柳さんも同じく、初参加ですね。

上柳 そうです。そもそも、僕はクミコさんの『わが麗しき恋物語』という曲を7年前、勝手に自分の番組で毎日かけていたという、そんなご縁があってね。いつかクミコさんの歌に合わせて、僕が何かを読むのか司会をするのかわからないけど、とにかく何か一緒にしたいですよねって話はしていたんです。それが、小さな炎みたいにチョロチョロ燃え続けていて、今に至るわけなので。だから今回は本当にうれしいですね。

クミコ だけど徳光さんと上柳さんという最強の、言葉を伝える達人がおふたりもいらっしゃるんですから。きっと、ものすごく助けていただけるんだと思って、心強いですよ。

井上 僕も、こういう試みはずっと続けていきたいなと思っていたんです。だからこうして2回目があってとてもうれしいし、新しい形でおふたりとご一緒できることは、すごく幸せで、すごく楽しみです。

――前回やってみて、感想としてはいかがでしたか。

井上 もう、とにかく稽古が大変だったんですよ。演出が結構しっかりあって、芝居とか舞台に近かったので。

クミコ そうなんですよね。最初はセリフを覚えるわけじゃないし、ただ手紙を読んで、歌うだけじゃない?って簡単に考えていたら(笑)、それどころではなくて。これってなんなんだろう?っていうくらい、あれほど疲れた舞台もなかったですね。

井上 アハハハ、本当ですよ。

クミコ なんでこんなに疲れるの?って、ふたりでゼイゼイしてました。それって、手紙に詰まった何十人分の想いを背負ってやるせいなのかな、と思うんです。ひとつひとつ、いろんな人の想いに沿わなきゃならないので、それで自分の体がバラバラになっていくような緊張を強いられたのかもしれません。

井上 僕も、読んでみて初めてわかることがいっぱいあって。手紙を書いたのは一般の方、つまり文章のプロじゃない方じゃないですか。だからどうしてもリズムが難しかったりして、読みにくい部分もあって。でも、だからこそリアルに届くものもあるんですよね。

クミコ 芳雄くんは、よく泣いたよね(笑)。

井上 もう、舞台上でもボロボロ泣きながら。

クミコ 私は最初「え、なんで泣くの?」と思っていたのに、結局は同じような状態になってました。鼻水の処理の仕方を、芳雄くんを見ながら覚えましたよ(笑)。

――だけど、涙といえば徳光さんですよね。

徳光 そうなんですよ。だから、今から困っててね。涙って、こらえていると一度噴き出したときにはもう尾を引いて、止まらなくなるんです。

クミコ ああ〜。

井上 そうそう!

徳光 これもまた、僕のひとつの課題だな。 

上柳 いや、実話っていうのは、僕もよくラジオで読むんですけども、演者は泣いちゃいかんよって言われるわけですよ。

徳光 うん、本当はそうなんだよね。

上柳 自分の感情は置いておいて、その上でいろんなことを想像するのはお客さんの力なので。だから僕の仕事は、どこまで自分の感情を抑えられるかってことなんですが、これがひとりが泣き始めるとね。

クミコ そう、そうなの、そうなの!

上柳 女子中高生みたいな連鎖になるんじゃないかと、今、ふと思ってね。これはなんとかしなきゃな。

クミコ 気をつけます。

徳光 一番心配なのは、やっぱり僕ですかね。今朝も、電車でスポーツ紙を読んでいて、これがまたうまいこと書いてあるもんだから。

クミコ アハハハ、電車の中で泣いちゃうんですか。

徳光 いや、ホントそうなんです。もう、嗚咽ですよ。みっともないけど、止めようと思っても止まらなくなっちゃってね。

上柳 周りの人、ビックリするでしょうね(笑)。だけど、人がそうなると逆に自分は冷静になるかもしれないなあ。

クミコ じゃ、上柳さんを船長と呼ぼう! みんなが沈みかけたら、よろしくお願いしますね!

井上 最後の砦として頼りにします!(笑)

「おのおのの中で見えてくるものがいっぱいあるコンサートにしたい」(クミコ)
「実人生が全面に出てくる手紙や歌からいろんなことを受け取りたい」(井上)

――朗読を実際にやってみて、難しさは感じられましたか?

井上 いや、本当に難しかったです。僕はふだん役を演じることが多いので。朗読では、演じてその人になって読むのがいいのか、ある程度距離を置いて、聴いている人の想像にまかせて読むようにしたらいいのか、悩んでしまって。まあ、正解というものもはっきりはないんでしょうけど。手紙によっては方言だったり、おじいさんだったり、女の人だったりっていうのもありますし。ふだん自分がやらないような人物の手紙も読ませてもらったので、すごく勉強になりました。だから今回は、徳光さん、上柳さんおふたりが読まれるのを見て、さらに勉強しようかなと。

クミコ 私もこの、言葉を伝える達人おふたりがどういう風に読まれるのかが、本当に楽しみ。私も同じように、勉強するつもりでおります。

上柳 だけど、クミコさんは歌もいいけど、実は朗読もいいんですよ。

クミコ ええ〜?そんなことないですよ。

上柳 MCはちょっとオバチャンぽいですが。

クミコ アハハハ!

上柳 このちょっと、ハスキーな声がまたいいんだ。

徳光 隣で声を拝聴していましても、ああこの声でナレーションするのは、いいんじゃないかと僕も思いますね。どっちかっていうと歌は語れっていうほうでしょ。

クミコ 語るように歌うとか、よく言われますけど。それって結構極意かもしれないなって、このごろ思うんですよ。語るように歌う、歌うように語る。まさしく今回はそれですね。

――では最後にお客様へ、それぞれからお誘いのメッセージをいただけますか。

上柳 まずはクミコさんと井上芳雄さんのファンの方にはぜひ、歌をじっくりと聴きに来ていただきたい。そして朗読という表現には日ごろそんなに接する機会がないと思うんですが、これが意外とハマるんですよ!意外と人間っていろんなことを想像しますよ!っていうことを、多くの方に体験してもらいたいですね。

徳光 ああ、確かにそれは非常にいい経験かもしれないね。

クミコ 実は先ほど、演出のほうから「これは目を閉じて聴くコンサートにしたい」というコンセプトを言われまして、それってすごく正しいなと思ったんです。私のお客様でも、目の悪い方がすごく多いんですよ。私の声なんて目を閉じて聴く声でもないだろうと思ったんですが、そんなことないって言ってくださってね。ということは、まさしく今回なんて、もっともっとそういう方に来ていただいたら、喜んでいただけるような気がしていて。目の見える方は目を閉じていただいて、もし目の見えない方はそのままで、おのおのの中で見えてくるものがものすごくいっぱいある、そんなコンサートにしたいですね。

井上 うーん、もう僕は本当にひとりだけ、本当に未熟者なので……。

クミコ っていうか、ひとりだけすごく若いのよね(笑)。

井上 まあ、しょうがないと思うんですけどね、実際に若いから(笑)。

徳光 ハハハ。

井上 でも今、皆さんのお話を聞いていたら、年だけの問題だけではないと思えてきて。新しい取り組みとして向き合おうとしていらっしゃる皆さんがすごく素敵で、僕なんかもっとそうしないといけないなと改めて思いました。こういうステージってごまかしがきかないというか、実人生がボーンと全面に出てくる手紙や歌ばかりになると思うので。本当に一生懸命になって僕もいろんなことを、歌や手紙から受け取りたいです。前回知ったんですが、人生で最後に人が言うのは「ごめんなさい」と「ありがとう」だと。これは僕にとっては大きな発見だったんです。それを知っているだけで何か心に灯がともるみたいなところがあったので、今回もそういう経験をまたもうひとつしたいな、と思っています。

徳光 僕も本当に今、皆さんがおっしゃられた通りの想いなんですけどね。でも、ちょっと開き直りみたいに聞こえるかもしれないですけど、僕は放送屋なんでね。“放送”という字は“送りっ放し”って書きますから。

クミコ あ、本当だ!

徳光 送りっ放しで、こちらはナレーションいたしますんで、皆さんは自由にお受け止めください、と。

クミコ ピッチャーですね!

徳光 うん。たまに暴投になるときもあるかもしれませんが(笑)、皆さんにはぜひともいいキャッチャーになっていただきたいと思っております!

2009-12-28 14:22

ミュージカル史上に輝く、傑作ミュージカル「キャバレー」を新たに翻訳上演!

 2010年の年明け早々に、華やかな『キャバレー』の幕が開く。この作品は1966年にNY・ブロードウェイで初演され、1972年にはボブ・フォッシー監督、ライザ・ミネリ主演で映画化もされた傑作ミュージカル。これまでに日本でも何度も翻訳上演されている、世界的にも人気の高い舞台だ。

 1929年のドイツ・ベルリンにあった"キット・カット・クラブ"というキャバレーを舞台に、アメリカ人作家のクリフとキャバレーの歌姫サリー・ボウルズの哀しい恋の行方、さらにナチスドイツが台頭する直前の退廃感に満ちたベルリンの街、そしてそこに暮らす人々の姿がドラマティックに描かれていく。

 ヒロインのサリー・ボウルズ役には昨年の『ドロウジー・シャペロン』でミュージカルに初挑戦した藤原紀香が扮し、キャバレーのEMCEE役を諸星和己、クリフ役を阿部力が演じる。演出を手掛けるのは、宝塚歌劇団の小池修一郎だ。

 開幕を前に着々と稽古が進む都内のスタジオで、年の瀬も押し迫った12月某日、公開稽古が行われた。この日、披露されたのは『キャバレー』の代表曲でもあるナンバーから2曲。

 まず、2階建てになっているセットの中央の赤いカーテンが上がると、周囲の歓声を浴びながら、小花模様の可憐なワンピースを着て帽子をかぶった藤原が登場。舞台上にあるテーブル席にはキャバレーの客でもあるクリフとして阿部が座り、熱い目で歌姫・サリーを見つめている。「ママはね、私が修道院にいると思ってるの…」というセリフから始まる『ママには内緒よ』を、キュートな仕草でお茶目に歌い踊る藤原。だが途中でバッとワンピースの前を開くと、中味はなんと黒のボンテージ下着風の衣裳! 見事な身体のラインを強調したランジェリー姿で6人の女性ダンサーを従えた藤原は堂々としていて、まさに歌姫そのものだ。

 また2曲目は諸星を中心に20人弱のダンサーたちが登場し、にぎやかに享楽的に『キャバレー』のメインテーマでもある『ヴィルコメン』を。諸星は胸元のあいたタキシードにハット姿で、ステッキもうまく使いながらキレのいいダンスを披露している。テーブル席にたまたま座っていた女性記者をとっさに観客に見立てて客いじりをして笑いをとったり、怪しげにニーッと歯を見せたりと、EMCEEという難役をいかにも楽しんで演じている様子だった。そして、曲が終了すると同時にアンサンブルたちからは拍手と笑顔があふれ、そんな彼らの姿からも今回のカンパニーのチームワークの良さが窺えた。

 さらに公開稽古終了後には藤原、諸星、阿部が、本番に向けて意気込みを語った。

藤原 稽古が進むにつれ、みんな徐々にかたまってきました。本当に、毎日楽しくお稽古しています。

諸星 モチベーションはどんどん上がってますけど、でもまだまだですね。とはいえキャバレーが舞台なので、その日その日のライブ感が大事。だからきっとどれが正解かは、わかりませんね。

阿部 稽古では日々、いろいろなことが変化していっているので、僕は一生懸命それについていくだけです。でも毎日、楽しいですよ。

藤原 私が演じるサリーはショーガールですからね。こういう衣裳だけじゃなく、歌ごとにいろんな衣裳で出てきます。私が今までに着たことのないようなもの、持ったことのないようなムチとかまで使ったりしますし(笑)。

諸星 僕は諸星和己という、今までに培ったものをいかに出さないようにするかってところを探ってる途中なんです。まだ、どうしても自分が出ちゃうんで。

阿部 僕の場合は歌ったり踊ったりするシーンはないので、お芝居の部分が自分の役目というか。だから、プレッシャーはすごくありますね。

藤原 阿部さん演じるクリフとのお芝居部分はすごく切ない物語。汗だくになって稽古しているベッドシーンもあったりしますけど、いい感じですよ(笑)。体力的にもバッチリですし、3時間をしっかり、歌姫サリー・ボウルズとして生き切るつもりです。この『キャバレー』は、セクシーでゴージャスなエンターテインメントです。お正月から思いっきり楽しませますから、どうぞ劇場にお越しください!

諸星 もしかしたら紀香の下着がポロリといくかもしれない(笑)『キャバレー』を、みなさんぜひ観に来てください!

阿部 そうですね。そのポロリが出るかどうかは、僕に責任があるかもしれないけど(笑)。ぜひ、まあ、そこを。

藤原 そこを?(笑)

阿部 そこも含めて(笑)。この『キャバレー』っていうのは人間ドラマを描いている舞台ですし、今の日本にすごくふさわしい作品だとも思います。ぜひ大勢の方に、観に来ていただきたいですね。

(取材・文/田中里津子)

2009-12-25 12:01


1973年の初演以来、時代を象徴する旬の女優が主演して来たつかこうへいの名作『飛龍伝』。12月9日、都内にてその『飛龍伝』の最新作『飛龍伝 2010ラストプリンセス』の製作発表記者会見が行なわれた。今回のヒロインは黒木メイサ。つか作品でデビューを飾った彼女が6年ぶりにつかこうへいとタッグを組み、全共闘の委員長に祭り上げられる神林美智子役に全力で挑む。会見にはほかに美智子と恋に落ちる機動隊員・山崎一平役の徳重聡、学生運動のカリスマ的リーダー・桂木順一郎役の東幹久、東京公演のみ出演する演歌歌手の大江裕が登壇。人気作にふさわしく大勢の取材陣が詰めかける中、作品にかけるそれぞれの思いを語ってくれた。

製作発表記者会見レポート



 つかとの出会いは中学生の頃という黒木は「6年ぶりのつか作品です。うれしいのと同時に、今までにはない緊張感とプレッシャーがあります。美智子は強い。でも女性として、人間として、強さだけではなく弱さも抱えているはずなので、そこを身体と心を使って表現して行きたいです。稽古が激しいものになるのは明らかだし、体力的にも精神的にも正直疲れますが、それがだんだん気持ちよくなってくるんです(笑)。ここにいるみなさんがあの稽古場でどう戦うのかも楽しみですね」と、年月を経ての恩師との再会と新たなチャレンジに向け、静かなる闘志の炎を燃やして見せた。

 これが自身にとって2度目の舞台出演となる徳重は「学生運動の時代については本などで得た知識しかありませんが、歩道のレンガを剥がして投げつけたとか今では想像出来ない激しさがあるので、背景も勉強しながらしっかり表現したいですね。これもひとつの修行。すべてをつかさんに委ねて頑張って行きたい」と、真摯に抱負を語った。

 映像を中心に活躍、久々の舞台出演となる東は「やりたくてもなかなかできない役者が多い中、こうしてつかさんとご一緒できるのは本当にうれしい。稽古を通じて自分の弱さ、足りなさを感じることも幸せだと思うと今からウズウズと心が昂ります。スポンジのような吸収力でゼロから頑張りたいです」と、大いなる刺激を前に掻き立てられる役者魂をむき出しにした。

 「新人なものでとにかく何でもチャレンジしたいと考えております。舞台のことについては黒木先輩にたくさん教えてもらいたいです。若輩者ですがよろしくお願いいたします」とは、演歌界からの異色の抜擢となった大江。真面目で朴訥としたキャラクターながら舞台上では“狂犬”がキーワードになるとか。その変貌ぶりにも注目したい。

 『飛龍伝』で描かれるのは、“国家を救う”という信念を持って生きていた若者たちの姿。残念ながら当日は風邪による発熱で欠席となったつかだが、会場には「21歳の大人の黒木メイサとまともにぶつかり合えるのが楽しみ」とのコメントも届いた。そしてその思いを受け黒木も「時代の流れを受け、つかさんもホン(台本)を書き換えてくださっていますし、“今やることに意味がある”『飛龍伝』になっているはず。新しい『飛龍伝』を楽しみにしていてください」と応えた。まさにタイトル通り、“2010年の『飛龍伝』”が動き出した。

徳重聡×東幹久 スペシャルインタビュー

――おふたりはこれが初共演ですか?

 いや、5年くらい前にドラマで共演してますね。結構一緒にいる時間もあったんだけど、彼はねぇ、真面目で不器用で…しかも頑固(笑)。まあ5年も経てばいろんな出会いがあるだろうから、徳重くん自身も引き出しが増えていろいろと変化しているとは思うけど。

徳重 今でも頑固は頑固です(笑)。東さんとはホントに「お久しぶり」という感じで、なんだか新鮮ですね。東さんは何でも器用にこなすし社交的な方っていうイメージだったんですけど、実はそうではなくて意外に照れ屋さんなところがあったりしていて…。

 俺、人見知りでシャイなんですよ〜。

徳重 そうそう! 僕は色々面倒見て頂いたりしてましたけど、こうしてまたご一緒出来てうれしいです。

 久しぶりの共演。あれからお互いどんな風に成長しているんだろうって僕も楽しみだよ。

徳重 はい。

――おふたりの恋の相手であり本作のヒロインである黒木さんの印象はいかがでしょう?

 いろんなお仕事をされてますけど、その経験をひとつひとつしっかり積んで生かされてる方ですよね。もちろんお綺麗だし。それと、実際お会いすると目力がなんとも言えないんですよ! 強さの中に優しさが垣間見えるというか、とてもチャーミングな目で。

徳重 カッコイイタイプの綺麗な方というイメージだったんですけど、台本を読むと可愛らしい仕草や台詞も多いので、僕はそういう黒木さんを目の前で拝見できるのが今から楽しみだし、幸せですね。しっかり恋しようと思います。

――徳重さんと東さん、互いに映像での活動が多いかと思いますが、舞台にはどのような思いをお持ちですか?

徳重 僕は去年初舞台を踏んだんですけど、正直こんな早いタイミングでまた舞台が経験出来るとは思ってませんでした。しかもつかこうへいさんの作品ということで、有り難いなぁという思いと同時に、ほとんど舞台経験がない自分がそこへ入ってくことにかなり不安も感じています。舞台は毎公演毎公演が本番で、ミスもその場で即挽回しなくちゃいけないし、やっぱり怖いですよね。でもそれを怖がってばかりもいられない。やはり一発一発が勝負だから、そのための準備を稽古でちゃんとやっておかなくちゃいけないんだってことは初舞台の時にかなり痛感しました。

 今年40歳になったんですけど、そこでまた舞台をやる、厳しいところに飛び込んでいけるのはやっぱり出会いなんだなぁって思ってます。ともすれば守りに入ったり腰が重くなってしまいそうなところでつかさんとご一緒できる。実際始まったら何を感じるのか、どうなっちゃうのか…。今はまだ全然想像もつかないんですけど、いいことなのか悪いことなのか、とにかくここで自分が変わるだろうなって思うとわくわくしますね。

――『飛龍伝』は何度も上演されてきている名作ですが、作品自体からはどんな魅力を感じていますか?

 人間の生々しさ。それは決して負の部分だけじゃなく、プラスの部分もしっかり描かれている。強さと弱さ、美と醜さ…相反するものが同時に存在しているところにすごくひかれます。同時に、つかさん自身が生きて来られた人生のあらゆるものが詰まっているような気もしますし。

徳重 「人間って生きて行くのは大変なんだよ。ぐちゃぐちゃ言っててもしょうがない、なんとか笑って生きて行こうよ」みたいなことを言いたいんじゃないかなぁって思いました。辛くても踏ん張ったら何かいいことあるんじゃない?っていう気持ちというか、そういうところの力強さや生々しさを吐き出す…役者としての僕自身もそんな気持ちで作品に臨んで、そういう生々しいモノを見せられたらいいですね。

 わかるわかる。

徳重 山崎一平という男の生き方はすごいしんどい生き方だと思います。ただ稽古場ではもう僕なんかがいろいろ細かいところ考えてても仕方ないですから、そこを表現するためにとにかくしっかり台本と向きあって、あとはもうどーんと飛び込む。まな板の上の鯉じゃないけど、つかさんの世界にいかに乗っかっていけるか、だけでしょうし。

 俺も同じ気持ち。映像は自分の持っているモノで演じていく瞬発力が求められるけど、舞台は“無”というか、俺の考えなんか全くかなわない領域。自分の得意不得意とかも考えずに、つかさんの演出に委ねるのみですよ。とにかくニュートラルな状態で稽古場に入って、何か新しいモノを出す…出さなきゃいけない。意外とくじけないタイプなので、いろいろ言われるのは好きですしね。なんかホントにどうなるかわかんないですけど(笑)、桂木順一郎が持つ熱さを表現するため、くたばりながらやっていきたいですね。

――気持ちはすでに稽古場ですね。それでは改めて本作に寄せる意気込みをお聞かせください。

 僕にとって久しぶりの舞台。1ヶ月かけて稽古して芝居を創って行くというのは役者として、また人間としてとても貴重な場になると思いますし、真摯に取り組んでいきたい学ぶべき場だと思っています。僕は舞台のライブ感がすごく好きだし、劇場という同じ空間の中でお客さんと同じ空気を感じられる幸せは僕ら役者の元気の源なので、みなさん是非観に来て頂ければうれしいです。

徳重 台本を読んでてもすでにとても面白いパワーのある作品だと感じています。また、僕にとってはダンスを始め新しいチャレンジ尽くしの作品。今までにない徳重聡を観て頂けると思います。もちろんつか作品ファンの方々にも楽しんで頂ける舞台になると思います。ぜひ観にいらしてください!

〈取材・文/横澤由香〉

〈写真/渡辺マコト〉

2009-12-24 18:11
2004年に誕生した伝説的な作品を、更に台本を練り直し、 前回あった生演奏は使わず“言葉”のみで構成するという、 単なる「再演」とは全く異なるニューバージョンで上演される今回。 ひとりの女の人生とともに、劇場で大いに笑い、そして思いきり泣いて下さい!

戸田恵子さんによる意気込み

初演のときは、台本が少しずつあがってくる中で稽古が始まって、全容が見渡せないまま初日に突入した感じでした。お稽古中も、「いつになったら全体が入るんだろう」という初めての不安と、「でもとにかくやらなきゃ」というのと。
そして初日を迎え、すべてを終えたその時には「もう二度とやることはない」と思うぐらい精も根も尽き果てていました。ほんとに「終わったぁ」と思っていたんです。「いい思い出になりました」という感じでした。けれど意外に早く、その「もう二度と!」という気持ちが払拭されて、「もう一度チャンスをもらいたい!」と思うまで、あまり時間がかからなかったんです。今度は一回やっていることもあり、全容もわかっていますので、自分の中では「再挑戦」というか、「リベンジ」というか。気持ちも新たに取り組みたいと思っています。前回上演していない所へも伺いますので、是非たくさんの方に観て頂きたいと思います。よろしくお願い致します。(談)

戸田恵子


三谷幸喜さんによるニューバージョンの見どころ

今回の『N.V』では、『なにわバタフライ』を、さらに練り上げていきます。初演で一回やってみて、ボク自身ノウハウもわかりましたし。一人芝居というのはすごく難しいジャンルなので、そこでできることとできないことも含めて、見えた部分がありました。なので、それをさらに練り上げて、できればボクはこの作品を、戸田さんのライフワークにしていただいて、ずーっと…これからあと…40年ぐらいですか?続けていただけるように。
それに、いろんな人に観てもらいたい。そういう意味で一人芝居というのは、戸田さん一人いればどこでだってできるわけですから。とても身近というか・・・。どこででもできるという良さがありますからね。だから、そういう作品を作っておきたかったというのが、今回の『N.V』です。
劇中にでてくる「ある女」の生き様、「戸田恵子」の生き様をみせる2時間。
『なにわバタフライN.V』、今回が決定版です。前回ご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、是非観て下さい。(談)

三谷幸喜



パルコプロデュース公演『なにわバタフライ N.V』

【東京公演】2010/2/7(日)〜2/28(日)
会場:シアタートラム
【大阪公演】2010/3/20(土)〜3/31(水)
会場:サンケイホールブリーゼ
【九州公演】2010/3/5(金)〜3/7(日)
会場:北九州芸術劇場
【愛知公演】2010/3/9(火)〜3/10(水)
会場:名鉄ホール
【京都公演】2010/3/13(土)
会場:京都芸術劇場・春秋座
【新潟公演】2010/3/16(火)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場



2009-12-11 13:27

 川下大洋、後藤ひろひと、山内圭哉、竹下宏太郎、腹筋善之介というコメディのスペシャリスト5人で構成される演劇ユニット、Piper。彼らが約1年半ぶりの新作のモチーフに選んだのは海底だ! 相武紗季、岡田義徳、川田広樹(ガレッジセール)という意外性のある豪華ゲストを迎え、爆笑必至の舞台が今回も繰り広げられるはず!

舞台となるのは、最優秀な海底作業員を選ぶための研究施設!

――今回は、なぜ海底のお話にしようと思われたんですか?

後藤 前回の公演が宇宙がらみの話だったから、今回は海底にしようかと思っただけなんだけどね(笑)。でも、海底って面白そうでしょ。

川下 宇宙は「行きたーい!」ってみんな思うけど、「海底に行きたーい!」っていう子供はまずいないよね。

後藤 確かに。宇宙で死んでもいいって思うけど、海底で死んでもいいって思わないかも。

川下 どっちも生身の人間は生きていけない場所なんだけどね。

腹筋 でも僕「もし何か人生で一個だけ買うなら何?」って聞かれたら、子供の時からずっと「潜水艦」って答えてましたよ。

後藤 ほお〜。乗ったこと、ある?

腹筋 ないな。

山内 俺も、ないっす。

後藤 こーちゃん(竹下)、ないの?

竹下 うん、ないよ? なんで?

後藤 いや、島に住んでいるからありそうな気がして(笑)。

竹下 見たことならあるよ。それに、島の近所で駆逐艦が大島を標的にした訓練をしたりしているしね。釣りしてると、4隻揃ってきれいに方向転換して、こっちに向かってきたりするんだよ。

後藤 絶対、冗談で「あいつを狙え!」とか言われてそうな気がする(笑)。でもさ、コバさん(腹筋)がほしい潜水艦って、そういう潜水艦じゃないんでしょ。

腹筋 うん。一番安いヤツ。4人乗りの黄色い潜水艦で、アームがあってね。

川下 おぉ、それはいいねえ。そういえば俺も、サンダーバードで一番ほしいのが4号だったなあ〜。

山内 ……というわけで、今回は海底です。

――舞台は、潜水艦の中ということになるんですか?

後藤 いえ、違います(笑)。海の中ですら、ないです。最優秀な海底作業員を選ぶための研究施設が舞台になります。実際にJAXA(宇宙航空研究開発機構)でやっていたことなんですけど、公募した中から1人だけ宇宙飛行士を選ぶっていう試験があってね。その最終試験がまさに今回のテーマになっているんです。一部屋、といっても広いスペースに7日間、見ず知らずの人たち同士で共同生活をさせるという試験というか実験みたいなもので。それを30〜40人くらいの人がモニターで24時間監視していて、いろいろな事件を彼らにふっかけていく。そのときにどういう行動をとるかを観察するわけです。

――では、皆さんの役どころは?

後藤 今はまだちゃんと決まってはいないんですけど、たぶん俺は部屋の外にいる人だと思います。実験をする側の人。俺以外のPiperのメンバーは、その部屋の中に入る人になるんじゃないかな。今回のゲスト3人も一緒にそこに閉じ込めて。その部屋でいろんな実験をしていく中で、人間関係がぎくしゃくしていく、というお話です。その実験の中のいくつかは、お客さんにその場で決めてもらおうと思っているんですよ。

――じゃ、芝居の流れが毎回、変わるかもしれない? すごく実験的な舞台なんですね。

後藤 ええ、そうなんです。だからそこでの俺の立場は、お客さんと部屋の中の人間たちをつなぐ唯一の人になると思います。

メンバーにとって、Piperはホームみたいなものです

――改めて、Piperで舞台に立つことの面白さ、醍醐味はどこに感じられていますか?

山内 ヨソでやったらアカンことがここではできることかな。それがやっぱり一番の醍醐味じゃないかなと思いますね。

川下 逆にヨソでやってることを、やったらアカンって言われてる人もいるけどね。

腹筋 そう。僕の場合、Piperではパワーマイム禁止だから(笑)。

山内 後藤さんが他の演出家と違うのは、稽古場で6割ほどできればいいよっていうところ。残りはお客さんと100%にしようっていうスタンスで稽古しているのでね。それを不安に思うゲストもいらっしゃるかもしれないですけど。それはお客さんの前じゃないとわからないことがあるからで。でも他の稽古場ではそうそう、そういうことはできないですからね。

後藤 コメディの場合は8割まで作って舞台に立っちゃうと、お客さんの笑い声でどうしていいかわからなくなる瞬間が役者にはあったりするんです。だから「俺は100%作ってから出たいんだ」っていうような人は、舞台でコメディをやること自体が難しいのではないかと思う。100%作っていっちゃうと、お客さんの笑い声との間合いがつかめなくなるので変な笑い待ちをしてみたりして、大混乱になってしまう。だけどこのメンバーにとっては、Piperはホームですからね。今更、特に気を遣うこともないし。

竹下 Piperの稽古が始まると「ただいまー!」って感じがする。久しぶりに、遊べる親戚に会ったような、「今回は何して遊ぶの?」って感じ。

山内 根本的な考え方からして違うんですよね。お仕事をしに行こうっていうのと、家に帰ってきたっていうのでは。だから、良い意味でまったく仕事感覚じゃない。

川下 いや、仕事って本当はそうあるべきなんだと思うよ。

山内 まあ、そういう意味では僕らは本当に幸せですよ。

腹筋 うん。僕もいつも、早く稽古始まらへんかなって思う。稽古が終わったら、普通は「ああ終わった―」ってなるのに、Piperの稽古の時はすぐに「早く明日にならないかな」って。そんなこと、他ではあまりないですよ。

後藤 だけどさ、大洋さんだけは何を考えてあれをやってるんだろ?って、わからない時があるよね。

全員 (笑)

後藤 稽古の最終日に、いきなりキャラクターを変えてきたりするしさ。

川下 みんなもチャレンジし続けようや! 千秋楽まで、全員で前に進んで行くべきだって!(笑)

山内 アンタ、いつも後退してるやん! 途中で手を引っ張ってあげる時、あるよね。「ホラ、遅れてるよ!」って。

全員 (笑)

――では最後に、まだPiperを知らないお客さんに向けて、どんな心構えで劇場に行けばいいかアドバイスをいただけますか。

山内 演劇の中ではかなり敷居の低いほうだと思うので、何も気を遣わないで大丈夫ですよ。演劇が初めてという人にも、ここは絶好の機会だと思います。

竹下 ちょっとしたダーツバーで、お酒をいっぱいやるくらいの気持ちでいいと思うな。

腹筋 老若男女の方に来てほしいですね。お年寄りにもぜひ。子供も絶対喜ぶよね。

竹下 毎回、子供の笑い声を聞くたびに「やった!」って思うよ。

後藤 俺は、圧倒的に女性客が多い演劇界の中で男性ファンが多いということがものすごく誇りではあるんだよね。俺らは女の子にモテたいって気持ちでやってるんじゃなく、俺らみたいな男も楽しめるものを作っていこうと思ってるので。

竹下 まぁ、(川下に)中には違う人もいるみたいだけど。

川下 モテたくないのかよ、おまえら!(笑)

全員 (笑)

後藤 いや、だから女性の方はぜひ彼氏、もしくは彼になりそうな予感がする相手を連れてきたらいいと思います。その相手にも、ものすごく楽しい思いをさせた上で、きっとあなたの愛も上手に手に入りますよ!(笑)

(取材・文:田中里津子)


2009-12-09 10:39

 約1年半ぶりに活動を再開した阿佐ヶ谷スパイダース。待望の新作『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』は1年間のロンドン留学を経験してきた長塚圭史の、注目の帰国後第一作目となる。キャストは阿佐ヶ谷スパイダースのメンバー、中山祐一朗と伊達暁はもちろん、長塚作品の常連ともいえる役者陣がズラリと顔をそろえるほか、初参加となる花組芝居座長の加納幸和、映像での活躍が目覚ましい光石研らも加わり、新鮮かつ豪華な座組が実現することになった。

これまでの作品と、今回改めて感じている劇的なものに回帰するという意識が、うまく融合していけばいいなと思う

――今回の作品を書かれるきっかけになったのは、どんなことからでしょうか。

長塚 あらすじとしては、ある作家が事件に巻きこまれ、そこから逃亡していくという一晩の話ではあるんですけど。それに、僕が常々思っていることなんですが、どこからが夢でどこからが現実かわからないというか、そもそも時間なんていう感覚は誰が作ったものなのか、とか。未知なるもの、ものさしではかることができないものって、この世の中にはたくさんあると思うんですね。そういう、現実と非現実があいまいに融合していく世界を作り出したかった。そして、それを演劇としてどうやって表現できるかということを、考えてみたかったんです。

――稽古前に、ワークショップを行ったそうですね。

長塚 はい、5日間かけてやりました。そのワークショップに、僕はこういうことをやりたいという漠然としたアイデアだけを持って行って。それを伊達、中山2人と、今回出演する何人かの俳優さんに加え、出演しない俳優さんにも参加してもらってね。

伊達 俳優さんだけじゃなく、スタッフさんとかも加わって、遊び感覚からスタートしたんですよ。ひとつの空間にいろんな人がいるから、いろんな思いや考えが聞けるし見られるし。人に出会う場って感じの5日間でした。今までに何度か共演したことのある俳優さんの新たな面を知ることもできれば、初めて会う方とも知り合えて。本稽古の前に、ああいう場が設けられたということはすごく良かったですね。

中山 知り合えるという意味で言うと、たとえば加納さんはスケジュールの都合で少ししか参加できなかったんだけど、そのことで逆に、今後の稽古がますます楽しみになったというか。ちょっと仕掛けてきそうな匂いみたいなものを感じて、すごく面白そうだなと思った。

伊達 加納さんは「若い人に呼んでもらってうれしい、光栄です」って言ってくれてましたからね。僕らも、すごく楽しみです。

中山 光石さんは光石さんで、フルに参加してもらったから、ああ、こういうスタンスで役者としてお仕事をされている方なんだ、だからほとんど舞台をやったことがなくてもこうやってスッとなじめるんだなーと思ったりして。

長塚 うん、うん、確かに。

中山 それと今回は村岡(希美)さんとか(小島)聖とか、昔から何度も共演している役者さんも多いんだけど。ワークショップみたいなことをやったことはこれまでなかったから、そういう意味ではなんだか、わけへだてなく同じ場所にいられるような感覚もあって。ちょっとしたクラス替え感覚みたいなさ。

長塚 ハハハハ。なるほどね。

中山 ちょっと新学期が始まる匂いがするというか(笑)。「慣れない場所だからそわそわするよね〜」みたいな気持ちを共感しながらスタートできる感じ。そういう気持ちを共感することすら、新鮮な感じがしたんだよね。

長塚 そういえば馬渕(英俚可)も言ってたよ、「なんかよくわからないけど、楽しかった!」って(笑)。まあ、今回は実際にこういう役作りをしましょうってことじゃなく、何かしらの発想を得るための、そういう入口にするためのワークショップだったから。その5日間で果たして何ができるんだろう?って考えることが、僕はすごく面白かった。

――この1年間のイギリス留学で、変わってきた部分はありますか?

長塚 変わったというより、確かになったという感じかな。前作の『失われた時間を求めて』のときも、メンバーといろいろ話をして作ったんですけど、まだそのときのほうが自分の作家性みたいなものが強かった気がする。ワークショップもやったけど、事前に僕が台本を書いていって、それをもとにしてやっていた感じだったしね。やっぱり阿佐ヶ谷スパイダースでは、阿佐ヶ谷スパイダースでしかできないことをやりたいんですよ。プロセスを大事にしていきたいということは、今も変わらずに思っていることで。そして阿佐ヶ谷スパイダースっていうのは、この3人が核にはなっているけど、あくまで他の人を巻き込んでの阿佐ヶ谷スパイダースだからね。

――これまでの集大成でもあり、この作品が新たな一歩にもなりそうな気がします。

長塚 今までの僕の作品と、今回改めて感じている、劇的なものに回帰するという意識がうまく融合していけばいいなと思いますね。そういう不思議な世界で、面白いことが提示できればいいな、と。また光石さん、加納さん、あと内田(亜希子)さんという初めて参加していただく人たちと同時に、まあ、言ったらおなじみの阿佐ヶ谷スパイダースの仲間たちがこれだけ大勢出ているというのもいいですよね。ちょっと僕が留学中に再確認できたことを、この作品で中山と伊達と彼らとシェアすることがお客さんにはどう映るのか、僕自身もとても楽しみです。

(取材・文:田中里津子)


2009-12-03 15:10

上川氏の主演する舞台『蛮幽鬼』の公演真っ只中である、11月某日。都内のスタジオで次回主演作『ヘンリー六世』のポスター撮影中の同氏に、今作にかける意気込みを伺った。

──意外にもシェイクスピアは初めてだそうですが、今のお気持ちは?

上川 身構えてはいません。そんなにたくさん見ているわけではないにせよ、どの作品を拝見しても、やっぱり面白いのがシェイクスピアなんですよね。その大半が蜷川(幸雄)さんが演出された作品なんですが。既存のウエルメイドな脚本の作品に出るような気持ちで、今はいます。

── 『ヘンリー六世』の3部作を凝縮するとはいえ、大変長い上演時間ですよね。大作に出演するということについては?

上川 それに対しても、不安は正直、ないですね。直接比較すべきかどうか、わからないですけど、『表裏源内蛙合戦』でも、マチネとソワレを合わせれば8時間ですから。『蛮幽鬼』でも3時間の芝居のマチネ、ソワレを今、やっていますしね。『ヘンリー六世』は剣を振るうこともありませんし(笑)。

── その長さに耐える体力は、どうやってつくるんですか?

上川 あまり耐えている感はないんですよね。鈍感さがいいように作用しているんじゃないでしょうか。そういうことに対して、あまり神経質に捉えないというか。長くても、その時間全部が楽しいんですよ、やっぱり。例えば、『蛮幽鬼』でも、壮大な音楽と作り込まれた映像が流れるその幕の裏側にスタンバイしながら、毎回新鮮ですし、ワクワクします。そこで、「ああ、また今日も3時間やらなきゃいけない」という思いに駆られることはないんです。とても幸せな時間を毎回、迎える感じなんです。

── 『源内〜』で蜷川作品はご経験済みですが、蜷川演出に対してどう思われましたか?

上川 テレビ番組で、なぜか動物と仲よくなっている飼育員とかが、紹介されることがありますよね。特に餌を与えて懐柔するわけでもなく、叱責して従えるわけでもないのに、動物が意のままに動く。すごくいい関係が成立している、魔法のような飼育員、みたいなのが紹介されていることがあると思うんですけれど、そんな感じです。

── 飼育されているんですか(笑)。

上川 「こうやれ」と示唆されるわけでもなく、「いいね、いいね」と持ち上げられて、蜷川さんの思惑に近づくわけでもないのですが、出来上がってみると、蜷川さんの作品の中にいつの間にか、いるんですよ。あれよあれよ、というのが、一番端的でわかりやすいかもしれません。

── 原作を圧縮して上演するシェイクスピアは蜷川さんも初の試みです。その新しい冒険に参加するお気持ちは?

上川 先日、新国立劇場で9時間の『ヘンリー六世』を作拝見してきたんですけれど、純愛以外は全部あるような感じがしたんですね。作品の中に悲劇も喜劇もある。さらに今回は6時間に凝縮してお届けするので、結構、贅沢な経験になりそうですね。僕にとっても。

── ヘンリー六世という役については?

上川 むしろ想像がつかなくなりました。浦井健治さんのヘンリーが無垢でイノセントだったものですから。僕自身は到底、ああはなれないという思いのほうが強かったんです。ただヘンリーの無垢さや、殉教への思いを、例えば、ヨーク公やグロスター公が持っている出世への欲や、サフォークの持っていた色に対しての欲と同じように「業」と捉えると、ちょっとわかりやすくなるかな、というふうに今は思っています。

――ヘンリー六世も、また業を抱えていると?

上川 ヘンリー六世の崇高であろうとした思いも、これまたカルマなんじゃないかという気がするんですよね。責められる要素が少ないだけで。でも強い思いであるという点では、例えばサフォークの「女を手に入れたい」というのと一緒だと思うんですよ。キリスト教で言う「七つの大罪」じゃないですけど、その大罪の中に入らない罪がある気がするんです。彼がやっていることは、正当性があるかって言ったら、疑問だと思うので。隠された「八つめの罪」の中に足を浸していた男なんじゃないかな、って。

――とても楽しみになってきましたが、共演の方については、どんな印象ですか?

上川 ほとんどの方が初めてなので、新鮮な経験になりそうです。大竹しのぶさんとも初共演なんですが、登場人物の中で一番、身のうちに猛るものを携えていたのは、大竹さんが演じるマーガレットなんじゃないかという気がしますね。僕が男で女性を見ているからかもしれませんが。男性の出世欲って、どこか容認できるというか、わかってしまう部分があるので。その勇猛果敢なマーガレットが、とても楽しみです。

(取材/文:沢美也子)

(写真:渡辺マコト)

彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾『ヘンリー六世』

【埼玉公演】2010/3/11(木)〜4/3(土)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【大阪公演】2010/4/10(土)〜4/17(土)
会場:シアター・ドラマシティ

作品紹介はこちら!

2009-11-20 11:42
キャスト全員が競技ダンス出身者というダンスエンタテインメント集団、バーン・ザ・フロア・カンパニーのブロードウェイ最新バージョンがこの春、日本にやってくる!ダンサーの2組にスペシャルインタビュー!

デイモン&レベッカインタビュー

――デイモンとレベッカは「バーン・ザ・フロア・カンパニー」にいつから参加して、どのくらいの期間所属しているのですか?

レベッカ 1999年の10月にバーン・ザ・フロアに入ったので、今年で2人とも10周年になります。

――色々な国で公演をされてきて、今回は満を持してブロードウェイに来られたのですが、感想は?

デイモン やはりブロードウェイでショーをできるということは非常に特別なことだと思っています。ブロードウェイに来ることが出来たのは大きな名誉であり、光栄なことだと思っています。

――ブロードウェイ公演の舞台に立たれての感想は?

デイモン 本当に特別な"想い"がありました。ブロードウェイというと、演劇の世界も含めて、パフォーマンスに関しては非常に長くて濃密な歴史があるわけです。今回公演させて頂いているロングエイカー劇場に関してもそうです。
私たちとしては、我々自身がこれまで本当に愛してきたこのダンスショーを、この素晴らしい劇場で出来ることに、感無量の想いでした。

ジェレミー&サラインタビュー

――2人がバーン・ザ・フロア・カンパニーにいつ入ったのか、また、そのきっかけを教えて下さい。

ジェレミー 入ったのは昨年の1月です。当初は3ヶ月の予定で入ったのですが、リハーサルを始めて2日目に、このカンパニーの素晴らしさに惚れ込みました。カンパニーの素晴らしさもそうですし、ダンサーたちの素晴らしさもそうですし、それから持っているエネルギーの素晴らしさ、それらに惚れ込んでこれからもやっていこうと決めました。

――日本にはブロードウェイで生まれ変わった「バーン・ザ・フロア」が来ることになっています。「是非ともここは見るべきだ!」という見どころやアピールポイントがあれば教えて下さい。

ジェレミー&サラ 日本の熱烈なファンの皆さんに伝えたいのですが、3月の公演では、皆さんがこれまで経験したことがないようなショーをご覧に入れます。
これまでの中でもベストなものをお見せします。
私たちも今まで以上に汗もかきますし、スピードもどんどん速くなっています。また新しい音楽も入れていますのでそういった意味でも本当に良いショーになっています。
かつてないようなショーになっていますので楽しみにしていてください!

――今まで見たことのない人に一言お願いします。

ジェレミー&サラ これまで「バーン・ザ・フロア」「フロアプレイ」をご覧いただけなかった皆さん、ぜひ今回は見逃さないでください。見なければ損をします。このダンスのエネルギーと情熱、それからワクワクするような興奮、こういったものがローラーコースターのようにドンドン押し寄せてきます。そんな素晴らしいショーになっていますのでとにかく見逃さないで見に来てください。
かつてないような素晴らしい、ベストなショーをご覧に入れます。
私たちダンサーだけでなく、お客さんも、手を叩いたり、ニコニコ笑顔になったり、みんなで汗をかきながら、楽しんでいただければと思います。
楽しみにしていて下さい!

地元ニューヨークメディアの劇評

■観客の目をくらませる!スピード感あふれるテンポ。
伝統的なスタイルにポップなバリエーションを加え、精密で洗練されたダンスで魅せるノンストップパフォーマンス

――The New York Times

■カリスマ性を持つダンサー達の洗練されたパフォーマンス!
――New York Daily News

■ハートがドキドキする!素晴らしいダンス、華麗なダンサー
――Time Out New York

■わくわくドキドキさせられる振り付け!世界中から選りすぐった最高のかっこいいボールルームダンサー達が繰り広げる2時間のアドレナリンが出っ放しの興奮。とてつもない才能をもったカンパニーが魅せる圧倒的なダンスショー
――NY1

■熱狂のピークに達したかと思えば、またさらに高みへと興奮が
何度も何度も押し寄せる。素晴らしいダンサー達!

――The Record

■溢れ出るエネルギー!じっと座ってなんかいられない!
――WOR Radio


>>芸術監督・振付を担当するジェイソン・ギルキソンのインタビューはこちら

2009-11-19 20:55
ステージと客席が一体となって燃え上がり、エキサイティングなダンスエンタテインメントで観客を魅了するバーン・ザ・フロア・カンパニーのブロードウェイ最新バージョンがこの春、日本にやってくる!芸術監督・振付を担当するジェイソン・ギルキソンにインタビュー!

――ブロードウェイ公演、おめでとうございます。
実際にブロードウェイでの公演が決まった時にはどのようなお気持ちでしたか?

もちろん、興奮しました。他に、「やってやろうじゃないか!」という強い"気持ち"を持ちました。なぜなら、ブロードウェイで、これまでボールルームのダンスを主体としたショーが上演されたことがなかったので、今回が歴史上初めてだったからです。

そういった意味では、メンバー全員が「私たちの公演が今後もお客さんの記憶に残るような素晴らしい公演にしよう」と決意を新たにしました。

――公演期間の延長が決定したということですが?

非常に喜ばしいことです。
当初は約2ヶ月半ということで公演を始めたのですが、どんどん私たちのショーに人気が出てきて、公演期間の延長が決まりました。とても嬉しかったです。

一般の人の口コミで人気が高まっていったことで、観客の数もどんどん増えていったということが大きな成功の理由だと思っています。

――「バーン・ザ・フロア」は2006年の公演でピリオドを打ち、そこから進化して「フロアプレイ」という新しいショーが生まれたと思っていました。
なぜ再び「バーン・ザ・フロア」なのですか?

元々この「バーン・ザ・フロア」は私たちのカンパニーの名前でした。

2、3年は新しい「フロアプレイ」という名前で公演を行っていましたが、やはりブロードウェイということになりますと、いわゆる「バーン・ザ・フロア」の「reinvented」(=新しいバージョン)ということで、カンパニー名を打ち出すことが非常に重要でした。

「バーン・ザ・フロア」といえば、ダンスカンパニーであるということを皆さんに知っていただいているのですが、その中でも新しい、生まれ変わった「バーン・ザ・フロア」をブロードウェイに持って来る、観客に見せるということは重要だと考え、「バーン・ザ・フロア」に戻したのです。

――では以前の「バーン・ザ・フロア」とは全く違う作品と思って良いのですね?

はい、そうです。過去の「バーン・ザ・フロア」と今回のショーとはまったくの別物だと思ってください。私たちとしてはカンパニーの名前をブロードウェイでつけるということで「バーン・ザ・フロア」にしていますが、「reinvented」ということで「生まれ変わったバーン・ザ・フロア」ということでまったく違うものとして見ていただければと思います。

――日本で終止符をうった「バーン・ザ・フロア」ではなく、新しく生まれ変わった「バーン・ザ・フロア」を日本に持ってきてくれるということなのですね。

そうですね。「バーン・ザ・フロア」にとって、とにかく日本は第二の故郷、心の故郷と言って間違いない国です。非常に素晴らしいたくさんの思い出もあります。このブロードウェイでやっているショーは、これまでとはまったく違うものです。一次元も二次元もレベルが上がったショーとなっています。

ぜひともこの新しくなった「バーン・ザ・フロア」ブロードウェイバージョンを

私たちの第二の故郷である日本に持ってきたいと思っています。これは我々にとっても非常に楽しみなことです。もちろん日本のお客様が何を期待しているのかということも、これまでの経験でわかっています。

さらに進化した素晴らしいショーとして、日本に持っていきたいと思います。

ジェイソン・ギルキソン[芸術監督・振付]

20世紀を代表するラテンダンサーの一人。オーストラリアのラテンダンス部門で16連覇。その間に、世界選手権、全英選手権および国際大会でチャンピオンに。

競技から引退後は、ボールルームダンスの振付・指導・競技大会の審査員をつとめる傍ら、舞台・映画・TVの振付家として世界的に活躍している。2000年のシドニーオリンピックでは閉会式セレモニーの振付を担当し、本人もメインダンサーとしてステージで踊った。


>>ダンサー2組のインタビューはこちら

2009-11-19 20:51
パルコ・プロデュース公演「海をゆく者」が好評上演中だ。
アイルランド演劇界をリードする気鋭の若手劇作家コナー・マクファーソンが、2006年にロンドン ナショナル・シアターでデビューを飾った傑作であり、ブロードウェイ公演でも人気を博したストレートプレイである。




日本を代表する演出家の栗山民也のもと、出演は小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満という百戦錬磨の実力派俳優5人が揃った。
アイルランド、ダブリン郊外の海沿いの町にある古びた一軒家。最近盲目になった兄リチャード(吉田鋼太郎)と、その世話のために帰郷した弟シャーキー(平田満)が過ごす家だ。舞台は、陽の差し込む明るい、でも男住まいらしい少し散らかった半地下のリビングルームで展開する。一見豪放で駄々っ子のような大酒呑みの兄リチャード。一方で物静かに彼の世話を焼く弟シャーキーだが、実は酒癖の悪さで沢山のもの失い今は禁酒中。
クリスマス・イブ。朝まで近所の友人アイヴァン(浅野和之)と飲んだくれていたリチャード。シャーキーは、ドタバタ騒ぐリチャードをトイレに連れて行き、眼鏡が見つからないと探し回るアイヴァンに一緒に探すと声をかける。シャーキーが別室に行った隙に、隠れて酒瓶に手を伸ばすリチャードとアイヴァン。それぞれの鬱屈した想いの中に、三人のやりとりが観客の笑いを誘う。



クリスマスの準備をと買出しに出かけた折、リチャードは飲み友達のニック(大谷亮介)を、イブの夜を楽しむためのポーカーゲームに誘う。ニックと折の合わないシャーキーが嫌がる中、やがて訪れたニックには、ロックハートと名乗る見知らぬ男(小日向文世)を連れてきた。やがてポーカーにという時に外で騒ぎが。ロックハートとシャーキーの二人だけが残ったリビングで、シャーキーは驚くべき賭けをロックハートから持ちかけられる。運命を掛けたポーカーが始まる・・・。
ゲーム中での駆け引きや戯れ言など、短い台詞の応酬の中に、それぞれの人生にある陰や寂しさと、無邪気さが交じり合う。半地下の窓から差し込む光が暖かく感じる舞台で、それぞれの演技力が光る。じっくり味わいたい舞台だ。



パルコプロデュース公演「海をゆく者」
【東京公演】〜12/8(火)まで PARCO劇場
【大阪公演】12/11(金)〜13(日) サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】12/22(火)〜23(水) 会場:名鉄ホール

関連記事 ★e+Theatrix!
栗山民也&小日向文世&吉田鋼太郎 スペシャルインタビュー!

2009-11-19 19:58

 松尾貴史が演出家のG2と組み、1998年に結成した演劇ユニット“AGAPE store”。さまざまなジャンルから個性の強い共演者たちを招き、シチュエーションコメディから、不条理劇、時代劇、翻訳劇などあらゆるスタイルで上演を続けて、はや12年。だが、残念なことにこの第14回公演が解散公演となることが決まった。タイトルからして、まさに『残念なお知らせ』だ。松尾に、果たしてどんなラストステージになりそうなのか、そしてAGAPE storeへの思いなどを聞いた。

計算できないおかしみが掛け算になって出てくる、しずる感あふれるメンバーが今回も揃いました

――AGAPE storeが、今回なんと最終公演ということなんですけれども。

 実は、最初から10年間続けようと言って始めたユニットだったんですよ。でも気づいたらもう12年もたっていて。ちょうど政権も交代したし、もう僕らの役割は果たしたんじゃないかと……いや、それは全然関係ないですけどね(笑)。

――松尾さんから見て、今回はどんな舞台になりそうですか。

 タイトルは『残念なお知らせ』ですけれども、その中味はちょっと、ストレス解消していただけるようなものになると思いますよ。

――松尾さんから作家さんや演出家さんに注文されたりすることはあるんですか?

 いえ、こんな感じの物が好きだろうということは作家も演出家も既にわかっているので、そういう意味では僕は細かい注文などはしませんね。ただ現場で作っていくときには、もっとこうしたいとか、そういうような小さなことは言いますけどね。そうやって実験したり試したりってことが、とめどなく楽しいので。だから、ここでは僕は好きなように泳がせてもらってるような感じになっています。もちろんアイデア出しをしたり、こうしたほうが説得力があっておかしみが増すんじゃないかとか、そんなような意見は言いますけれども。僕はわりと枝葉末節とか、重箱の隅しか見られない人間なのでね。その点、演出家と作家が大きなところで見ていくというような役割になっています。

――今回のスタイルとしては、シチュエーションコメディみたいな感じですか?

 そうですね。ほぼ密室劇です。

――キャストの顔ぶれを見て、どんな座組になったなと思われますか?

 そうですね、しずる感あふれるメンバーばかり、というか(笑)。稽古場の雰囲気はきっと和やかになるでしょうね。塩梅とか融通とか、そういうのがききそうな人が多いので。こういう世界じゃなきゃいやだみたいな人はいない気がします。だからこそ、計算できないおかしみが掛け算になって出てくるんじゃないかとも思いますね。

――今更ですが、改めてG2演出の面白さはどんなところに感じられていますか。

 三次元的なレイアウトの巧みさというかね。それが空間だけじゃなくて、時間がどう過ぎて、物がどう動いたりどう配置されていたら、それがその次の瞬間、何分後にはこうなってるみたいなことを、ものすごく高所から見てる人なんですよ。あ、これは背がでかいってことじゃないですよ、確かにあの人はでかいけれども(笑)。逆算して物を作っていくことがすごく巧みなんですよね。僕自身は目の前に起きている現象しか見えてない人間なもんですから。その代わり細かいことは見ているんですけどね。だから、そういう点でも演出家っていうのはこうあるのが王道なんだろうなっていう感じがします。それに彼はビジュアリストですから。ともすれば僕が通俗的というか下世話な表現をしても、それをちゃんとしたことをしているようにオシャレ感でくるんでくれるような、そんなところもありますね。

僕にとってAGAPE storeは期間限定のテーマパーク。お客さんと一緒に自分の人格形成もやってきた気がします

――今回、松尾さんはどういう役柄で登場されるんですか?

 人形師、ということになっていますね。でもこのままでいくのかなあ。今のところ僕はそのつもりですけど。ま、人形師といっても、とりあえず辻村ジュブローさんみたいな雰囲気にはならないと思います(笑)。

――いつものように、松尾さんならではの声を使った見せ場がありそうな?

 きっとね、こういう珍しい職業をあてがうということは、そういうことを目論んで逆算して種がまかれているような、外堀を埋められているような気はします。僕はそこから、どうやって逃げていくかということですね。

――逃げちゃうんですか? でもお客さんはそれを待っている気もしますが。

 まあ、最後ですからね。そこはできるだけ凝縮した感じでいきたいですよね。といっても別に、持ちネタを見せる場所じゃないですけど(笑)。もちろん、気持ちとしてはそういうサービス精神を盛り込んでやるつもりでいますよ。

――振り返ってみると、松尾さんにとってAGAPE storeはどういう場所だったんでしょうか。

 期間限定のテーマパークかな。毎年、稽古期間も入れて通算で約3カ月、年間4分の1くらいは遊んでもらえる場所、移動テーマパークですね。

――この12年間やってきて、ここで得たものはなんですか。

 得たものは大きいと思いますよ、ものすごく。もともと僕はナレーターから出ているんですけど。最初のころはスタンダップコメディアンとして、いろんなお笑い番組にもいっぱい出してもらったんだけど、だけど自分のなかではコンスタントにお客様の前でやっているわけではないという、コンプレックスというかフラストレーションみたいなものがずっとあったんですね。そんななか、劇場というひとつの空気の中にお客さんが来てくれて、それもお金を払って足を運んでくれて。同じ空間で同じ空気を吸って、笑ったり拍手をしてくれたり、シーンとしてくれたり。こうして舞台をやることで、ホントいろんなことがありますよね。そういうことがすごく、有形無形で面白く自分の中に折り重なっているんだろうなと思います。そうやって、お客さんと一緒に自分の人格形成みたいなことをやってきたような気が、すごくします。

――では、最後にお客様に向けて、今回の見どころを含めてメッセージをいただけますか。

「えー、ホントに最後〜!?」という感じで観てもらいたいです。いぶかしみつつ。舞台はひとつの部屋だけど、ひとつの部屋だけじゃないような感じもするでしょうし、キャストは6人ですけど、10人くらいに感じるかもしれない。それは、いろんなキャラクターが出てくるという意味じゃなくてね。織りなしていく関係性ということ。6角形だと対角線がいっぱいできるじゃないですか。正方形だと2本だけだけど。でもそれが、あれ?6角形でもないな?みたいな。20角形の対角線にも見えるような。そこらへんはG2マジックで、そう見えるようにしてもらいましょう!(笑)

(取材/文:田中里津子)

(写真:渡辺マコト)



2009-11-18 12:15
 今年夏に即日完売となった、ミュージカル「ウーマン・イン・ホワイト」のプレ・イベントMusical Boxを再び開催! 今回は“丸の内オアゾ”の「OO(おお)広場」にて、笹本玲奈を始め、キャストによるトークイベント及びミニコンサートとしてお届けいたします。しかも、無料で参加できます。


ミュージカル「ウーマン・イン・ホワイト」プレイベント Musical Box Vol.2

【日時】2009年11月18日(水)   開場=19:00  開演=19:30

【場所】東京 丸の内オアゾ「OO(おお)広場」 
【出演】笹本玲奈、ウーマン・イン・ホワイト キャスト
※会場はフリースペースのため、基本的にどなたでもご観覧いただけます。
※会場警備の都合上、観覧を制限させていただく場合がございます。


★e+特別キャンペーン!
下記キャンペーン期間内に「ウーマン・イン・ホワイト」東京公演チケットをお申込みの上、ご購入いただいた方には、イベントに参加する楽しみがさらに倍増するキャストとの貴重な時間を共有できるチャンスをご提供します。是非、この機会にお求めください。

◆◆キャンペーン期間:2009/11/11(水)0:00〜11/15(日)23:59◆◆
※期間中にお申込みのうえお支払いをお済ませ頂いた方が対象です。


対象チケットご購入の方【全員に当たる】特典

 オアゾショップ&レストランで使用できるクーポン券(2,000円相当 一部店舗を除く)を購入された方にもれなくプレゼント
※クーポン券の受取方法は登録メールアドレスあてに11/16頃ご連絡いたします。
なお、クーポン券はイベント当日の会場のみでのお渡しとなり、後日のお渡しはできませんので予めご了承ください。

対象チケットご購入の方から【抽選で当たる】特典

 キャンペーン期間中にミュージカル「ウーマン・イン・ホワイト」のチケットを購入された方から抽選で10組20名様には、イベント終了後にキャストとの記念撮影(グループ撮影、写真は1月の本公演会場でお渡し)、イベント会場への優先入場をさせていただきます。(当選者には、11/16頃に登録メールアドレスあてにご連絡いたします)
※キャストとの撮影は会場のカメラマンが行います。お手持ちのカメラでの撮影はお断りしておりますので、あらかじめご了承ください。


2009-11-10 20:08

 1年間の充電期間を経て、今年2009年から俳優活動を再開した石丸幹二。1月に上演した『イノック・アーデン』を皮切りに、『ニュー・ブレイン』『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』『コースト・オブ・ユートピア』と、それぞれに個性の違う大作に切れ目なく出演が続くという、華やかな再スタートの1年となった。そんな大きな節目となった2009年の締めくくりの作品となるのが『兵士の物語』だ。これは『イノック〜』に続く“言葉と音楽のシリーズ”の第2弾となる。ストラヴィンスキーの名曲にのせ、石丸は“朗読”というスタイルで兵士、ストーリーテラー、悪魔、王女という4役をひとりで演じ分ける。この1年間の多彩な経験で何段階もステップアップを果たした感のある彼に、改めて“朗読”という表現の可能性や魅力を語ってもらった。

“朗読”は、自分の世界観みたいなものがお客さんと共有できる表現方法

――今回この『兵士の物語』という作品をやることになって、まずどんなことを思われましたか。

 もともと僕、学生時代にクラシック音楽を学んでいたんです。このトシになってというか、クラシックからかなり離れてしまった今、ストラヴィンスキー作曲の作品ができるなんて夢のようだなと思いました。しかも、役者、語り部として参加できるというのは嬉しいですね。

――朗読というのは、お芝居でする演技とはまただいぶ違うものだと思うのですが。

 そうですね。でも朗読にも多種多様な形があると思うんです。今回は台本を手に4つの役を演じ分けていく、もしかすると動きもかなり入ってくるかもしれない、……俳優としての朗読になると思います。

――前回の『イノック・アーデン』で語りの舞台を実際にやってみて、感想としてはいかがでしたか。

 朗読という形態をとりながらも、ひとり芝居を演じているような感覚がありました。演出の白井晃さんが、台本の文章を眼で追いながら読むばかりではない状況を創られたんですね。だから、椅子にじっと座っていることが少なく、身体でかなり演じることにもなって、「こんなに動くのか!」って驚きました。

――そうなると、朗読でもなく演劇でもない、新たなジャンルというか。

 自分にとって何か新しい形態のものを、と思っていましたので、とても面白くチャレンジできました。「今までの石丸幹二じゃないものをお届けしたいと思います」と言って再スタートした最初の作品としても良かったんじゃないかと思います。何より、自分の世界観のようなものをお客さんと共有できる貴重な表現方法だと改めて確認できました。だから、朗読は今後も続けていきたいですね。

――朗読だからこそ表現できることって、どういうことだと思われますか?

 耳を傾けてくださる方のイマジネーションの扉を、言葉で叩く、ということでしょうか。語り手の想いと、聴衆の想いとは一致しないかもしれない。味わい方は多種多様であっていいと思うんです。僕は、作家の言葉を聴き手に届ける調理人のような存在だと思っています。

――なるほど! それほどたくさん調味料は使わない、素材を生かした料理みたいなものですね。シンプルで、でもとても奥深い感じがします。

 今回の舞台も、そういう料理になるといいんですが。そうなったら理想的ですよね(笑)。

とても上質で、相当に聴きごたえも見ごたえもある作品になると思います

――今年はたくさんの華やかな作品に次々と出演されて、大きな節目の年になったのではないかと思います。振り返ってみて、ご自分としてはどんな1年でしたか。

 これまで僕を応援してくださった方たち、さらには、初めて僕を知ってくださった方たちに、「石丸幹二って一体どんな俳優なんだろう?」と思っていただけるような仕事の積み重ねをしたくって、様々なことに臨んでみたのですが、自分としてはとても満足な1年になりました。自身の可能性を、色々な角度から見つめられたことも、大きな収穫だったかと思います。

――見事なほどに、すべて雰囲気の違う舞台でしたね。

 ええ、違いましたねえ(笑)。そして、ちょうど1年を経たタイミングでもう一度、「言葉と音楽のシリーズ」に立ち返ることができるのも良かった。

――今後も続けたいとおっしゃっているということは、節目、節目でこの朗読というスタイルが続いていったら。

 きれいな竹になるかもしれませんね!(笑)

――そして、来年はどんな年にしたいですか。

 こうして今年、多くのことを経験させていただいた結果、さらに未知のものに挑戦できるんじゃないかと思えるようになりました。そういう新たな石丸幹二をいっそう模索していきたい。そのひとつとして、歌手活動を展開していく予定です。来年の春先あたりにオリジナルのCDを出し、6月にはコンサートで東京、名古屋、大阪、福岡を訪れます。歌手として、また違った意味での自分らしさを発信できたらと思っています。

――では最後に、お客様に向けて今回の舞台のおすすめポイントを教えていただけますか。

 『兵士の物語』は、とても上質な作品だと思います。年末年始の一番忙しい時期ですが、少し日常から離れて、劇場に足を運んでいただき、この作品に触れていただけたらなあって思います。ピアニスト、パーカッショニストのお2人との少人数でのセッションです。こんな『兵士の物語』は滅多になく、聴きごたえも見ごたえもある作品になるかと思います。劇場でお待ちいたします!

(取材・文:田中里津子)

(写真:坂野則幸)

【東京公演 アフタートークショー決定!】
12/26(土)と27(日)の16:30公演終了後、アフタートークショーが決定いたしました!

12/26(土)16:30公演終了後 出演:石丸幹二
12/27(日)16:30公演終了後 出演:白井晃 石丸幹二

※各日の該当公演のチケットをお持ちのお客様が対象となります。
公演終了後、約10分ほど休憩をはさみ、30分程度のアフタートークを行います。


2009-11-10 12:13

 本広克行監督とタッグを組んだ『サマータイムマシーン・ブルース』に続いて、彼らの過去作品『冬のユリゲラー』が、『曲がれ!スプーン』というタイトルになって、再び本広監督によって映画化された(11月21日公開 http://magare-spoon.com/)。そこで原作舞台の方も、映画と同じタイトルに改名し、公開に合わせて全国8ヶ所でドドンと再演! 映画版は、超能力番組のADである女性(長澤まさみ)が、エスパーたちの集まる喫茶店に偶然まぎれ込んだことで起こる騒動を描いてるけれど、舞台版は逆に、その超能力者グループ側の立場から描かれた密室会話コメディとなっている。
 ちなみに同作は、これが4回目の再演。その全部に出ている劇団員も少なくないため、10月の時点で早くも立ち稽古の段階に突入したという。そこで今回は、稽古場リポート+作・演出の上田誠(映画版の脚本も担当)と、諏訪雅・中川晴樹(映画版にも同じ役で出演)のインタビューというスタイルで、お送りさせていただきます。この冬は劇場と映画館で、ヨーロッパ企画の世界をたっぷりとご堪能あれ!



 稽古開始直前に、京都市内にある某稽古場に到着すると、そこにはすでに全役者たちの姿が。みんな台本の読み直しや、ストレッチなどのウォーミングアップに余念がない……と思っていたら、そんな「いかにも役者」なことをしている人は、1人もなし。コーヒーを飲みながら談笑していたり、一生懸命携帯のメールを打っていたり。まあこの、緊張感皆無のユルユルなムードが、ヨーロッパ企画らしいっちゃヨーロッパ企画らしい。

 作・演出の上田誠いわく、今は「台本に沿って演じてもらい、不自然な所をチェックしている段階」だそう。まず昨日の稽古の続きで、自称「どこでもくぐり抜けられる男」こと細男が、実はエスパーではないと判明するシーンから演じられた。さすが今まで何度も上演した演目だけに、はた目にはすっかり安定しているように見える。が、上田は途中で芝居をストップ。「『ウォーミングアップ』や『一旗揚げる』は、日常会話として通ります?」など、役者たちへのダメ出しというよりは、確認を取るような言葉が続く。

 対する役者側からも、上田の「コメディくさい部分をなるべく切りたい」「人間の生理に近い本にしたい」という言葉を受けて「生理って具体的にどういうこと?」などの、探るような質問が次々に飛び出す。一瞬写真を撮るのすらためらわれるほど、真剣なディスカッション。普段のヨーロッパ企画の舞台からは、なかなか想像しがたい光景だ。 20分ほど話し合った後、そのシーンの続きが演じられた。結論は特に出たようには見えなかったが、上田は演技を止めることもなく、むしろ「いい感じ」と、納得したような表情。言葉にこそ出さなかったけれど、上田の意図がしっかり伝わっていることを、役者たちはその演技で証明してみせたのだろう……なんていうと、カッコよ過ぎるか?

 続いて、今回の『曲がれ! スプーン』オリジナルの、オープニングシーンの稽古が行われた。なんでも、本編部分の構造がしっかりとし過ぎているゆえに、現在の劇団員の数に合わせてリライトすることができなかったそう。そのため土佐和成&西村直子は、オープニングとエンディングのみの登場となる。しかしこの部分は、単なる付け足しなどではなく「喫茶店の外側の世界では、今何が起きているか」を印象づけるための、結構重要なシーン。実際本日の稽古中で唯一、上田が演出席を立って具体的な動きを指示したぐらい、気合いが入っているのだ。ちなみにこのオープニングは「映画版『曲がれ! スプーン』と、連動するような仕掛けを考えています」とのことです。

 その後休憩をはさんで、映画版では長澤まさみが演じる超能力番組のAD(舞台版では山脇唯)が喫茶店に現れ、彼女にある危険が迫っていることをエスパーたちが知るまでのシーンが演じられた。ここでは前半の稽古と違い、彼らを見る上田の表情はなんとも楽しげ。時に声を上げて笑うところなんか、演出というよりも1人の観客だ。その柔らかいムードに乗せられたのか、役者の動きも俄然イキイキとし始める。
 そしてADを助けるため、彼らがそれぞれの能力を生かして動き出す……という、ストーリーが大変盛り上がりそうなところで、残念ながら本日の稽古は終了。あー、このお預け状態はかなり辛い(泣)。これは早く、舞台上で続きが観たいですっ!!

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──今日の稽古は、かなり演出と役者が話し合う時間が長かったですが、いつもこんな風に、ディスカッションが稽古の中心になってるんですか?

上田 今日はたまたまですね。今回はすでに完成した脚本があって、僕は演出をするだけという立場になっていまして。なので、脚本に書かれた言葉と役者の身体を、ちゃんとつなげることができるのか? という演出方法を、一度真面目にやってみようかなと。

諏訪 ただ今日は、上田が今までぼんやりと考えてきたことを言葉にしたために、話がどんどんややこしくなってしまったんですね。またそこに別の言葉を足して、さらに役者が混乱するという、ちょっと悪いスパイラルに入ってしまった(笑)。

上田 まあそんな風に、今回は役者たちといろいろしゃべりながら作ってみようかなと考えているんです。新作だと脚本を書くのに追われて「この作品では、こういうことをやろうと思っている」という意図まで、なかなか共有できませんからね。

諏訪 今は一回、ぶっ壊しているという段階?

上田 ぶっ壊すというよりは、一度分解して、掃除して、また組み立て直してるというイメージ。「これって、何でここにあったんだっけ?」みたいな物が、今見直すとやっぱり存在するんですよ。そういった物は、脚本のリライト段階で処理したつもりだったけど、まだ役者の身体にも少しずつ残っているので。

中川  正直4回も演じていて、作品をすごく理解しているつもりになっているけど……。

諏訪 あえてそれをリセットしていく?

上田 みたいなことですね。

──「コメディくさくないように」という言葉が印象的だったんですが、この真意は?

諏訪 形式みたいになっちゃうと観ている人が冷めちゃうから、あまりコメディに見えないようにするというのを、僕は気にしているのかなあと思ったけど。

上田 そうですそうです! コメディに限らず、恋愛物でも何でも、方程式みたいなのがあると思うんですよ。脚本にも、演じ方にも。それに乗っかってしまうと、舞台の中だけで成立して、あまり現実と対応しなくなったりする。それはすごく、避けていきたい。

諏訪 だから役者も、一度身体をリセットした方がいいよね。その方が多分面白く演じられるというか、いわゆる血が通った演技になるんじゃないかなと思います。

中川 ただこの作品って、ヨーロッパの作品の中では一番というぐらいウケるけど、演じていて毎回しんどい作品でもあるんですよ。

上田 ああ、リライトしててもしんどいですね。途中で暗転も入らなければ、外部から何かの情報が入ることもない。つまり役者の会話だけで、話を進めないといけない

中川 だからボケとツッコミのやりとりが、すごく細かいんですよ。前作の『ボス(・イン・ザ・スカイ)』はもっと大きなブロックで区切られてる感じがしたけど、この作品はすっごく小さなブロックで区切られたまま、最初から最後までやってる感じ。

上田 それとすごく、お客さんを当て込んだ作品だからというのもあるかも。お客さんがいるいないに関わらず、舞台の雰囲気だけを拠りどころにしてできる作品もあれば、完全にお客さんの反応を拠りどころにする作品もある。これはもともと、かなりエンタテインメント指向で作られた芝居なので、お客さんの反応に割と支えられてる世界。

諏訪 うん。だからこの作品は、客席がウケんかったら、かなり気になるね(笑)。

──上田さんは映画版の脚本も担当していますが、タイトル以外にも映画に影響されて変更したところはあるんでしょうか?

上田 映画版は、この作品の世界をいっそう深める方向で脚色したんですよ。店の外の世の中では、ちょっとした超能力のムーブメントが起こっている状況であるとか。あるいはエスパーたちが、実は自分たちの能力をもてあましていて「生まれる時代を間違ったんじゃないか?」と考えている感じだとか。舞台版でも、そういう深みのある描き方ができるんじゃないかなと思って、今回実際にやってみているところです。

──諏訪さんと中川さんは映画版にも同じ役で出ていますが、舞台と映画の違いは?

中川 まあ、相手(の役者)が違いますね、当然(一同笑)。

上田 でもそれは、すごい違いなんですよ。この作品は自分1人でキャラクターを作るというよりは、他の人との関係性で人格ができていく部分が結構大きい。だから相手が変わると、自分の半分ぐらいが変化しちゃうようなところが……あるんですよね?

諏訪 そうですね。たとえば細男は、今回永野(宗典)君が演じてるけど、前回の再演では土佐君が演じていて。同じ劇団のメンバーが相手でも、自分自身の演技が変わってしまうぐらいに違ってくるんですよ。ちなみに映画版の岩井(秀人)さんの細男は、意外と大柄な方だったので、「細く……ないな」と思いながらやってました(笑)。

──映画版のいいところって、まず何がありますか?

諏訪 映画はねえ、まず長澤まさみがカワイイ(一同笑)。それとCGがすごい。

中川 超能力の再現がね。舞台版だと、基本何も起きてないから。

上田 あとはズームや引きが、自由自在な点ですよね。長澤さんの視点で見せるカメラワークもあれば、名刺の文字が見えるぐらいまでクローズアップしてみたり、果ては宇宙まで引いて見せるとか(笑)。その語り口のスケールは、舞台ではやれないこと。それは映画の脚本を書く時にも、結構意識してやりましたから。

──逆に舞台版のいいところは。

上田 まさに、この作品の原型ですからね。映画は完全に長澤さんの視点で語られているけど、舞台は単に出来事が目の前にあって、それをのぞき見するような感覚で観ることになる。だからお客さんの好きな視点で、どんな感じで見てもらってもいい。この視点を操作しない所が、舞台ならではの楽しみ方ですね。かと言ってストイックにはなりすぎず、その中でどれだけ遊べるのか? というのを意識していこうと思ってます。

──とはいえやはり、舞台と映画の両方を観た方が、何倍も楽しめそうですよね。

諏訪 もちろんそうです! しかも、2回ずつ観る方が楽しい。

中川 映画を観て舞台を観て、さらに映画を観て舞台を観る(笑)。

上田 それに『サマータイムマシーン・ブルース』よりも、映画版と舞台版との印象が違っていると思うので、ぜひそれを見比べてもらいたいです。

諏訪 そうそう。映画の方は感動作になっているから。

──舞台は感動作ではないとしたら、何になるんでしょうか?

諏訪 笑いとか?

中川 うーん、単に笑いっていうのもねえ。感動作にしときます?(一同笑)

上田 確かに「笑い」って言い切っちゃったら、それはそれでハードル上がるから。でもまあ、笑える……完全にエンターテインメントな作品ですね。

諏訪 そうそう。もう「楽しい楽しい」って言って、手を叩いて観てほしいです。

(取材・文:吉永美和子)




2009-11-04 19:39

NINAGAWAシェイクスピアに新たな伝説
歴史の大河を駆け抜ける、『ヘンリー六世』 来春ついに、そのベールを脱ぐ

 彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾は、彩の国さいたま芸術劇場開館15周年という記念すべき年にふさわしく、シェイクスピア最初の戯曲『ヘンリー六世』を上演します。百年戦争、薔薇戦争と、半世紀にわたるイギリスの激動と波乱の歴史を、壮大なスケールで描いた、シェイクスピアが一躍人気劇作家となるきっかけとなった作品です。
 蜷川版『ヘンリー六世』では、松岡和子さんが翻訳した三部作を、英文学者の河合祥一郎さんが前後編の二部構成に。6時間に凝縮された歴史のダイナミズムを、疾走感あふれる舞台で展開します。
 キャストには、彩の国初登場の上川隆也と、大竹しのぶを迎え、その競演も見ものです。 彩の国シェイクスピア・シリーズ最新作『ヘンリー六世』に、どうぞご期待ください。



王位継承から薔薇戦争、権力闘争へ  戦いのドラマは続く……

イングランド王ヘンリー五世の死により、その息子ヘンリー六世が王位を継承するが、若い王は政治情勢を統治できず、身内の摂政グロスターと司教ウィンチェスターは反発しあっている。フランスではジャンヌ・ダルクが皇太子シャルルと共に軍を率い、イングランド軍と激しく攻防する。イングランド国内では、ランカスター家とヨーク家それぞれを支持する貴族たちが対立し、一触即発の状況が続いていた。イングランドとフランスの間に和平が締結し、ジャンヌは処刑される。ヘンリーはサフォーク伯の策略によりアンジュー公の娘マーガレットと結婚する。ヘンリーの忠臣グロスター公の妻エリナーが反逆の罪で処せられ、その後グロスター公も王妃マーガレットの愛人となったサフォークの謀略により暗殺される。ヘンリーはサフォークを追放し、王妃は悲嘆する。一方、密かに王位奪還の準備を進めていたヨーク公が出兵し、薔薇戦争が勃発する。戦いはヨーク家が優勢となり、ヘンリーはヨーク公に王位の譲渡を約束するが、マーガレットは大軍を率いてヨーク公を刺殺する。両家激戦の末ヨーク軍が勝利し、ヨーク公の長男エドワードが新王として即位する。マーガレットたちはフランスに逃走し王ルイに助けを求めるが、エドワード軍の追撃によりマーガレットは捕らえられ、息子の皇太子は殺害される。ロンドン塔に幽閉中のヘンリーもエドワードの弟リチャードに刺殺され、薔薇戦争は終結を迎える。が、野心家のリチャードはすでに次の王位を目論んでいた…。

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出演:上川隆也/大竹しのぶ/高岡蒼甫/長谷川博己
たかお鷹/原康義/山本龍二/横田栄司/塾一久/木村靖司/石母田史朗
吉田鋼太郎/瑳川哲朗/他
演出:蜷川幸雄


【上川隆也】
 1989年より本年7月まで演劇集団キャラメルボックスに在籍し、数多くの作品に出演。95年NHKドラマ『大地の子』主演を皮切りに、映像でも活躍。近年の主な出演作に、舞台『ウーマン・イン・ブラック』『その男』『蛮幽鬼』、TVドラマ『白い巨塔』『功名が辻』『赤鼻のセンセイ』、映画『梟の城』『パコと魔法の絵本』『私は貝になりたい』など。蜷川幸雄演出作品には08年の『表裏源内蛙合戦』以来、2度目の出演である



【大竹しのぶ】
 1975年に映画『青春の門 筑豊編』でデビュー。その圧倒的な存在感から世代を超えた支持を受け続け、舞台,映画,TV,音楽等ジャンルを問わず相次いで話題作に出演し、主要な演劇賞を多数受賞。蜷川幸雄作品では、『メディア』『マクベス』『エレクトラ』『パンドラの鐘』に出演。近年の出演作は『グレイ・ガーデンズ』(宮本亜門演出)『ザ・ダイバー』(野田秀樹演出)『桜姫』(串田和美演出)『女教師は二度抱かれた』(松尾スズキ演出)など。



彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾『ヘンリー六世』

【埼玉公演】2010/3/11(木)〜4/3(土)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【大阪公演】2010/4/10(土)〜4/17(土)
会場:シアター・ドラマシティ



2009-11-02 21:00
 いよいよ10月27日(火)からスタートする新国立劇場演劇2009/2010シーズン。その開幕を飾る超話題作、『ヘンリー六世』の公開舞台稽古が同劇場中劇場(東京・初台)にて24日に行われた。



シェイクスピアの壮大な歴史劇、ヘンリー六世

『ヘンリー六世』は、シェイクスピアの実質的デビュー作となった20代の作品で、彼の全作品中、唯一三部にわたる壮大な歴史劇。物語は、英仏間の「百年戦争」から、イギリス国内の王位継承問題に端を発した「薔薇戦争」までの15世紀の西ヨーロッパの激動を舞台に、生後9カ月で王位につき、その生涯を権力闘争に翻弄されたヘンリー六世と、彼をめぐる戦いと愛憎を描く、人間たちの壮絶な「戦い」のドラマだ。日本ではなんと1981年以来、28年ぶりの上演となる。このめったにない機会に人々の熱い期待が寄せられている。

 演じるのは、総勢38名の日本演劇界を代表する人気と実力を兼ね備えたキャスト。三部作合計で200役以上の登場人物を演じ分ける。

実力派キャストが勢ぞろい。公開舞台稽古をレポート!

 公開舞台稽古では、「第一部 百年戦争」が公開され、本番を間近に控え、俳優陣が充実の完成度を披露。人々の争う様に心痛める優しいヘンリー六世を静かな透明感で演じる浦井健治、新たな解釈で人間味溢れるヨーク公役に挑む渡辺徹、シェイクスピアの描くジャンヌ・ダルクを演じきったソニンほか、38名全員を紹介しきれないのが残念だが、豪華キャスト陣の気迫あふれる見事な演技で、27日からの本公演を期待させる舞台稽古となった。

 中嶋朋子演じるマーガレットは、第一部では若き娘時代だが、王妃として、母として、第二部、第三部では、大きく強く飛躍していく。第一部では看守役などで登場していた岡本健一は、第二部、第三部でリチャードの鬱屈したすさまじい野心と悲しみを見事に表現するに違いない。三部作という超大作ならではの、スケールの大きな造形に期待がふくらむ。

 稽古後の会見で、ヨーク公役の渡辺徹は、「稽古場での9時間の通し稽古が終わった時は感動的だった。期せずして役者、スタッフ全員から拍手が起こった。すごい一体感のあるカンパニーになった。役者ってすごいなと改めて思っている。いい作品にめぐりあえたことを本当に幸せに思っている。」と語った。

 王妃マーガレット役の中嶋朋子は、「14歳の時から、母としてのマーガレットまでの成長を演じる。女性としての変化が盛り込まれていて難しいがやりがいのある役。こんな経験はもうなかなかないと思う。」と語った。

 ジャンヌ・ダルク役のソニンは「戦士として戦うジャンヌの気持ちを実感したくて、80センチあった髪をばっさり切った。最後の断髪を自分で行い、さすがに涙が出てきたが、髪を切ったという行為と髪が短い今の自分によって、ジャンヌの決意を自分のものに出来た」と語った。

 リチャード役の岡本健一は、「リチャードはなかなか大変な役。言葉で説明出来ないすさまじい役です。ぜひ劇場に足を運んで、その残酷さと心に湛える悲しみを観て下さい。」と語った。

 ヘンリー役の浦井健治は、「この芝居にかかわったすべてのみなさんの力が、すごい作品を生み出した。ここに観客のみなさまが9時間客席に座ってくださることにより、『ヘンリー六世』は、より素晴らしい、完璧なものになります。ぜひ劇場に足を運んで下さい。」と締めくくった。

 演出は新国立劇場芸術監督鵜山仁。「過去から未来への高遠な広がりと、いつの世も変わらない人間の卑小さを、舞台上に写し取りたい。」と長年温めてきた大型企画を実現させた。奥行約30メートルの広い舞台。手前には記憶の掃溜めを表現する堆積したゴミの山。素晴らしい照明・音響とのコラボレーションにより、一つの舞台が一瞬にして全く違う舞台へと早変わりしていく。「観客と舞台の境界線はない」という鵜山監督の演出では、客席の扉までが舞台となっており、まさに観客も一体となって緊迫感を共有することになる。

 空前絶後の壮大なスケールで新国立劇場の舞台に実現した『ヘンリー六世』。本公演は10月27日(火)より新国立劇場中劇場にて全30公演を開催。チケットは好評発売中。 一部完売の日もあり。チケットのお求めはお早めに!



>>新国立劇場『ヘンリー六世』特設ページ

2009-10-29 18:09

大槻ケンヂ原作の青春物語を舞台化した舞台「リンダリンダラバーソール」の再演が決定!
主演の西島隆弘(AAA)さんにインタビューを行いました。


――昨年12月から1年での再演となりますが、再演が決まった時の感想はいかがでしょうか?

早っ!!と思いました(笑)
去年の打ち上げの時にキャストさんとスタッフさんとで「またいつか再演したいね♪」なんて話ししてたら翌月の1月(今年の1月)にスタッフさんから「箱(会場)おさえたよ!」って言われて、ビックリしましたね。でも楽しみです。

――演じられるキャラクターについて、その魅力は?

感受性豊かな割になかなか素直に動けないムズムズする感じが気持ち良いです。

――原作者である、大槻ケンヂさんとはすでにお会いになってらっしゃるかと思いますが、演じる上での何かアドバイスなどはありましたか?

大槻さんには「よく歌えたねぇ!いやっホントに素晴らしかった!」って言われて
「もうあのまんま、残りの公演やりきっちゃって下さい!」って言われました!

――共演者の皆さんの印象は?

皆酒飲める人は酒好きです(笑)
お芝居に熱い方が勢揃いです!

――先日、AAAとして4周年を迎えられた西島さん、AAAとしての西島さんと役者として
の西島さん、気持ちの切替方法などありますか?

ないですね。エンターテインメントとして考えるとどちらもお客さんに楽しんでもらって尚且つ、やってるチームも楽しむ!あんまり 切り替える意識はしてないです。

――最後に。本作品の見どころ見せどころ、また、より物語を楽しめる観劇のポイントなど劇場へいらっしゃるお客様に向けて、メッセージをお願いいたします。

音楽やってる人達が一度は思うであろう素直な「ただ、歌を歌いたいんだ!」という所がガツンと伝わってきます!


リンダリンダラバーソール

【日時】12/2(水)〜12/6(日)
【会場】全労済ホール/スペース・ゼロ (東京都)


2009-10-29 10:57

サンプル「あの人の世界」 (フェスティバル/トーキョー09秋) 上演間近!
【e+特別インタビュー】 松井周 × 山内ケンジ

人気CMディレクターと演劇界の鬼才、異色の顔合わせ
ソフトバンクCM白戸家「お父さん入院する」篇、白戸家「お父さん感謝される」篇に医師役で出演中の松井周。演出を手がけたのは人気CMディレクターにして、山内ケンジ名義での「城山羊の会」作・演出の評価も高い山内健司。
CM界、演劇界が注目する2人にCM演出の裏側から松井周新作「あの人の世界」まで幅広く話をきいた。

>>チケット詳細・申込みはこちら!

ソフトバンクCMの反響

――ソフトバンクCM白戸家「お父さん入院する」篇、白戸家「お父さん感謝される」篇へ出演されていますね。

松井 僕もCMであんなに画面に出たのは初めてですね。髪型とメガネが普段のままなので、指差さしはしないけど人に「はっ」とされる経験は何度かありました。どんな人か分からないらしくて、話かけられなかったけど(笑)

山内 昔はもっとCMが最初っていう役者の使い方が多かったんだけど。小劇場でいえば風間杜夫とか平田満とか。面白い役者がいたらCMで発掘する、みたいな。最近は逆というか映画とかテレビで面白い人をCMで、というパターンが多いから、そういった意味では、あんまり面白くないんですよね。

松井 山内さんってそういう感じですよね?

山内 面白い人がいたら一番最初に使うぞ、みたいのはあるんですよ。

松井 ははは・・・
山内さんの画面の切り方かどうか分からないんですけど、あ、これ山内さんの演出だって、ぱって分かる"シルシ"がありますよね?

山内 間を詰めるってことなんですけどね。

松井 あ、そうなのか。ソフトバンクの犬篇の最初の方で「あ、これ山内さんかな」って思ったんですよ。まず映像でも山内さんのリズムというのはあって、演劇でもそれは感じます。

2004年から作・演出を始めた同期

山内 演劇はまだ全然勉強中です。始めたばっかりなんで。

松井 え、でも2004年だから僕と一緒じゃないですか。

山内 いや、それは知ってるんだけど・・・

――今何本目ですか?

山内 7本目です。

松井 そんなに変わらないじゃないですか(笑)。

――サンプルにはどのような印象をもたれていますか?

山内 サンプルの芝居は難しくないのに、アフタートークで松井さんが説明すると難しくなってしまう・・・(笑)

松井 僕の芝居は、仮説を立てるときには、人がこういて、絵の具を混ぜるように混ざっていったらいいな、みたいにコンセプト自体は絵の具で話せば分かるんですけど、それを人でやっていくとグチャグチャになってしまう。

山内 松井さんはほら、役者として知っていたから、その本人のイメージとはかけ離れた「淫靡」というか「ダーク」な、良く言われるでしょう?

松井 言われますね。

山内 「閉鎖的」な感じがしますね。僕は全作品見ているんですけど、1本目(『通過』)から始まって2本目(『ワールドプレミア』)は抽象的で、3本目の『地下室』、あれが普遍的な印象。特殊な状況は特殊なんですけど、あるパターン、宗教、というか実際のモデルがあるような状況で。あれで感心しまして。

松井 はあ。

山内 その次に『シフト』でまたもや特殊な世界に戻るでしょう?

松井 はい。

山内 それで、あまりにも自分からかけ離れた、距離感を感じて。
比べて、この前の『伝記』は『地下室』のようにモデルがあるかのような、社会人や会社に焦点をあてた設定が珍しかった。僕のクライアントに実際にああいう家族経営の会社なんかがあるわけですよ。劇団ではあまりとりあげないですよね。

松井 そうですね。

山内 ピーター・ブルックの「マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」っていうすごく長いタイトルの映画があるんですけど、最後がカオス状態で、あれを思い出しました。

松井 『伝記』をほめてもらえるのは凄く嬉しいですね。口語表現から演劇ですよ、っていうのをもっとできないかな、というのに取り組んだ最初の作品で。
口語的表現から距離のある世界なんですね。メロドラマとかソープオペラ、昼ドラみたいな感じを少し残しつつ、家族経営や地下シェルターという、あるのかないのか分からない、そういう感じと、手作りな感じはもともと持っているもので。結局今行われているのは家族の痴話喧嘩なのか、歴史が絡んだ再現なのか分からなくなるような。例えば戦争表現で場内を赤く照らして空襲で逃げ惑うシーンを演じているつもりの本人達は、ショボイセリフの中で小麦粉を投げるしかない、という、日常を演じているのか、演劇を日常にもってこようとしているのか分からないというか。

山内 面白かったですよ。導入が面白いし。

松井 山内さんの芝居も、口語的過ぎない感じもありますよね。

山内 もうねえ、全然新劇ですよ(笑)

松井 全然そうは思わないです。それを選んでいる感じがします。そういう言葉遣いをどうしても俳優に言わせたい、みたいな山内さんの欲望を感じます。

山内 ああ、それは岩松さんの影響は大きいですね。

松井 僕もそれは自分に感じます。岩松さんの欲望と直結している言葉を、ブレーキかけつつ暴走していくっていうか・・・

山内 岩松さんは、演劇っぽいというか、あまりに美しいセリフ回しになってても、それが許せてしまう瞬間、そのセリフに向かっていく面白さ、がありますよね。あれが快感というか。

――山内さんは2004年から「城山羊の会」の作・演出をやられているのですが、CMディレクターのお仕事と演劇は山内さんにとってどのような位置づけですか?

山内 はじめは長く続ける気はなかったんですよ。もともと深浦加奈子さんに出演してもらう企画として始めて、キャストがきまってから完全にあて書きしていたんです。今もそうですけど。

松井 そうなんですか?

山内 だから、いきあたりばったりというか、何をしたいとか松井さんがいうコンセプトみたいなものはなくて。キャストがどういう人かとか、どういう役がいいかとか、どういう関係性にしようとかいうことですね。
それと、なんで演劇を続けているかというと、僕は映像しか知らないから単純に勉強ですね。

松井 なるほど、映像は瞬間ですから。舞台は時間による変化もありますものね。

山内 1ヶ月半稽古するとか、映像ではありえないですから。
僕けっこう、演出が淡白で。通しながら稽古するんですよ。青年団系の役者さんはもっと細かく切って稽古してくれないと、っていいますね。

松井 ああ、そうですか。そういう演出する方もいますよね。

山内 深浦さんは、どちらかというと、そのシーンを最初から最後までとにかく繰り返して通すっていうタイプだったので、僕は彼女から稽古そのものを学んだようなものだから、そういうやり方になる、というか、それしか知らなかったわけですが、そうしたら青年団系の役者さんは戸惑っていました。ほんと、役者さんによりますよね。松井さんは役者として細かく注意されたいですか?

松井 役者として?僕が俳優としてやるときに一番気にしているのは、演出家の視線そのものなので、長くやっても細かくやっても演出家が喜ぶならそれでいい、というか。そういうSMでいうとM的なものが俳優だと物凄く大きくて、全部指示通りにしたくなってしまう。

山内 その指示が出ない場合があるじゃないですか?

松井 それは放置プレイですよ。

山内 僕はむしろそうだから。

松井 それは待ちますよ。

山内 お任せします、というのも変ですが自分で考えてきてください、というか。

松井 そうなったときには、少しご褒美が欲しい、じゃないですけど、ちょっと違うことやってみようかな、これで何も言わないのかな、みたいな。そういう俳優の心理になってくるんですよ。そこから面白いもの出してくるパターンもあるんじゃないですか。

山内 結局青年団の俳優さんなんかは、何も言わないと本番近づくにつれて、どんどん出してきてくれる、それでいいです、あっちの方がいいです、といえたりして。結局最終的には変わらないんじゃないかなって思っていて。最初の方で細かく吟味してやるかという違いで。

松井 それは、人によるし、目標というかゴールはそんなに変わらないことがあるかもしれないですね。

山内 ただ、ひょっとして、役者さんによっては本番まで出してこれないかもしれない、という場合があるじゃないですか。それは凄く不安になりますよね。

松井 そうですね。
地図をちゃんと自分で持っている人というか世界を作っていけるひとはいますよね。例えば動物的にカンが鋭くて、この先どういう風に転がっていくか本能的に分かる人と、地図がない状態で指示がないと自分がどこに立っているかわからない状態でぼんやり過ごす人の違いは、あるかもしれないですね。

それぞれの今後について

山内 「あの人の世界」は台本はもう上がっているんですか?

松井 あがっているんですけど、もう一回書き直しているんですよ。
つまり確率の低い方へと書き進めていたら、線が繋がってなくて。その線を稽古しながら作っていっている感じなんですよね。

山内 難しいですね。

松井 潜在的には何か(つながる線)あったと思うんですけど、出しながらつなげているという感じですね。

山内 設定はどういうのなんですか?

松井 一応、墓場の上と下、みたいな感じです。

山内 ・・・ゾンビですか?

松井 そうですね、ゾンビみたいのもあります。上からも下からも横からも呼び合う、というか。「嵐が丘」のヒースクリフとキャサリンみたいな感じで、男と女が呼び合って会うみたいな、男と女が会う話です。

山内 墓場ということは、女は死んでいるんですか?霊的な?

松井 死者の視点から死者の物語を作ったらどうなるかという話と、逆に生きている側の妄想と、混ぜるじゃないんですけどそれぞれの妄想で、それぞれの登場人物を包んでみたいっていう。

山内 ヘンリー・ジェームズみたいなのかな?この俳優さん達なら何やっても楽しみですね。

松井 そうですね。

山内 あの、今の演劇、下手すると面白いのはアゴラと春風舎ばかりになっちゃうじゃないですか?
で、深浦さんが亡くなって、僕は深浦さんとやっていることが松井さんら若い世代と違うことをしているという存在理由だったところがちょっとあったんですよ。で深浦さんが亡くなってみたら僕が演劇をやる必要があるんだろうか?って考えた部分があるんです。

松井 なるほど。

山内 つまり岩井君(注1)にしろ、柴君(注2)にしろ、クオリティーの高いものを観ると圧倒されるわけですよ。自分がどこのポジションにいればいいのかっというか。深浦加奈子がいなくなったら何を武器にやっていけばいいんだろう、って。今も思っているんですけど。
アゴラと春風舎以外に演劇は沢山あって、このままどっぷり漬かっていると、演劇に煮詰まっちゃうなって思った。

松井 それはめちゃくちゃ面白い話で。同じことを考えることはあります。アゴラから離れようということではないけど、柴君がやっていることも岩井君がやっていることもどっちも面白いし、本当にショックを受けます。全く山内さんと同じことを思います。その中で、山内さんが別のポジションでやっているとか、松田正隆さんがやっていることが・・・、

山内 (松田さんのやっていることは)どかんと変わりましたしね。

松井 そう、ああいうことが面白いし、あんまり悲観してないんです。そういうマッピングがあることが僕にとっては凄く重要で、それぞれのメディア、着地はあるから、どれかにひっぱられることはなくていいと思っているんですよ。春風舎・青年団系というひとつの流れはあるかもしれないけど、僕は当事者として在るというよりは、僕は自分のポジションでやっているという感じですね。山内さんは山内さんのままやっていればいいと思うんですけど・・・。

(注1)岩井秀人 ハイバイ
(注2)柴幸男 ままごと


【山内健司:CMディレクター】
1958年東京都出身。CMディレクター。『NOVA』、『クオーク』、『コンコルド』(静岡のパチンコチェーン)、『ソフトバンク/ホワイト家族』、『サッカーくじBIG』などあきれるほど多くのCMを手がけている。
2004年から突然、演劇の作・演出を開始。深浦加奈子を主演に迎えた『葡萄と密会』から、2009年の『新しい男』まで7本を上演している。プロデュース・ユニット名は「城山羊の会」。
▼関連リンク/ソフトバンク モバイル CMギャラリー


【松井周】
1972年東京生まれ。1996年、平田オリザ率いる劇団青年団に俳優として入団。その後、作家・演出家としても活動をはじめ、処女作『通過』、2作目『ワールドプレミア』が日本劇作家協会新人戯曲賞入賞。
2007年に「サンプル」という劇団を起ち上げ、主宰と作・演出を担当する。
2008年にサンプルとして公演した『家族の肖像』(作・演出:松井周)が第59回岸田国士戯曲賞最終候補にノミネートされる。
海外の戯曲を演出する機会も多く、『Phaedra's Love』(作:サラ・ケイン)や『Fire Face』(作:マリウス・フォン・マイエンブルグ)などの演出も手掛ける。
http://www.samplenet.org


フェスティバル/トーキョー09秋
サンプル『あの人の世界』
公演日:2009/11/6(金)〜15(日)
会場:東京芸術劇場 小ホール1
作・演出:松井周



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2009-10-28 16:21
アイルランド演劇界をリードする気鋭の若手劇作家、コナー・マクファーソンがロンドン ナショナル・シアターでデビューを飾った傑作であり、ブロードウェイ公演でも人気を博したストレートプレイ『海をゆく者』が、11月のパルコ劇場にて日本初演の幕を開ける。 クリスマス・イブの夜に集まった男5人が過ごす時間と、その先にあるものとは――?
演出の栗山民也、ミスター・ロックハート役の小日向文世、リチャード役の吉田鋼太郎が、作品の持つ魅力を語ってくれた。

▲左から小日向文世、栗山民也、吉田鋼太郎
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「まずは順番を覚えるのが大変」(吉田)

――お稽古拝見させて頂きました。いよいよ動き出したという手応えはいかがですか?

栗山 今日で2度目の本読みだったけど、この作品はやっぱり非常に熱い。それはとても面白いってことなんだけど。日本の芝居って最近低調な芝居ばかりでしょ? そんな中これはちょっと刺激的で、鋭角的な芝居で、いいと思うよ。

小日向 1度目の本読みで何の準備もせずにワァーッと読んだときにすでに面白かったですからね。

吉田 今日も後半のほうが面白かったね。みんな温まってきてさ。

―― 一晩中酒を呑みポーカーをする男たち。会話劇といっても誰が何を飲むかとか、ゲーム中での駆け引きや戯れ言など、短い台詞の応酬が多いですね。

吉田 そうそう。「次俺だっけ?」って、まずは順番を覚えるのが大変で。しかもリチャードはまたよく喋るからなぁ(笑)。

小日向 感覚的なコトバが多いから実は難しい。今日も思ったけど、何かの拍子にパンッと台詞が切れたら、思い切りそこで止まっちゃうよ。芝居自体はね、絶対楽しくなると思うの。でもそこに行き着くまでにはもがき、苦しむんだろうなって感じてる。

吉田 それこそ稽古も後半になればかなり温まってるだろうから、早くそこに行っているであろう自分たちを見たいですね。

栗山 今回はいろんなことを試したほうが面白い結果になるだろうね。例えばリチャードの喋っているところなんかも、他の人も一緒にやいのやいの、もう邪魔するぐらいにさ、そういうシーンになったほうが面白いよ。

吉田 うーん、栗山さんがそうおっしゃるなら、GOが出たってことですね。だったらもうガンガン行きましょう。

小日向 通し稽古をたくさんやりたいなぁ。

栗山 どこが誰の順番かも見えなくなるくらい稽古したら楽しいだろうね。

小日向 日常だってそうだもんな。「えっ、何?」って何度も聞き返したり。そもそもみんな酔っぱらっちゃてるし。

吉田 なんかもう理屈じゃなくなってますよね。

栗山 だからね、この脚本(ホン)は緻密に書かれてもいるんだけれど、どこをカットしても成立するの。そのへんのアバウトなやりとりっていうのが実は凄い。人間をリアルに描くっていうのはこういうことなのかなって。  今、特にイギリス演劇は〈in your face〉って言うコトバがあって、〈あなたの前に置かれているもの〉を描く作家が凄く多くなった。昔の作家は神や家族愛、何か大きなテーマを絞り込んで書いていたんだけど、今はもうそうじゃないんだよね。サラ・ケインなんかもそうだけど、ある生活の断面をバサッと切り取って、そこにある生々しいものにあなたたちは向かい合うんですよっていう演劇。この作品もその一端なんだろうな。

「暗い部分を押し隠して男だけでワァーっとやってる感じがすごくいい。」(小日向)

――物語を楽しむのではなく、男たちそのものを見る。

栗山 うん。だって5人でポーカーしてるだけだから、物語にそんなに比重はない。役者が持っているモノのぶつかり合い。リアルタイムでずーっとつながっていく、その中の微妙なところに人間性がどう絡んでいくのか、どう立ち回っていくのかっていうところだよね。

吉田 そういうことなんでしょうね。そのぶつかり合いの中に人間の一生…っていったら大げさだけど、人間の持つエネルギーとか静かな情熱とかが見えてくるドラマなのかも。

栗山 実際行ったこともあるんだけど、この作品の舞台であるアイルランドって町のあちこちに本当にたくさんのパブがあって、観光名所もほとんど酒がらみだし、人間は本当に嫉妬するくらいゆったりと生きてる。抑圧の歴史の中で身につけた国民性なんだろうけど、まさにあそこは酒と妖精と魂の国。だからクリスマスの奇跡のような出来事がリアルな中に描かれてても、「ああホントにこういうことあるかもな」って、違和感なくリアルなまま感じられるわけ。日本にはその感覚はちょっとないよね。

吉田 やっぱり翻訳劇だから、自分にもそのあたりの"大きなもの"の存在はスッとコチラに入って来ない部分はありますね。まだ少しモヤがかかっている。そこは稽古で解消していきますけど。

小日向 ただ彼らは本当にエネルギッシュ。イブに男だけで一晩中酒飲んで…って端から見たら侘しいんだけど、彼らは嬉々として過ごしてて力強さがある。ああ、こういう人たちは神様が祝福してくれるんだなって、ジーンとくるものを感じるんですよ。リチャードなんて、特にそうじゃない?

吉田 確かにリチャードは魅力的な男ですね。まあ酒に目も頭もやられちゃってるんだけどさ(笑)、悪意がなくて、腹は綺麗で弟が大好きで。

――ポーカーのメンバーはリチャードとシャーキー(平田満)の兄弟に、彼らの友人アイヴァン(浅野和之)とニッキー(大谷亮介)、そしてふいの客人であり少し謎めいた存在のミスター・ロックハート。4人に負けず、ロックハートもかなり呑んでますが。

小日向 呑まなきゃ普通に強いのに、どんどん呑んでどんどんダメになっちゃう。彼は「俺はあんたたちにとって驚異の存在なんだ」っていうのをあえて口にしちゃって、グーッと頑張り過ぎちゃって…。でも実は誰よりもいじけたり嫉妬したり、一番人間臭い、ちょっと可哀想な人。みんなの力に負けて、酔うほどに崩れてしまう感じも出せたらいいんだけど。

栗山 彼らはものすごく寂しいんだよね。あそこには土の中の深いところにあるような、癒されない魂が集まってるんだよ。

小日向 その一方で非常に無邪気。背中合わせというか、暗い部分を押し隠して男だけでワァーっとやってる感じがすごくいい。僕はそこに色っぽさすら感じるし、人間ってそういうものだよなぁって思うな。

「観る人によってバラバラの印象を与える作品になればいい。」(栗山)

――5人の男優が生み出す空気感にも大いに期待したいです。

吉田 そうだね。同年代5人が集まっての芝居なんて、最近ほとんどなかったからな。何しろ顔合わせで最初に出た話題が頻尿だからね。…俺は違うけど(笑)。

小日向 「またトイレかよ。近いな〜」って(笑)。でもやっぱり同世代が集まって同じ時間を共有する稽古場は、それだけで楽しいんですよ。みんなに影響されて刺激されて、僕ももっと熱くなりたいって思ってる。栗山さんのダメ出しをいっぱい受けながら、ね。

吉田 日本で名優と呼ばれている方々と一緒にやる。それだけでドキドキしていて…。今はまだ本読みの段階ですからね。まだみなさん10%くらいの力なのかなって思うと、これからどうなるのか楽しみでもあり、「これは置いていかれたら終わりだな」と(笑)。

栗山 僕も楽しみはいっぱいあるんだけど、演劇って人間を描くことなんだよね。とにかく5人の人間がいる。そこでいろんな感情が無数に対決していくその瞬間、観客は予期せずして良いものがいっぱい見えてくるっていう、そういう作品になったらいいね。最近、客席全員が総立ちっていう凄く気持ち悪い現象があるけど、ああはならないほうがいい。終わっても涙で立てない人もいれば、「なんだあの汚い中年は」ってあきれて帰っていく人もいるような、観る人によってバラバラの印象を与える作品になればいい。

小日向 底辺に生きる中年男の芝居、いいよなぁ。あれだよね、若い人たちに「これは絶対自分たちじゃ出来ないな」っていう風に思わせたいよね。50歳、みんな若い頃からずっと芝居やって来てるんだぞ、そんなに簡単にはここに立てないぞってさ。

吉田 やるからにはそうですよね。くれぐれも「ああはなりたくないね」と言われないように(笑)。

小日向 (笑)。

栗山 芝居っていうのはこういうもんだっていうのを見せますよ。

小日向・吉田 おおーっ。

栗山 「これがホンモノだ」っていう舞台をね。


〈取材・文/横澤由香〉

〈写真/渡辺マコト〉


パルコプロデュース公演「海をゆく者」
【東京公演】11/14(土)〜12/8(火)
会場:PARCO劇場
【大阪公演】12/11(金)〜12/13(日)
会場:サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】12/22(火)〜12/23(水)
会場:名鉄ホール


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2009-10-23 19:34

 マーロン・ブロンドやアル・パチーノも習得した20世紀演劇界最高の功労者、スタニスラフスキーの演技理論"スタニスラフスキー・システム"に基づく舞台で名高い、国立モスクワ音楽劇場バレエ団。
 2008年に新しく芸術監督に就任した元ボリショイ・バレエのトッププリンシパル、セルゲイ・フィーリンが率い、専属オーケストラも含め総勢130名で来日する。クラシック・バレエの美しさに新しい息吹を加えながら進化を遂げた、舞踊スペクタクルをお見逃しなく!

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観るものすべての心を震わすドラマティック・バレエ

 3年ぶりの来日公演となる今回は、「オープニング・ガラ」でスタートし、1941年の創立から30年間にわたり同劇場の芸術監督を務めたブルメイステルの遺した名作「白鳥の湖」と「エスメラルダ」を上演。この劇場の歴史だけでなく世界のバレエ史上に衝撃を与えたブルメイステルの演出の魅力は演劇的という一言では言い尽くせない。ストーリー展開の面白さと、踊る役者とも呼ばれるダンサーたちによる舞台は、観るものすべての心を震わし、「エスメラルダ」の悲劇の結末と「白鳥の湖」の幸せの結末に、観客は最後には放心状態必至。

「オープニング・ガラ」Opening Gala
4月13日(火) 19時

ボリショイ・バレエのプリンシパルとして一世を風靡した、セルゲイ・フィーリン (現モスクワ音楽劇場芸術監督) 出演予定!

【セルゲイ・フィーリン Sergei Filin】
現国立モスクワ音楽劇場バレエ芸術監督(2008年3月就任)。
1970年10月27日モスクワで生まれる。1988年モスクワ舞踊学校卒業と同時に、ソリストとしてボリショイ劇場入団、2年後の1990年にはプリンシパルに昇進した。フィーリンは、瞬く間にボリショイでトップに上り詰め、屈指のダンスール・ノーブルとして活躍。1994年、ブルノヴィル版、ヴィノグラードフ演出再現のジェイムズ役を初演。1996年、ロシア連邦功労芸術家、2001年、ロシア連邦人民芸術家。 2008年4月末にダンサーを引退し、国立モスクワ音楽劇場バレエの芸術監督に就任。同年12月のボリショイ・バレエ団来日公演では、日本のファンの強い要望により、ゲスト・プリンシパルとして参加。また、英国ロイヤル・バレエ団、東京バレエ団、ハンガリー国立バレエ団などを含む世界中のバレエ団に客演している。

※セルゲイ・フィーリンが出演するのは、ガラの一部になります。ガラの内容は 決定次第、公式ホームページにて発表。また、万が一、セルゲイ・フィーリンが 怪我や病気等のやむを得ない事情により出演出来なくなった場合でもチケットの 払い戻しは致しませんのでご注意ください。

ブルメイステル版「エスメラルダ」La Esmeralda(全3幕)
4月14日(水) 19時 / 4月15日(木) 14時・19時

音楽:プーニ(グリエール、ワシレンコ改編) 
振付・演出:ブルメイステル(1950年)

奇跡の悲劇大傑作。―美しきエスメラルダをめぐる、サスペンス溢れるストーリー。
原作は、ヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」。 中世のパリを舞台に、麗しきジプシーの踊り子エスメラルダを取り巻く男たち3人が、愛憎劇を繰り広げる。1950年の初演時からの人気レパートリーが、美術、衣裳を一新して色彩的にも鮮やかに生まれかわり、2009年11月末にモスクワで初披露される。全幕作品としては、世界でも滅多に観られない幻の作品。

あらすじ
15世紀のパリ。美しいジプシーの踊り子エスメラルダにノートルダム大聖堂の聖職者フロロは、一目惚れする。フロロは醜い鐘つき男カジモドを使ってエスメラルダを誘拐させようとするが、カジモドは捕らえられ、エスメラルダは御兵フェビュスに恋心を抱き始める。捕らえられたカジモドは広場でさらし者になるが、ただ一人彼をかばうエスメラルダに、カジモドは恋心を抱くのであった。めくりめく愛欲、嫉妬、そして復讐。エスメラルダを巡る三者の愛憎劇の結末は・・・



ブルメイステル版「白鳥の湖」 Swan Lake (全4幕)
4月17日(土) 12時・17時半 / 4月18日(日) 12時

音楽: チャイコフスキー
振付・演出:ブルメイステル (1953年)

スワンレイクの名バージョン。
―息をつく間もない迫力の展開と幸せの結末。

いくつものバージョンがある「白鳥の湖」だが、始まりから終わりまで、これほど統一感と緊張感のあるバージョンは他にない。とくに傑出しているのは第三幕、舞踏会のシーン。スペイン、ナポリといったさまざまな民族舞踊が繰り広げられる中に、黒鳥が王子をあざむくドラマが巧みに描かれていて、たたみかけるように展開されていく。宮殿をはじめとする舞台セットも見事で、これを観なければスワンレイクは語れないと言わしめる、劇場人気ナンバーワン作品

あらすじ
成人式の最中、王妃から明日の舞踏会で花嫁を選ぶことを命じられた王子ジークフリードは、その夜、森の湖で美しいオデット姫に出会い、恋に落ちる。オデットは、悪魔の呪いによって白鳥にされ、夜の間だけ人間の姿に戻っていたのだ。王子は彼女をすくうために永遠の愛を誓うが、悪魔の策略にかかり舞踏会でオデットそっくりに化けた悪魔の娘オディールに愛を誓ってしまう。過ちに気づいた王子はオデットに許しを乞い、悪魔に立ち向かう。そしてついに二人の愛が呪いを打ち破る。




「国立モスクワ音楽劇場バレエ」について

 スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念